淹れたての コーヒーの香りは 時を止め 秋空の雲を しばし見送る
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哀しみに刹那打たれて落丁の次第に増えし人生を生く
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右脳うのうには 声静かなる 人棲みて 我を動かす 物つく
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朝ごはん 富士山望むリビングに ちょっと優雅な気分に浸りて
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黒豆の うるしの如き つやを見て 口にせずとも うまいとわかる
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『抱っこして』 十年経てば 言わぬのに  してやらぬわれ 今日はしようか  
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AIが 瞬時に提示 夕飯の レシピを頼り ピンチをしのぐ
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幸福はすべて手の中にあるけれど 求めていては気づかないもの
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風が吹く 冷えた身体で喜んで あなたに飛び込む明日の花嫁
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元気でも慈しまれているような気になれるからおかゆが好きだ
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君のいる 朝まで少し バスを待つ ただ君想ふ 頬に春風
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それぞれの背負ふ荷物の重たさを触れずに終わる今日の女子会
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羊羹の栗大き方きみに遣りふと手の触れし春炬燵かな
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「母さんがちゃんと手作りしてたから」 料理男子息子のお褒めの言葉
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背伸びして したこともない 失恋を 感情込めて 歌ってみた日
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いつの間にわれを気遣う年になり孫は手をふり家を出てゆく
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信長記太田牛一の忠義たるおれと比べて米ひとつぶの
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AIに短歌詠ませて投稿をするのだと聞きバカらしくなり
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猫短歌最近詠めぬ感じある詠まない僕にニャンニャンと鳴く
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堅雪に追いかけ回る童のころ 幼なじみの声甦る
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春めきて微睡む縁側 そよ風に清き鈴の音 季節を忘れ
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雪洞ぼんぼりに むつみて座る 人形の 頬の白さの 妖しき花冷え
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わずか四十五分の体操もきつく感ずる七十五才
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馬鹿げてる歌と滴と夕やけと眠る夢バナ東大受験
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暮れなずむ駅の階段 手すりには傷の数だけ笑顔、泣き顔
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高速に乗らずに出会えたネコヤナギ見つけた春を君に知らせる
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寒し地の雪は溶けたか二月尽 雪洞ぼんぼり灯る春近付きぬ
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ねこたちは きょうもぬくぬく ねむねむで シニアねこもまた 愛らしきもの
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花落ちてなおもあとひく椿かな紅溜まり心騒がす
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原爆展ゆ貴族社會の仔等出でて哂ふも直ぐ襤褸となりぬ
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