はじまりの熱が恋しい 色あせた本の頁を片手間に繰る
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川向こふ山藤垂れる木立にて今日聞くウグイスいと美声なり
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採血しだるさたまらぬ帰り道言い訳で買うかっぱえびせん(380kcal)
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藤棚のの下 余韻に浸りをり 数多あまた国宝たからに酔いしれし後 /奈良国立博物館『超国宝』
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忙しい一日だった待ちかねた布団の中に昨日の湯たんぽ
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理由わけあって大事にされるパンダたち理由わけありだけは私負けない
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大切な子供を産んで引き裂かれ死に損なえば私ゴミだな
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保護費では誰も満たせず我が身から抜けた長髪誰かへ集める
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つばくらめ空ひるがへり急降下まなこで追ふも秒で消へさる
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本当ほんとなら 生きていれば・・・を 飲み込んで 十六歳の 日を祝うなり
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蒲公英タンポポの綿毛を手にし風を待つ三歳みとせの孫の眼には青空
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二人して十一連休過ごし居れば口癖となる「今日何曜日?」
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そのポプリ二年経っても香り立つ美郷雪花みさとせっかの香りに見る君
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ラベンダー鉢植えの前動けない「私の子かも?」カートに乗せる
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年末にマイクロいちごのひと粒を「甘い」と褒めた今年は違うぞ
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赤苺、白苺、には受粉時花粉混ぜない耳掻き梵天
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公園で猫の祭りがあるらしいベッドタウンが留守になる日に
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上手く詠もう、上手く詠もうとするほどに自分らしさがわからなくなり
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姿なく 「ヒーヒーヒー」と 聞こえおる 野鳥とりの名前ぞ ついとわからず
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見渡せば木立の中の木漏れ日に白きシャツ着た在りし日の夫キミ
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ネモヒラは地平の果てまで淡く咲き蒼き海へと溶けて重なる
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枝々にさき若葉の芽吹きめ 鉢の生命いのちも夏立つを知る
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人の世を暮れのくらきにくらぶれば 今は足もとのみぞたよりに
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贅沢を禁じられてる保護世帯眠る時間は誰よりもある
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医療費は免除されても受診せぬバス停までも歩けない母
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これからは捨てて行こうよ胸の底重たい石を持たず生きよう
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早朝のドジャース戦は「あんぱん」見る間に大量リード
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パスワード記憶にございませぬゆえにアップデートも出来ずにいます
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母さんは親の言うなり従って不幸になったと知りつ言わない
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あの人はどうしてるかと思いだす ブロックされていないか見に行く
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