歩き出す 君の背中を 見送りて 私は今も ここに佇む
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時は過ぎ 巻き戻せぬと 腑に落つる 一人旅での 静かな夕べ
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心療内科の扉抜けて風を追う 秋溢るる木々に陽溶け
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秋の夜に明かり灯せし並木道 どこまでゆくか銀河鉄道
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小遣いをちょっぴりもらう程度なら母に手伝う事はしない
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晴天だ晴れたら出来ると待ちながらいざとなったらほとんど出来ない
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痛くない傷に限って誰からも見つかりやすい場所についてる
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冗談のように言った好きは今 微妙な色を持って沈んでく
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人生という名の旅人の休憩地コンビニへ寄る人は様々
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カメロンパンひとくち食べてあの頃の祖母が一緒にいる気がしてる
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もうどこで何をしてるか知らないがあの観覧車に乗ってたりするかな
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旅先の山小屋で見たエプロンの柄は実家の母と同じだ
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言い過ぎて頭がおかしくなってくるポイントカードお持ちでしょうか
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いにしえに おこし開墾 した田畑たはた 草木くさきがしげり 森へとかへる
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冒険に燃えてるみたい 通常の散歩コースを外れゆく犬
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私には、臓器に薔薇が咲いてるの 隠した好きが咲き続けるの
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替えの効く生を受けても 代替のそいつは僕を詠えないだろ
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淹れたての コーヒーの香りは 時を止め 秋空の雲を しばし見送る
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石垣に枝垂れて生りし柿の実に薄雲染めて夕陽差し来る
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名産の こんにゃく芋を 掘る農夫 腰曲がりても 後継者無く
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三十年住み慣れた家を後にする また新婚ね 小さなアパート
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前歯ない姪が「ひみつ」と金平糖くれてゆっくり溶ける手のひら
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三十年ここで寝たんだ このベッド あるじ無き部屋 淋しさつのる \ ようやく独立!
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ピカピカと光る首輪の犬がいて目尻が膝まで垂れ下がる僕
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降る雪の白き光は集まりて紺碧の空に結晶の色
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ほお紅く染めて抱きつく妹が本当はいそうな雪の降る午後
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この先も 君が飛び立っていいように 明日花の苗を買いに行く
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街角のツリーの星がまたたけば神様のするウインクに似て
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耳たぶに伝言ひとつ残すためストーブの前動けずにいる
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五時間を耐えて辿れば 純白の実家(さと)に積もれる 古き思ひ出
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