じゃが芋を黙々と剥くピーラーは二十余年の現役選手
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使用後に硬貨が戻るロッカーの百円のように無意味な夫婦喧嘩バトル
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ようやっと布団からぬるり頭出す 肌寒き朝にカタツムリとなる
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かわいそう? 餌になっても言えんのか 生きるもの皆 必死なんだよ。
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秋が来る 息子殺した秋がくる 落葉のよに 踏みつけた道
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老眼に優し 暦求めて 買ったのに サイズ間違え 途方にくれる
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陽のひかり、きらめく流れ、雲が差す。輝きは去りて夜が来る
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ちんちんの湯を注ぎたる湯たんぽにタオル巻きして母の寝床へ / 猫好き様へのオマージュ
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鈍色の空に真っ赤な柿一つ少し痛んで魂の如
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人里の轍踏み分け鳴く熊の声におののき窓を閉め切る奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の声聞くときぞ秋は悲しき /リライト
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雪遊び手足の凍る帰り道母待つ家のありしあの日々
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誰だってまぶたの裏に隠し持つ今よりもっと高かった空
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真夜中に するどく光る 二十三夜 17才の 君に似ている
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足早に変わる葉色をつらまえず腐りたなびく枯葉の鴉
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さりげなく餅の話題をはさむ母そうきたかって話題をそらす/介護
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米 毎回チョイかために炊く炊飯器 そこがお前の良いところだよな
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この道がそのまま障害物になる そうじゃない人におんぶされたい
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フライドポテトを揚げて盛るとき 誰かがめちゃくちゃ喜んでくれる
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人として 生きる限りは 難儀あり 透明クリアな鎧 常に纏いて
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雪女 ペットの名前は窒素ガス あなたが好きなの彼も私も
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戯れに浅瀬に立てば止めどなく打ち寄す過去にさらわれゆきぬ
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咳をした 君のとなりに居られるの かみしめながら 一人と 一人
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七五三 ねがいぶみ書く 女の子 いつか会う人 まだ見ぬ人へ
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公園の梢の奥に百舌鳥の声 紅き桜葉秋空に映ゆ
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切なさを抱えて入った店内に流れてきたJUJUああもうやめて
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漫画とか子どもの頃とくらべたら読み倒すってなくなったかも
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梨狩りの 返しつれなし かたも無し 悲しき恋も だ君かな
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無人駅のようにさびれたわたくしのプラットホームに冬降り立ちぬ
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横になり疲れたふりし指図さしずする チョロいよ息子キッチンに立つ
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喉痛い 悪寒もあるし 嫌な予感 検査陰性 ほっと一息
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