Utakata
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風
薫
(
かお
)
る
皐月
(
さつき
)
の空に遅桜人目もあらでひとり散り失す
14
明日には もういなくなる お別れに 思い出すのは いつもの笑顔
12
月めくり世界遺産のカレンダー行きたい国が毎月変わり
14
レンギョウの明かりのともる通学路転ばぬように迷わぬように
13
もやい解き子ら旅立てば食卓に影のひとつが縛られてゐる
13
花びらにほのかな霧の咲きなびく紫淡い胡蝶の蘭や
13
葉に残る春の名残りを洗い去り五月の雨は緑を濃くす
29
初孫の 我をもっこに ひょいと載せ 野良の仕事に 連れゆきし祖父
25
幼き日の孫動画見る かたはらの眼差し見れば 子も親なりぬ
18
間違えて間違い抜いて辿り着く住めば都で眺める虹よ
10
麗らかな 陽光満ちし菜園に 春を告げたる葱坊主かな
22
婆さんはボケ、爺さんは寝たきりで介護嫌った嫁家出した
10
ひたすらに幸せだけを詰め込んだ箱庭の中微睡んでいて
9
リクルートスーツの彼女の哀しみが伝わらずとも沁み込んでくる
9
ひたむきに生きた証が散らばった服や文具の配置に宿る
15
焦げているさやを両手で引き裂くとふわふわのわた並ぶそら豆
9
黄緑の朴葉をつたう春時雨 連休なんてないほうがいい
8
病みて知る 健常なる日の
傲慢
(
ごうまん
)
を 今なら添えし心病むひと
19
連休の天気予報に雨マーク悔やまぬことを悔やむべきなり
7
なんとなく死にたくなった僕がただ見上げる夜に君はいるかな
8
人生を生活と言ったその日から空と季節は時間となった
7
水瓶の水を分け合う民として近江にありし工場研修
8
世界からこまごま飛び出る糸くずで作ったの、極彩色の繭
7
夜更けて 雪降り積もり 日は昇り 独り雪掻き 人笑みこぼれ
8
柔らかな愛だけ信じていたいからシフォンケーキにホイップ添えた
7
シャッターを開ければ燕風に乗りふわり飛び来るまた翻る
27
膝痛み あちらこちらに 通院す 仕方がないね 年頃だもの
18
我ひとり温めるための紅茶淹れ ため息ついて孤独を嘆く
12
見終わった後の映画の半券は当時を思い返せる栞
7
気がつけばもうすぐ五月 慌てつつ予定立てるもまた一人旅
8
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