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にぎやかな運河の街に雨が降る私も流れ海になれたら
16
影踏みを夏の遊びと過ごしたが日傘さす今影持ち歩く
16
鍵盤を ひとつ弾けば ポンと鳴る 閉じた窓から 流れるゴスペル
/
鍵
14
階下降り 籐ラグ涼しや 虫のこえ 音痴が
一匹
(
いちひき
)
耳も
耄碌
(
もうろく
)
9
言えぬこと言い足りないこと胃に収め大和撫子のふりをしてみる
15
予後不良心膜炎経過観察このよのほかにいくるすべなく
6
生きてれば ほめてもらえたあの頃を 夢見て眠り 目覚めて泣いた
27
利き腕にかたぶく重心コロナゆゑ千鳥足にて揺るる視界は
5
虫の音に目覚め薄闇ひんやりと朝か夕かとしばし哀しき
16
あのオバチャン只者じゃないレジ打ちがメチャクチャ速いスーパーウーマン
9
菅原や伏見の里に月冴えて
生駒
(
いこま
)
の
岳
(
たけ
)
を渡る
雁
(
かりがね
)
7
山の巣に帰る鴉の声絶えて野寺の松に月出でにけり
6
振り捨てし世の恋しくぞなりまさる伏見の里の鈴虫の声
4
戦争に秋深まりぬ咲き及ぶ石蕗の先しがみ付く蟷螂
5
きときとの バスは満員 坂道を 右にひだりに ゆれて頂上
/
除幕式
12
姑を入所させたとまだ言えず窓に額をつけて月みる
22
病床で歌う「ふるさと」ゆるやかに かのやまの
彼
(
か
)
を
忘却
(
わす
)
れゆく人
37
淡桃のみぞれはすでに脳にあり八度八分の唇は待つ
14
幼子が小声で歌う鼻歌を 聞いて
瞬
(
またた
)
く冬の星々
36
物置きの奥の奥にはスノボーがもう戻れない冬の香りす
15
父母
(
ちちはは
)
とむかし泳いだ海街で 獲れた蜜柑を我が子に与う
35
一歳の我が子は全ての食べ物を ば・な・な、ば・な・な と呼んで笑うよ
34
晩熟を滴る麦と稲が穂のふたつわかれになりにけるかな
6
戦争にゆかさるるわれらの平和 「今そこにある危機」を忘れて
5
ぜんそくのこどもの病室あかりがみえる 明けないよるをなみだぬぐいて
15
めいわくをかけてもいいという人に 肩ちからぬけ安堵のためいき
12
口ずさむ孫のミサ曲やさしくて 生きる深きを海面にえがく
15
リハビリのジムにときめく冒険は コードがともの宇宙遊泳
11
サンタにも病魔とりつきリハビリ中 さちとどけたい杖つきつつも
8
ふらふらにリズム追いかけリハビリで こころとからだおどるエアロビ
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