ひなたの猫抱きしめ深く吸い込めば沁み渡りくる宇宙のいのち
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モーレツを装うスーツ纏っても毛玉だらけのパジャマがイチバン
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先人の 運んだ 丸太と岩の道 踏みしめてゆく 三輪山登拝
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どの店で何を買おうと年越しが頭のすみに有る師走かな
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寒い寒いとお前らはやかましいしうるさいしでもぼくもそうおもう
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檜葉ひばの木の枝の中には遠い土地香りの中に私の中に
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丙午ひのえうま 年が明ければ 年女 避けられた年 それでも生まれ
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次々と 食べ物こぼす 子どもらに なす術もなく 茄子ひとかじり
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爪切りに小さな教会描かれて師走なればとしばし眺むる
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三十年住み慣れた家を後にする また新婚ね 小さなアパート
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甥からのフランス土産チョコレイト絵柄エッフェル包みし甘さ
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孤独死の 行場亡き膿引き込んで おまえの居場所 消してやるから
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牡蠣届き 生を喰えない奴、フライ? 酢牡蠣しかない 加熱用買え
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金色のイチョウはまだまだ落ちもせず辺りを明るく照らすかのよう
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薄暗き早朝散歩のお供にはヘッドライトとネックウォーマー
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まだわたし道を聞かるる人にあり冬海岸にほのと南風はえ 立つ
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七転び 八回起きて また転ぶ それでも立てば ナンクルナイサ
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病院の 花壇に咲くは 春色の 色とりどりの 冬の花たち
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アマリリスと見紛うほど大輪に咲きし花瓶の百合は微笑む
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さるすべり夏の名残りの赤々と街路に咲けり血の色をして
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年の瀬にふみのあてさきかぞへつつ 薄墨いろの白菊しらぎくを見る
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二軒分 家事と介護を こなすには 知恵を絞りて 手抜き息抜き
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壁に揺れる光の網を綾取りで取って取られて朝のうたかた
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真っ白なまが玉のような形して茶の花咲けり初霜の朝
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電話口 後輩の声 懐かしく 深夜残業 頑張ったよね
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金色に 棚引く雲の 切れ間から 冬の夕陽が 光り輝く
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フード越し風が鳴るのを聴いている星瞬いて流れて消えて
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やすらかに息づかいさえ聞こゆればそばにゐるだけそれで足りたり
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雨の降る 師走の街に ちり流れ 過ぎし一ひととせ 思はるる夜
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まだ固い 梅の蕾の その先の 親友ともの未来も 代わりに歩む/命日に寄せて
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