Utakata
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谷水の深き緑に袖
浸
(
ひ
)
ちて
掬
(
むす
)
ぶ手近く
奔
(
はし
)
る若鮎
20
指のたこ 左官の
鏝
(
こて
)
に指を添え脚立の上で壁塗る父よ
13
新聞の バイクの音が近づけば 朝靄の中今日が始まりぬ
24
ムクノキの陰に園児らやすらぎて五月はこんなにも美しい
12
黄色
透
(
す
)
く花びらうすく咲きなびく初夏の薫りの花は爽やか
19
フロントの若葉マークが吹き飛んだ いつか何処かの青い野原へ
13
夏野菜カレーに挑戦しようかなマイナスイオン意欲促す
12
珈琲に深きため息染みていく 黒に混じりて悩みも溶けて
22
帰り道 話題を一つ 落としたまま 拾わず歩く 街路灯まで
10
いつもより 早めに起きて 支度した だってあなたに 会えるのだから
9
銀色の 砂丘に風が 吹いている 月の目をした 鴉が飛んだ
9
自販機のあかるさのなかタンポポと夏のありかを探すサイダー
14
暑ければ冷房つけろテレビ言う節電しようテレビを消そう
10
主のなき部屋にたたよふ在りし日の家族の影のとほくこだます
12
灰色の日々もあなたがいるだけで 透き通ってゆく、はつ夏の風
8
畑から 戻って三杯 氷入れ 麦茶を飲んで 五月の正午
8
同じ空いつもと同じ田んぼ道下手くそな歌聞き逃す風
9
仕事なく早上がりする月曜の居心地わるい子の誕生日
9
今日も行く 昼餉の店は 定休日 繁く通えど
定休日
(
やすみ
)
も知らず
9
悲しみは部署の宴会遅刻して部長の横しか席がないとき
18
人も木も
種々
(
くさぐさ
)
に花の 咲き満ちて 時うつろへど
永久
(
とわ
)
についなし
14
あらし過ぎ
瘡蓋
(
かさぶた
)
剥がし また重ね なに食わぬ顔 凪を疑ひ
18
歌声は皐月の空に流れ行く祈りにも似たアルトが響く
17
教会風 施設のチャペル 夕陽背に 眩しき影絵と なりて佇む
10
岩が根に響く鳶の音胸に澄み我が愚かさよ知るを知るらむ
7
映画館 チュロスを握ってふと気づく あの子にもこうすればよかった
7
不毛なる争いやめて巻き込むな私は中立 きのこたけのこ
7
「おいしいね」は 魔法の言葉
美味
(
おい
)
しさを 響かせ笑顔も 広げてゆくなり
12
エアコンの効いた部屋にてサイダー飲むなんて優雅な猛暑日なりけり
7
君のため 歩いた癖が 抜けぬから 日暮れが遅く 家まで遠い
7
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