生産性なき者として生産性なき者のゐる現実を生む
6
ヒトなれば「価値なき生」を継がしむる不自然をこそ誇れよ マジで
6
雨が梅を連れ来て 砂糖と酒に漬かる頃 暑さと夏が来る
14
「ここにいる」叫ぶ蝉たちうらめしき俺もやろうかこの野郎ども
4
お祭りと虐殺 同時にこの星で  人類はまだ スイカ食べてる
26
親と子が 孫とひ孫の顔になり ひいじいちゃんの思い出話
33
花火見て求めし君と結ばれし愛を囁く夏のホームで
9
叱責と残業と雨と靴擦れと フルーチェ全部食べていいよね
30
新しい街の生活 少しだけバカンスのよに一週が過ぐ
41
兵庫県の誰かじゃなくて、可愛らしいおねだりなんじゃないですか服プレ日っすよ
13
層になり歴史と酒がもてなされ紳士の場所へ 二十歳になったら
21
丁寧な暮らし生き方憧れる せめて歌はと丁寧に詠む
55
無花果いちじくのほのかに甘い風香る 無花果の木の小さな木陰
36
鳳蝶アゲハチョウひらりひらりと舞ってゆく 季節に乗って翔び去ってゆく
34
「まだ読むの?」疲れた兄ちゃん逃げたいが 一歳あと追う「もういっかい!」
22
やっぱりね楽しさ倍増アンサンブル フルートの醍醐味仲間と味わう
21
二十年ここで寝たんだこのベッド 嫁ぐ日近し涙あふれる\思い出
20
「受かったよ!」弾んだ声が忘られぬ 電話口に見た息子の笑顔\思い出
20
帰り際こっそり小遣いくれた義母はは 微笑む写真を今日も眺める
32
夏という季節が決壊した様な豪雨が僕を叩き続ける
39
お彼岸が近づいて来て曼珠沙華ヒガンバナ 今年も変わらず頭を出した
29
ゆりかごの歌を一緒に口ずさむ 親子互いの歌声聴いて
34
Utakataの一首一首に心寄せ 想像巡らし読むのは楽し
40
午後の陽が少し傾く夏がゆく 跨線橋から電車を見てる
41
波音に耳を澄ませば満ちてくる 人は何処かにみなもとを持つ
37
外国語 学び初めて知る 母語の 身近にあふれる月とお日さま
27
夜のびて 雨雲 空を隠すとも 月日はいつも この世 照らして
25
偶然が偶然を呼ぶこの惑星ほしで一緒に焼こうお好み焼きを
44
疱疹ほうしんは赤くふくれて我に告ぐ「このお身体からだはお疲れですよ」
57
とぐろ巻く 気持ちがとびだしそうになり 父と離れる時間を買った
30