世の糸の絡まってひとすじ光る君の祈りの美しいこと
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遺骸数多納められてある地下納骨堂に続く青年の奥処を燈れる錫の世紀は
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木葉屑草壁若葉花いきれ 牛迷宮に学生帽は燃えつきにけり
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夜に糸の絡まってひとすじ落ちる僕の祈りのたよりなきこと
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終わらない祈りの中に生きている 手の天秤を傾けたまま
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埋葬費をりしもてなぐさみに染む罌粟防火壁のもとに額づけ
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嫌いなら、どうかブロックしてくれよ 変な期待をしてしまうから
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どろどろとした鬱屈を濾したから 由比ガ浜の色サックスブルー
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五七五七七完成感情の圧縮ファイル さあ今叫べ
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知り合いに 知られたくないのになぜか 見知らぬ人には見てほしい 歌
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猫に生まれるはずだったんだ本当は だってこんなにも未知は甘美
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紙芝居 ぼんたん飴と 散歩道 あの日から来た 今日のやさしさ
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シンデレラの靴みたいな救いが欲しい 合わないヒールで踏みしめる帰途
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行き場ない 迷子の気持ちと 手をつなぎ 耳を澄まして 道場の朝
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選べないカードばかりが積み上がる ようこそ ここは道の無い国
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箱を描く 前に描かれたたくさんの ひつじを 私はなでてあげたい
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赦します食べるということ生きること矛盾を背負って食べる私を
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仕方ない「仕方ないんだ」ふざけるな胸の内側恨み抜く神
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野暮天は嫌われるから 暗示して 伝わらず 足す ※これは愛です
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中翼なかよくはめんどくさくて右左  傾きながらどこへ向かうか
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意味ばかり 受けとる人が置いていく お気持ち 拾って洗って干して
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知ったより出逢えたという感覚で  初めての言葉 くりかえし読む
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目を背けたくなる世界を直視する 君を ヘヨカと呼んで見つめる
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諦めと ニヒリズムへの誘惑に  負けるな踊れ 心のヘヨカ
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ああ言えば よかったというわだかまり コップの茶渋と一緒にこする
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校庭に 明るいきみどり色の筆   樹々を描いて 飛ぶ野良インコ
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親を知る という科目の授業中 ここは試験に出そうなところ
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ソンナコトナイヨ を多めに持参して 思春期の父のご機嫌直し
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タンタンと 君へ近づく この電車 心ざわめく 「降りてしまいたい・・・」
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「いのりたい ときに祈りの 対象が ない無神論者はかわいそう」は誰言ってたけ?/過去作回想
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