耳たぶに伝言ひとつ残すためストーブの前動けずにいる
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五時間を耐えて辿れば 純白の実家(さと)に積もれる 古き思ひ出
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ライターの 炎ばかりが鮮やかで 雪に潜んだ 灰色の冬
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独り身の寂しさ煮詰めたかのようなレトルトカレー食む寝正月
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ふやけてる餅を置く皿なでている除菌シートをぼくは信じる
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寒い街抜けて電車に揺られれば君に会うまで少し眠ろう
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「さよなら」は言わずに降りる各駅の故郷遠く動き出す窓
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愛犬の骨壷を抱く 嗚呼キミもここに一緒に来たかったよね \ 新居に移りました
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暁がほころんでゆくきっかけとなるべくチャリの明かりを灯す
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歯の隙間 誇らしげなる 子の笑顔 小さき前歯 生えし日浮かぶ
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頬を刺す 風感じつつ お迎えに 陽が長くなり 夕焼けを見る
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悲しみに遭わないよりも遭ってなお笑える生をあなたに願う
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雪景色 君への想い 降り積もる 春の訪れ まだ先にあり
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淹れたての コーヒーの香りは 僕をまた 君へといざなう 飲み終えるまで
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トヨの上を滑り落ちゆく雪のように 飛んで行けると夢想した頃/子供の頃 屋根の上で
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恵方巻 ばっさり切って皆で分け だって色々食べたいもんね?
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「ほんとはね」きみの気持ちを知った夜やさしい言葉がわたしを包む
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お年寄り黙々と雪掻き続く 豪雪画面言葉なく見ゆ
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目覚めれば窓に飛び込む雪景色 天が促す清き一票
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飛行機の 音が近づき 遠ざかる 70キロ先 仙台空港
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設定を 3度落として 温みたる 陽射し入り込む 家ド真ん中
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ユーミンの歌詞が優しく飛んでゆく冬と春との間の空に
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吐く息にいつか消えてくときめきと君が焼いたパウンドケーキ
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春らしいひかりが僕の自転車に反射している きみに会いたい
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好物で私が決まっていくのならとっくにデジタル 劣化の知能
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ジャガイモもトマトもタバコも唐辛子もナス科 親戚多くて良いね
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大粒の 雨も冷たくないんだよ ヤニ食ってれば 肺は暖か
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一九三一年九月画を画き戰端を開きぬ旧宗主の名を日本 といふ
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締切と 雑務に追われ ひと月が 過ぎて気づけば 花香る春
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椿散るさよなら冬が好きなひと あとに残るは春と桜と
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