「女だし 告白なんて しないわよ」 あぐらかいてちゃ 先を越される
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デパ地下でサダハル・アオキのマカロンを横目に見ながらもち吉に行く
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秋の暮 夏より長く伸びた影が 自己反省を 促してくる
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子の日々を ここまで共に 見守りし 御礼参りに 節目を感ず
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「女はね、口紅ひとつで 誰だって 可愛くなれるの。」 亡き祖母の言ふ
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君が好き コーヒーじゃなく カフェラテを 持って「見るな」と 拗ねるとことか
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連日の 豪雨被害の 街並みに きっと訪れる 希望の夜明け
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珈琲も空も薄めのブレンドで たしかに匂う風の秋色
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河川敷をピンクに染めるコスモスの故郷思う東京の秋
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三色ペン ふと見りゃ赤が 減り早く ノートを見ると 間違いばかり
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夕暮れをひとりじめする 明日には消えゆくものがあると知ってる
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ブランニュー廻る物語ナラティブ並びゆく 指呼や無限やシュレーディンガーに似て
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ジャンポール・エヴァン、ピエール・エルメより、君からリンツを一粒欲しい
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赤シートに 慣れた眼、視界は アイスブルー 社会は冷酷 受験は孤独
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恵まれない子どもにご寄付を願います。10円玉で神になれます。
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夜ふかしに小腹がすいて冷蔵庫漁り出てくる名残のアイス
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かのひとを想ふよすがの曼殊沙華 時の埋火うずみひ 葬頭河そうずか
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夕方に 散歩に出られる嬉しさよ 秋の空気を肌に感じて
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一日の最後に押すの破棄ボタン 音楽作りが楽しくなくて
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見晴らしのいい青空で映写機になって未来へ視線を飛ばす
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足跡の遠く途絶えた思い出がもうほぼ虹になってさみしい
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何気なく振り向く君の無防備を記憶の森に額装したい
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日々眺む伊吹の山に登り来て途中で降参心残して
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揖斐川へ夏の終わりの「鮎料理」今日の気温は熱燗が合う
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良き父の 姿になりし 君の人生とき 喜び吾も 母の道ゆく
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一人でも茄子を焼きます 大根も生姜もおろして端に添えます
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春陽にタイマンするは父墓前少女となりし月命日かな
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思い出は哀しからずや二人紀行心詠みすること楽しけり
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野仕事の夢中になりし時がいい汗流れ落ち憂い浄化す
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寂しさをふところ深く包んでくれたあの日のあなた親鳥だった
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