「兵器には自由があってころしてくれるぼくたちの敵に 自由は?」
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志願せる少年兵はためらはず窃盗、強姦、虐殺す けふのことだよ
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万国旗 ゆめのやうなる朝の空へ人は手をさしのべてをりぬ へ
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われわれは優生学の黄昏に未來過去へのプルトンの鐘を負ふ
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川底にキラリと光った小魚は流れに逆らい上へ上へと
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風運ぶ 青さが少し薄れゆく  ホットコーヒー 夏に句点を。
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現世では ちょっぴりつらい みち歩く 宿命だよね なら仕方なし
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夏という季節が決壊した様な豪雨が僕を叩き続ける
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叶うなら かもめに伝言 託したし 私は元気と ただ一言を
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外国語 学び初めて知る 母語の 身近にあふれる月とお日さま
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急ぎ旅なれどコスモス風に揺れ吾を迎える ふるさとは秋
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日替りの社食のデカい唐揚げが嬉しい三十二歳児の秋
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ものづくり琴線ふれる作品は平明にして気をてらわない
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山肌やまはだに 落葉布団ぶとんを 掛けし木々 裸になりて 雪衣ゆきごろも待つ
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帰り道 妙義みょうぎの山が しゅに映える 綺麗な夕焼 朱鷺とき色の空
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マッチ売る少女の灯す温もりも絶望も無し電子の煙草
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悪くない風が吹いてる小春日は会えない人に会いに出かける
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今宵また 眠れる夜に 想うこと ごくごく普通 夢のまた夢
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冬空に明星一つ煌々と遺す光は地上を照らす /追悼 谷川俊太郎様
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にびいろの冷たい空に湧き上がる憂鬱の霧わたしを閉ざす
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車窓より見ゆる景色は夢模様 映る我が身はうつつに立てり
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ファミレスに行って帰っただけだけど じぃじ・ばぁばと大切な今日
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「良かったら」席譲る声一駅ごとに心遣いの下町トラム
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心なる野生があって私なる中途半端な生き物がいる
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隣人のいびきに起こされ午前四時思いもかけず満天の星
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今日という特別な日よ吾子からの人生最初の〝おかえり〟の日よ
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きび糖の熱い珈琲牛乳の甘さは記憶いつかの冬の
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三日月は はるか彼方を みつめたまま 振り向きもせず 慕う夕星ゆうづつ
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冬風と戯れるよに舞うとんび 空は遥かに広くて青い
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頷くよう しずりの雪が 落ちるとき 始まる予感 気流のうねり
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