手にとって 灯りに透かす目 煌めいて 食べず眺める 琥珀糖なり
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『かの鳥に成るの望みは成らざらめ 己は鳥と知りてこそ得め』
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『かの月に成るの望みは成らざらめ 己は月と知りてこそ得め』
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ジャイアンもスネ夫も嫌だ 願わくば のび太になりたい つながる人と
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SLの 汽笛が耳を 和ませる 湖面に映る 錦秋の山
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昨年の予防接種は大号泣 今年は我慢しました三歳
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ものづくり琴線ふれる作品は平明にして気をてらわない
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湯豆腐に大根おろしをいれて炊く みぞれとうふを熱くいただく
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お天気を気にするように彼の人の心気になる恋愛予報士
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「久しぶり、ブラックコーヒー飲めたんだ。」 君の笑顔が見れないからさ。
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夜更け過ぎ 猫の寝息と 雨音が 私を包む BGMに
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熱のあるときは二重のまぶたなる子をかなしみて氷をあてつ
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酒呑みで咥え煙草の亡き祖父の 薄れる記憶猫を撫でてる
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あかい葉を集めて「モミジ」と言ふ君に 「カエデ」と伝えず大人になった
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冬至来て 幼き頃を 懐かしむ 亡母ははが作りし 甘きカボチャが 
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またいつか。桜の樹の下あの頃の 純粋な僕のタイムカプセル
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鴨五羽の黄色のくちばし木の実食む見とれてひとり秋の日だまり
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日の出前 快速電車が通過する 立つ乗客の残像速し
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政界も 吹きすさぶ嵐 秋の空 石は破れて 骨牌トランプ舞いたり
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洗剤の安い店まで行きましょかこの店安い日を待ちましょか
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足を止め写真撮りたる彼の人は野辺の花にも冬を見ており
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投稿の短歌うた見ればすぐ顔浮かび聞きたき吾おり住んでる場所など
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この道のどこまで僕をむかふるか セイタカアワダチ草の黄色は
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秋の雲 自由自在に姿変え 詩人のように季節をうたう
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綺麗だね 二人で笑ったサテライト 一人で見つめる空は黒くて
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ヌートリア五匹の子供孫生ひこばえをむさぼるようにあたり気にせず
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泣かんでいいがと 病に臥せたる母が気遣ういう どこまでいっても優しい母なり
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ふと気づく くだらぬ日々を駆け抜けることこそをただ幸福と呼ぶと
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ひとりではさみしかろうと憑いてきた 寝れない夜に君をさがして
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花梨落つ 夜風も知らず うつろなる つけっぱなしの テレビの前に
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