読書中「臘月」の字の見えなくて 二本の指で拡大……できず
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百均に毛糸の入荷を知ったから空色ヘルで夕暮れを漕ぐ
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息子はもう二十六歳この歳にあなたと結婚したの不思議ね
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小粒でも 吾が作りし葡萄粒マスカット 孫が頬張るほっぺは可愛ゆ 
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百均の一本百円ボールペン複数本よりオーラ出しをり
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炎天の芙蓉の白は招きをり見つめし花は日焼けの泣き顔
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向日葵の種を目に植え太陽を やけることなく見詰められたら
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青き空 子らの笑顔に 風ひかり 争いなき世 祈り重ねて
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この汗もけだし息災なればこそ かわや磨きの長月の朝
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はたらけるうちははたらくそのあとで原にはらばふ亡骸となれ
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サンダルの化け物が出た泣く息子遊んだ夏を思い出したの
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ほおばれば嚥下障害母さんは飲み込めぬままリスさんになり
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コンビニからイートインが撤去され暑い外にて熱いあんまん
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巡り来る春夏秋冬教えれば 「台風はどこ」 幼子の問う
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何を美と するかは人に よるとして。 私は酢豚にパインを許さぬ
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低気圧 私の心は雲模様 折り畳み傘が必要でしょう
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漆黒の兜のような革椅子の高さで量る社長の機嫌
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遠隔の地での闘病いかなるや延命治療は兄望みしか
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熱帯夜でもなく火照る頬 あなた想い眠る夜よ 冷えた足首が痛い
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時は令和 恋はなんだか涼しげで、ちょっぴり悲しい 乙女の憧れ黒電話
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迷惑や嫌な思いをさせぬようアワアワしたりフワフワしたり
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連絡先が消せるほど私は強くない 過去を振り返っては涙拭う日々
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好きの対義語 「興味がない」 ならばいっそ嫌われてしまおうか 揺らぐ恋心
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指先のおぼつかなくて 洗面の鏡に映る 忍ぶれど秋
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木漏れ月 その美しさは映らぬと 月より遠い人に話した
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赤じゃなく紫ほどになれるなら他人といえどまだ救いあり
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真夏日の居座る白露はくろ 傍らに秋はぬ 暦を見る如く/二十四節気
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畑仕事ペットボトルに喉鳴らす 今日の空 ほら 水浅葱色/ 時田則雄から
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思い出すヒマないように挑戦だ歌にドラムにそれから何を
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帝国ホテルダージリン口に君を待つポケットに小さな箱
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