知天命 人生初の四十度 同居の蜘蛛にぼやく午後二時
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見えねども 秋津あきつゆららにかろやかに 風の季節のおとなひを告ぐ
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サヨナラの代わりに一筋光るのち、海の向こうへ夕陽が還る
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みまかりて三十余年経し夏に初めて訪いぬ亡父ちちのふるさと
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亡き父の生れし小島や瀬戸の海茜に染めて日は沈みいく
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遠き日は船で行き来の島なれど橋のかかりてスイスイと行く
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小鳥のさえずり目覚めて今日も1日元気に頑張ろう!
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すすきの穂似合ひし風は秋の風共に待ちをり虫とて吾とて
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心待ち 調整してた 日に限り 熱出すわが子 これぞ子育て
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六十の壁越へ断捨離終われども吹く風任せの余生は望まじ
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久々に元同僚のLINEあり 踊りだす文字うれしい知らせ
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春先に 実桜募みざくらつのる かかるかせ 友の首輪で お手のおかわり
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大雨に夫は一日骨休め アニメ見つつも畑を気にし
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梨ひとつ贖いつまと食む夕餉 名前どおりの幸せの水
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惹かれ合う 何かをいつも 感じつつ 幾度別れを 繰り返すのか
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秋の日の 風が吹き抜け 夢のよう 再会の春 夏の煌めき
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雨あがる竿さおしなる程洗ひ物 活きる証が町にはためく
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幾たびか 走り去る我 見送った 君の心も 同じだったか
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「また次回」 君の口から こぼれ出た 細き糸でも 途切れぬように
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読書中「臘月」の字の見えなくて 二本の指で拡大……できず
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めしいても 応えが無くても、ろうしても、君は等しく愛しい肉塊からだ
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百均の一本百円ボールペン複数本よりオーラ出しをり
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父の背につかまるわらべ風になるバイクが叫ぶ「オシリガイタイ」
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この汗もけだし息災なればこそ かわや磨きの長月の朝
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見えるけど無いかもしれない星を見て君と語った秋が目の前
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苦手だとずっと避けてたゴーヤでも 友とのランチで美味しく感じ
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追憶の君は 幼さ残ってる また同じ星を 数えられたら
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虫の音の静寂の朝に工場の鉄音てつね弾ける今日が始まる
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週の明け戦ふ人の動き出すせめて涼しき風のあらんと
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雨降りの通勤時間の渋滞に赤いためいきともりつらなる
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