早朝の庭さえ煙る雨上がり薔薇の香りが淀み動かぬ
13
公園で猫の祭りがあるらしいベッドタウンが留守になる日に
12
すごくいい方法だけどできるまで五百万年かかる 人類
7
お経より ボレロがいい と言っていた 父の墓前で 15分間
73
祖父のこと ずっといるんだと 思ってた スーツもみせられなくて ごめん
10
「気をつけて」 もうその声は 聞こえぬが  気を付けてかえるよ また来るね。
9
デコるのが好きと笑った君がいて精神病棟そこかしこ春
15
言の刃を ふりまわしたい気分の日 斬ったら切れていたのは自分
47
嘘ではない 甘えて弱くて華奢な夜財布のような男と歩く
7
日曜の夜は短いもうそこに太陽が居る色をしている
15
ごめんって言えないままで金曜日 それだけで世界がこんなにも嫌
8
大相撲、横綱になる大の里。大横綱になってください
19
山みどり夏は来ぬ゙かな空青く田園みどり見渡す限り
19
わたしたちに呼び捨てされても岩手県をイーハトーブと呼んでいる父
7
すれちがう バスの運転手さんたちの 挨拶 見たくて いつもこの席
51
クチナシの花に言問う「幸せか?」花は答える「幸せですよ」 ~花言葉から
15
人として生まれて生きて人生は人に生かされ人を生かして
12
かすみ草のやうなる声で詠みたしと思ひ募りて水やり過ぎぬ
18
自分なり幸せな方選んだよ 昔の私あなたも私
12
「好きです」と言えずに死んだその言葉  地獄でずっと待っているから
4
朝8時すれ違いざま目が合って 貴方からは夏の匂いがして
16
搭乗口「8」をさがして 右往左往 乗り遅れる わけにはいかない
26
雨上がり香り立つのはアスファルト 過去になりしは昨日の憂鬱
7
期待され泣いた「すみません、わたくしは笛を吹かないタイプの妖精」
13
坂の先まだ見ぬ巨山やま幻影ゆめを見る ネット証券総合口座
5
おまえさえ死ねばよかったに映りとどめられしはだれの怒りか
5
「あの人が好きな曲は?」とパスワード忘れて秘密の質問される
23
曇り空みたいな気持ち蹴散らして真夏の青で染めたスキニー
15
こんな日にわたしより空が泣くなんて 寄り添ってくれと頼んでないのに
11
指先が 知らぬ痛みに ふれる夜 言葉にせずに 抱えて眠る
14