Utakataうたかたに 支えられての 百一首 これからもまた 続けたらんと
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窓の外 近く野生の 雄鹿あり 木の隙間から ツノ堂々と
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みずうみの あちらこちらに 九輪草クリンソウ 花言葉に似ず 毒があるらし
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ねえ遊ぼねえ遊ぼうよとせがむ君手を引く強さの心地よきかな
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愛くるし歩くすずめの二本足夏草揺らし木の根の上へ
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雨が降り 晴れの日よりも嬉しそう そんな紫陽花 元気をくれる
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湖の 草花見つつ ゆっくりと 膝かばう新しいカメラおもちゃ持つきみ
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ホトトギス 昔からある 聞きなしを 何度も唱え 旅暮れなずむ
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初夏にまだ聴こえる不器用なホケキョウに我が身重ねてハイタッチしたい
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西の果てゆけば天竺あるごとく東に在るとは聞けり、日高屋
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火遊びのつもりの深爪気をつけて こいに落ちたらはじまりだから
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十六年キミと続けたごみ拾い キミのおかげよ もう立てぬ老犬キミ
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解像度落としたようないわし雲 平成恋し夏の夕暮れ
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真夜中に歌って騒ぐホトトギスごめん四割風流と思えぬ
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ふと見れば淡紫のヒバの花初めて知ってまじまじと見る
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南天のつぶらな花に蜂が来る ブーンブンブン何匹も群れ
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四粒の金平糖のそれぞれの愚痴を聞くうち飛べなくなって
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なにもしない日の夜になって悩み出す なにかはできたはずだということ
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近く見て遠くを見てから近く見て 満足したから左右を見てない
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還暦の君に逢ったら問いたくて 知りたい人生質問60
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梅雨ごろは憎くはあらず世をへだつ御簾のうちなる静けさにおり
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アオダモに掛けた巣箱に耳すませ漏れ来る音に生命知るらむ
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畑仕事梅干しづくり味噌づくり君逝きてよりせぬこと増えて
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夕飯時路地をふわふわ横切るは幸せはこぶ煮魚の群れ
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なんだってほしいほしいと言うことのあいはどうして羽根なんだろう
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何かを忘れたようなまま 何もかもが終わっていた日曜日
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雨が止む一瞬狙い駆け出した だるまさんが転んだみたいに
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茎細くたった一輪色づいた紫陽花風にしなやかに揺れ
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草壁へ倒れし幼時時計支ふアトラスの諸肩 赦免非ず
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あ を見てもたぶん笑っているひとだ愛することを知らないひとだ
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