秋彼岸 墓前に供えし花立に ひょいと顔出す雨蛙かな 
24
夕月夜きみの道標(しるべ)が降るかぎり黒猫(われ)のゆく路 惑わされまじ
17
ホームには 電車来たりて 中東の 女性の肩に 布のたなびく
13
ふわふわと冥土の旅か秋の蝶破れた翅をいたわるように
13
ヤーレンの降り注ぐ街 雪虫のひかりを連れてゆく秋の果て
12
不器用な方向音痴の旅なれば行ったり来たりもまた佳しとする
19
この土地にルーツを持たぬわびしさや同級生も従姉妹もいぬ身
17
言の葉は空気に触れて過去となる 対処こそすれ思い悩むな
10
この歳で昔々の嫌なこと 忘れもせずに思い出すとは
12
寒くなり お湯を使って 洗い物 とうとう来たか 手荒れの季節
9
讃美歌の渦に紛れた恋模様祈りよ届けあの子のもとに
9
嫁入りの キツネの祝いか 大粒の 雨落ちて来る 満月の宵
9
ピクルスの 瓶を開けてと 頼まれて 今日いちばんの 晴れ舞台に立つ
19
レタス高い?なら白菜でいいじゃない 野菜売り場のアントワネット
10
初物の柿を食べつつ食卓にふたきれの柿は残されてをり
9
ミルメーク溶け終わるまで二十秒甘い気持ちで恋をしている
9
なにかしら自分の背中をそっと押す 手が欲しくなる時がある
16
隙あらば とにかくキミを 笑わせて 愛に笑いは 要らんと言われる
8
クニュクニュと君ならではの食感で炒めて炊いて採用!エリンギ
9
「この踏切次に開くのはいつですか?」「あなたがここで事故に遭うとき」/猟奇歌
7
久々に訪ねた園庭(にわ)は秋の色 まっ青な空 柿も食べごろ
16
君からの言葉を全部食べたくてまとめて真空パックに入れた
11
なんとなく入った店が大当たり 日本酒旨し独り旅の夜
10
秋風や 髪の毛揺れる 君の背は 追えど届かぬ 月の如し
8
僕は今ペーパータオルの芯の中 猫に覗かれる褒美を得てる / SNSでよく見るやつ
8
ハイエースで狭い道をゆっくり進めば見えてくる海と青空
6
霪(ながあめ)よどうか続けと暗雲に問うのは誰か今日の可惜夜
7
丘一面赤に染めたるコキア追い車走らせ秋風を切る
6
嬰(やや)の掌を透かし見入れば初もみぢ 握る指先愛ほしきかな  
6
金秋や 腹回りだけが成長期 ズボンの裾の詰めの甘さよ
10