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すす汚れ
濯
(
すす
)
ぐ
涙が 渇れている。 泣きつくしたよな 記憶もなしに
16
遠くから フジという名の 友が来て 山坂越えて 駐車場まで
9
やけくそか アリ避けの粉も 何のその 働きアリや そんなのアリか
15
利き腕にかたぶく重心コロナゆゑ千鳥足にて揺るる視界は
5
あのオバチャン只者じゃないレジ打ちがメチャクチャ速いスーパーウーマン
9
菅原や伏見の里に月冴えて
生駒
(
いこま
)
の
岳
(
たけ
)
を渡る
雁
(
かりがね
)
7
二人して 十勝岳ゆく 登山道 記念の写真 のみ撮り 下山
17
山の巣に帰る鴉の声絶えて野寺の松に月出でにけり
6
振り捨てし世の恋しくぞなりまさる伏見の里の鈴虫の声
4
稲妻の閃光 雷神の怒号で ビビビとゆれて 静かな夜に
20
戦争に秋深まりぬ咲き及ぶ石蕗の先しがみ付く蟷螂
5
きときとの バスは満員 坂道を 右にひだりに ゆれて頂上
/
除幕式
12
姑を入所させたとまだ言えず窓に額をつけて月みる
22
淡桃のみぞれはすでに脳にあり八度八分の唇は待つ
14
ここに今 わたしがいると知っている わたしのために
篝火
(
かがりび
)
を焚く
36
幼子が小声で歌う鼻歌を 聞いて
瞬
(
またた
)
く冬の星々
36
物置きの奥の奥にはスノボーがもう戻れない冬の香りす
15
晩熟を滴る麦と稲が穂のふたつわかれになりにけるかな
6
戦争にゆかさるるわれらの平和 「今そこにある危機」を忘れて
5
ぜんそくのこどもの病室あかりがみえる 明けないよるをなみだぬぐいて
15
めいわくをかけてもいいという人に 肩ちからぬけ安堵のためいき
12
口ずさむ孫のミサ曲やさしくて 生きる深きを海面にえがく
15
リハビリのジムにときめく冒険は コードがともの宇宙遊泳
11
サンタにも病魔とりつきリハビリ中 さちとどけたい杖つきつつも
8
ふらふらにリズム追いかけリハビリで こころとからだおどるエアロビ
13
蟻ひとつころさぬひとのやさしさは 競う世のなか踏みつぶされて
19
朝まだきあかりの家のあちこちに 通院の闇ほのかに照らす
10
更年期という手袋をはめつつ冷え性という靴下も履く
20
断乳に張り裂けるほど泣く吾子を 抱きしめる夜 卯の
小晦日
(
こつごもり
)
41
正月に夫の顔をまじまじと見て気づくなり永井荷風似
17
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