Utakata
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おぼろげな輪郭たどる若き日の 消えなば我は我でもあらずや
11
ほんのりと赤に照れるや内気なる陽射し薄くも南天の映え
25
一瞬で 四十年を 巻き戻す 同窓会は 五層の窓に
20
宵越しのクリームシチューのブランチを独りで食べても何処か寒くて
11
卓上の 乾いたパンと 揺れる音 見たことない夢 紫雲の木漏れ日
6
受付の仮の机で待つ人の かみのつむじに年輪を見る
8
冬を告ぐ風と語らうすすき野に抱かれ
名
(
な
)
埋
(
うず
)
む白きいしぶみ
15
行き先が未だ分からぬ船を漕ぐ親も友らも乗せたまんまで
18
石蕗
(
つわぶき
(
)
)
の立ち居そよぎは人よりも高雅な言葉発してるよう
16
寒いからいつもより少し近くなる冬の夜道のタンデムシート
11
吹きすさぶ風強かれど 冬野菜 大地に根を張り じっと春待つ
16
ネットで得しパソコンの設定条件を順次ためして迂遠をゆかむ(医師脳)
5
お月さん、競争しやう。お日さんに見つかる前に床に就くのよ
11
静謐
(
せいひつ
)
の水面の小鴨潜り初む波紋のひろがる水輪の五輪
21
朝日浴び輝くばかり銀杏の葉 蜘蛛の糸にてゆれる一枚
18
外国人が多い通勤駅には今日も色んな言葉飛び交う
13
嬉しさと気恥ずかしさをないまぜに赤い着物で娘が笑う
16
知らないと 損だよなんて 思うより 知ってよかった ラッキーが良い
9
紅つけてくねくねおどる男みて 違和感おぼゆと言ったらNG
12
コンビニの中は暖房効き過ぎて歩くと汗が止まらぬ小雪
12
赤色の幟に白字で書かれたる大売出しはもう来ないのか/Black Friday
7
少年は 一番星の 輝きに ついぞ気付かず 家路を駆ける
13
じまんなる琺瑯ぶねに湯をはれば 指の先から骨に暖しむ
10
我が裸体かがみにうつして悦にいる 還暦過ぎとはたれも思はじ(言ってもた)
15
人のため作ったシチューを独りして
空
(
から
)
にするのも
空
(
むな
)
しいもの也
16
生業
(
なりわい
)
の
苦海
(
くかい
)
征
(
ゆ
)
く
吾
(
わ
)
が
舳先
(
へさき
)
なる
東
(
ひんがし
)
照らすアルデバランや
12
巨悪にも
怯
(
ひる
)
まなかった「報ステ」の「報道」部分のネオンは消えて
11
妻も娘も真夜中3時起こさないよう句を歌を詠むウォークマン
7
働き手不足シニアが頼みだと嘘だ雇ってくれないじゃない
6
全て待ち望んでいた日やっと来た初恋の古希美人再会
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