プー子
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半日をトリセツを手に費やして光テレビのご機嫌伺い
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巻末に訃報の載りし同人誌 適確な歌評を示す方だった
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真夏日の落暉は暑さを持ち去らずハチミツ色の夕映え残る
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卒寿まで独り住まいのない義姉の寂しさ如何に いっそう痩せて
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備蓄米入荷とライン 価格知りいくつもの「古」がつくものらしい
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「のぶ」の髪いつぞや聞きし「行方不明」教えてくれし師はもういない/あんぱん
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北窓を開けてミシンに向かう午後もしや冷たき風など来ぬか
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帰らないK子の部屋のカーテンは閉じたままにてまた夏が来る
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花穂あわく香りかすかにラベンダー咲きそむ庭は真夏日続く
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恒例の百kmマラソン近づきて夕暮れ時はランナーが増え
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真夏日をひと休みして雨の朝蛞蝓なめくじまでもが勢ぞろいする
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夏空の広がる盆地いち早く薄紫のジャガイモの花
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目を見張る蕗の大きな葉の下にコロポックルをそおっと捜す
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身の丈を超ゆる蕗の野に入る夫の姿はすぐに隠れてしまう
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そそくさと肌掛け布団陽に当てて一歩おくれのオホーツクの夏
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初イチゴ烏に先んじ摘む夫を憎っくき敵が屋根から見てる
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六月の炎天だとて引きこもり復活二刀流見逃すまいと
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石破氏の笑いたくなる二万円 振興券にプレミア四割  《小さな町》
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浄土では父や母には会えたのか少し急いで旅立ちし兄
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面会の予定日時に☓を付け「南無阿弥陀仏」の読経を聞く
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分かれとて同胞つどい夜を通し時折笑みて兄を語らん
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逢いにゆくあと一日を待てなくて旅立つ兄のあゝ勇み足
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離れてる君を月見へ誘っても「当地は曇りと」つれないライン
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黄昏をむかえて不穏な物音は私を試す不意のどしゃ降り
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餌をねだる甘え上手なスズメたち雨にもめげず小首を傾げ
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木漏れ日に葉末の露の光る朝きつねの母さん餌をさがしに
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万緑の森より聞こゆカッコーの「豆は蒔いたか」いく度も聞く
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雨の日は心落ちつけ手習いの条幅二枚半紙は五枚
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真夏日と交互に廻る寒い日へ「気象病」など襲いくるやも
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古古米も古古古古米すら届くまい小さき店しかなきこの町に
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