嘘という透明な服を重ね着て 立ち止まるとき僕だけ寒い
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プラマイがゼロになるよう神様が 与えてくれた私の余生
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寒中は 生きていること 思い出す  凍えた両手 包む両手に
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オレンジに熟すクチナシゆらゆらと枝葉の揺れる風冷えの午後
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五年先 十年先も 可愛いと 貴女に言える 未来を信じ
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元気玉 みんなの力を借りる技 みんなこの短歌にいいねをくれ   いいね、いいね、え?いいえ?
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柚子の香の熱湯あつゆに入りて憂きことを洗い流して変身解除
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老い花の恋はまことに見苦しい年老いた今恋も抱かぬ
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守りたい、の「い」で拳を握りしめ 駄目な僕ごと未来へ放つ
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老梅の萎えし枝にも雪積もり 冴え冴えと立ち大寒迎ふ
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今もなお長々ながながし夜に一人寝る仮庵かりほの上に雪はふりつつ
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留守電の長々しゃべる候補者に入れませんよとつぶやいてみる
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あたたかい猫の惑星あるならば私の仕事は猫用ソファー
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猫の星あったかくってフワフワな満員電車に乗りに行くかな
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食事中テレビ消された幼き日 ウルトラマンの登場前に
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冷え込めど竹林はなお青く立ち 冬枯れのなか矜持保てり
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今ひとつ、 気配りせよと 言う声に 己がやれよと 言うはかなわず
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ようやっと自分の道を取り戻す 舵取りしようと奮い立たせる
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くだらない? 大いに結構 ありがたい 下り無き道 登り詰めよう
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ウヰスキーの酔いのほのかにまわりきてしみじみと聴く前川清
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立ち尽くすスターハウスの真ん中に星がすうっと吸い込まれた夜
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頼りなく我のコートに着地する結晶愛でて睦月の終わり
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あかつきの たなびく雲を 目で追って  たばこくゆらす あなたの色香 
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子への愛 気恥ずかしいな 何故だろう  けたる愛が 足りなかったか
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「生きるとは誰かを想うこと」と言う君の心に棲む人に傘
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高まりにシーツを掴み 靴下はいつ脱ぐべきか考えている
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生まれ落ち 今を生きたる 我が身でも 馳せる妄想 和歌と通ずる
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洗濯機音をたてつつ暴れおりこのまま外へ飛び出す気配
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歌を詠み 投稿作を 読むうちに拡がる 知識 行動範囲
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朝げにて 空いた小鉢を 見つめつつ 想いを馳せる 祖母のぬか漬け
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