人の世と 猫の世つなぐ 縁側で 冬用毛布をたたんで くしゃみ
56
並び立つ者などいない君ひとり誰もが誇れ己が命を
25
奥歯欠け 型取りまでに 二週待ち 接着までに もう二週とは
27
思ひ出と共に 今も手元に残る あるじなき 祖父母の家の鍵
35
かすむ名を召しあげとかす今日の青 胸をつらぬく三月のそら
21
もう桜咲いてしまうよ咲くんだよ咲くんだよあなたがいなくても
15
すぐそこの春の気配をかき消してびゅんびゅん吹雪く冬のプライド
27
透明の水彩画からこぼれ落ちだいじな欠片かけらうまくけない
24
久々に 風邪をひいたか 重い腰 上げて加湿器 お手入れからだ
26
夕方はすみれ色してまほろばの如く優しく染まる街角
53
砂塵より 花粉舞い散る 舗装路の 公的工事の 適正を問う
18
いただきを 目指せ 困難 有ろうとも 高い場所ほど 風吹くものだ
36
お互いに 相思相愛 知りながら 無意味に帰る 別々のドア
25
バスの外いつも通りの街と人 いつも通りがありがたい今日
19
風止んで 瞬く空や 暖を取り スマホ立て掛け 聴くドビュッシー
20
向日葵ひまわりの笑顔のような貴女きみだから 黄金色こがねいろした糸で進める/刺し子
34
言葉にはならない気持ち 春風が吹いて撫でてくこの感情を
57
落涙し 絵になる女と ならぬ我 顔面格差に なお泣けてくる
25
ちぐはぐな組み合わせだね冬コート 春を先取り白のタイトスカートタイト
40
忘れない 君はここにいる 受け継ぎし 孫のしぐさに 君生きており
19
人肌を忘れたてのひら愛されぬよりも愛さぬことをこそ憂う
7
いい嫁を 演じるつもり ないけれど 遣う気の分 魂抜ける
25
二十年前のわたしが綴ることまだ何ひとつ叶えてないよ
14
父に似た人 二度見して すれちがい 背中見送り 春 ひとめぐり
61
予定見て 今日行くところ あるだけで 心うきうき 朝が始まる
17
名も柄もわれに似ているボケ木瓜の花 木偶の坊にも春の彩り
39
老木の ひなたの桜 満開で パワーもらいし 五十二の春
33
娘から投函頼まれ必ずと愚直に手で持つ言われた通りに
22
有明の夢とぞ憶えし逢瀬なら月満つるまで夜桜に泣く
25
君からの 『竹踏み』するたび 運動バカの君と共にいし 日々あたたかし
13