哀しみを赦せる日々がやってきた 水を湛えたスポンジを押す
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我のため雑草くさを摘んでは土産とす 認知症やまいの祖母の不変の愛情
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朝毎に雀にとパン屑まけば痩せ狸来てそれを漁れり
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​かじかんだ 淡桃色うすももいろの 吾子の手を 包むこの手で きみ守りたし
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無人駅 氷雨で濡れる単語帳 私は私を好きになれない
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リビングの壁にあなたの影みつけ 師走の低い朝陽のしわざ
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名も知らぬ木に艶々と赤き実や 名も知らぬ鳥梢渡りぬ
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見上げれば朝の光は柔らかに飛ぶ鳥の羽黄色の落ち葉
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信号機変わるを待ちて母に抱く嬰児えいじのまなこ熱に澄みたり / きっと熱が出たんでしょう
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学校の音楽室からもれてくる練習曲を月も聴いてる
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「納豆を高速回転させるとき 苛々してるの覚えて置いて」
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納豆に日頃の苛々ぶつけても健気に美味い ごめんね。納豆。
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哀しみに刹那打たれて落丁の次第に増えし人生を生く
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落葉らくようや 一掃されど 道端に 積もり積もりて 秋をえがきぬ
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夜想曲弾かんとしてもその中に密かに宿る夜は逃げ出す
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降圧剤飲まぬと決めて一年半 死神よぎり医師に泣きつく
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群青と 黒き稜線 月あかり 今年最後の 明日は満月
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雪の上残る足跡これは猫 しのげる場所がありますように
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吹雪後の満月が照らす人々の必死の除雪語る雪塀
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先人の 運んだ 丸太と岩の道 踏みしめてゆく 三輪山登拝
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江ノ島は道半ばなるフルマラソン二万のランナー己が道行け / 私も湘南国際M7回程走り、今日も応援!
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スプレーの冷気しみ入るふくらはぎラスト十キロ ゾンビの根性 / 過去7回走った湘南国際M
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死なないで生きてよなんて言えるそのきみの鈍さに殴られてるの
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檜葉ひばの木の枝の中には遠い土地香りの中に私の中に
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孤独こそ己を守る避難場所 長老の説く平易な言の葉
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つり革に 初めて届き 喜びて 記念日だねと 言ふ吾子愛し
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電線に止まる寒鴉かんあの背景に 白き残月 朝の西空
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秋深み裏のくぬぎも冬じたく枝を震はせ もみじ葉の舞ふ
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飛び乗った仕事終わりの快速は君に向かってまっすぐ走る。
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自販機が応えてくれぬ けふもまた かざすスマホの悲しくゆれて
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