いつまでもいつまでもただ踊ったの今宵で夏も去り行くのだと
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己が身を縮こまらせているよりか奢れる春を飲み干していろ
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いちじくの葉のちりゆきてひとつあり うれぬみのまま何思う秋
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庭のすみやさしい光の浮き上がる黄色く笑むはつわぶきの花
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木枯らしの吹きすさぶのにいのち生むスナップえんどう土わりだす芽
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ここに今 わたしがいると知っている わたしのために篝火かがりびを焚く
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御機嫌と不機嫌半分同居させご機嫌うかがう朝のルーティン
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死んだ後差し歯は焼けずに残るかと九十七歳きゅうじゅうななの母おどけたり
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幼子が小声で歌う鼻歌を 聞いてまたたく冬の星々
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父母ちちははとむかし泳いだ海街で 獲れた蜜柑を我が子に与う
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カープ勝ったらビールが旨い当たり前今夜も勝つと朝から飲んで
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身のうちをあばれまわつているとらを押さえつけ今日もわらつているのね
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この怒り我がものにして誰であれ抑えも奪えも出来ようもなし
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傘持たぬ人しょんぼりと佇ませ赤信号の悠々と光る
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大好きな あの人を想い 業務過多 心の支え 春風のよう
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売り物にならぬ言葉を撒き歩く、インターネット無人街より。
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いつからかドアがきしんで声を出す度に知らせる家族の帰りを
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犬だけに吠えるというに吠えられて「私は人間 犬の匂いする?」
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老犬はおやつもパスして寝てばかり 心配よそに夢心地かな
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老犬の散歩を終えて夫言う「これが我が家の老老介護か」
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乾杯のあの一瞬を懐かしむ 酒飲まぬ夫と静かな夕餉
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優先席二回も譲られ改めて鏡で見たら ああ、やっぱりか
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食事終え今日はゆっくり茶が飲める ちょっと雑だが息子が皿洗う
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しくじった!収穫一日待ったのに 庭は一面ビワの食べかす
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歩いたよ!ラインが届く祖父祖母ジジババに よーし、決まった今度のみやげ
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トリミング 毛まみれ奮闘三十分 犬はスッキリ近づく夏に
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愛犬は涼しい部屋で昼寝する 私はしのぐ扇風機の前
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祖父祖母じじばばはスマホに釘付けそれぞれに 確かに見たよ!はじめの一歩
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暑い日に涼んだ木の下懐かしく 桜は切られて残る切り株
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コンビニエンスストアへ三十六個のクピドの刎首の罐詰の茹豆
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