窓ガラス サイズアウトの服で拭く記憶もなぞる大掃除かな
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行き場ない 迷子の気持ちと 手をつなぎ 耳を澄まして 道場の朝
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台本を 繰り返し詠み さあ開演 実家劇場 ムスメその1
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ソンナコトナイヨ を多めに持参して 思春期の父のご機嫌直し
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あなたの夜は浅いけど波の音色も春風も泡もぜんぶわからないから
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車窓より二度と出会わぬ町を見つこのままずっと揺られていたい
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何とキスしてても好きなの 苦しいよ 心と全部返してほしい
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壁にもたれてあなたの胸のなかで泣く  雨の音 聞きたいな
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母からの「家静かです」ひとことに子も犬も去る実家を思う
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ざくざくと落ち葉踏み手に拾う子も母も父もが葉の海の中
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宝塚歌劇団には華の影幕の裏側潜む過激団
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ごめんとか また明日とか 見慣れない天井 全部無駄にしたんだ
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いつだって好きな誰かを守るため握った拳の外側にいた
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おたよりが通じることのありがたさ 心の便秘 しませんように
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真っ白なみぞれが降って照らされる晩夏の恋をあなたの熱を
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ほうじ茶で凍えた指をあたためる きみの温度を想う雪の日
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大罪人たいざいにんでも殺されぬ人 善人で突然死ぬ人 どうしてだろう
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傘持たぬ人しょんぼりと佇ませ赤信号の悠々と光る
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「久しぶり」その一言の裏側に僕が知らない 数多の別れ
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切り株のくぼみに誰が植えたのか可憐な姿の初雪カズラ
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「できたよ!」と喜ぶ孫に拍手する 私は増える出来ないことが
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出来ることまた一つ増えて立ち上がる「ほーら どこにもつかまってないよ!」
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立てた子は何度も何度もやって見せ 兄は並んでスクワットする
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「癒されます」その一言で頑張れる 今日も歩くよ老犬と私
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眺めれば全ての場面が宝物 写真の整理は今日も進まず
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ちょっとだけ愚痴ってしまった今朝の我 一呼吸して味わう感謝
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吾が友の踏みつけられている人の自由訴う筆頼もしき
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靴底ゆ蹄鉄の唱ひびくなる青少年Aへの木馬教育入門
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雨の日は貴女と傘に入るためだけにあるのと云った黒雲
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推敲を 重ねて詠むも 今一つ 素人歌人 褒めるは君だけ
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