無駄足を何度も踏んだ野心家はしつこく古希の初恋をまた
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バラ色の未来買うほど暇はなく「広島おんなエレジー」ずっと
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愛拗れ難儀なるかな かのひとは 麻婆豆腐憎や恋しや
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水仙の咲く星があり水仙の咲く春が来て花また咲いて
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球根のでし芽見んと四つ這いになりて地中の温さ伝わり
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君逝きて がらんどうの身旅幾度 囃す友あり「メリーウィドウ」
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「反戦歌うたっても武器作るなよ」被爆二世が言ってもムダか
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また不意に 寄せて返すこの悲しみは われら家族を しばらく去らぬ
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長い冬 耐えて開きし野辺の花 なんと可憐で愛しき生命いのち
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初嵐 威勢良き名は 見目無垢の椿と知りぬ 詠う人いて
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これほどに 待ち望む花が 他にあらむ 古きより胸に 刻み込まれて
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転々と 君を追いかけ 春の中 今点々と 咲くシバザクラ
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月夜野つきよのは今はなき町 ただ歌を詠むためにあれ文字も響きも
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心臓よ、 高鳴らないで 今だけは 鼓動が彼に 聞こえちゃうでしょ
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桜桜さくらさくら 花をいだきて 舞う月夜 永遠とわに散るなと 願いでつつ
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天仰ぎ咲く木蓮の清しきや木立の奥にうぐいすの声
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ほほつたひ 涙を隠す 春雨は 在りし日思ふ 弥生のしらべ
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この世には素敵な言葉が多すぎる 修了式でもらう手紙に
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雨音が私を過去に引き戻す 現在いまを選んだ22の春
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「ママはどこ?ねえパパ!」「百合が綺麗だろ今年は肥料が良かったんだよ」
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のどかなる 春の空にも 鋭角が ポラリスを射て 白鳥の矢よ
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一年ひととせに一度の福運なる日には列をなしたり来ぬを求め
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林檎の真ん中射抜くごと詰られて わかってる恥じているよと胸の内で/其の二     
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音曲おんきょくに 詩歌に絵にと うたわれし 桜は生きむ 時代を超えて
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出会わなければ 良かったなんて 思わない そんな別れが また一つ
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蕎麦屋まで道々芽吹く木々あれど 相方のなく ただ此処に春
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君を蛋白石にしよう。でも、それまでにはかえってきてね。
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住職が花守らしき山門に 薄墨桜離し植へらる
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たつぷりと付箋のつひた課題図書読むとは向かひ合ふといふ日々
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告げよ春 この世は冬の幻と 河原の石売るほどのかひ無く(つげ義春逝く)
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