「あっ!」と言えば分かってくれて笑い合う 積み上げてきた夫婦ふたりの歴史
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手挽きミルゆっくり回す日曜日眠る我が子を起こさぬ様に
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写真すら見ずに平気で嘘を描くだけど楽しい妖怪図鑑
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筆ペンで 写経する手に 添えられた 優しい記憶 文字に表る
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この地球ほしに 別れを告げる その時に 聴こえる言葉 持って逝きたし
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冬七に春三分程日の光 少し切なくなる白い色
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好きになり想いがつのり愛になる やっと淋しさの正体を知る
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近視用メガネの上から老眼鏡 Wメガネで刺し子は進むよ
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国を思ふ心のたけに比ぶればかずもあるかな高千穂の峰
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風邪をひくしんどいけれど温まる 息子きみの作った卵のおじや
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ハメはずし遊んだツケがやってきた 歳相応そうおうにせねばと誓う
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あれこれと甲斐甲斐かいがいしく世話焼く息子きみ たまには風邪をひくのもいいもの
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メッセージ送るキッカケ無くなって これから続く長い修業よ
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南国の 吾子の元への 旅すがら 妙な御縁で 繋がる人よ
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トマトはねいいのでなけりゃ美味しくない諦めましたもう高すぎて
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あした死ぬ予定のように手を握り頬擦りをして明後日も会う
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思い出す貴方きみはどうしているのかな 元気な日々を送ってますか
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わが恋はオアシス見せる蜃気楼空しく消えた後の乾きよ
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「ありがとう」そのひと言の破壊力 「優しさ」引き連れ返ってくるね
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あと3人あと2人とドキドキす 辿り着かないオクラホマミキサー
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凍土から解放されし球根はいつもの通り花芽をつける
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母親を移動する際全体重あずける時だけ男になりたい/(体力なくて⋯)
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幼少に祖母と過ごした春の日がふと蘇るセビアの色にて
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ひさかたに君の消息聞く午後は少しの道も遠廻りせん
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しばしの 玉雪ぱらと音立てて 冬がさよなら言うたのかもと
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田んぼ脇 『地物はっさく二個百円』 すずめ長閑のどかに店番し居り
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ベッドではラジオ楽しむ聴き逃しひとり静かに文芸選評
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足元を 雪にとられても この桜 咲いてみせると 花芽膨らむ
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LOOKチョコ大好きだけど168円イチロクパ 1度手に取り棚に戻した
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たたみこみをれば一朶のグルテンにも智の生じ得る非線形性
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