水たまり遊び帰って吾が子ふと「あめいたねー」とつぶやき笑う
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葬列も散り散りとなり午後三時金木犀の香りの西日
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月という隣人がおりその人はそっけないけど美しい人
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この気持ち喜怒哀楽のどれなのか分からないまま涙は流れ
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解体の音もさみしき秋の雨誰かが住んだ家が無くなる
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多じゃなくて個になりたくてもがいてた 白い校舎に捨てた青春
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ブレーキをかけてしまった感情にもういいよってねぎらう夜更け
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見た目より中身が大事と言う口で綺麗なパンを選んで食らう
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ホラー映画見て寝られなくなっている自分 なんだか愛おしいよな
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人生を達観したかのそんなふうまるであなたはみつをのようだ
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舟を漕ぐ母が歌いし子守唄 眠れぬ夜は胸に起こして
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過ぎてゆく時の速さに溺れぬようきみを楔と定めていたい
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鮮やかな靴下を履く うつむいてしまった時の励ましとして
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錆びついた故郷の外を知ってなお時折よぎる寂しさがある
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すこしだけサドルをあげて来年のぼくの視線で走る自転車
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撒いたあと歳のかずだけ食み豆をわたしのなかの鬼にも投げる
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布団剥ぎカーテン開けて皆起こす 朝から全開 もうすぐ二歳
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歳ひとつ脱ぎさるごとに柔くなる 幼さゆえのこわばりを解き
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この電車動くと君は過去になる雪がやむころ想い出となり
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何にしよ? やっぱりカレーね 好物の 夫退院「うまい!」と頬張ほおば
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理解とは「理性で分かる」ということで こころは未だ無知のただなか
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我を越え三児の母となったよ 出産終えて貴女あなたはまぶしい
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年を経し杉の根元は影差して朝日に映える梢の緑
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創作の泉じゃないのよ傷口は カサブタ剝がすのたのしいけどさ
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「チャッチャッチャッ」もう聞かれない足の音 歳老いてキミはひたすら眠る /ののの様へ
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いつからか背に寄り添った諦念の顔をまだ見ぬふりをしている
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伊達眼鏡 さりげなくUVカット 気持ちだけでも お洒落してみる
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赤き実の豊かなる枝にひよどりら集いて遊ぶあした楽しも
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切れぎれの雲の向こうに有明の月が隠れる冬の明け方
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食卓に朝を届けてくれるからクロワッサンはさん付けされる
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