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入口の 小さな白い 喫茶店 バナナジュースは 初恋の味
22
波多き 人生なれど 刻まれし 愛と記憶は
彩
(
いろどり
)
となる
15
仰向けでいびきかいてるミャースケにもはや野生のかけらすらなく
14
雨後の駅 見ゆ細き月 改札へ向かふ人らの背を 見守りて
27
曇天のたまに雨舞う一日は
唯々
(
ただただ
)
明日の晴れを待ちおり
28
くちもとに かかる火の粉を はらわいで 熱さのあじと 匂い眺めん
15
あのひとの 子を可愛がり 恨めしく 思うわが身の はしたなきかな
17
くるくると回る落葉で気付くんだ風ってこんな姿なんだね
26
同僚
(
とも
)
からの 旅の土産に 温もりぬ 忙しくとも 足痛くとも
24
かぶとむしゼリーの澄んだ赤色に光を透かせば夏が聞こえる
16
一日の歩数目標少し上げ 落ち葉散り敷く道 揚々と
29
君が前 好きだと言ったスノードームは、雪が皮肉に降り積もったまま
15
朝四時に使命を背負ってひた走り僕を追い越すはたらくくるま
14
タクシーが角まがるまで両手ふる妻と吾なり
娘
(
こ
)
の無事ねがひ
18
部屋の戸を今朝も眺めてはや二時間 地獄への道ひらきたくない
8
けふはまた自己肯定の淡き夜
S
N
S
に
互酬
(
いいね
)
を探す
17
デイケアでおしゃべりはずむ女性陣寡黙な小数男性陣よ
24
新品のマフラー整え 無意識に 君の温もり探してしまう
19
もし恋がおわるとしたら ぱちん そんな音がなるのかな
10
寮跡の敷地にも 木枯しの吹く 枯れ草の中 咲きをる野菊
31
野薔薇
(
のいばら
)
は寒さに耐えて茎も実も赤くなりけり 空を見上げて
28
残業の後に限って見たことない光り方してるラブホテル
7
換気扇 煙と香り 無造作に 吸いて吐き出す 今の我が身か
15
いっこやで ピノを一粒 届け来て のど飴拐い 等価交換
18
響きだけ大人な気分に酔いしれる 甘酒の味と君の温もり
11
暗闇のオフィスに光るパソコンでご褒美ポチって今日を終えるの
13
グラコロはコロコロコロっと転がって、冬が来たぞと知らせてくれる。
9
誰しもが 古傷痛む 夜もある 朝は来るから 今はおやすみ
27
『私はね健康診断だと思う』認知症だと告げられる前は
21
「早いね」と話しかけると「早いね」と答える人のいる温かさ
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