かげひとつ大きくのびておばけみたいだから夜だけ散歩しようよ
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本を読むその度思い出すだろうその重みと共に私のことを
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別れ際 刺客を送り込んでおいた あの人に渡した「塩狩峠」
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田の畦に赤いラインはまっすぐ伸びて今年の彼岸花はなはまことに見事
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ジャングルのような葉っぱが一斉に揺れて「おはよう」窓開けた時
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噴き出して止まらぬ炭酸水のよう こいした時は言葉あふれて
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胡瓜の香浅漬けも好き古漬けも 味染みるまで歌も寝かせん / 推敲は大事ですよね(自戒)
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今日もまた豆をコリコリミルを挽く芳醇な香り朝の始まり
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不条理を生き抜く先に浄土あり怖れ抱かぬ心広がる
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湖に眠る木もかつて名前があって今は子供たちの家になっている
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残りしが吾で良かったと思う夜庭の虫の音しみじみと聞く
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見てしまう今より遠くに投げる未来 流れる川はいつもここに
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若き日の憧れ希望悔しさといっぱい詰まりし「栄養と料理」
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理解してないのにみんなと一緒に笑ってたのが即座にバレた
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この場所は満ちすぎている 切り傷をよけられぬ程のヒカリの結界
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はぎれ布糸くぐらせて膨れだす 手紙が来るってあり得ない妄想
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受験とは 模試に追われる シャトルラン 疲れて休む ことなど出来ぬ
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十六夜の明き月の傍らを星粒の如飛行機の行く
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痛くない傷に限って誰からも見つかりやすい場所についてる
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夕闇に 沈む街並み 休日の 仕事終えた身 ホッと包みし
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あきつ風 雲の通ひ路こころあらば ふみ吹き寄せて人に届けよ
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朗読会 奇跡を集め 音楽と 宮沢賢治に 酔いしれる秋
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秋雨は 涙色して 降るようで 忍耐強く 静かに落ちる
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溶け残る角砂糖こそ甘かりし夜更けてそこに灯る思い出
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「こっちです」と俺がボールを拾ってあげる前提で声かけられ
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向かいあう塗りの剥がれた狛犬もちょっとうれしげ金ピカの秋
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行く道は次第次第にくらくなり浮かんで消える面影増えて
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患いて 焔の玉を腑の中に 抱えし痛み 君取り除け
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泣きたくて 入ったトイレ 汚すぎて 夢かと思った 現実だった
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ただ黙し 憧れて生きむ 胸の闇に 閃光の花火 轟きて開く
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