命日にご無沙汰ですと手を合わす母の温もりふとよみがえり
22
わたくしの遠い祖先は魚だと思い出させる足裏の皮
18
諍いの後の気まずい車内にて カニ食べ行こうとPUFFYが歌う
12
マンションと ホテルのはざま 行き来して ねぐら求むる 鳩の夕暮れ
12
無自覚の縦の社会を一蹴ひとけりし本田は選手を「さん」付けでよぶ
17
幼日の 母に隠れて桑の実を 食みし唇紫に染む 
15
澄む風に想ひの寄す たつ波は ラジオ体操 スタンプの朝
15
道端の夏の定位置確保して色とりどりに立葵咲く
15
あの渡り廊下はとうに無くなって十四の僕の行方は知らず
9
サッカーの勝利が一面トップ記事平和な国の朝刊を読む
9
道問えばスマホで調べ案内す若者たちの皆優しかり
8
まだ恋の物語とは知らないでそろりと開ける真夏の扉
10
送り梅雨降るといふらし 鈍色の空のわかれて 夏至る日や
14
ちま猫ちゃん しょくごの・うんどう だいさんじ大惨事 編み物セットは どこから出した
21
虫の音も 聞こえぬ夜の たまゆらに いづこの声か 名を知らぬ犬
10
皿一枚足りないからといつまでもイジケて井戸にこもってちゃダメ
9
千葉なのにヤマセのような冷た風 昔暮らした八戸想う
13
距離感を探りつ祈るあの人の心の嵐過ぎ去ることを
16
二日では伸ばした羽もすぐ折れる 何者でもない私に帰る
6
怪獣は火を吹きながらほんとうはやさしいものになりたいと願う
6
さくらんぼ夏至の味して子と父と種の出し方練習してる
20
君見ればき世も晴れて咲き渡る椿つばきの花の色ぞ変はらず
15
会長が 奢ってくれる レモネード ラムネの語源 また聞かされる
6
面白く短編聴いてふと思う「 ある一場面」が短歌とも似て/深夜便文芸館
15
おみやげのマトリョーシカのだれひとり目が合わなくてこれも優しさ
5
咲き満ちて 優しく揺れる 合歓ねむの花 名前のままに シルクの花だ
11
誰にでも 切ない夏は 来るのです それでも夏が 恋しいのです
5
河原にて珈琲片手に待ちをれば来たりし鳶に逢ふぞ嬉しき
8
子をもって知る親の恩この年も 父の日として気持ちが届く
17
サッカーに沸き立つ国のかたすみの木立にこぼるるせせらぎの音
24