渋柿しぶがきに 焼酎しょうちゅうかけて 二週間 甘柿あまがきよりも かがや身不知みしらず 
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冗談のように言った好きは今 微妙な色を持って沈んでく
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宝くじ クイックワンは やると負け 何度も買って 何度も負けた
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動けないまでではないが動きたくない予定がよぎる微熱の日
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白鷺は細きあしして草を分けひょろ首伸ばし川面覗きぬ
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湯の川を揃ってゆったり魚たち群がるところが湯の湧くところ
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気付いたら視線は自然と斜め前 あなたを見ぬようドリルに耽る
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誕生日も血液型も知らない 占える手段は名前だけ
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天気予報に嘘つかれ 夏の名残を薄手のセーターで迎える
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ひたすらに眠ることと食べること 愛しさ増して 我が家の老犬 \ もうすぐ17歳
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秋麗あきうららうららうらら🎵で心はずみ子らを待つ吾に亡父母おや重なりぬ
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迷い猫 網戸越あみどごしから のぞいてる  愛嬌あいきょうに負け 煮干にぼしを渡す
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街灯の 一つも照らぬ 田圃道たんぼみち  あおいだ先に 天象儀てんしょうぎ
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久々に犬も食わないナンとやら 秋刀魚の塩焼き二人で黙食
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クレープが焼けぬようにと願うのは まだ二人帰りたくないから
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気にするな って言わない人のやさしさに  育ててもらった 歌詠む 気持ち
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咳をして 皿を洗って片付けて お風呂をためて 泣いても 一人
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歯の中に 私の抜けた 歯があって カラカラいって 少し寂しい。
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ひとひらの落ちた銀杏が集まって アスファルトに黄色のおめかし
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近頃の 秋は玉響たまゆら なればこそ  鱗雲うろこぐもさえ はかなく見える
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炒飯チャーハンは 細く刻んだ かまぼこの  薄紅色うすべにいろが 味を左右さゆう
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手のひらの ちっちゃなホクロ 手をピンと 伸ばさなければ すぐに埋もれて
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幼日をさなびはたにあと追い赤とんぼ抱きとめし亡父ちち遠きにありて
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秋の陽に背を押されおりはた立てば晴耕雨読の亡父ちち訪れ
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手土産の かんころ餅が 呼び起こす  この懐かしさ いまわからず
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ご時世に翻弄されし亡母はは 人生みち なにをおもいて語らずし逝った
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この想い 姿を見ぬと 伝えたい  姿を見ると 伝えられない
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誰とでも仲良くなれる君のがさみしがってる理由わけを教えて
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嵐吹く 私の中の海もまた 光のどけき 日を 願いつつ
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生え癖を なんとかしろと 罵られ DNから やり直せってか / 親子
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