二度咲きは小さく可憐 夏空に薄紫の藤の花咲く
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夏休み静けさの中出勤す 校庭にははや工事の足場
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音も無く陽炎かげろうゆれる濃い桃の百日紅さるすべり咲く 誰も居ぬ午後
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五輪祭 地続きで鳴る銃声よ 79年の広島忌かな
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気がつけば靴も鞄もTシャツも電車柄だね二歳のわが子
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油絵のような大雲黄金色 夏の夕暮れただ息を呑む
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どんなにか素敵だろうかあの人に〝ありがとう〟って伝えられたら
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降る雨の雫の中に秋がある 清めの如くわだちを染めて
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茹でたての枝豆を噛む喜びよ 夏という名のご馳走がある
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人生は神様が書いた物語 俺はページを日々めくるだけ
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「まだ読むの?」疲れた兄ちゃん逃げたいが 一歳あと追う「もういっかい!」
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波音に耳を澄ませば満ちてくる 人は何処かにみなもとを持つ
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外国語 学び初めて知る 母語の 身近にあふれる月とお日さま
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夜のびて 雨雲 空を隠すとも 月日はいつも この世 照らして
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解体の音もさみしき秋の雨誰かが住んだ家が無くなる
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海底を二万マイルも行くように静かに静かに寝ます おやすみ
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口内にニッキの飴玉放り込み転がす《20時》オフィスを占拠
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祭り済む小さき村に笛の音の聞こえた様な秋の風吹く
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分厚めの 段ボール箱に毛布敷き  冬じたくして あのミケを待つ
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病床の猫にチョッキを編んだ日は独りぼっちの今日を知らない
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悪くない風が吹いてる小春日は会えない人に会いに出かける
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ホラー映画見て寝られなくなっている自分 なんだか愛おしいよな
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冬空に明星一つ煌々と遺す光は地上を照らす /追悼 谷川俊太郎様
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袴田さんに謝罪をしたら済むことか長過ぎる日々あまりに長い
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冬風と戯れるよに舞うとんび 空は遥かに広くて青い
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また明日遊ぼうねって今日の日の終わりを惜しみ吾子とつなぐ手
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来る年は 言祝ぐうたを 詠めるよう 願いを込めて拭き掃除する
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故郷の冬は寒くて冷たくて夜は暗くて星が綺麗で
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お野菜は三食取りなと言った日から 確かに歳を取った気がする
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もふもふの愛犬いぬの形の空洞を抱えて生きる ささ身を供える
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