優先席二回も譲られ改めて鏡で見たら ああ、やっぱりか
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食事終え今日はゆっくり茶が飲める ちょっと雑だが息子が皿洗う
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しくじった!収穫一日待ったのに 庭は一面ビワの食べかす
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歩いたよ!ラインが届く祖父祖母ジジババに よーし、決まった今度のみやげ
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トリミング 毛まみれ奮闘三十分 犬はスッキリ近づく夏に
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愛犬は涼しい部屋で昼寝する 私はしのぐ扇風機の前
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牛乳販売業の青年嗣ひとり開拓地へシャープペンシルの替芯吊る 飼育
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コンビニエンスストアへ三十六個のクピドの刎首の罐詰の茹豆
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思春期の 中学68年生 卒業試験に苦戦しており
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老親を施設に入れる日近づいて鬼になるからと言い泣く彼女
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お祭りと虐殺 同時にこの星で  人類はまだ スイカ食べてる
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背の高い選手がクロスに打ち込めばリベロが飛び込むネーションズリーグ
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まっすぐに空に伸びゆくベクトルを感じさせ立つ欅の大樹
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ノートルダム寺院。青年戴冠式に侯はば受け賜らむか 御旨
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祖国なし 埃及出自浅黒き橄欖樹へ暗紅の實はふふらまず
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洗礼名ヨハン・シュトラウス ドナウは昏く靑きゆゑにうつくし
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暑気払い喉ごしつるりと夏の蕎麦やっぱり蕎麦湯はいただくこととす
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いつもより幼いカラスの鳴き声が巣立ちを告げる八月の朝
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ご主人は何の仕事をしているのそれ今ここで必要ですか/上の句いろいろあるよねー
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辛くても息を抑えて手づかみでホールケーキを呑んで眠るの
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幸せは自分で決めるものだから 私を守る猫とコロッケ
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薄暗い部屋で右手を強打して生きていること感じる痛み
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この気持ち喜怒哀楽のどれなのか分からないまま涙は流れ
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解体の音もさみしき秋の雨誰かが住んだ家が無くなる
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木犀の香り今年も漂って案外僕らは幼いままで
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海底を二万マイルも行くように静かに静かに寝ます おやすみ
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帰宅してシャワー浴びれば流れゆく私の形の見えない何か
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包丁を逆さに持って皮をぐ ゴボウの白さにいつも驚く
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分厚めの 段ボール箱に毛布敷き  冬じたくして あのミケを待つ
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正気ではやってられない世の中に なじめる狂気 身につけて冬
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