帰り道、雪に埋もれた路地裏は 何処とも知れぬ 白いまぼろし
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傘持たぬ人しょんぼりと佇ませ赤信号の悠々と光る
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亡くなりし犬のにほひの残る家 庭の白梅シラウメ今年も咲いて
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病棟の 父への葉書に歌一首 余白で伝わるものの多かれ
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ビワの木は挿し木してから二十年 今年もたわわに大きな実を付け
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故郷に今年も咲いた亡き祖父の自慢の深紅の霧島ツツジ
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母とは揃いのバッグでツーショット 嫁ぐ前の最後の旅行
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今は亡き友のアドレス名簿から消去できなく時々眺める
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別名を十字架草と言うらしき ドクダミの花を花瓶に生ける
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切り株のくぼみに誰が植えたのか可憐な姿の初雪カズラ
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「できたよ!」と喜ぶ孫に拍手する 私は増える出来ないことが
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出来ることまた一つ増えて立ち上がる「ほーら どこにもつかまってないよ!」
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立てた子は何度も何度もやって見せ 兄は並んでスクワットする
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「癒されます」その一言で頑張れる 今日も歩くよ老犬と私
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吾が友の踏みつけられている人の自由訴う筆頼もしき
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野良猫に道を譲った 僕もまだ誰かの役に立てるだろうか
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丁寧な暮らし生き方憧れる せめて歌はと丁寧に詠む
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無花果いちじくのほのかに甘い風香る 無花果の木の小さな木陰
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鳳蝶アゲハチョウひらりひらりと舞ってゆく 季節に乗って翔び去ってゆく
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夏という季節が決壊した様な豪雨が僕を叩き続ける
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ゆりかごの歌を一緒に口ずさむ 親子互いの歌声聴いて
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午後の陽が少し傾く夏がゆく 跨線橋から電車を見てる
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晴れ着着た さき手を取り 踏む砂利は 人生時計 秒針の音
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遺された 毛糸で膝掛け 編む夜は 胸に去来す あの日の笑顔
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残高を指でなぞって考える いくらあったら逝けるのだろう
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吾に声 掛けし笑顔の 看護師は 「十五の春」の 面影残せり
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眠れないまたも嬉しい寝不足はお泊りに来た君のせいだよ
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いつもより薄手のコートで街に出る 春が私に手招きをする
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本日より薄手コートを解禁! 身も軽いけど心も軽い
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帰り道 花びら乗せた野良猫になぐさめられて 3マス進む
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