行き場ない 迷子の気持ちと 手をつなぎ 耳を澄まして 道場の朝
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ただ会って話して食べてまた話す また会う日まで生きるとしよう
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ニンジンの 新芽の横でニンゲンも 朝日を浴びて水を飲む今日
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二度童子 背中をなでて ゆっくりと 父だった人の 母親になる
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自らの 面倒と恥を 他人事ひとごとに するしかなくて 二度童子なの
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むずかしい言葉を並べるあの人の 落としたアリガトを拾うお仕事
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やさしさの手持ちが足りないので今日は  仕入先行って直帰します
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箱を描く 前に描かれたたくさんの ひつじを 私はなでてあげたい
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野暮天は嫌われるから 暗示して 伝わらず 足す ※これは愛です
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中翼なかよくはめんどくさくて右左  傾きながらどこへ向かうか
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意味ばかり 受けとる人が置いていく お気持ち 拾って洗って干して
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知ったより出逢えたという感覚で  初めての言葉 くりかえし読む
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目を背けたくなる世界を直視する 君を ヘヨカと呼んで見つめる
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諦めと ニヒリズムへの誘惑に  負けるな踊れ 心のヘヨカ
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ああ言えば よかったというわだかまり コップの茶渋と一緒にこする
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校庭に 明るいきみどり色の筆   樹々を描いて 飛ぶ野良インコ
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親を知る という科目の授業中 ここは試験に出そうなところ
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ソンナコトナイヨ を多めに持参して 思春期の父のご機嫌直し
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タンタンと 君へ近づく この電車 心ざわめく 「降りてしまいたい・・・」
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「いのりたい ときに祈りの 対象が ない無神論者はかわいそう」は誰言ってたけ?/過去作回想
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えんに在りし教会 燭台 祈りの言葉 未だ忘れず三つ子の魂
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叶うなら 天にかかりし あの川が 永久に消えずに 君に逢えたら
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かなしいかな、正義の仮面の内側は――、嫉妬と報復でできている。 世相。
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人々の 祈りの数は 満天の 星の数より 多いだろうか
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「南西諸島は日本の楯まもるべき威厳よもあらば死ににゆけきみら」
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ベンチにいるが心は海原へと向かう 氷川丸の錨にユリカモメ並び
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恋人の家で耳栓をする自分に酔ってる僕に酔ってる彼女
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はとバスに憧れる我を嘲笑する 長距離恋愛も悪くない
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子育ての支援センターでふれあう 豊かな環境ありがたきかな
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雛飾り一歳児には菱餅が 程よい遊び道具なりけり
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