宿とせし残りの花も散り果てて青葉の枝を渡る鴬
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なんとなくお釣りが貝に変わってる気がする海辺のコンビニを出て
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きのうきょうあすの区別がつかぬ日々 薔薇園のは肺をゆらしをり
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どちらでも 本気の顔が 見たいだけ 怒るにしても 笑うにしても
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安心を欲してエーアイに添削という名のヨシヨシ求めてる
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娘には再検査という知らせあり 自分の時より気持ちが重い
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母の部屋でくつしたチクチク繕えば 氷の鎧溶けた母がいる
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ささくれにしみる五月雨心にも甘雨かんう豊かに降る日のありて
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最近は 暑かったからと 半袖の きらめく君が 真夏の合図
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「桃みたい」 金のうぶ毛の 幼子よ ずっとあなたの 味方でいたい
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今朝もまたやっぱり君は帰ってく フローリングが嫌に冷たい
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覆水を盆に返せば特異点で交わした約束思い出したり
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雨降りで二日散歩に出かけなく二枚の散歩着部屋干しのまま
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タイムマシーンはウォッカだったと気がついて はじける頭痛で目覚める朝だ
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大雲に 重なる夏の 恋の跡 もう届かない 君に陽炎
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雨に濡れ 鮮やかさ増す山ツツジ 薄紅色に咲き誇るなり  
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手繰りよす言葉のさきを 残されたじかんはながくないさ、曇天
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そばかすとほつれたシャツを引っ提げて今日はアタシを受け止める日よ
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夏日あい靴下カバー履く冷えにスカーフとシャツまた洗わねば/予想気温十七度
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考えてみれば人生大方は想定外のくじ引きゲーム
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本当のことが八割書かれてる履歴書を安い封筒に入れる
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屋根裏で蠢く音の正体を 霊障であれと初めて願う
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街並みを真っ白にする涙雨 棺と同じ色をしている
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風にのり空を滑れる鳶のわざ集へる人の湧きにけるかも
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宵霞 よいがすみ 花にくれゆく 夢の跡 朝風高く 歩みゆかまむ
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真っ新な布団の上に足跡が愛猫ねこの仕業か想像おもいてニヤリ
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許せぬと忘れずにいた数年を捨てて知るのは忘却の強さ
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梅雨寒を揺れる枝葉は気に留めず何億という時をば歩む
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雨音は 僕の心を 洗い流す 心地良き音は ショパンの調べ
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言の葉で作った舟を放す どうかこれが祈りでありますように
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