奥さんと 冷戦中の 日曜に 空から雪の 仲介者
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雪だるま並んで浴びる如月の日差しよ僕も溶かしておくれ
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思春期と言う言葉でみな片付ける、そんな大人になりたくないな
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改めて実感したら「あっそうか」一夜の恋も初恋みたい
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ユーミンの歌詞が優しく飛んでゆく冬と春との間の空に
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婚前に 君にもらった ミントチョコ 潤むまなこで 遺影に供へ
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もう一度 始めよう それが別れの 春であっても
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幾春いくはるを 越えれど 未だ芽吹かざる 蕾の秘める恋よ 何色
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吐く息にいつか消えてくときめきと君が焼いたパウンドケーキ
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処方箋まだ書けないよ私にはもっと訊かせてなにがつらいか
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黄泉ばかり見ている人の袖をひくこの身をもちて碇となさん
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オドロウゼ!きみが真ん中に立っている そんなジャケ写を夢見てたのよ
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勾配は何 パーミルかその先に何が見えるかまた明日が来る
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この街に 何年ぶりかの 雪が降り 小5の僕が スマホを翳す
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そうだよね 真面目すぎると損だよね さぞかしあなたは不真面目なのね
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忘れてた 窓うつ雨音あまおと 目がさめて 凍土をとかす 歓喜の水の
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いつの間にわれを気遣う年になり孫は手をふり家を出てゆく
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人の世と 猫の世つなぐ 縁側で 冬用毛布をたたんで くしゃみ
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青纏い私は綺麗に歪になった 春の売り買いとかしよう
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伊丹発福岡行きの定時便 洗濯物干す我を見下ろし
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今日はまた 音もなく雪は おちてくる 軽やかに しかし明らかに地に
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なでて研ぐ米にやさしく手は荒れて研ぐたなごころ手肌にやさし
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千切りの大根広げ天日干し甘き香りは内腑にしみる
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ここに並んだ三十行を埋め尽くしたら、俺が誰だか分かってくれるか
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令和の世 個性派クセ強 褒め言葉 悪事せぬなら己のままに
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体調の良くなさそうなドクターにお大事にってささやいた母
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デイケアに行けば言われる若いねと七十代はここでは若い
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まだ君と さよならできそうにないから すこしさ 春泥棒になってしまおうか
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濡れくすむ河津桜と梅を見て足元濡らして傘を濡らして
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春めきて微睡む縁側 そよ風に清き鈴の音 季節を忘れ
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