冒険という名の種族 転んだり笑ったりするそうして生きる
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透明の水彩画からこぼれ落ちだいじな欠片かけらうまくけない
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草を引き 蟻が驚き 目を覚ます その身体にも 春の到来
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諧謔ユーモアと 忠恕おもいやりさえ あればいい  世界平和は かくも易きに
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春浅き苔の美し信濃路を歩かば一枝桜咲き初む
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サックスの深い音色は時をかけ心に届け夢みるごとし
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若人わこうどよ 無闇矢鱈むやみやたらを 恐れるな  みちを守れば あとは自由だ
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豚こまを 醤油とねぎと 大蒜にんにくと  炒めこしらう 即席の薬
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かすみたる山の端追へば川妬みわれ忘るなと水面ひかるや
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陸奥みちのくの 花の盛りを 見ぬままに  時は過ぎ去り 十五年
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ふんわりとロールサンドは春包み赤きリボンを誇らしく解く
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娘から投函頼まれ必ずと愚直に手で持つ言われた通りに
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悲哀とは 幸福たちの 存在を  証明し得る 唯一のもの
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今日もまた足を踏まれることだけが世間とぽくのコミュニケーション
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有明の夢とぞ憶えし逢瀬なら月満つるまで夜桜に泣く
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歴史上生まれた人の総計は千百七十億人といふ
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誰も彼も敵に思えて身構えるそんな自分が一番の敵
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並ぶほど愛くるしいは雀なり後光を受けてわれにおはよう
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満開のカワズ桜をLINE送 雪積む庭の写真が返る
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咲きめば 心乱せし 桜花さくらばな 花吹雪はなふぶく前に 胸にとどめむ
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何年か何十年後か振り返る今日の不遇は蟻ほども無い
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春彼岸義父母の墓へ菊の花 我関せずの夫は誘わず
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菜の花の 苦味が鼻を ぬけてゆく 熱燗にして 「立山二合」
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情報をすぐに共有する仲になって半年またラブレター
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あの頃はヒロシマだった広島の戦後八十年も戦前
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バラ色の未来買うほど暇はなく「広島おんなエレジー」ずっと
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寄り添いて不味き牡丹餅分かち合う 笑う夫の手の節愛し
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杖を見て手を貸す人の住む街に小さな春の温もりの宵
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内定も卒論もただの紙だけど 僕は震える肉体ひととしている
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傷が付き触れると落ちる背のうろこ一つ一つを拾いてあるく
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