午後三時 鳥のさえずり 風優し 寒戻りたる 明日に備えり
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スコッチのピートの香り膨らみて 全身巡る休日の余韻
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担任に 正座させられ 鉄拳を 百発浴びて 吾まだ生きており
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高額の現金を持つ。本名を知らぬ娘の学費になるそう。
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「ごめんね」と言えない言葉が喉奥に詰まってしまう息苦しい日
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蛾は花と添い遂げてまた目が覚める 誘蛾灯など人の付けた名
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嘘をつく 上手に嘘を つきたれば 百の方便 駆逐さりけり
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天才と 言ってはいけない 天才は 言われた途端 道を失う
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冷え机 夏に恋しき 冷たさよ
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豆撒いて 鬼は払えど 影のこる
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指し示す アプリの針は 南南東
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唇がぷっくりしはじめた君をかわいいと思う、自分死ね。
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貧乏で なにもやらない 父親に 息子の批判 グサリと刺さる
2
人はまた 現金なもの 愛おしき 底を流れる 自律と他律
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努力ができないなら死になさいよと 全世界の美人に言われる
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吐き気がするのよあんたの顔見ると さっさとわたしを殺してちょうだい
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お金を払って初めて許される わたしがここにいてもいいということ
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人生が200個あっても足りない!と 君が飛び散るビル12階
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夏が死に秋を殺して冬と死ぬ 春もそぞろにまた夏を待つ
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何者でもないわたしを生きること 焦燥・加齢、解放となり
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窓ガラス サイズアウトの服で拭く記憶もなぞる大掃除かな
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行き場ない 迷子の気持ちと 手をつなぎ 耳を澄まして 道場の朝
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台本を 繰り返し詠み さあ開演 実家劇場 ムスメその1
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無くなれば 満たしてくれた おやつ缶 空っぽにして まだかな と待つ
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父母ちちははとむかし泳いだ海街で 獲れた蜜柑を我が子に与う
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おたよりが通じることのありがたさ 心の便秘 しませんように
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大罪人たいざいにんでも殺されぬ人 善人で突然死ぬ人 どうしてだろう
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帰り道、雪に埋もれた路地裏は 何処とも知れぬ 白いまぼろし
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そこにある 風じゃない声 耳澄ます 人差し指で評する前に
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亡くなりし犬のにほひの残る家 庭の白梅シラウメ今年も咲いて
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