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ありがちの言葉机に残されてあなたの居場所は遠い日の午後
14
入り浸る飲み屋の影にいる子猫そっと抱き上げ毛づくろいする
12
大陸の 友と語りて笑いあう 小さき外交 祈りかさねて
52
滝の音聞こへ来そふな油絵の水霧飛び来て吾にかかるごと
42
雨の日の黄シグナルは寂しかろう心の岐路にひっそりと立つ
21
父さんの
お母さん
(
おばあちゃん
)
から僕の子へ繋がっている眉毛のアーチ
50
目薬をささんと上をみれば空、カラスよこぎる いっぱいに空
21
独り身の寂しさ煮詰めたかのようなレトルトカレー食む寝正月
27
そんな夜はひっくりかえったスリッパとお話するのさ。おもて向くまで
22
ただ焦がれ貴方に会えたそれなのに 遠く掴めぬきみの手のひら
17
「わたしのお母さんはおばあちゃんです」ちょっと恥ずかし次女の作文
29
噴水が落ちる間際に映し出す街は眩しく崩れていたり
26
寒風に負けるもんかと下向きの椿の花が一輪二輪
19
初雪が名残りの柿を白く染めめぐりそこねた季節を隠す
23
見上げれば紅梅咲いてこの空のどこかにきっと精霊はいて
50
一筋の祈りみたいな名前やね「のぞみ」私は東京へ発つ
23
習い事ともに学びし青年の病いに伏せつつ
心痛
(
しんつう
)
きわむ
19
肌と肌触れ合うことの滑らかな心地の中で夜溶けてゆく
55
行った店 歩いた道に観た映画 記憶の花が咲き誇ってゐる
14
嵩高に積まれる雪を眺めては大きイチゴをひと口に食む
35
晴れ空に老若男女集う日の美よ美のままであれ航空祭
14
外交の都合に翻弄される
熊猫
(
クマ
)
日本恋しと鳴いてはおらぬか
27
来世とか あるとしたらば 犬かネコ 木とか花とか クジラがいいな
14
遠出して昔の赴任地通りなば 思ひ出
手繰
(
たぐ
)
りて多弁となる
夫
(
つま
)
50
雪にさす
朝陽
(
あさひ
)
の色は 生成り色 忘却の
彼方
(
かなた
)
竹を編む人
41
悲しみの 雨にうつむき 泣いてては 空に昇った 虹に気づけぬ
31
きさらぎの 神に捧げる
榊
(
さかき
)
には 新芽がのびて 雪のふる春
48
いつもなら隠さず物言う賢人の言わぬ本音に優しさを見る
52
カサついた くちびる見つめ 今夜だけ 映画のような 君を信じる
14
退職の日は近づきて 吾の中に 被害者という 鬼が目を出す
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