保健所で殺処分待ちだった野良
変わりゆく時代の中で変われずに「変わり者だ」と揶揄される僕 4
謝られても私の心は元に戻らないので別れましょう 0
猫が風通しの良い廊下の角で寝転んでいる春の便り 0
猫の頭に はふっ と息をかける 私も母にされた愛で方 0
君の話の要領はお米の計量みたいなものだ。……で、オチは? 0
ガソリンがとけた水たまり色した君の瞳が欠伸で滲む 0
もたれ合う恋人見せつけられつつ私は窓に身体預ける 0
桜じゃない花びらだったものを踏みつけて春の足音とする 0
マンホールを踏めば死ぬと思ってた頃を思い出させる春雨 13
小窓に「夢」と打っていざ[検索]すると 404(Not found) 0
一日の反省会をするようにスクロールすれども答え出ず 0
薬漬けの私の肝臓は苦いでしょうけどそれでもよければ 2
環境が変わるにつれてあの人の苗字がただの記号へと化す 2
ホームに佇む私を照らす青色灯は誰の墓標か 1
あの歌詞の追体験をするために桜のある道を選んでる 2
樹液も死骸も宝石となる世界にヒトは何を遺せるのか 0
「今日のラッキーアイテムはパーカー」と言わんばかりの並木通りだ 0
剥き過ぎたささくれを後目に極彩色のネイルを塗る自己愛 0
一平日として終わる誕生日 大人になったな、悪い意味で 2
『お返し』に悩まされている 「どれにしよう」ではなく「どうしよう」の方 0
きっとまた過ぎ去ってから「春だった」と気づく季節の最中(さなか)にいる 2
私より長生きできたかもしれない本も服も収集場へ 2
拝啓 カール・セーガン様 僕には何よりあの子が眩しいです 0
すれ違う私の方が非力だろうけど高校生(きみ)は歩道側を行け 1
母が私を産んだ歳に私は念願の正社員採用 0
これ前も撮ったような、と思いつつ今日もフォルダに寝転がる君 0
キャンバスは光そのものを描けない 旧約聖書も減色法 1
春は光・音・温度の順で来ること理科で教えてほしかった 4
死ぬことより怒られるのが怖くて赤信号を渡れずにいる 5
泥水を啜れど花も実もつかず唯枯れるのを待つだけの民草(われ) 2