出汁をとり冷まして濾して蒸しあげた蟹茶碗蒸し5秒で食うな
18
旅先の 沖に漁火灯りゆく 遠く霞みて潮風ぞ吹く /吟行の旅第八首目 
17
街中がちょっとハロウィン浮かれ気味誰にも言えんがちょっと苦手で
20
ああ今を 思えば思う ほどに泣く 後ろめたさと 憂さに包まれ
13
サーカスに 売るぞと言って 脅された そのサーカスに 毎日通う
9
明日(あした)へと続くリズムを刻んでた裸足を波にひたし濡らして
10
不器用な方向音痴の旅なれば行ったり来たりもまた佳しとする
9
カレンダー 壁の写真は何処の国 月変わるまで確認しない
14
駐車代ケチり土産をひとつ増しおもくてかるい秋のあしどり
15
欲しいのは 今すぐ会える 彼よりも 何百キロも 離れたあなた
13
半袖で 笑うあなたの 白い肌 うっすら浮かぶ 鳥肌に秋
10
休みの日 一番最後 起きる猫 夜ふと見たら  先に寝ていた
8
手鏡で 見た顔なんか 私なの 思わず触って もとに戻れよ
8
なにかしら自分の背中をそっと押す 手が欲しくなる時がある
8
シンデレラ 高速バスを遅らせて 引き伸ばしたい夢の時間を
18
空想で ニューヨークでは 復讐だ 箝口令は 何故敷かれたか /ماينس زيرو
7
雨なればと黄のレインコートを探し出しいざ出勤せむテンション上げて
7
縫い閉じたぬいぐるみの綿すみれ色 ハートのビーズがたまゆらになる
7
へんなとこ触っちゃたらもう大変 元に戻せぬスマホは女(猫日和様へ)
17
手の甲によろよろの蚊がやってきた かゆくしないなら吸わしてやりたい
7
工場の 撤退せし後(あと) 金網の 向こうで揺れる ススキの穂たち
15
美しききみの誕生祝うよに黒猫座の鈴がひかる夜かな
18
薄闇に 烏の声の 遠ざかり 夜寒の道を 我も家路へ
11
種残し 己は枯れ行く 草花と 同じく哀し ひとの営み
11
「あのね」から 始めなくとも 続く時間(とき) 「また、ね」なくとも 紡ぐひととき
7
あさ目覚め蒲団の上でまるくなる日の光を追いながら始まる一日
6
お迎えと言うのも何か憚られ送迎来たと送り出(だ)すデイサービス(デイ)の朝/介護
17
生者にはもはや教わることはなし嘯(うそぶ)き握る夏のハンドル
8
「じゃあ、またね」いつもと同じ別れ際「Ciao」の響きに送られてをり
6
徒然なか犬と戯る秋渚 寄せる白波ともに跳び越へ
6