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名も知らぬ星を紙コップのサイダーに落として互いに一口ずついただきます
7
核兵器も物価も知らぬ猫はおおきく手を振り歩く園児に威嚇したり
8
賀状出す我が人脈も狭まりて卆寿を越せば僅かとなりぬ
23
右脳
(
うのう
)
には 声静かなる 人棲みて 我を動かす 物
創
(
つく
)
る
(
)
時
29
きみの好きな音楽聴く気になった時 この人が好きと強く感じる
10
埃だと思い込んでた ずっともう星は真上でひかってたのに
11
電話口 後輩の声 懐かしく 深夜残業 頑張ったよね
30
寒さ増し 形見の衣
纏
(
まと
)
ふ冬 妻の帽子と 父のジャンバー
41
修正ペンで塗りつぶした一角がそのまま流れてくエンドロール
9
腹を押す医師の温もり身に沁みて眠りに落つる冬ざれの夜
37
暁の空に下弦の細い月 雲にのまれて隠れて消えた
23
てのひらで慈しんでた太陽の焼け跡が疼いて眠れない
8
年末になるとわらわら現れるカニを横目にカニカマを買う
30
やすき世は箱入りものやかたぬきの 匂い立つなきあはれなりけり
13
寒空の
下
(
もと
)
ひっそりと葉の裏に 剪定逃れ 残る
空蝉
(
うつぜみ
)
36
靴ひもの ほどけて 朝の玄関に 陽だまりいろの 一拍休符/改
20
裸木
(
はだかぎ
)
になりぬ 初冬の
百日紅
(
サルスベリ
)
牡鹿の角の如
美麗
(
びれい
)
なり
34
ベランダで「どこから来たん?」ひとり
言
(
ご
)
つ 日なたの
丸
(
まろ
)
き てんとう虫に /九階
40
道幅は雪で狭まりこの街のメインの通りは渋滞発生
28
ほお紅く染めて抱きつく妹が本当はいそうな雪の降る午後
36
レポートを二本提出 改めて課題三本 明日はプラゴミ
26
陰鬱な気持ちを抱え込んで寝る僕を干したて布団が包む
10
はだいろがピンクベージュと名を変えて澄まして座るクレヨンの箱
36
愛犬の逮捕に走る 転がったワインのコルク咥えて逃げた
34
完全を知らないままの不完全 服もメイクも無意味なこころ
7
アドラー心理学を実践できない私に生きる価値はあるのかな
6
東北の冬の青空ありがたし磐梯山の雪の輝く
36
木の間より差し来る朝日サンゴジュの僅かに残る熟れし実照らす
33
想い出は街をぐるりと歩いた日 兄の遺した紬をほどく
37
雨あがり 澄んだ夜風に 洗われた 桜の枝に 蕾が一つ
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