プー子
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小ぶりなるマダーボールは完熟でぶ厚い輪切りの真ん中を喰う
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を乗せた霊柩車はクラクション静かに鳴らし今走り出す
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廃屋のナツズイセンが珍しく分け入りて今朝「はなどろぼう」に
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遺影には微笑むあなた別れなど先の先だと決めていたのに
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拒否しても訃報欄へと載る友の面輪ひねもす脳裏を廻る
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どの時も訃報は唐突今日だけは聞きたくはない 雨ふり続く
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ドーランを真白に塗りて造り出す「ピエロ」と言う名の別の人格
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夕餉時ちかづきてくるいかづちに味覚奪われ箸は進まず
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初物のカボチャを抱え夫へ請ういつも通りの半切作業
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時折は時間の差配をオオタニに牛耳られてる団塊夫婦
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会の歌誌それぞれに読み合評もいつもと違う例会もまた
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送り盆明けて静かな雨の朝 洗濯槽を洗う休日
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終日ひねもすを八十年と聞かされて戦後っ子です トマトジャム煮る
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墓石を拭きあげながら夫のいう「無」の字の中の蓑虫いかに
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熊注意!看板見つつ墓参り義両親へ庭の花など手向ける二人
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涼しさの増しくる今宵「さよなら」と夏に告げつつ花火が開く
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虫の音も風情を超えて耳ざわり風も涼しさ通り超すらし
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湖沿いの道の駅での賑わいに待ち人はどこ スマホ片手に
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湖と海とを分ける砂州に咲く花々を愛で自転車を漕ぐ
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雑草と言わせはしないツユクサの青さえ冴えと残る軒先
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猛暑日を回避するらし立秋の風涼やかに老いにやさしき
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唐突な義兄の訃報に無口なる夫は数日 深々ともだ
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店を出て途端の強雨ワイパーを最大にしてブレーキを踏む
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曇天の町を飛び出し二つ目のトンネルを抜け青空に会う
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昨夜より更に多くの虫の声「秋が来ます」と報せるように
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「ふみ子忌」の暮れても暑さ残されて鳴きつづけるのはコウロギらしい
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耳馴れぬ単語が次々飛び出してスマホショップの店員の笑み
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動かないスマホを三日やすませて読書決め込むアナログ日和
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「現場ではまこと格差は大なり」と教師の友はジェラート食べつつ
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兄を抱き墓前へ立ちて両親へ旅立たせんと義姉の悲しみ
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