ふらふらにリズム追いかけリハビリで こころとからだおどるエアロビ
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蟻ひとつころさぬひとのやさしさは 競う世のなか踏みつぶされて
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朝まだきあかりの家のあちこちに 通院の闇ほのかに照らす
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更年期という手袋をはめつつ冷え性という靴下も履く
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ブロッコリー トマトにみかん パン うどん 一歳児にも食の歳時記
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精神病院1983年の手記。より愛を込めて――、アール・ブリュットなどに興ずる昼を。
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断乳に張り裂けるほど泣く吾子を 抱きしめる夜 卯の小晦日こつごもり
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正月に夫の顔をまじまじと見て気づくなり永井荷風似
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玄関であからさまなる孤独みて俯き知ったパンプスの傷
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美味そうに何食べてんだ佐川君一口くれよなぜ隠すんだ
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一歳半 床に突っ伏し駄々こねて 小さな神様 にんげんになる
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毎日が普通に来ると思うほど 愚かではないこの国は今
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善人の言葉の棘がささる時 来る朝だけが良薬と知る
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照明をダウンライトで暗くする 君の寝息がみこんでくる
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尿が出ないびっくらこいて病院に行ったら酒の飲み過ぎだとさ
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一粒が千円のチョコに絶句する 過ぎる贅沢能登の地見れば
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毎日を丁寧に暮らすその意味を 未だ分からず普通に暮らす
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谷川の氷も解けぬ山里に霞ぞ春を空に知らする
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春来れどなほ降る雪に鴬の初音待たるる山里の空
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若水に映るは老いの影なれど汲めば心ぞ新たまりける
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家人寝て、一人コトコト小豆炊く 静かな夜の季節を惜しみ
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コトリ鳴る鎮座まします仏壇の母のお骨は押し合いへし合い
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花咲けば青田を翔る風が待つ ゆっくり進めよ ゆらゆらの春
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階段を駆け上がってたねあの頃はよろける老犬と今朝もお散歩
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病棟の 父への葉書に歌一首 余白で伝わるものの多かれ
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気がつけば 短歌口調でぶつぶつと おもしろ可笑し 春待ちの午後
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メーラーの F5を押して かくばかり 僕は無用の ものとかを知る
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あー今のは 430ヘルツ 位だな 狂ったAに 僕は反応する
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不自然に 明るく照らす 街灯の LEDが 青く感じる
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無常が どん底であると するならば 希望の光は 見えるワケない
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