流れさる 景色ばかりを 見ていたから 星がこんなに 増えてたなんて
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蕎麦の花むらさきにしてあはかりぬ青年の頬てらす逆光
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赤裸々に わたしを写す 水鏡 かき混ぜてみる 指先ひとつ
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待つ宵の 月はおぼろに 霞んでも ほのかに 照らす 夜の世界を
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神無月の フィナーレを飾る 月の夜に 輪唱響く 白鳥の声
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懸命に ひと筆書きの 星をく 十萬里ときく あなたとの距離
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ボーダーを 越えてとうとう 雪景色 それならそれで また生きるだけ
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堤にて 荷車を押す 上がらない 何度勢い つけても上がらぬ
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そこにいる 三尺四方さんじゃくしほうの 立方体 厄介なのは 透明だから
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弾丸のパレスチナの医の救いびと傍観のわれ思い沈みし
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母を見て泣きじゃくる子を外に出す辛き日々ある母を知らずに
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朝露にきらめくおちば陽のあたる ひと目につかす輝いており
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よるふけて下宿にかえる苦学生 おばさんの 味おにぎりのまつ
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ベッタラよ こがれてつけし老いふたり 十キロのダイコンふらつきつつも
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ガン治療逃げたきわれに立ち向かうガリガリとがるうす寒き富士
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ほうき星が 近づく朝は なにもかも 裏はおもてに 切りかわる時
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トラックの東京に近付きてゆくAmazon.coがハヤカワ文庫も旧りぬ
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戦争にゆかさるるわれらの平和 「今そこにある危機」を忘れて
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一九三八年四月一日かつて国家総動員法の制定されき
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両耳が ちぎれるほどの 冷たさが 魅力というの 晴天の宇宙そら
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何をかを 必死で隠す 様相で 深々と降る 黙々と降る
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ほっとけば 不幸に流る 一族に 手を延べるほど 器量もなくて/ 歳末
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ガザを擁護せるはあれどアメリカとイスラエルを批難せるはあらざり
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プロレタリア投獄されて長々しある島国の平和なる日々
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実験国家アメリカの統計室に羊の心理左右されてつごもり
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十八に 伸びしろふくめ あがないし スーツは六年 隙間もあらず
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おたよりが通じることのありがたさ 心の便秘 しませんように
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新聞の知らぬ誰かの言霊が我を鼓舞させ我を鎮めし
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マウントを取って取られて生きてきた ささくれ剥いた痛みの後悔
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被災地を笑いで笑顔に 戯れ言だ ビートたけしに同意も切なし
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