貢茶の黒糖烏龍ミルクティーもうちょいコクがあれば尚良し
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タイマーで富士を撮る人そこにいて小さき写真持ちて映りし
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川流るる春の市  子どものころからすきでした 市川春子
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照明をダウンライトで暗くする 君の寝息がみこんでくる
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帰り道、雪に埋もれた路地裏は 何処とも知れぬ 白いまぼろし
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顔面に覆い被さる墓土はかつちの息苦しさをふと思い出す
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街中まちなかでクリームソーダを見かけたら 必ず私を思い出す魔法
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ゆるせない奴は痛くも痒くもない 別に私にゆるされずとも
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鈍色にびいろの空へ連なる鉄塔が遠近法を確かめている
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どうしても別れの多い冬だった さよなら さよなら 手を振る 届け
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こごみ たらの芽 ふきのとう 春がきた シェフも来てはくれまいか
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カワラヒワ 春は名のみの 砂嵐 飛び立とうにも 千鳥足かな
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食べないの? 窓辺のベビーリーフ 黄色い小さき 主張の花咲く
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今すぐに 欲しいよ君の鈍感力 些細なことに 気づき傷つき
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猫柄のトイレットペーパー買いまして 使いきらなくちゃ 無地ペーパー
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三日月と あれはオリオン、ストーブの匂い お手々をつないで帰ろう
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雪の夜に 哺乳瓶を洗う水 街中彷徨い 途方にくれし
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体育館 威風堂々 聞こえれば 春はすぐそこ サクラサク よと
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石鹸のように小さく薄くなり。母なる人のフォルムとおと
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まだすこし、すこしあかるい空があり 明日はあなたに会えるでしょうか
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デカい犬 みたいなやつだ お前には お預けを食う 友達のまま
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どうせなら全部あげるね 憎しみを、愛を、破滅を、私の世界を
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僕だけが 取り残された 青春を きみはとっくに 駆け抜けていた
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外苑の 花弁の淡きに 目もくれず 名古屋嬢は 卑しき紅差す
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何がため 排ガスの中 咲く生命 太閤通りは 幾度目の春
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ビル風で 明日の朝には 散るようで 今宵だけでも 君を愛そう
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散り際に 愛していたと 呟いて 私の知らない 街へと消えるの
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春の夜を 謳歌しようか 赤線に ネオンの桜花 やがて死のうか
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この花を 見ればピンモン 欲しくなる リスカで染まる 腕も震えて
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見てほしい ときに来ないの 貴方って オフィスの窓の 傍に居るのに
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