幼き日 父を恐れて 怯えつつ この歳になり 人を恐れる
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夏服の裾を絡げて走り去る、もう戻れない季節の君よ
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昨日から続く明日が今日ならば、私は私をいつやめようか
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マジパンとクリームの味がしてそうなサンタ服着た君のデコルテ
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たっぷりのウールの壁におおわれた首のうぶ毛をさわさわなぞる
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進歩なく終わる二月もあっていいよね、と笑って鯛焼きを食む
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ひとりでも油淋鶏は美味しいし、ひとりにだって春はやさしい
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メレンゲを食べるなどしてふわふわの君の寝癖を思い出す朝
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理想とは 人を気高く 築きあげ 神の種族と 呼ばれる理由
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好きでした。君が歌ったあの曲も。あの曲を歌うあの日の君も。
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自転車が走り去るより高速で褪せろよ君と、君の思い出
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カラオケの安っぽい恋愛ムービーに似てきた僕らを過去が笑った
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嘘だった言葉を投げかけ止まる足 首から下だけ見つめている
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ふるふると潤んだ君のくちびるを思い出してる。水ようかんに
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レモンサワーよりも酸っぱいことをしよう それでも僕は君が好きです
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父だった人から届く売り言葉 買わずにおいてよかった日よ来い
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人類で 薄めてあおる なさけなさ 主語自分 では 濃くて飲めない
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冷めたら汚物のように捨てるだろ。マンホールの奥暗がりまで。
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地獄だと自覚があるだけ褒めてよ。生きてるだけで大惨事でしょ。
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じゃんけんが好きな君のその指と私の小指は繋がりますか。
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低血糖よ。そう言って君の首に噛み付いて震えてるからさ。
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文学の過剰摂取は眠剤を飲んだあの夜と一緒だから。
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ピンクより黄色が似合う君だから、別れの花はタンポポとする
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陽だまりの特等席を定位置に老猫まどろむ耳を立てつつ
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諦めと ニヒリズムへの誘惑に  負けるな踊れ 心のヘヨカ
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校庭に 明るいきみどり色の筆   樹々を描いて 飛ぶ野良インコ
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常夜灯ともるリビング忍び足 夜食のカップラーメン泥棒
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カミソリに負けてばかりの人生だ このままいけばささくれで死ぬ
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曇天で乾かぬ服を愛そうよ どうせ蒸れて同じになるから
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復刻版古いSF映画見る 今の技術と変わらないじゃん
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