毎朝の 純白の心を 引き連れて 都会の空気に 汚しに行こう
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金髪が風にたゆたう今ぼくは秋のはじめの一つと数ふ
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冴えた月見つつ風ごと吸い取りて心に浮かぶ月を眺むる
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惜しむよに水色の雨落ちてきて僕らの肩にピリオドをうつ
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遠き日は船で行き来の島なれど橋のかかりてスイスイと行く
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小鳥のさえずり目覚めて今日も1日元気に頑張ろう!
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行くことは叶わぬけれど山車だしが出る長月二日今夜宵宮
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葛の葉が石垣おおう坂道にけたたまし声ツクツクボウシ
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ゆく夏のゆうべに浮かぶ茜雲 夏ってなんだか幻みたい
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何となく太くなりしかコガネグモ庭に居続けひと月が過ぐ
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大合唱 玄関開ければコオロギが 秋も近しか猛暑日の夜
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君の頬真夜中想い手を伸ばす一瞬月に触れた気がして
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孫たちの祭りの土産ういろうを みたまに供えお下がりを食む
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見えるけど無いかもしれない星を見て君と語った秋が目の前
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切実な祈り明日が来ないでと 青色光に慰め求め
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義父植へし老木なりたるイチジクの小さき実集めジャムにする朝
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チチチチチ 朝一番の台所 何処にいるのか ここにも秋が
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十六夜に 悲しみのパス蹴り出せば ゴールキーパー彼方より来る
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濃い顔の上司に頷く塩顔のイケメン話を前のめりに聞く
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朝イチの美しき声はキミだった! ひょいと現る小さなコオロギ
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人間は考えるあしの意味知らず 調べつ歩く葦の水辺を
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今一度名月見たし黎明に雨戸開ければ雲に虫の音
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満面の笑顔でミスドのドーナッツ たまにはいいネ ママひとりじめ
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懐かしい匂いと声に乱されて 危うく君を引き止めかけた
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不安げな爺を残して孫二十歳はたちうさぎのバッグ飛び跳ねて行く
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安眠を襲う夜中のイカズチに目蓋の重き笑顔がゆがむ
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歩きたし白川郷の秋の道 右膝小僧の注射針見つ思ふ
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日々を詠む うたの しずくの 集まりて  渇く心に 慈雨のじんわり
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新米を食らふ悦び奪はれし古米をあさる瑞穂の国よ
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潮風に 季節外れなクリスマスソング流して忘れたふりを
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