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お引っ越し見慣れた景色よそ者にあなたが去ってからの灰色
36
グレゴリオ聖歌の果てて燻り立つ 母よあなたの骨の白さよ
17
花ひとつ携へてゆく応へてはくれない母の聲が聴きたく
25
桃色の 空遠すぎず 手に取れず 恋はたそがれ 秋は夕暮れ/r
12
いつかこの秋を忘れる 喪失と身軽さだけでここにいたことを
11
むなしさの底を知ろうとすることの そのむなしさはいやというほど
12
静けさや 音に乗り込む 隅の水 諸君が水を
拭
(
ぬぐ
)
うまで
11
暮れてゆく空の
静寂
(
しじま
)
にただひとり 委ねただろう母の身を泣く
14
ああ子らよ「みんなちがってみんないい」吾と吾子だけの三回忌法要
25
非通知といふ手ざわりのその下に あるかなきかの人の心は
11
このご時世 スタンプひとつで 伝えられ 電話の会話 なんか照れるね
21
昨晩はいざ飲み会で食べ過ぎて今日はアイスと特保の茶
17
地の底で溶けて抱き合っていたぼくら なり損ないの星座だったね
5
実
(
み
)
の色が
黄
(
き
)
から
橙
(
だいだい
)
朱
(
しゅ
)
へ変わる 秋の深みが
柿
(
かき
)
に
写
(
うつ
)
りて
19
中秋月
(
ちゅうしゅうづき
)
真円形
(
しんえんけい
)
とは 限らない
虧
(
か
)
けし
処
(
ところ
)
に
風流
(
ふうりゅう
)
が
住
(
す
)
む
15
木犀の香り満ちゆく十七夜霞みの月の輝く晩は
51
青空の四文字示す二十万の検索結果 あしたあめかあ
5
わかれ駅ハラリハラリと手ふりし
娘
(
こ
)
そ〜その笑みなの母の阿伽陀
18
道玄坂 葱まみれの蕎麦すすり浮かれた夜を正常化する
17
土曜2時 ベッドの上で 飲むミルク酒を美味いと思えないまま
6
長いこと生きてる気がする 僕だけど。ばあちゃんと並び月を見ていた
22
風はもう冷たく 君も もう遠く また一つ散る 木の葉 言の葉
14
あの日目に焼き付けた君剥がせずに瞳を閉じて冬を迎える
13
レジ前で落とした十円気づかずに 去ろうとする爺 追いかける義理
11
紛争のガザの地区では停戦と 始めるは大人幼児ら犠牲
8
神様の数限りなく今日の日は金木犀の色の夕焼け
47
金木犀
(
キンモクセイ
)
今も香っているかしら海風はこぶ
香
(
か
)
に
灯
(
ひ
)
のともる
25
ゲーセンでとる景品のトキメキは永遠ではないことを知った
27
暴れ熊 人の都合で
怒
(
いか
)
れども
俺等
(
おれら
)
も動物 ごめん戦う
11
渋柿
(
しぶがき
)
に
焼酎
(
しょうちゅう
)
かけて 二週間
甘柿
(
あまがき
)
よりも
赫
(
かがや
)
く
身不知
(
みしらず
)
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