窓開けた瞬時に聞こえたホーホケキョ 散歩うながす雨上がりの朝
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やっぱりねアナログがいい アルバムを開けばそこに家族の笑顔
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せわしさにコーンフレークを掻き込んで春居丈高いたけだかに来たりと思う
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ころもかりぎぬくづる花争へ流鏑の音 正鵠を逸す 
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さみどりが うなづく川辺 伸びしろが 少ないなりに 肯定されて
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冬の日も 雨降る夏も お別れも 過ぎてしまえば 戻らないから
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富める日本。夢遊病にてくちずさむ約束手形に偽眞珠母 生る
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永久戰犯數長らへる政権の中枢一家に災禍はあら ず
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すくわれて向こうに行けと流される小魚になり途方に暮れる
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シャリシャリと月の形の梨を喰む夜暗がりに小さく泣いて
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透けている血管の青と紫を今更ながら優しく撫でる
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テレビ前 後ろで手を組む父と息子は おんなじかたち やっぱり親子 \ 世界陸上観戦
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の岸も の岸もなし 海原を 白銀に染める 羽田の朝陽
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おしなべて 花蕾からいは天に 向かいおり 空色の花 咲かせるが為
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また一人 昭和のじいが 亡くなって 透明感が 増す秋の空
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読経の 僧侶の袈裟は 藍白あいしろに 金銀の雲 暮れてゆく秋
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花の色 草の緑を 焼きつける あとひと月も すれば白銀
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また一つ増えてしまった不安ごと 息子の健診結果を盗み見
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国会のテレビ中継見入りつつ行方を案ずまつりごとかな
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バレンタイン あなたの為にリボンつけ 気持ちに蓋をし自分で食べる/「真心」
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替えの効く生を受けても 代替のそいつは僕を詠えないだろ
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笑いつつ 手を取り走れば 粉雪が なれが睫毛に 我の睫毛に
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雪よりも一足先に白散らせ 月夜が照らす 八重の山茶花
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頼まれて買物提げて娘来しシンクの汚れを見かねて磨けり
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親の前 泣けない子供 たちはどこで 泣いてるんだろう 声がきこえて
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一晩中 雪の明かりに 照らされて 白夜なのかと 見紛みまごうほどの
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蕎麦買いに 蕎麦だけ買うの 忘れきて おおむね詰めの 甘い一年 / 反省
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吾の雑煮 息子美味いと 好評価 妻の遺影に 笑顔で供へ
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蜂蜜を紅茶に垂らす一年が穏やかなれと出初めの朝に
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この上なく 遠いお空に 下弦の月 むせび泣くよう 寒夜かんやに揺れて
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