帰り道 擦り寄ってきた 淋しさと 今日は一緒に 眠ろうと思う
23
不機嫌のワケを聞けないストローを噛みつつ見やる秋空遠し
16
今日というなにも変わらぬ日がいつか マーカーで線が引かれぬように
15
眺むれば 雲が流るる秋の空 いつか行きたし言の葉拾いに 
20
九十五ずしりと重 し誕生日 白寿の道へ一歩踏みこむ
21
空青く詩的な短歌(うた)が詠めそうと 流れる雲を二時間見てる
17
夏休み短歌に魅せられ本屋行きレジに一冊サラダ記念日
13
淡々とわれに二択を問う医師の背後で母は冷たくなりて
15
「番号札八億二番のお客様……」果てしないアンドロメダ銀行で
11
君がのみこんだ涙と同じ数あめちゃんあげる 何味が好き?
11
居間静か猫二つとも気配無し窓際ギリの陽にへばりつき
20
食欲の秋が我が家にやってきたスポーツの秋来ても居留守よ
8
ひさびさに帰省した子を出迎える親の気持ちで見る青い空
27
闇夜から 降りしきるのは 星時雨 心を置いて 見上げてみれば
7
長風呂をする気になれる涼しさでああ秋なんだと思い知らされ
7
道端の 雁はむっくり 立ち上がり 羽ばたきながら 鳴き散らしけり
7
希望持ち 暗闇の中 歩き出す 希望という光を持って
7
感情を 表に出さない マスターを 笑わせたくて 通うこの店
7
散りぎわにみそひともじに込められし無念のおもひ魂にひびく
7
蓮華座をわづかに緩め暮れ方の迷いの岸に影ひとつ浮く
7
まるまるの五十一年経過せり。どんよりとして、何事もなき。/明日五十一回目の結婚記念日
19
十秒でまなこに涙あふれくる子役につらるる吾を見る妻よ
8
約六十年前の和訳をタブレットで読みながら令和八年八月最後の夜を過ごす
6
わくらばに問ふ人もがな津の国の生田の森に秋ふけにけり/擬古短歌
7
ドップラー効果を感じることなんて 救急車だけだと思ってた
6
指先の冷たさに秋感じつつ 机に積んだ本片付ける
6
夏という概念が好き 強烈に、海と終わりのにおいがしてさ
6
黒を消す ネオン銀河が 午前二時 得体の知れぬ 胸の焦燥
5
長いこと煮込む目つきが優しくてクリームシチューずいぶん甘い
5
子供らの 顔を見てれば どこからか 元気が出ると 思える仕事
5