日々を詠む うたの しずくの 集まりて  渇く心に 慈雨のじんわり
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同クラは出ない 水泳決勝戦 大歓声に プールが割れる
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十五の夜 隣で眠る横顔の奥に 私と同級の母
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朽つ蝉に蟻ぞ集ける庭の隅 今朝は木の芽の生ひくるを見つ
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傷ついて 終わる恋愛 それでも良い。 何でも良いから 恋がしたいのだ
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人生は ただ果てのない 旅路だと 笑う君の眼 映らない僕
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夢にみし母は吾の手離さじと 握るちからぞ胸貫ける
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「女だし 告白なんて しないわよ」 あぐらかいてちゃ 先を越される
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元チャンプ輪島の店の団子食む 親友ともの幸せそうな笑顔よ
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デパ地下でサダハル・アオキのマカロンを横目に見ながらもち吉に行く
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秋の暮 夏より長く伸びた影が 自己反省を 促してくる
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子の日々を ここまで共に 見守りし 御礼参りに 節目を感ず
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「女はね、口紅ひとつで 誰だって 可愛くなれるの。」 亡き祖母の言ふ
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邦ちゃんの葬りの列をあとにしてコスモス園で涙を捨てる
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君が好き コーヒーじゃなく カフェラテを 持って「見るな」と 拗ねるとことか
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晴れてても天気急変の可能性 白スニーカー履くに履けない
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銀杏が足もと悪くしてますが 秋なんですかまだ夏ですか/35度!
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連日の 豪雨被害の 街並みに きっと訪れる 希望の夜明け
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珈琲も空も薄めのブレンドで たしかに匂う風の秋色
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河川敷をピンクに染めるコスモスの故郷思う東京の秋
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死ぬまでにやりたいことのリストから「青い紅茶を飲む」を選んだ
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三色ペン ふと見りゃ赤が 減り早く ノートを見ると 間違いばかり
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夕暮れをひとりじめする 明日には消えゆくものがあると知ってる
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ブランニュー廻る物語ナラティブ並びゆく 指呼や無限やシュレーディンガーに似て
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ジャンポール・エヴァン、ピエール・エルメより、君からリンツを一粒欲しい
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赤シートに 慣れた眼、視界は アイスブルー 社会は冷酷 受験は孤独
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恵まれない子どもにご寄付を願います。10円玉で神になれます。
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夜ふかしに小腹がすいて冷蔵庫漁り出てくる名残のアイス
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かのひとを想ふよすがの曼殊沙華 時の埋火うずみひ 葬頭河そうずか
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夕方に 散歩に出られる嬉しさよ 秋の空気を肌に感じて
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