おびただしい 数のセミ鳴く 森の中 狂おしいほど 救い求めて
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防犯の カメラに映る もののけは エゾリスの腹 手足ひろげて
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気がつけば靴も鞄もTシャツも電車柄だね二歳のわが子
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六時半 希望の朝が 流れきて 青空にのぶ 子らの手のひら
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なすりつけ あって別れた あの人が 大事なカバン 届けてくれた
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「かぐや姫」検索したらこうせつと伊勢とパンダが笑っていたわ
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どことなく 憂いをおびた 秋空に 例大祭の 花火は上がる
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遠回りしたけど夢に辿り着く 丸い石ころ 波のゆく先
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原点の本懐かしく開いたら指這いのぼる馴染みの赤虫
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「次こそは次こそ君に勝つために」目逸らす恐れ無限の「次」を
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旅終えて ただいま言わずに抱きしめる 忘れちゃったよ 僕の充電器
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「おかえり」と線香、おやつをあげた途端 猫毛が一本 リビングに舞う
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このまま眠って化石になって燃えて誰かを温めたいね
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雷鳴 刹那のワイパー潜り抜け 目が合い落ちる 雨粒ふたつ
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今ならば 溺れ死んでも構わない 君を縁取るシーツの波間
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どうしたら 浄土へ着くか 今年あと 三月みつきと半分 ストーブける
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扇風機 プロペラ軋ませ 揺り動き 幼い風で涙干す
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眠っておくれよ 僕のそばで 羊雲を枕にするくらいなら
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賢治忌がすぎて星負うあらし雲 ゆうべに紅く灼け露落とす
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運命 この暗がりに居てたまるか 揺れるスマホの光を消して
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夜のびて 雨雲 空を隠すとも 月日はいつも この世 照らして
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とぐろ巻く 気持ちがとびだしそうになり 父と離れる時間を買った
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揺れる月 糸を垂らして君想う 巻き取るリールの先に居たら
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こんな果ての 夜でもビールを通して見る世界は 輝いてる
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わかるわかるわかるわかる連続で四回言うと嘘くさくなる
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知ってるよ わたしはわたし 波の音に 削れて溶けて 海になっても
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いびきまで食べたいくらい君が好き。寝てない君には言わないけれど。
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土の中 空夢見ては なけずいる ヒトヨノユメに 空知らぬ雨
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大好きな人たちは国民的アイドルになったんだなと涙を流したライブ帰り
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もし蛇が輪廻をすべて呑み込めば不生不滅のむこうできみと
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