こぼれくる言葉をひろい集めたい君の言葉に触れたい夜だ
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抱きしめた夢をこぼして五十路なる甘き桃の香包まれ眠る
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体操のカードにポンと押すように、大人もほしいよ「よくできました」
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忙しない駅で何かを忘れたような まさぐるポケット 切符の角先
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雨降って喜んだろか青稲は わたしは少し憂鬱だけど
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嵐にも 距離にも負けず 君が来た そのことだけで 何もいらない
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穏やかに 笑い合える日 君もまた 忘れぬ記憶 口に出さねど
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喪失の 胸の痛みは 消えねども 想いの深さ 吾に教える
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月面を駆け抜ける雲を惑星が成長痛に光浴びせる
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おとなへる人の語らひ蝉しぐれ 盆の軒端のきはにかげはあらねど
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夏空も そこはかとなく 秋空に うつろい行くは 秋匂うかな
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夏好きの我も凹んだこの暑さ 冬が来ればこれまた恋し
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世界中で 戦争紛争が 収まらず 人間のエゴと 欲が渦まく
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空高く遠いものほど鮮やかで眼鏡外して消せぬ過去見る
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猛と暑が掛け合う日々を生きており大袈裟な息、我にさせたり
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処暑かいな 言われてみれば朝晩の風はしょうしょう涼しくはあり
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花までも星に匂えり我に降る震えて眺む天の川かな
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ぎゅうぎゅうの引き出し開けて哀しみを捨てよ無言の声が聴こえる
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咲く花火横から見るか下からか夏は気にせず過ぎ去りますよ
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目の前を日焼けした子が駆けてゆく慌てなくても夏はあるわよ
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おっちゃんの こってりラーメン大盛りに ニンニクマシマシ 失恋の味
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いま僕に また明日と言う太陽は 別の誰かに おはようと言う
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サンゴジュの実の色付きし散歩道雀の遊ぶ涼風の朝
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真夜中に舐められるためのドロドロだったの苺ジャムの正体
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人力車 発明したの日本ですと知った時の納得感よ
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愚痴一つこぼす夕暮れ茜空ひぐらしの声みちてくるなり
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金髪が風にたゆたう今ぼくは秋のはじめの一つと数ふ
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冴えた月見つつ風ごと吸い取りて心に浮かぶ月を眺むる
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床に落つ白髪一本つまみ上げ抱きしめましょう我の人生
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月光夜どうしようもなく秋の風あしたは桃を買ってきましょう
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