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不合格 狭き門なり 火の設備士 されどならねば 我が家の危機よ
7
現実の 壁がいくつも 迫りきて 夢遠くなり うた詠めぬ日々
20
八十の夏を数えた ひとつめは「あの夏」でなく 地続きの夏
15
白絵の具垂らしたようにかもめ飛ぶ空と海との青さ極めて
30
「美味しいね」クリームよりも甘い君 今は一人で酸味がきつい
9
さっきまでプーさんだった雲ちぎれ龍になって茜空とぶ
30
三階のボロアパートから見る月は道行く人よりわたしに近い
30
最悪が重なり合った今日だって夜の終わりはいつだって朝
32
よく冷えた麦茶を口に運んだら飲んだ先から夏が熟れゆく
28
抱きしめた夢をこぼして五十路なる甘き桃の香包まれ眠る
23
嵐にも 距離にも負けず 君が来た そのことだけで 何もいらない
16
穏やかに 笑い合える日 君もまた 忘れぬ記憶 口に出さねど
14
喪失の 胸の痛みは 消えねども 想いの深さ 吾に教える
15
月面を駆け抜ける雲を惑星が成長痛に光浴びせる
22
訪
(
おとな
)
へる人の語らひ蝉しぐれ 盆の
軒端
(
のきは
)
にかげはあらねど
19
好きだった人から届いたお手紙で作った紙飛行機 飛ばせず悲し
12
賑やかに盆行事終え静かなる朝のコーヒー香りよ届け
23
雨後の径花びら散らす百日紅雲間の陽射し青き実照らす
28
僕のこと見飽きた晩夏の金魚いて餌持たぬ限り近寄ってこず
32
祖父細り昔の時計頂けば脈打つ如く寂しさ湧いて
31
君のドア鍵がかかっているようだ三度優しくたたいてみるよ
30
そよぐ風植えた覚えは無いけれど裏庭に咲く白百合の花
34
夏空も そこはかとなく 秋空に うつろい行くは 秋匂うかな
14
エアコンに役目奪われ風鈴はうなだれ見入る涼し朝顔
32
隣家
(
となりや
)
のノウゼンカズラ垣を越え地を這い赤き花咲かせおり/お隣は無人
30
夏好きの我も凹んだこの暑さ 冬が来ればこれまた恋し
37
世界中で 戦争紛争が 収まらず 人間のエゴと 欲が渦まく
13
涼し朝庭の片隅コガネグモ バッタ捕らわれ糸まかれおり
28
病院の前にペチュニアうす桃の思いにゆれる秋風の朝
30
休日は温泉巡り車旅
亡夫
(
きみ
)
と眺めし大夕焼けを
31
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