朝起きて ポケモンスリープ 起動して カビゴンの寝顔 誘われ眠る
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無くなれば 満たしてくれた おやつ缶 空っぽにして まだかな と待つ
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戦争を知る祖父が言う 麻雀で平和ピンフは最も基本の役と
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優しさがだんだん小さくなることを どうして大人になると呼ぶのか
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母からの「家静かです」ひとことに子も犬も去る実家を思う
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犬がゆく弟の腕のなかでゆく私がいない日にとおくゆく
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投げた球追って帰ってこぬ犬は六文銭もきっと渡せぬ
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黄や紅の光の灯る元に居てたおやかに動く手に足に袖
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いつまでもいつまでもただ踊ったの今宵で夏も去り行くのだと
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己が身を縮こまらせているよりか奢れる春を飲み干していろ
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いちじくの葉のちりゆきてひとつあり うれぬみのまま何思う秋
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庭のすみやさしい光の浮き上がる黄色く笑むはつわぶきの花
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木枯らしの吹きすさぶのにいのち生むスナップえんどう土わりだす芽
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ここに今 わたしがいると知っている わたしのために篝火かがりびを焚く
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御機嫌と不機嫌半分同居させご機嫌うかがう朝のルーティン
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死んだ後差し歯は焼けずに残るかと九十七歳きゅうじゅうななの母おどけたり
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幼子が小声で歌う鼻歌を 聞いてまたたく冬の星々
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父母ちちははとむかし泳いだ海街で 獲れた蜜柑を我が子に与う
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身のうちをあばれまわつているとらを押さえつけ今日もわらつているのね
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この怒り我がものにして誰であれ抑えも奪えも出来ようもなし
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傘持たぬ人しょんぼりと佇ませ赤信号の悠々と光る
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大好きな あの人を想い 業務過多 心の支え 春風のよう
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売り物にならぬ言葉を撒き歩く、インターネット無人街より。
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我が夫短歌うたは詠まぬが短歌うたを読む 私の短歌うたにも厳しい批評
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「この夏を乗り切ってね!」と掃除する 唸りながらも頑張るエアコン
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犬だけに吠えるというに吠えられて「私は人間 犬の匂いする?」
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老犬はおやつもパスして寝てばかり 心配よそに夢心地かな
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老犬の散歩を終えて夫言う「これが我が家の老老介護か」
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乾杯のあの一瞬を懐かしむ 酒飲まぬ夫と静かな夕餉
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優先席二回も譲られ改めて鏡で見たら ああ、やっぱりか
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