朝焼けに 赤く染まった 紅葉もみじの葉 朝露に濡れ 彩り放つ
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闇の中毛布にくるまり氷雨の 秋桜ぶじや生命あらなむ
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透き通る ような季節の 道すがら 路傍賑わす 野菊の盛り
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幼子に還りし父がつまをよぶ 六十年の我知らぬ時
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スカートが冷えて氷塊 歩を進め 膝も心も砕けぬように
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唯一の人類だった5分だけ 森に埋もれた無人駅にて
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陽が差して ひなたぼっこの ねこほこほこ ゆかでひやすよ おみずものむよ
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二日めのおでんのやうにしみてくるやさしく気づかふあなたのことば
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うたかたに日々の鬱憤吐き出して 軽くなれるよ救われてるよ
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誰しもが架空の猫を撫でている 心の中の大切な猫
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チェット吹くペットの音を聴きながらまだ生きている事実を思う
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「とりあえずビール」だなんて言われたら気を悪くするビールもあろう
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そこここに優しい秋が顔を出す 七分丈シャツ空色カーデ
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ぬいぐるみ みたいな お前ん家の 犬が 何もしてない 俺に吠えてる
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踏み切りを渡ったところの本屋さん買ってもらった最初の絵本
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リツイートかせぐ遊びと化しているX歌壇に吾はくみせじ
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伝えたい…グッとこらえて言葉飲む 何歳いくつになっても恋は苦しい
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私にはあなただけだった生活を照らす火だったひとりで眠る
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秋の田の杭かけ干しの刈り穂らは雨に打たれて蓑被るごと
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割引の期限が切れた菓子パンはわたしと同じだから好きだよ
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弱いから過剰なまでに傷つける 殺虫剤で床濡らすくせ
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夏の背にしがみつきつつ体感は冬の初めが染み入っており
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モネのいて 睡蓮もパリもひかりあり ひかりのみちに ひかりいており/角川武蔵野ミュージアムにて
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真夜中のフラッシュバックの鮮烈が 賑やかに 逝く道 照らしおり
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道端で背中のばしてひと休み ひとすじの風頬を冷やしぬ
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スマホ持ちパソコン打って利便さを追えば不便の荒波かぶり
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一枚のハンカチだけじゃ寂しさを吸収しきることは無理です
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秋空の呟く風にコスモスが応えて謡う愛の囁き
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「どうしてる?」「元気してるよ。霞とか天ぷらにして塩で食べてる」
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午後三時 朝のご褒美 ほしたての羽毛布団をぽみぽみとする
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