かろうじて身体収めるバス停に真っ直ぐ伸びる電柱の影や
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みまかりて三十余年経し夏に初めて訪いぬ亡父ちちのふるさと
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亡き父の生れし小島や瀬戸の海茜に染めて日は沈みいく
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はぐれかけの 私も取り込み 囲まれる 体育祭は 永遠とわの思い出
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繊細な心のひだを持ちながら長く咲かせる百日紅であれ/息子の誕生日に
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「真面目だから」 と面倒事を 頼まれる 頑張るやつが 損する世界
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今日を終え 空っぽになった 教室に 喧騒ぬぐう 秋風が吹く
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惚れそうに なるのを止める 臆病で 失恋すらも 出来ぬ身だから
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つぼみのまま 枯れるの恐れ 種すらも 撒かない。花は 実りなどしない
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すすきの穂似合ひし風は秋の風共に待ちをり虫とて吾とて
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心待ち 調整してた 日に限り 熱出すわが子 これぞ子育て
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火を灯しふぅーと吹き消すそのあいだ ケーキの上にめぐる走馬灯
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六十の壁越へ断捨離終われども吹く風任せの余生は望まじ
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久々に元同僚のLINEあり 踊りだす文字うれしい知らせ
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太ももに 湿気がまとい 敷布団と 擦れる不快感 雨の日の夜
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春先に 実桜募みざくらつのる かかるかせ 友の首輪で お手のおかわり
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君の頬真夜中想い手を伸ばす一瞬月に触れた気がして
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大雨に夫は一日骨休め アニメ見つつも畑を気にし
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病み上がり 外出て見上ぐ 青空は 酷く鮮やかで 眼がぎゅうんとした
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梨ひとつ贖いつまと食む夕餉 名前どおりの幸せの水
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惹かれ合う 何かをいつも 感じつつ 幾度別れを 繰り返すのか
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秋の日の 風が吹き抜け 夢のよう 再会の春 夏の煌めき
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通院の我を待ち居る虫の音の清けし音色に灯りを消しぬ
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雨あがる竿さおしなる程洗ひ物 活きる証が町にはためく
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幾たびか 走り去る我 見送った 君の心も 同じだったか
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「また次回」 君の口から こぼれ出た 細き糸でも 途切れぬように
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読書中「臘月」の字の見えなくて 二本の指で拡大……できず
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めしいても 応えが無くても、ろうしても、君は等しく愛しい肉塊からだ
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百均の一本百円ボールペン複数本よりオーラ出しをり
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炎天の芙蓉の白は招きをり見つめし花は日焼けの泣き顔
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