Utakata
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不満屋を
暖簾分
(
のれんわ
)
けした過去あれど今は希望の
卸商人
(
おろしあきんど
)
17
弟とページを繰ればサバンナの匂いを運ぶ図鑑の中よ
13
歌会に歌を作りて三十年吾も老たり九十五歳
12
恋歌を
四十路
(
よそじ
)
になっても詠みたいと君との写真一人見返す
12
家々に 色とりどりの紫陽花が 今を盛りと咲き競うなり
19
塚石に舞う黄ぃ揚羽 黒揚羽 つれてゆけよとわが手さし伸ぶ
15
良くもまあ 食べに食べたね 欲のまま 天晴れ 育ち盛りの息子
10
実家通い疲労の滲む我を見て「外食しよう」と連れ出す夫
13
水盆の中にトマトの転がって今日の生活始まっていく
9
あさましき心で何説く文殊普賢と原発名付けし愚禿の輩
9
見慣れてる 光乏しい 田舎町 都会は都会の 夜のシルエット
9
天皇になりたいんだけど応募先教えてほしい過去問もあれば
20
お試しの 宅配弁当 彩りと カロリーチェック ドキドキしつつ
14
宅配を待つ四時間の残十分 暑き夏なり 急がずが良し
16
「七夕に逢いたかった」とつぶやくと「旧暦じゃない」と言ひ返すひと
16
夏の朝涼しきところ心得て老猫今日も庭を眺むる
19
大人だし。切り替え向かうパソコンに だけどなんだか 蝉がうるさい
7
畑端一途に咲ける向日葵の誰をか見つめむ陽炎のなか
26
我が腹は 歴史の厚み 積もる丘 その上乗りて 猫足ふみふみ
6
揺れそよぐ小さき蕾 一面のラベンダー 笑みこぼれる
娘
(
こ
)
らよ
13
寝ちゃったの まだ寝てないよ 寝ちゃったの まだ寝てないよ ……寝たのかよ!!
6
飯盒の 下がるリュックを 熊鈴の 代わりと笑い 見上げた穂高
15
物干しの
撓
(
しな
)
れるさまに 心さえ
灑
(
あら
)
われてゆく 梅雨晴れの朝
39
凡庸が 溢れんばかりの 帰路のなか 黒き天使の 無垢に魅せらる
11
朝焼けを背に歩むれば猫ぞゐる睨み合ひてぞ我は勝ちぬる
5
派手に咲き派手に落ちたる
極熱
(
ごくねち
)
の刹那の狂気
凌霄花
(
ノウゼンカズラ
)
17
幸せは振り子のように来ると言う 紐が長いと信じて眠る
29
朝方のタオルケットは涼しかろ取り越し苦労に梅雨明け近し
27
吾の身と心の晴れを凌駕する晴れすぎた陽の加減のなさよ
9
夜九時に二階の窓を叩く音迷いた虫に驚かされた
6
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