私より上手いあの子がこの道と関係のない進路を選ぶ
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免許証 返納したと 言う友の 少し寂しき 笑顔脳裏に
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再検査終えてようやく息を吸うわが胸のなかに満ちゆく五月
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坊さんとお布施のことで喧嘩して一夜明けても今朝まで憎い
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桐の木に絡む藤蔓花落ちて 我こそ主役と桐咲き誇る
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老ひるとは 亥の刻過ぎきし刻限は 夜更かしなどは夢のまた夢 
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瑠璃深く翡翠染み込む夕暮れのひかりの海の波の静けさ
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触れたなら 戻れぬ場所が あると知り 距離を測って 季節が過ぎる
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こんな俺褒めてくれてありがとういつもいいねに救われてます
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あさぎりの空に響かふ鳶の声おのが占めたるなはを守るか
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峠道 自転車で行く 汗だくの 耳に聞こえた 初夏のハルゼミ
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この世をば我が世とぞ思ふ得票を 中傷動画で得たと思へば
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夫婦にもたまにはチリが必要ね 甘いだけではつまらぬココア
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自販機のあかるさのなかタンポポと夏のありかを探すサイダー
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暑ければ冷房つけろテレビ言う節電しようテレビを消そう
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お布団の引力強い朝6時やっと振り切り今日も始まる
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失せぬやう付けし鈴なる定番も今では熊を避くるため付く
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野良猫が寄るのと逃げるその差には 誰かがくれた優しさがある
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指のたこ 左官のこてに指を添え脚立の上で壁塗る父よ
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冬用のラグを持ち込みお洗濯朝日差し込むコインランドリー
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諦めたらそこでおわり 生き残れ こころのなかの安西先生
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一叢ひとむら釣鐘草カンパニユラの 青き森 てんたう這うを ただ凝視みつめる子
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皐月でも締まり屋なれど堪え難き暑さに負けてつけるエアコン
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同志見つけたかの如き嬉しきは街にぽつぽつ漂うマスク
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てのひらをなぞって綴りを教えてよ、I love youとか君の名前を
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銀色の 砂丘に風が 吹いている 月の目をした 鴉が飛んだ
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恋し人貴女が違う屋根の下 幸多かれとただただ祈る
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この品はあの店で買いその品は割り引きの日と戦略を練り
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私には償い切れぬ罪がある 人差し指の名を変えたい
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擦り傷に 魔法をかける女の子  うっすら頭上にとんがり帽子
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