ベランダで「どこから来たん?」ひとりつ 日なたのまろき てんとう虫に /九階
40
道幅は雪で狭まりこの街のメインの通りは渋滞発生
28
寝つかれぬ虎落笛もがりぶえをも聞こえぬ夜三十一の糸編んではほどく
37
ほお紅く染めて抱きつく妹が本当はいそうな雪の降る午後
36
愛犬の逮捕に走る 転がったワインのコルク咥えて逃げた
34
完全を知らないままの不完全 服もメイクも無意味なこころ
7
東北の冬の青空ありがたし磐梯山の雪の輝く
36
木の間より差し来る朝日サンゴジュの僅かに残る熟れし実照らす
33
雨の降る 師走の街に ちり流れ 過ぎし一ひととせ 思はるる夜
29
想い出は街をぐるりと歩いた日 兄の遺した紬をほどく
37
雨あがり 澄んだ夜風に 洗われた 桜の枝に 蕾が一つ
42
暁に 消え入りそうな下弦月 師走の空の雲間隠るる 
27
納言女史「冬はつとめて」って正気かよ 暗くて眠くて冷たいだけじゃん
17
空気澄み 雪被る山 遠く見て 冬の覚悟と 春待つ希望
30
切なきや闘病重ね逝きしの笑顔が浮かぶ氷雨降る夜
32
どうやって自分の体を愛せるか 自分を女と受け入れるのか
5
薔薇色と すみれ混ぜたる 揚羽蝶あげはちょうの 形崩して 逝く夕雲よ
25
八朔はっさくがおっきな箱で届く朝 フライング気味サンタ姉さん
33
アンハッピーあなたに恋したあの日から まじ最悪だしさっさと振って
7
生きているそれが奇跡のあなたとかちっとも心に響いて来ない
29
清しきは冬の日の出のまばゆさよ 干し物しつつ息白くして
33
桃あわく真冬日に咲くアサガオの小ぶりな花のひと日の笑顔
32
朝四時の アラームを無視 二度寝する 猫に耳たぶ 噛まれて起きる😓
31
スマホでも着信音は黒電話まぎれず目立つと介護の折に
24
怖いから歯をむき出して威嚇する 動物すらもしない仕草で
13
まだ固い 梅の蕾の その先の 親友ともの未来も 代わりに歩む/命日に寄せて
30
ジーンズで来たらダメとの御触れ出て迎えた社長ジーンズでした
25
旧友とメールやり取り そつなくも AI作のコピペが映える
17
疲れたと床に寝転び一休み、いや三休み、五つ休みか
30
雲のない夕暮れの山その奥にそびえるあの山クリアに捉え/冬の晴れた日限定
24