「忘れた」と言えぬばかりに声を張る祖父の孤独をまともに見れず
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眠れない眠れないから何かして上手く行かずに追加の眠剤
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早朝の三時にやっと眠くなるホットワインの催眠術師
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晴れ空に老若男女集う日の美よ美のままであれ航空祭
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うやむやに されて 忘れたふりをして 筋トレしながら にぎる一票
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「大丈夫」「全然平気」「待てるから」深夜の駅前雪だるま一つ
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「普通」という名のバスをまた見送りて 私は私の歩幅で帰る
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教室の隅に透明な僕がいて ポケットの中、拳は熱い
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マイク持ち叫び続ける候補者がただ何となく小さく見えて
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「怠惰」という病のツケが三年の時を経ていまボディブロー
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日向夏ジャムは甘くほろ苦く 遥か昔の切なさを ふと
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朝一番 全国ニュースに故郷の名 暴風雪の町を案ず
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サーモンの旨みと シャリの酸っぱみと 醤油の香り 好きな寿司ネタ
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想像す雪のない地はどんなにか白一色にただただ絶望
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新しい モノがはじまり 少し前 新しかった モノが消えゆく
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レコードの音がだんだんデカくなる聞きたくないこと多すぎるから
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春忘れ芽吹きを忘れしおれゆく市井の一票どこかに消えた
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笑わずに教えておくれチケットを買うところから離陸するまで
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他意の無い「励ましたい」がそんまんま伝わると良いな今度会ったら
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今は無き 故郷こきょうの古き喫茶店 記憶を灯す 茶色のランプ
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こんなにもみんなで帰る道のりが愛しいことを最後に知った
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人の世と 猫の世つなぐ 縁側で 冬用毛布をたたんで くしゃみ
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並び立つ者などいない君ひとり誰もが誇れ己が命を
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吾妻山 種蒔きうさぎ 顔出して 身を乗り出して 急ぐ春なり
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奥歯欠け 型取りまでに 二週待ち 接着までに もう二週とは
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思ひ出と共に 今も手元に残る あるじなき 祖父母の家の鍵
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夜に発つ白鳥姿は見えなくとも子犬のような派手な声量
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コンビニで冷やし中華を見かけたよ 今年もきっとたくましい夏
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せわしない令和の音に逆行す余白の多い音符の心地/ラジオから
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かすむ名を召しあげとかす今日の青 胸をつらぬく三月のそら
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