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石垣に枝垂れて生りし柿の実に薄雲染めて夕陽差し来る
37
名産の こんにゃく芋を 掘る農夫 腰曲がりても 後継者無く
30
三十年住み慣れた家を後にする また新婚ね 小さなアパート
51
三十年ここで寝たんだ このベッド
主
(
あるじ
)
無き部屋 淋しさつのる \ ようやく独立!
47
人の無い夜中の街で一人きり雪に残った靴跡を追う
22
ピカピカと光る首輪の犬がいて目尻が膝まで垂れ下がる僕
32
降る雪の白き光は集まりて紺碧の空に結晶の色
34
ほお紅く染めて抱きつく妹が本当はいそうな雪の降る午後
38
街角のツリーの星がまたたけば神様のするウインクに似て
26
耳たぶに伝言ひとつ残すためストーブの前動けずにいる
27
眠れずに二時間いいえ三時間白い病室繭にはなれぬ
17
壁に穴母の眉間に皺ふたつ少年たちは大人になりぬ
14
五時間を耐えて辿れば 純白の実家(さと)に積もれる 古き思ひ出
36
散らかって調和のとれぬ中に居て落ち着けるのが我が家と知りぬ
18
病室の繭から出れば年の瀬のまちはわれをも主婦にもどしぬ
28
目覚めれば世界が変わるわけもなしそれでもどうぞ平和で平和で
20
病み上がりなれば訪う人もなし正月だけが静かに来てた
22
街白み 休むひまなく降る雪を花にたとえる人のやさしさ
18
ふやけてる餅を置く皿なでている除菌シートをぼくは信じる
22
寒い街抜けて電車に揺られれば君に会うまで少し眠ろう
30
「さよなら」は言わずに降りる各駅の故郷遠く動き出す窓
29
「赤い糸」なんて信じていなかった 紅茶に溶ける砂糖の白さ
27
悩み事さえもビタミンになるような そんな気がして剥く冬みかん
26
愛犬の骨壷を抱く 嗚呼キミもここに一緒に来たかったよね \ 新居に移りました
60
一面に白き寂寞降り注ぐ庭に
紅
(
くれない
)
差す寒椿
16
ほとほとと心つかれて白い花 息の白さがかすむくらいに
11
夕暮れ レースカーテンの拍動を私はひとりで眺めている
9
零度ですエアコンが言う外気温まちのすべての暖房つけよ
9
冬の午後 君(猫ちゃん)がうたた寝 その横で 僕も静かに 眠気が誘う
21
幻肢痛 中途半端に片付けた部屋にかつてのギターの在り処
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