健やかな重みありてかひしひしと空にひつぱられて梅咲けり
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春雨に負ける桜は見たくない試合は始まったばかりだろ
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容赦ない追い駆けっこのルールにはタッチ交代おしまいが無い
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剥き出しの言葉は無くて果たされた義務深き沈黙の凄みよ
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気圧だか湿気か何か知らないがやたらめったら気が滅入ってね
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よろよろのつまらない午後運命の赤いドレスの女に出会う!
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ぴかぴかのサテンの空が穏やかに秋の岸辺にたどり着く時
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平凡でありきたりだと捨てた日が懐かしき詩の一節となる
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鹿と樹がただ一類としてあればこの時神のそのは音無く
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次々とあなたの願い叶いますようにと銀杏きんの葉がいて降る
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幸せはたまに動物の形のビスケットになったりするよね
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一族の物語第八章は終わり叔母さんはぐずぐずしない
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オンライン帰省でいいと言えるのがありがたい気楽な年の暮れ
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日々痩せる思いは少し遠くなり残る既読にならぬ安心
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診療所マスク患者が出ては入る開け放たれた玄関のドア
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並ばされ湯気出るバスに入れられた冷凍餃子になる白い朝
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纏ひ附く百合の喩へのいみじからば雁の図形はくづれかへりぬ
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もうそんな季節かと問う飲み干した600ミリのペットボトルに
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硝煙の臭いが消えぬ指先を持つ娘が語る命の重さ
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脇目もふらず走り来たのに横に咲くのはありふれたヒメジョオン
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新しきはなべて旧りゆくもの敢て町に出で行くひとへ 口語とその後
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ここのとこ「今日は特別って事で」が週に6日はあるのに気付く
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たちまちに壁の向こうは雨になり夜が来ていた寝転んでいた
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気持ちよくみんな一緒に暮らすんだよとウクライナの絵本は言う
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ぼく達の敵基地ってどこ 夏がきて「告ぐ、直ちに投降せよ」虐殺前夜通達
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夏のオルガン 戦争賛美に燃えて以降憎しみはジェラートの融点と同じ?
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液化した市街電車にはことごとく だって正当防衛だったんだから
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戦争は呼吸みたいでひとごろしはどの少年漫画でもかっこいいじゃん。 
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ぼく達がなぜ その問いだってわからないのだから絶滅収容所なんてしらない
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歴史より個我を貴ぶ 岩のうへ蒔かれて終ぞ実らざる種子
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