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先生が答えを省いたあの午後にほんのりすりむいたままの胸
7
草むらで大合唱の虫たちは短き秋を知りて鳴くやも
19
死ぬまでにやりたいことのリストから「青い紅茶を飲む」を選んだ
9
本当は粉薬だって飲めないし、なりふり構わず泣きたかったし
11
恐るべきクエチアピンの副作用 豚の飼育のように太らす
22
話すこと紙にメモしてこんな事最後の日に言うことじゃない
15
満月に飛んだ蝶々の鱗粉をあつめてつくる睡眠薬を
11
2:22
(
にゃんにゃんにゃん
)
そんなゾロ目を ふと目にし なんか嬉しい ふふっと笑う
18
子ども舌 苦味があっておいしいと言う人みんなうそつきとする
8
幼き頃秋の日に教えてくれたカタサセスソサ…途切れる音色
10
ゴロゴロし糖質摂って酒も飲む理想と違う前日の自分
15
漱石を教授に昔勧められ四行読むとまぶたが降りる
17
とめどなく語る目に涙 きらめきは彼女であふれ私ではない
11
胸張らず下見て歩く 今日だけはいいよねだって恋と別れた日
17
布団敷き短歌集読む お腹からカラになったよ〜心地良い音
13
「こわいの」と訴えかけるその人の
斑
(
まだら
)
の渦が見える気がして
12
わたしにも期待の星と言われてた頃があったか思い出せない
17
うかうかと生きているから知らない傷が腿に走ってわたしを
誹
(
そし
)
る
10
懐かない猫のあくびに報われたような気がした夏の終わりに
15
散歩中のハッピードッグとすれ違う数秒ゆっくり回るペダル
15
別れ際 刺客を送り込んでおいた あの人に渡した「塩狩峠」
15
白黒で はっきりさせないこともまた 美しさかも 百鼠色
59
断捨離と 呼ぶには遠い 仕分け作業 今後の我に 要るを吟味し
16
詠進歌って何?と調べ驚愕す まるで遠くの月が身近に
18
噴き出して止まらぬ炭酸水のよう こいした時は言葉あふれて
20
好きな人?そうねブラックジャックかな告る前からフラれた気分
20
また一人 昭和の
爺
(
じい
)
が 亡くなって 透明感が 増す秋の空
45
思ってもいない言葉を言いすぎて自分に嘘をついてばかりで
13
雨降りに確かめてみた自分だけぬれてないよなカラスのあいさつ
17
秋風や何やら寂し夕暮れに虫の音ありて心なぐさむ
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