「こわれもの」小包届く海越えて 現れたのは ふわふわコアラ\思い出②
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丁寧に紙とテープで修理する 夫と半生歩んだ聖書
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葉も枝も切られてしまって丸坊主 桜の樹々は寒そうに立つ
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この国に欠けているもの教育ね 年々増えゆく朝拾うゴミ
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ひと言の「ありがとう」に励まされ さあ、拾うぞ明日もゴミを
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ビルケナウにガザの髪触れ合ひ混じり死の後も死者なりき兄妹
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獣園に感傷姉妹うちなげくも錘鉛の槍かまへをりし闘牛士
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喫水柩に降る雪柳をとめは蹄鉄を履かせをり 馬に
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復活祭へにがき蕗煮ていもうとはロザリオなどゆめかけざらむ
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どんなにか素敵だろうかあの人に〝ありがとう〟って伝えられたら
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降る雨の雫の中に秋がある 清めの如くわだちを染めて
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茹でたての枝豆を噛む喜びよ 夏という名のご馳走がある
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通勤の改札出れば天気雨 夏の終わりの香りが満ちて
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子を産んで2年育てた家を越す 壁のシールを剥がすも愛し
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人生は神様が書いた物語 俺はページを日々めくるだけ
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いつだってぼくらはきっと若すぎる 上手くできないことばっかりで
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純白の彼岸花咲く 夏の陽に秋の風吹く団地の端に
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六十年ともに過ごした古ラジオ 時代・時代の歌を聴くとも
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新しい街の生活 少しだけバカンスのよに一週が過ぐ
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袴田さんに謝罪をしたら済むことか長過ぎる日々あまりに長い
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ハッとする店の鏡に映る我 何時からだろう見て見ぬふりは
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寡黙な息子居間でくつろぐ大晦日 久しぶりの家族のひととき
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祈るよにいだきよせるよ言葉にはならぬ気持ちに突き動かされ
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吾に声 掛けし笑顔の 看護師は 「十五の春」の 面影残せり
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お野菜は三食取りなと言った日から 確かに歳を取った気がする
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もふもふの愛犬いぬの形の空洞を抱えて生きる ささ身を供える
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リハビリの窓に眺める茜雲音も無くゆく日を追いかけて
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からっ風 ものともせずに ボール蹴る 半袖の子等 弾む声聞く
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手挽きミルゆっくり回す日曜日眠る我が子を起こさぬ様に
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夢で逢ふ 亡くしたばかりの犬児いぬころも 聲を忘れたファムファタールも
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