ある人は口開けある人は凭れ掛かり優先席の長閑なる午後
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きらきらと春呼び寄せる陽光にスカートの裾ひらりと揺れる
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ひまわりのような恋なら古希だって「あのね」「介護じゃないよ」「うふふよ」
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立春を十日過ぎても真冬日の桜もちだけ唯一の春
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白い蕎麦、人見知り猫、冷の酒。僕を愛する準備はできる
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鼻の粉さえ厭わずに口つぐみ羽根こそ狐と君の焼き上げ
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ころころと笑うあなたの手料理の熱々ポトフにまろき芽キャベツ
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萎れたるポインセチアの花殻を摘みて春光注ぐ如月
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ケースの中 48色の色鉛筆 春の彩り 足りるだろうか
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桃色の 花を飾りて 春が来る 長き冬の日 忘れるほどに
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許されぬ 恋に落ち逝く運命なら ともに地獄へ行方もしあわせ
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故郷にも 今では建ちぬ 住宅地 我が想い出の 畦道いづこ
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生きるのに絶望しても血税で死後の処理とは何か苦しい
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目標は生きる力になるかもとカンパネラ弾く漁師を都度見る
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「忘れてた」とはにかむ君を待ってたい空いた椅子にはひかりの座布団
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白紙こそ最強の歌。泥を撥ね生きて戻った俺がキラーワード
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マイペース こねこのように のびのびと 生きてみたいね ヒトは不自由
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退社後のバス停 濡れたアスファルト ベンチのしずく 通り雨の跡
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ふとふ 二文字ふたもじの中に 綺羅星きらぼしと 風と泉と 夜櫻よざくら
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枝垂れ梅のトンネル抜けて吹く風は戻りし寒さと芳香乗せて /梅林にて
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今もなお時を刻めり腕時計 手にとる朝に早春の風
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施設での義姉あねの暮らしも一年にスマホの画像に「私じゃない」と
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髪を切り隠す訳では無いけれど何か気付いて欲しかったかな
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柿の実を啄む鳥と睦月去りからす一羽の裸木の空
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隠し財布より 出る遺品の メモ書きは 父に渡した 我の番号
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アラ古希の働く人の七割がリア充らしい そうなんですか
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ヤオコーの店内曲が脳内に ループしている止めたいけれど
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まだ恋を知らぬ吾子つれ万智は西へ 3.11 早十五年
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妻となる人を知らずにひと部屋のアパートにゐた男がよぎる
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原発の処理は進まずまたけふもだれかがつくる灯りをともす
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