お引っ越し見慣れた景色よそ者にあなたが去ってからの灰色
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グレゴリオ聖歌の果てて燻り立つ 母よあなたの骨の白さよ
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花ひとつ携へてゆく応へてはくれない母の聲が聴きたく
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桃色の 空遠すぎず 手に取れず 恋はたそがれ 秋は夕暮れ/r 
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いつかこの秋を忘れる 喪失と身軽さだけでここにいたことを
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むなしさの底を知ろうとすることの そのむなしさはいやというほど
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静けさや 音に乗り込む 隅の水 諸君が水を ぬぐうまで
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暮れてゆく空の静寂しじまにただひとり 委ねただろう母の身を泣く
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ああ子らよ「みんなちがってみんないい」吾と吾子だけの三回忌法要
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非通知といふ手ざわりのその下に あるかなきかの人の心は
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このご時世 スタンプひとつで 伝えられ 電話の会話 なんか照れるね
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昨晩はいざ飲み会で食べ過ぎて今日はアイスと特保の茶
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地の底で溶けて抱き合っていたぼくら なり損ないの星座だったね
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の色が からだいだい しゅへ変わる  秋の深みが かきうつりて
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中秋月ちゅうしゅうづき 真円形しんえんけいとは 限らない  けしところに 風流ふうりゅう
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木犀の香り満ちゆく十七夜霞みの月の輝く晩は
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青空の四文字示す二十万の検索結果 あしたあめかあ
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わかれ駅ハラリハラリと手ふりしそ〜その笑みなの母の阿伽陀
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道玄坂 葱まみれの蕎麦すすり浮かれた夜を正常化する
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土曜2時 ベッドの上で 飲むミルク酒を美味いと思えないまま
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長いこと生きてる気がする 僕だけど。ばあちゃんと並び月を見ていた
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風はもう冷たく 君も もう遠く また一つ散る 木の葉 言の葉 
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あの日目に焼き付けた君剥がせずに瞳を閉じて冬を迎える
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レジ前で落とした十円気づかずに 去ろうとする爺 追いかける義理
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紛争のガザの地区では停戦と  始めるは大人幼児ら犠牲
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神様の数限りなく今日の日は金木犀の色の夕焼け
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金木犀キンモクセイ今も香っているかしら海風はこぶのともる
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ゲーセンでとる景品のトキメキは永遠ではないことを知った
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暴れ熊 人の都合で いかれども  俺等おれらも動物 ごめん戦う
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渋柿しぶがきに 焼酎しょうちゅうかけて 二週間 甘柿あまがきよりも かがや身不知みしらず 
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