君の瞳が 開く 右手が息を吸う ここが世界のまんなかになる
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悲しみを悲しみとして受け入れる シンデレラにはなれない私
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眠たくて 首もげそうなこの人に 右肩を貸す 次の駅まで
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あおむしとダイコンの葉を分けあって 味噌汁の具は今日は少なめ
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病床で歌う「ふるさと」ゆるやかに かのやまの忘却わすれゆく人
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能登の地の優しき土に問うてみる神と仏が隠れし場所を
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こんな日は誰にも会わぬ散歩道歌うが一番泣くが一番
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おたよりが通じることのありがたさ 心の便秘 しませんように
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生き様を立派に語らう人もおりポツリポツリの亡父母が愛しき
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新聞の知らぬ誰かの言霊が我を鼓舞させ我を鎮めし
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青年も優しき人も年寄りも理不尽を知る個々の場所にて
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感性は縦横無尽に飛び交いて 空詠む人も 鳥詠む人も
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アスファルト 押し上げ根っこが背のびして 立って春待つ 桜の並木
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能登の地はもっと寒かろつらかろう 長き氷柱に疲れの映る
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初雪にはしゃぐ子らの雪だるま 急ぎて溶けし泣き地蔵なり
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風呂あがり衣服のなくて騒ぐ夢 待つ旧友は雪の道去る
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麓より風に煽られし竹林はいただき目ざす竜の背に見ゆ
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そこにある 風じゃない声 耳澄ます 人差し指で評する前に
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亡くなりし犬のにほひの残る家 庭の白梅シラウメ今年も咲いて
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クレヨンとハートのシールいっぱいに幼子作る母の日カード
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気が付けば使い始めた有り難く 親のためにと付けた手すりを
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何者にもならないという幸せがある 今日僕は僕になったよ
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遠慮なく気兼ねなく座る優先席 敬老パスを初めて使う日
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ドアが開き目の前に見えるエレベーター 今日は乗ろうか私はシニア
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短歌うたを読み思い起こすは故郷の一家総出の田植えの五月
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カーネーション長持ちさせるって難しい 日に当て水やり大事な花たち
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スピードに今さら驚く遠い国旅する息子と瞬時のやりとり
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手抜きでも「美味しい」と言ってくれるひと それで上がらぬ私の腕が
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人知れぬ痛み悲しみ誰も持ち 短歌うたで知らさる分かつ喜び
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ビルケナウにガザの髪触れ合ひ混じり死の後も死者なりき兄妹
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