「お先に」とまばたきを一つ交わすとき雪の狭路は白くふくらむ
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先輩の時間割を見て絶望し 退部届が目の端に映る
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処方箋まだ書けないよ私にはもっと訊かせてなにがつらいか
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黄泉ばかり見ている人の袖をひくこの身をもちて碇となさん
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放課後も解けぬ問題 青ペンは数式よりも君の名なぞる
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涙鳥るいちょうの天に舞い立つりくりゅうの光に酔いし明けの金星きんせい/コルティナ五輪
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月面のゴルフボールが見えたとて人のこころの襞は見えない
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寒風を漕いで夜行く受験路に十五の春の蕾膨らむ
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Pが 振り子のように 揺れるから 猫ミームばりに じゃれつくだけだ
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春冷えに白く膨らむ花たちを束ねて行かむ清き風待ち
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春近し いざなわれ温泉に 広き湯船で心解けり
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つまらないことは考えないことに挑戦をする古希若いから
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口先に花弁くわへしヒヨドリの落とし拾ふを見る散歩道
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如月の優し朝日に照らされて蕾ふくらむ沈丁の花
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畑 出はた いずる 長靴履いた 指先に るる物有り 湯たんぽのふた /見つかった!後編 完
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透明人間になって君が読む本のページを眺めていたい
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眠ってた春服そっと起こすよに 陽光の差すだまりの部屋
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甘党な人だった天気を心配するような人だった何も言わず去っていったあなた
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忘れてた 窓うつ雨音あまおと 目がさめて 凍土をとかす 歓喜の水の
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押し入れの闇に目をあく雛人形 光の日々を遥かに見つむ
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祈りつつ入試のあとの氷雨にも土わり芽吹く蕗のとうかな
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西の山今日青々と色も濃く壁となっては威勢せいをはってる
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白き花ひらかんとする沈丁花待ち遠しかな芳しき
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いたずらは得意謝るのは苦手似たもの親子並んで午睡ひるね
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価値観の違う世代と暮らしいて心揺れるもぶれずに生きる
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言の葉の降りて来ぬ日の焦燥感 鈍き音にも探す歌種
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一九三一年九月画を画き戰端を開きぬ旧宗主の名を日本 といふ
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こちらへと色あざやかに菜の花が 春を招くよ川辺の小道
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雪洞ぼんぼりの まろあかりに 伏す君の 手弱女たおやめの如き 長き睫毛よ
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言葉放つ嘘では無くも半分は好印象欲し本音もありて
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