Utakata
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プー子
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雑木木の芽吹き見え来る下一面アズマイチゲの白きが群れる
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雨の中帰る友とは次に合う約束をせず「またね」もいわず
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詠草は局のポストと決めていて迷信のごと雨の中行く
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「暑いです」二日の夏日に音を上げてすぐお返しの最高四度
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街路樹のムラサキツツジほころんで待ちかねていた春の始まり
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干し物を取り込む途端に止む雨のそんなばたばたいつかのデジャブ
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立ち止まりひとり見送る丹頂は挨拶のごと鳴き交わしゆく
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決められし時間は十五分痩せ細る兄へとかける言葉を探す
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太陽と風と大地のマジックか三寸の雪ひと日で消ゆる
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一日の限定の初夏 白銀にかくれんぼするクロッカスたち
18
久々の外出びより北向きの会議室にてUtakata覗く
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二十二度夏の陽気に浮かれても明日の予報は最高三度
17
長湯してすぐにベッドの心地よさいつかの君の夢でも見よう
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新品のスニーカー履き出掛けよう庭の雪塊明日にはとける
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順調に進む雪解け今更に庭の
雪塊
(
ゆきくれ
)
愛しくそうろう
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遠方の桜便りを聞くにつけ庭の残雪朝の薄氷
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たびたびの霰を降らす曇天へ居心地悪きランチのチェアー
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朝食の窓辺に大きぼたん雪春を報せる
宙
(
そら
)
からの文
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緻密なる鮭の耳石の刻む波知りし後にも切り身をつつく
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残雪は尺余の花壇ゆき解けを促す風雨今少しあれ
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氷点下十度を超えて三月の終わりが見えても春は見えずに
15
海明の毛がにどっかり鎮座して値札小さく
四九八十円
(
ヨンキュッパー
)
と
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どれ程の努力の末か快挙成す「尊富士」とう若武者の汗
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カーテンを開ける刹那の青空を鳴き交わしつつ白鳥過ぎる
21
彼岸会の父母の姿を求めつつ手向ける香と姉の牡丹餅
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大木の包容力か雪原に数えきれない宿り木抱え
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悲しみと無念のただ中夫送り遺影にま向かう友を想う夜
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問いかけに酷く短い生返事五十年経て変わることなく
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暮れ時のちらほら舞い来るなごり雪諦めの悪い君のようだよ
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彼岸荒れ空に残りし雪の嵩如何ほどなりや風を伴い
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