人の無い夜中の街で一人きり雪に残った靴跡を追う
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柿キウイ芋を食べ終えしりとりに気付き一人で大ウケする朝
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人間の嫌なところをこうぎゅっと凝縮したよな女だあんた
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散らかって調和のとれぬ中に居て落ち着けるのが我が家と知りぬ
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子の帰省に ついて意見が 対立し 言葉通じず  異星人に見えた
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さみしさと 煩わしさを 比べたら 前者がマシと ひとりごと言う
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「生きてたら儲けもんだよそれだけで」心配性の母が笑った
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想い出に入れずにおこうカギかけて思い出したくないことはもう
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風が吹くバケツごみ箱けとばして私はこたつ一日炬燵
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昭和ドラマ 演者のその後の 人生を ひとりひとり 検索してみる
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既読さえつかぬ画面の奥側に冷えたままある僕のスタンプ
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凍る空月と星とが話してるこの冬いちの寒波が来ると
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少しずつ 距離を置こうと してた事 わかっていたよ 今元気かな
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朝の雪かがやきに目をひらきつつ かじかむ指を光にかざす
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「ごめんね」を言えぬまま積む言の葉の 尖りて母を、僕を、傷める
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「忘れた」と言えぬばかりに声を張る祖父の孤独をまともに見れず
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鍋つかみ両手にはめてフォッフォッとバルタン星人真似てた姉貴
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晴れ空に老若男女集う日の美よ美のままであれ航空祭
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零度ですエアコンが言う外気温まちのすべての暖房つけよ
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「大丈夫」「全然平気」「待てるから」深夜の駅前雪だるま一つ
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「普通」という名のバスをまた見送りて 私は私の歩幅で帰る
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教室の隅に透明な僕がいて ポケットの中、拳は熱い
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マイク持ち叫び続ける候補者がただ何となく小さく見えて
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「怠惰」という病のツケが三年の時を経ていまボディブロー
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甘やかな愛情も義理も飛び越えたビターな惰性にリボンをかけて
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想像す雪のない地はどんなにか白一色にただただ絶望
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レコードの音がだんだんデカくなる聞きたくないこと多すぎるから
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笑わずに教えておくれチケットを買うところから離陸するまで
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萎れたるポインセチアの花殻を摘みて春光注ぐ如月
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こんなにもみんなで帰る道のりが愛しいことを最後に知った
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