落葉らくようの木々はそれぞれ色のなく白樺の幹とカラマツの黄と
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まっ暗な海であなたが迷わぬよう、明かりを灯すわたしでありたい。
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本にはさむ紙のきれはし 栞になったら大人
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三毛猫の頭を撫でて願います、君の一日幸せであれ。
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木枯しの一号雲を掃き清め澄みし御空に十三夜月
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午後に聞くオルゴールの曲優しけり尖りし吾を撫でるが如し
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別れ際君にあげたあのブラシ二人の仲も解きほぐせたら
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声援が飛び交う校庭走る子ら我も走らん心響かせ
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紅葉に染まる街路樹 紅き葉がはらりと舞いて我が髪に落つ
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たくさんの 宿題抱えた ぼくをみて キリギリスだねと 父が笑った
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ややこしい期待を背負う 併殺になるなら三振してくれよって
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つらひとき 歌に気持ちを したたむる 自己流アンガーマネジメント
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街中まちじゅうに散りばめられし紅葉の輝き増して霜月飾る
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誰かという人に優しくされるたび生きてるうちに借りかえしたい
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「さようなら」蒼くはかな五文字いつもじを 君がために知り 風と散りゆく
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シリウスは オルゴールのごと ティンコロと 優しき音色で またたきており
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何年も 歩んだ道のふりだしに 戻ってきたが まぁ良しとしよう
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名前見て買うぞと決めしオクラサラダ食べ始めたら大根サラダ
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日曜の二十二時押す破棄ボタン 音楽作りが楽しくなくて
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秋の句に収まりの良き語彙探す時間かかりて雲流れ往く
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衣替へ茶色の背広を羽織ったら 枯れにさがる蓑虫のごと
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ふすーっと 愛犬息つく その音に 幸せだねと 夫と頷く
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プラン機種かんたん決済カード無しそれさえ合わぬ機種変って何?
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物価高 遅れる電車 鈍い人 モヤモヤスイッチ オフっておこう!
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こたつ出し きみと丸まる 冬が来る 柚子茶を淹れて 今日は休養
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紅葉こうようは 赤き金魚の形して 碧空あおぞらの池で 泳ぎ舞い散る
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お向かいのママと坊やは外に出て満月の中にうさぎを探す
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老友が三人みたり浸かった銭湯で お互いの腹こっそりみくらべ
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月満ちるはずの夜空を覆いたる いけずな雲に送るため息
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いつもより三割増しの大きさで月は静かに側に来ていた
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