あの頃の父母おやと同じ歳なのか何たる迂闊何たる未熟
14
細胞のひとうひとつの窓を閉めこれより始まる幽体離脱
10
昼食の支度をせねばと思うほど 突き付けられる身の不自由よ
19
針穴が従来よりも四倍と触れこむ裁縫セット吾も欲し
13
氷雨ゆき軒の下こそ暖めつ 虹の青いろ冴へ冴へと見ゆ
20
3時半おやつ食べたら病みつきにでもゲームはねすぐに飽きぬる
15
あたたむる役割放れ 羽撃はばたひて ホーム下落つマフラー 哀れ
27
掛け軸の五段飾り雛わすられじ貧しきなれど心みたされ
23
夜遊びと祭りが終わる月曜日 我が衣手は露に濡れつつ / 天智天皇 1/100
11
老爺ひとり峠を下る杣道の目に映りしは苫の煙か
14
みそひとの呂律の波の荒ぶれば詠み手読み手の櫂の抜き差し
18
「人は人我は我」胸に歩みつつ 不意に顔出す羨む感情
13
神の手を滑り落ちたる金メダル 女神は掴み星に掲げる
11
ありがたいお経のありがたいところ探したけれどよく分からない
23
落書きの竹の生命いのちを削りしがともに枯れゆく傷深くして
11
若きママ 携帯失くし あせり顔 幼子ふたりの 「ありがとう」沁み
14
一周忌の 積み団子を 丸めつつ 君の生きたき 時を想えり
18
もの言はず追ひ越してゆく息子の背ほのと匂ひて犬見まはせり
19
惰性だぜペダルを踏めよ炎脚えんきゃくだ日々を駆け抜く馬と懸けねば
14
本当に 困っている人 水のような影のような空気のような
13
春先の天気にリンクし我がこころ  晴れやかな日あり 落ち込む日もあり
15
水面のように揺れるを知りてなお 君はわたしを 火の人と言う
10
ゆびもつれ ほつれるこえの たまゆらに ながれるかなで こひしけくあれ
9
「離婚って悪いことなんですか?」片親が語る誰かの常識
5
天気図に並ぶ気圧の高低はちょっと似ているカーリングの石
8
日本人 同調圧で 生きている 杉の木ばかり 花粉の絆
5
あの夏へ行かむとすれど煩へばまた冬の訪れると知りき
6
自転車の サドルに付いた 春の粉 払い始まる 朝一日ひとひ
10
湯気越しに 眺む離れかれや まるで夢
4
三月や 暦は春を 名乗るのに 息まだ白く 陽を待ちわびる
10