雨降りの通勤時間の渋滞に赤いためいきともりつらなる
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九月とて秋服纏う気概なく日傘サンダルめっちゃ夏服
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月光で 金の反物たんもの織れたなら 宇宙そらゆく舟の帆布ほぬのにしよう
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月をむ 地球の影は 恋のよう  心をんで 盲目にする
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恋心 積もり積もって 大気圏 どうりでずっと 胸が苦しい
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冷やされた身体がぬくむ夜だから どうせフラれるなら夏が良い
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落雷のあった昨日のとなりには君が寝ていた、とてもさみしい
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ただ好きでいることだけを許してよ。他に何も望まないから。
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あなたから見えていようがなかろうが 今日のわたしは世界一かわいい
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夜半の月 雲の切れ間から よいかんじ 道長さんも見上げた望月
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若者が「推しがメロい」と言うたびに脳裏に浮かぶ「美徳のよろめき」
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中一で路傍の石の感想文背伸びし過ぎて読み進めない
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動いててお喋りしてる藤井風絶滅危惧のあやうい個性
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見つめてもずっと黙っているんだね月よ何故にやさしくするの
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心から思う誰かを知っている月にすべてを語ってしまう
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偏見というレッテルを貼る性はいばらの道を作るさがなり
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雨上がり 夜空を照らす月明かり 涼に誘われ鈴虫を聴く 
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目玉焼き きれいに焼けた グッジョブよ 今日もゴーゴー 前向きでいこ
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完璧なこの計算が狂うのは君という名の未知数のせい
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あゝ朝かコピーロボットあればなあ寝転びポテチ漫画読むのに
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「半分こ」と捧げられたどらやきが 君との日々の幸せな断面
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太陽は夏を制する大スターストライカー地球はボール「ボレーシュートだ!」
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夕餉あと子だけで過ごす時間ふえ散歩はじめる妻伴ひて
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誰しもが 色とりどりの 「はじめて」を 抱いて歩いて それでも生きて
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人生で 妄想時間 控除せば 有効稼働 いかほどか
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蒼き蝶フジバカマ咲く山里へひらりと降りて羽を休めむ
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泳ぐ子の頭上を過ぎる赤とんぼプールじまいの余韻を残し
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ビロードの垂れたる耳に聞こえけむ 涙の雫 落つる音かな
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最果てのうだる晩夏の交差点父母思い自嘲苦笑す
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君よりも百倍多く散らしてる フランスパンのかけらを卓に
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