今朝はまた妻が特別ご機嫌で 良い一日が待っているかな
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忘れたい事柄 ホワイトボードのマーカーの如 消し 前を向く
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病ゆえ四角き景色のみぞ見る人にススキが 知らせる爽籟そうらい (在宅療養)
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十七夜じゅうななや仰ぐベランダ 澄む空気 夜半よわ寒気かんきの戻る立冬
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その昔 子らに問われし E.T.やく しかと答えた 得体の知れない友達
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秋空に緑まぶしき柚子の葉や たわわなる実の黄も鮮やかに
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昔日せきじつの秋の 祖母との思ひ出を繋ぐ 鬼灯ほおずき 隣家の庭に
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悔いばかり蘇りきて寝付けずに夜の静寂に雨音を聞く
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厳密に選別されるジャガイモの気持ちがわかる人間ドック
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使用後に硬貨が戻るロッカーの百円のように無意味な夫婦喧嘩バトル
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ようやっと布団からぬるり頭出す 肌寒き朝にカタツムリとなる
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歩けばこそ見ゆるものあり秋の野に知らぬ花の実紅く熟して
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一つ石二つ体を寄せ合いて一つ衣の夫婦地蔵よ
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硝子越し写る景色が現実で 爪を立てても響かぬ身体
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公園のメリーゴーランド子供らを大人に変えて一人老いゆく
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串カツを 味噌鍋浸し はふはふと ほおばる友は 無邪気さ溢れ
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出逢えたと思う 海で街で本棚で 痛みだけが似てる貴方に
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鈍色の空に真っ赤な柿一つ少し痛んで魂の如
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誰だってまぶたの裏に隠し持つ今よりもっと高かった空
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帰宅して扉を閉めて鍵かけて 社会人Aの魔法が解けて
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「内緒だよ」教えてくれた公園で不意の初雪芝を覆った
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秋日和 風無き庭にメジロ二羽 残りし花の狭間たわむる
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けば モミの木、イルミ、 ジングルベル… まだ霜月よ? 気が早いって
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久々に会えば思っていたよりも少し痩せてる父のかんばせ
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二日間娘は音も沙汰もない好きなおかずをラインしたのに
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横になり描きかけの母じっと見る美人と写実迷うさじ加減
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日の暮れて窓辺に立てば街灯りさざめき揺れて空に金星
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懐かしさ 漂う喫茶 奥の席 コーヒーフロート 至福の一時
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煮詰まった 頭を覚ます 屋上で チョコを一口 甘さにほろ酔い
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華がない だからどうした漢なら 生き様死に様 背中で語れ
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