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暖房が寒さに勝てぬ布団から 小一時間も出られずにいる
30
遠くまで来ちゃったなって思うから浜辺を歩くのってこわいよ
11
やる事とやる気が上手くからまらず「まぁいっか〜」がわたしを救う
34
闇の中光が横を流れゆく僕も一緒についてゆきたい
13
冬空に オリオン光る 寒さゆえ はく息白く 夜空に消える
16
滝の音聞こへ来そふな油絵の水霧飛び来て吾にかかるごと
40
無為
(
むい
)
のまま 降りつづく雪 こうなれば
有為
(
うい
)
であろうか 飛ばない飛行機
46
年の瀬に
文
(
ふみ
)
のあてさきかぞへつつ 薄墨いろの
白菊
(
しらぎく
)
を見る
25
ピークなる疲労の夜に浮かぶ星やさしいオリオン私を照らす
34
二軒分 家事と介護を こなすには 知恵を絞りて 手抜き息抜き
36
円の価値はゴミクズとため息をつくあなた無職実家暮らしゴミ出し親任せ
7
名も知らぬ星を紙コップのサイダーに落として互いに一口ずついただきます
7
核兵器も物価も知らぬ猫はおおきく手を振り歩く園児に威嚇したり
8
賀状出す我が人脈も狭まりて卆寿を越せば僅かとなりぬ
23
右脳
(
うのう
)
には 声静かなる 人棲みて 我を動かす 物
創
(
つく
)
る
(
)
時
29
年六度 季節の行事を飾る棚 心ほんわり温き場所なり
36
きみの好きな音楽聴く気になった時 この人が好きと強く感じる
10
埃だと思い込んでた ずっともう星は真上でひかってたのに
11
電話口 後輩の声 懐かしく 深夜残業 頑張ったよね
30
寒さ増し 形見の衣
纏
(
まと
)
ふ冬 妻の帽子と 父のジャンバー
41
修正ペンで塗りつぶした一角がそのまま流れてくエンドロール
9
フード越し風が鳴るのを聴いている星瞬いて流れて消えて
47
六十路なる吾の通信簿 理音四 国美社が三 数体下がり二
40
腹を押す医師の温もり身に沁みて眠りに落つる冬ざれの夜
37
てのひらで慈しんでた太陽の焼け跡が疼いて眠れない
8
年末になるとわらわら現れるカニを横目にカニカマを買う
30
やすき世は箱入りものやかたぬきの 匂い立つなきあはれなりけり
13
寒空の
下
(
もと
)
ひっそりと葉の裏に 剪定逃れ 残る
空蝉
(
うつぜみ
)
36
靴ひもの ほどけて 朝の玄関に 陽だまりいろの 一拍休符/改
20
裸木
(
はだかぎ
)
になりぬ 初冬の
百日紅
(
サルスベリ
)
牡鹿の角の如
美麗
(
びれい
)
なり
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