朱が夜に 染まる境は ビル群の狭間 ちょうど僕の真上に
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日々を詠む うたの しずくの 集まりて  渇く心に 慈雨のじんわり
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夢にみし母は吾の手離さじと 握るちからぞ胸貫ける
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「女だし 告白なんて しないわよ」 あぐらかいてちゃ 先を越される
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「女はね、口紅ひとつで 誰だって 可愛くなれるの。」 亡き祖母の言ふ
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やっちゃったクリックひとつで全削除きっとすべては取り返せない
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人の世も旅路の如し山また山残りのよはいまあるく生きんかな
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本当は粉薬だって飲めないし、なりふり構わず泣きたかったし
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桃色の 空遠すぎず 手に取れず 恋はたそがれ 秋は夕暮れ/r 
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曇天の上は いつも満天の星空なのよと 微笑む君は
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静けさや 音に乗り込む 隅の水 諸君が水を ぬぐうまで
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ガチ勢とバレたらハズいヒトカラは仕事帰りにふらりのテイで
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木犀の香り満ちゆく十七夜霞みの月の輝く晩は
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風はもう冷たく 君も もう遠く また一つ散る 木の葉 言の葉 
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紛争のガザの地区では停戦と  始めるは大人幼児ら犠牲
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湯の川を揃ってゆったり魚たち群がるところが湯の湧くところ
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気付いたら視線は自然と斜め前 あなたを見ぬようドリルに耽る
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誕生日も血液型も知らない 占える手段は名前だけ
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天気予報に嘘つかれ 夏の名残を薄手のセーターで迎える
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傘の中滲む視界に出た弱音雨は優しくかき消してゆく
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クレープが焼けぬようにと願うのは まだ二人帰りたくないから
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気にするな って言わない人のやさしさに  育ててもらった 歌詠む 気持ち
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咳をして 皿を洗って片付けて お風呂をためて 泣いても 一人
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ひとひらの落ちた銀杏が集まって アスファルトに黄色のおめかし
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利きわけて相寄る友を待つあひだ戯る木葉こばの環にまぎれたり
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椋鳥の大群賑やか大宴会 味をしめたか柿は食べごろ
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いつかまた明るい短歌うたを詠みたいな 秋空のよな澄んだ心で
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嵐吹く 私の中の海もまた 光のどけき 日を 願いつつ
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卵黄を使うレシピに紐づけるシフォンケーキのつくりかた 秋
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ドジャースの長引く試合めくるめく雪・雨・霙 由伸の男気
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