落花生 投げては拾いまた投げて 吾子はよびこむ わがいえの春
41
卒業と入学のの春風は、こぶしの白い花を揺らして
44
五歳児は自分のことを「オレ」と言う イントネーション作る可愛さ
14
ぬいぐるみ 暑いときだと撫でる気も起きないけれどペンギンならば
19
蝉時雨 ふと立ち止まり目をつむる 矢の如くゆく光陰の中
42
外国語 学び初めて知る 母語の 身近にあふれる月とお日さま
29
粗大ゴミ置き場置かれた姿見に映る私に見覚えは無く
54
本当に美しい日はおそらくは忘れてしまう程穏やかで
47
来る夏の衛兵のごと門前に立ちて優しい立葵かな
41
アメリカンチェリー一粒ちょっとした言葉の棘を反省してる
51
いつまでも続いて欲しい信号が 変わって私今交差点
22
直接は話さず話せず触れられず緑の通知が私の明かり
8
白黒で はっきりさせないこともまた 美しさかも 百鼠色
62
空を飛ぶ夢など見たことないけれど自転車からはいつも落ちてる
8
あの日さえ離れてくれぬこの思い抱えて歩く枯野の草を
10
心配のしすぎと友に言われても手の鳴る方へあなたはだあれ?
12
嵐吹く 私の中の海もまた 光のどけき 日を 願いつつ
63
三十一の文字は牢獄ならずと舎にいへ蒸し焼かる牝鶏
24
「三人で来たかったね」と逝きしを偲びつつ行くコスモスの道
40
今朝はまた妻が特別ご機嫌で 良い一日が待っているかな
12
ありがちの言葉机に残されてあなたの居場所は遠い日の午後
14
長押しで電源を切る親指がたしかに息の根を止めていた
15
街の灯が幸せそうに見える日は私がとてもちいさいからだ
49
入り浸る飲み屋の影にいる子猫そっと抱き上げ毛づくろいする
12
大陸の 友と語りて笑いあう 小さき外交 祈りかさねて
52
亡き父へのダイレクトメールまだ届きとりあえず生きていることにする
29
滝の音聞こへ来そふな油絵の水霧飛び来て吾にかかるごと
42
想い出は街をぐるりと歩いた日 兄の遺した紬をほどく
39
鞄から くしゃくしゃ原稿取り出して 夢追い人が また旅に出る
18
目薬をささんと上をみれば空、カラスよこぎる いっぱいに空
21