渡り鳥 国境越えて 羽ばたきて 世界平和を 託してみたし
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オレンジの皮を前歯に貼り付けてキャッキャッ笑って日曜日なり /吾子三歳
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寒太郎(北風小僧の) 山を泣かせて 逃げてゆき 静かな夜宙よぞら 上弦の月
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天上の空を陣取る黒雲を店主と見上ぐ公園マルシェ
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ホットミルクに似た声の人だった まろやかに溺れてくみたいな
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仕事終え 空見上げれば まるい月 残業だけど 月が明るい
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きさらぎの 神に捧げる さかきには 新芽がのびて 雪のふる春
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将来を見て酸いも甘いも言えぬから「自分らしさ」と呟いている
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弱き支配到る處に晒されて候補の顏がよごれて立てり
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母さんが千の風になってたら怒るだろうか鍋を磨けと
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咲き初めのしだれ梅にもぼたん雪つかの間だけの白き世界よ
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桃いろのプリマのごとき梅の木の燃える想いを冷やし雪ふる
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婚前に 君にもらった ミントチョコ 潤むまなこで 遺影に供へ
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絶景の桜にかぶせしキャッチコピー駅構内で春につかまる
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「お先に」とまばたきを一つ交わすとき雪の狭路は白くふくらむ
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先輩の時間割を見て絶望し 退部届が目の端に映る
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処方箋まだ書けないよ私にはもっと訊かせてなにがつらいか
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黄泉ばかり見ている人の袖をひくこの身をもちて碇となさん
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放課後も解けぬ問題 青ペンは数式よりも君の名なぞる
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涙鳥るいちょうの天に舞い立つりくりゅうの光に酔いし明けの金星きんせい/コルティナ五輪
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月面のゴルフボールが見えたとて人のこころの襞は見えない
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勾配は何 パーミルかその先に何が見えるかまた明日が来る
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寒風を漕いで夜行く受験路に十五の春の蕾膨らむ
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Pが 振り子のように 揺れるから 猫ミームばりに じゃれつくだけだ
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つまらないことは考えないことに挑戦をする古希若いから
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口先に花弁くわへしヒヨドリの落とし拾ふを見る散歩道
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他意の無い「励ましたい」がそんまんま伝わると良いな今度会ったら
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畑 出はた いずる 長靴履いた 指先に るる物有り 湯たんぽのふた /見つかった!後編 完
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透明人間になって君が読む本のページを眺めていたい
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甘党な人だった天気を心配するような人だった何も言わず去っていったあなた
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