わたしヒトラー。わたしロベスピエール。もしもし。ユダヤ人を――
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揺さぶられ倒れし墓を撫でる人 ニュースに映る被災地の盆
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神神に主神のあらば 靑藍の仔を降しまづ人間を亡ぼす
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戰乱の臭ふ 澁谷交差点群衆も靴鳴らしかへらず
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呪はるる國民たるを耐へず戰争の責任転嫁さる 死者へ
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下駄の音と徹夜躍りの夜は明けし 風の盆待ち夏は過ぎ往く
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紫陽花が庭から庭にはみ出して隣家寂しき廃墟となりぬ
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生い茂るぶどう棚下首かしげ乙女ぶりたる我を恥じ入る
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笑い皺深くなるほど愛したい秋の光で鏡眺めつ
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生きてきた経験値などどれほどか 時代の流れ後ろなど見ず
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窓際で外に向かって最敬礼 思わず笑みがこぼれた 豆苗とうみょう
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一歳が初めて言った「パッパッパー」アンパンマン お熱の今日もしゃべり続ける
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「あたらしい宴のお告げ」夏だから昼の陽射しに琥珀ビール輝き
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持ち歩く手の平サイズのメモ帳に短歌うた読めそうな空の高き日
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生まれるも死ぬるもひとり人は言うならばひとりの練習せねば
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ゆりかごの歌を一緒に口ずさむ 親子互いの歌声聴いて
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曇天の雲の割れ目の青空よ 明日は秋日か草の穂遊ぶ
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旅先で土地の香りが嗅ぎたくて深く吸ったらふるさとの香が
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庭の木にヒヨドリ止まりて部屋覗く テレビのニュース気になる如く
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夜のびて 雨雲 空を隠すとも 月日はいつも この世 照らして
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疱疹ほうしんは赤くふくれて我に告ぐ「このお身体からだはお疲れですよ」
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マイノリティ願う望みはもしかして多数の人も求めてること
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ヤクルトが飲みたいという父のため夜中に走った国道一号
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うたごころはや死にしかば現實の實ももたざるはなごろもかな
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どんぐりを蹴ればカラカラ転がって笑って歩く小道は秋へ
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この羽は あの時鳴いた ひぐらしか? 送り火ともし 向った山寺 /8/16投稿の追詩ついか 三部作(完)
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木の香り 雨が降る日は 更に良し 悲しい事も 全てを浄化
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一瞬で 四十年を 巻き戻す 同窓会は 五層の窓に
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禁慾の庭園ならで忌憚の百花白百合の髄蘂ゆこぼるる音せし
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空中斜塔泛ぶ散水機の鎌頸もたげつる霞の花圏より七牆
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