あの山も この山もまた 唐松の 黄金おうごんの山 ドンと座したり
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我ごとく友を喜ぶ吾子清しグリーンカードのあの日の勇者
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なんてことない風景が愛おしいうどん屋さんで心ぽかぽか
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幼き日乗った車を運転する 昔は空を見るだけだった
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日が変わり 仕事終りの 溜息と 珈琲一口 苦笑いかな
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冷ややかな 空気に触れる 鼻先を 風がさらりと 撫でて冬来る
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公園のメリーゴーランド子供らを大人に変えて一人老いゆく
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オフィスには ポインセチアの 鉢植えが 光を浴びて 赤く輝き
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ふかし芋もはや多くは口にせずなお父へ湯気届けたくあり
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嫌いなこと、嫌いなひと、嫌いな… あー嫌いです 近寄ってこないで
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ダンディーで 寡黙な喜寿の わが部下は ポテト大好き 笑顔でほおばる
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無人駅のようにさびれたわたくしのプラットホームに冬降り立ちぬ
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無条件に愛を与えられない人間に与える愛はない
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間違いか正解かとかいうよりも別の答えが出てくる人生
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気にかける親のもう居ぬ故郷ふるさとの天気予報をついまた見てる
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「本日中にお召し上がり下さい」仕方ないなあ寝る前のケーキ
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反論を飲み込んだ日のスーパーで長ねぎグッと折り曲げている
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訃報欄思い出深き人の名をしみじみ眺む秋深き日に
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掃除ってしなきゃこんなに溜まるんだ風邪の間に丸まるホコリ
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恋人らのないしょ話を聞き終えて砂浜はまた海と語らう
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叱られた遥かな記憶 耳掃除している祖父のそばで暴れて
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透明な砂がこぼれていくようなまだあたたかい夢をみている
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まどろみの夜ほころびゆく午前四時そっと犬と歩みゆくかな
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冬の日の景色と思い重なりてあと幾度かの紅葉散りゆく
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明日の午後母の痴呆の結果聞くどんな結果も母娘ははこですもの
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白菜の葉から葉へと紋白や ぬくき陽が差す午後の菜園
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観葉樹 渇いた土に 水をやり 根の先までも 届け冬の日
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あんなふうにならないでねと親が子に伝えていそうな「夢」の筆跡
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激動の日々はいつしか過ぎて行き光を纏い冬の日優し
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見上げれば朝の光は柔らかに飛ぶ鳥の羽黄色の落ち葉
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