暑き日にゆふだちの雲待ち侘びる花壇の花は悩ましきかな
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すこしだけ散歩しようと思ったら サンダル 靴擦れ 右だけ なんで
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沈む日の色を映して赤く生るトマトひとつを撫でて手折りぬ
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気が付かぬうちに手のひら蚊に刺され情けないやら痒いやら
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長いこと瞑想してる神さまはレモンシャーベットでどうだろう
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華のない 出来ぬことしかない我の 草の道こそ 己を示す
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曖昧な子音を発し訴える入れ歯外した秋田訛りで
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炎天の色褪せし紫陽花萎れども日陰に咲くは青の満月
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朝六時 高原ここの空気はひんやりと 生まれたての気 全身に満たす
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寄せ植えの苗を植え替え蘇る玄関先の花々感謝
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れている小指をかばいびっこひく寝ぼけまなこでとれたと思いし
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日の本の宝のやうなうたびとはよわひを重ねわれをいざなふ
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好きならば告白しなと紫に詰め寄られてる朝夕の道 / 好きなムラサキツメクサ
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言い逃れできないほどのやらかしを さらに大きなやらかしで消す
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滝近く 隠れ家カフェで 薬膳茶 マイナスイオン 飛沫に感じ
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鮎解禁!年に一度は食べたやな ほろ苦いワタ川藻のかほり
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猛暑日や 高尾の山に蝉が鳴く 我が耳鳴りと区別がつかぬ
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生きているのは分かってるけれどまたカビ取り剤を塗りたくる目地
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突然の別れ相棒コンロとの二十年ふたとせ労い撫で拭きあげる
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うすあさぎ澄みたる囀り飛び立たせ 青き空へとゆづり去りぬ
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まだ生きるぐいぐい食べて「美味しいね」九十七歳欠けた歯は無い
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文月の夜半やはんの丸い月 重なりぬ薄雲に 映る虹の輪
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古もまた夏日影あぶりけむ  燃ゆる博多に山笠奔る 
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美人から笑顔で声をかけられた なんだイヤホン電話中かい
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空梅雨のひでり続きの中 木々のたくましきかな 葉は生い茂り
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神様の飼ってるナニカが パクッとね ねこ母の不安 食べちゃったのよ
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白球はっきゅうと泥のきらめき野球部の汚してこその服だと思う
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ハンディファン持ち歩く人見かけるが外は風あり見かけだけかも
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斜めから 柔い光を受ける庭 それを肘つき眺む休日
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黄昏にぽつり佇む ペディキュアの紅の鮮烈 黒髪のひと
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