入院の 手続き済ませ 帰りつき ふっと気を抜き 我が猫らを恋う
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緑萌ゆ 土の香立てる 雨上がり 万物すべて 天より来たる
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人の世は 無常の風が 吹き渡り 初夏の草木が 愛おしく見え
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ソンナコトナイヨ を多めに持参して 思春期の父のご機嫌直し
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子の家は 換気扇に すずめの巣 「巣立つまで待て」と いったばかり
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崩れたよ 壊れたんだよ だからもう この世界は私のものだよ
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いつもなら残業優先業務過多今日はダッシュで孫の待つ家
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くだらない 一日なんて 決してない 上司が語る 居酒屋教室
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あなただれ 娘です あらそうだった 笑えるうちに 笑えるうちに
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恋に似た、されど恋ではないはずの この感情をどこに置こうか
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蕎麦の花むらさきにしてあはかりぬ青年の頬てらす逆光
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棺工十三人のごろつきを指揮す 黙示は飾字の森 
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がたがたと軋みそめたる島嶼にて竹槍のごと揃ふミサイル
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つまらないおとなになったあの時のかえらぬ傷が疼くのだった
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きみたちの頭の中に入ってる型が役に立たない日がすぐに来る
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來世は 金木犀咲く 地に生まれ あなたの気配 思い出さない
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西風が 雲を蹴散らし 星空に 月の光が 明日を照らす
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ひとかけのケーキのように簡単にこの感情を飲み下したい
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人が言う綺麗さだとか可愛いに囚われないで 自由に生きろ 
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ほうき星が 近づく朝は なにもかも 裏はおもてに 切りかわる時
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両耳が ちぎれるほどの 冷たさが 魅力というの 晴天の宇宙そら
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何をかを 必死で隠す 様相で 深々と降る 黙々と降る
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ほっとけば 不幸に流る 一族に 手を延べるほど 器量もなくて/ 歳末
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ガザを擁護せるはあれどアメリカとイスラエルを批難せるはあらざり
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プロレタリア投獄されて長々しある島国の平和なる日々
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十八に 伸びしろふくめ あがないし スーツは六年 隙間もあらず
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こんな時 笑い話を あえてする 地獄を生きた 友の優しさ
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人生は こんなに早く 過ぎるのか 目に映るもの 全てが愛しい
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母のぐ スナップえんどう サッと茹で 春の香りを 一足早く
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ふゆうらら しずくがうがつ のきしたの 雪のふかくに うみのいろあり
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