行き場ない 迷子の気持ちと 手をつなぎ 耳を澄まして 道場の朝
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台本を 繰り返し詠み さあ開演 実家劇場 ムスメその1
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車窓より二度と出会わぬ町を見つこのままずっと揺られていたい
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母からの「家静かです」ひとことに子も犬も去る実家を思う
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ざくざくと落ち葉踏み手に拾う子も母も父もが葉の海の中
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父母ちちははとむかし泳いだ海街で 獲れた蜜柑を我が子に与う
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大罪人たいざいにんでも殺されぬ人 善人で突然死ぬ人 どうしてだろう
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帰り道、雪に埋もれた路地裏は 何処とも知れぬ 白いまぼろし
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傘持たぬ人しょんぼりと佇ませ赤信号の悠々と光る
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亡くなりし犬のにほひの残る家 庭の白梅シラウメ今年も咲いて
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「久しぶり」その一言の裏側に僕が知らない 数多の別れ
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母とは揃いのバッグでツーショット 嫁ぐ前の最後の旅行
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今は亡き友のアドレス名簿から消去できなく時々眺める
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別名を十字架草と言うらしき ドクダミの花を花瓶に生ける
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切り株のくぼみに誰が植えたのか可憐な姿の初雪カズラ
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「できたよ!」と喜ぶ孫に拍手する 私は増える出来ないことが
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出来ることまた一つ増えて立ち上がる「ほーら どこにもつかまってないよ!」
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立てた子は何度も何度もやって見せ 兄は並んでスクワットする
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「癒されます」その一言で頑張れる 今日も歩くよ老犬と私
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吾が友の踏みつけられている人の自由訴う筆頼もしき
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雨の日は貴女と傘に入るためだけにあるのと云った黒雲
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推敲を 重ねて詠むも 今一つ 素人歌人 褒めるは君だけ
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野良猫に道を譲った 僕もまだ誰かの役に立てるだろうか
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鳳蝶アゲハチョウひらりひらりと舞ってゆく 季節に乗って翔び去ってゆく
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夏という季節が決壊した様な豪雨が僕を叩き続ける
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ゆりかごの歌を一緒に口ずさむ 親子互いの歌声聴いて
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午後の陽が少し傾く夏がゆく 跨線橋から電車を見てる
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あなたへの想いを乗り換え出来たならそう考える赤坂見附
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伊右衛門のラベルの裏の大吉に喜んでいる私はチョロい
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残高を指でなぞって考える いくらあったら逝けるのだろう
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