わたくしを甘やかしてはくれないの蜂蜜チューブは白く固まる
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バスの外いつも通りの街と人 いつも通りがありがたい今日
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「もう」なのか十五年とは「まだ」なのか震災の日から十五年過ぐ
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風止んで 瞬く空や 暖を取り スマホ立て掛け 聴くドビュッシー
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落涙し 絵になる女と ならぬ我 顔面格差に なお泣けてくる
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ちぐはぐな組み合わせだね冬コート 春を先取り白のタイトスカートタイト
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サックスの音色の響くライブにはナベサダさんの柔和な笑顔
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若人わこうどよ 無闇矢鱈むやみやたらを 恐れるな  みちを守れば あとは自由だ
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いかにせむ眠れぬ子へと伝へよう 恐るることはないと言ふのに
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人肌を忘れたてのひら愛されぬよりも愛さぬことをこそ憂う
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いい嫁を 演じるつもり ないけれど 遣う気の分 魂抜ける
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携帯も 本も見ずただ 穏やかな 景色を眺む 各駅停車
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陸奥みちのくの 花の盛りを 見ぬままに  時は過ぎ去り 十五年
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街明かりと 星の灯りの ボーダーで グズグズしてる 春分け近し
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名も柄もわれに似ているボケ木瓜の花 木偶の坊にも春の彩り
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悲哀とは 幸福たちの 存在を  証明し得る 唯一のもの
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死ななくていいんだよって理解わからせて機械になりきってきた身体に
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クシナダは 春の陽を浴び プラチナの 光りを放つ つるぎ のような
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春祝ふ君に分かちしヒレカツの熱伝はりて頬も桃色
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今はまだ他の楽しび知らねども 新芽のやうに伸ぶるてのひら
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幸運を祈っているよ自らの春を目指して飛立つツグミ
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今までに捨てたレシートを集めて 何度折ったら月に届くか?
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野花詠み妻偲ぶひと我に沁む はじめて知った「狐の剃刀」/キツネのカミソリ 
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春浅き君住む街にほおき星 欠片を追ひて永遠の歌詠まむ
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菜の花の 苦味が鼻を ぬけてゆく 熱燗にして 「立山二合」
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いつまでもプレスコードと闘った被爆作家はひまわりだった
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情報をすぐに共有する仲になって半年またラブレター
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貧困と暴力とあゝファベーラのただなか早く春よ来てくれ
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無駄足を何度も踏んだ野心家はしつこく古希の初恋をまた
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バラ色の未来買うほど暇はなく「広島おんなエレジー」ずっと
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