海月うみつきと書いて海月くらげと読むような月ぼんやりと春の霞に
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詰め込んだ家事の合間のパック寿司慣らし保育という非日常
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パン、トマト、チーズ並べて新しい4月の朝は異国の如く
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子の歩む速度で木々のを行けば卯月の枝にはや蝉の殻
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文學の空座を英‐翻訳の辞、売文とは善き惡徳の華
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抱きしめて蹴っ飛ばしては抱きしめるそれが私の初春の毛布
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送信を取り消すボタン見つからないあの日の焦りもう懐かしい
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気の早い初夏の風吹く通学路夏服のよなミズキの白よ
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たおやかな夜風よ運べまごころのグッドナイトGood Nightを君へと運べ
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いつだって駆け出して行くわが子かな カメラロールは背中ばかりで
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指切った一人ほどいた段ボール傷跡付けた針の代わりに
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ここよりも遠いところに行きたくて揺られる波に爪先入れた
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バナナにも背中とお腹があるのだと吾子に教わる春の朝食
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春雨に濡れ滴って青合羽我も一つの小川となりて
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春嵐に吹かれ散りゆくつつじ花五月の雨は生命いのちの香り
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新じゃがと新人参と新玉と実は特別母の日カレー💐
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束の間に通り過ぎ行くだけだけど五月の庭の薔薇は美し
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髪なびく車掌の流るる横顔をページめくれぬ車窓から追ふ
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詠草で伝わらないと言われるがわかってくれとも思わないから
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おままごとプラスチックのレモン121時の洗面台に
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すれちがう バスの運転手さんたちの 挨拶 見たくて いつもこの席
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ブロック塀 かたむくほどの 奔放さ 空き家の藤の 紫さえて
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「腹立つわ あなたは何にも知らないくせに」三日もすれば忘れられるか
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神様もストレス溜まれば過呼吸になるかならぬか今は聞けねど
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離れても君の幸せ願ってる これがホントの究極の愛
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少しでも遠い貴方に近づきたくて 方程式と戦っているの
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見上げると夜空の月が微笑ほほえんで 今頃君も笑っているね
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登りきれば そこが楽園 かといえば わからぬままに 必死に登る
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初夏日和 家へ歩く手に ちんすこう 「沖縄フェア」の ポップにつられ
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わたくしの切な事情をものとせず雨が降り出す朝七時半
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