年六度 季節の行事を飾る棚 心ほんわり温き場所なり
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きみの好きな音楽聴く気になった時 この人が好きと強く感じる
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埃だと思い込んでた ずっともう星は真上でひかってたのに
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電話口 後輩の声 懐かしく 深夜残業 頑張ったよね
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蝋梅ろうばいの 花芽迎へし 山寺に 母の手引きて 歩む石段
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寒さ増し 形見の衣 まとふ冬 妻の帽子と 父のジャンバー
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修正ペンで塗りつぶした一角がそのまま流れてくエンドロール
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フード越し風が鳴るのを聴いている星瞬いて流れて消えて
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六十路なる吾の通信簿 理音四 国美社が三 数体下がり二
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腹を押す医師の温もり身に沁みて眠りに落つる冬ざれの夜
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てのひらで慈しんでた太陽の焼け跡が疼いて眠れない
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年末になるとわらわら現れるカニを横目にカニカマを買う
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寒空のもと ひっそりと葉の裏に 剪定逃れ 残る空蝉うつぜみ
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靴ひもの ほどけて 朝の玄関に 陽だまりいろの 一拍休符/改
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いつしらに施設の暮らし一年に義姉あねの肌着の名前薄らぐ
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裸木はだかぎになりぬ 初冬の百日紅サルスベリ 牡鹿の角の如 美麗びれいなり
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ベランダで「どこから来たん?」ひとりつ 日なたのまろき てんとう虫に /九階
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打ち合わせ 終えしカフェの ツリー見て 珈琲一口 パソコン向き合い
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道幅は雪で狭まりこの街のメインの通りは渋滞発生
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寝つかれぬ虎落笛もがりぶえをも聞こえぬ夜三十一の糸編んではほどく
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ほお紅く染めて抱きつく妹が本当はいそうな雪の降る午後
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愛犬の逮捕に走る 転がったワインのコルク咥えて逃げた
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完全を知らないままの不完全 服もメイクも無意味なこころ
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君知るや 人目も恥じず 睫毛墨マスカラ の 落ち滲みたる 我は泣きおり
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東北の冬の青空ありがたし磐梯山の雪の輝く
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木の間より差し来る朝日サンゴジュの僅かに残る熟れし実照らす
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雨の降る 師走の街に ちり流れ 過ぎし一ひととせ 思はるる夜
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想い出は街をぐるりと歩いた日 兄の遺した紬をほどく
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雨あがり 澄んだ夜風に 洗われた 桜の枝に 蕾が一つ
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悔しいな真面目なあなたのわがままな部分を引き出せなかったことが
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