気を抜いた背中の写る一枚にどこの老婆と目を疑いし
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防空頭巾爛れて千々に孔開きぬ蒙る儘焼かる火に
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徴兵遁れられず若き丈累々と希望の旗のもとに殺さる
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闘病を支えてくれる診療所 紙のカルテは地層のごとし
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雪洞ぼんぼりの まろあかりに 伏す君の 手弱女たおやめの如き 長き睫毛よ
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コンビニの温いお茶買うその癖を未来の僕は愛すと思う
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注射後にアウアウ鳴いている犬を宥める獣医のやわらかな声
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雪女郎の さよならの声 きいている 淡く大きく 真っ直ぐに昇る
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彼岸前もう満開の木蓮が手持ちぶさたに風にゆらゆら
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今週の乱高下する血圧はひとまず忘れカラオケに行く
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春セーター色鉛筆は十二色画用紙持ってお出かけしたし
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二日酔いと浮腫み無念極まれりガリガリ君しか食べられぬ刑
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「ごめんね」と言えば「いいよ」と決まってた。いつの頃から「いいよ」で済まぬ
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微笑めば微笑み返すレジ台にやっと届いた小さき子の指
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ゆるるりと自分を満たす一人時間 気ままサプリが吾には効くらし
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青天のもと 満開の早桜 メジロをおびき寄する 蜜の香
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日記帳今日のあれこれ書き連ね 狭い余白に「お元気ですか?」
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ネギ油 炎が上がるカウンター 香ばしい麺 一気に食す
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流れてる ラジオを聴いて リズム取り 今朝もカタカタ パソコンを打つ
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塾へ行く 道に毎日 向かい風 負けてたまるか 待ってろよ、春
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ねこ母へ お悔やみ申し上げまする タヌ猫さんへ冥福あれと
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陽だまりの たんぽぽひとつ 春が来る 小さな風が そっとゆれてる
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親を子のようにおもう日 崖っぷち、だけど愛して家事をしている
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さんとくジャガイモを 植へたがる母 拒む我 遅霜おそじも逆算 植へるは彼岸
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往き方は調べたけれど間に合わず 疾うに葬儀が始まる刻や
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ミステリーを読みふけるきみ 黒薔薇の一輪挿しのように静かに
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これやこの 想像ラジオのジングルは行くも帰るも 別れては 知るも知らぬもあふ坂の関 /蝉丸✕いとうせいこう 10/100
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下手なりに 写経に臨む 我を見て 成長したなと 友が微笑む
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名駅で 最初で最後 二人飲み 男女の友情 転勤前夜
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いただきを 目指せ 困難 有ろうとも 高い場所ほど 風吹くものだ
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