分き下る漫ろな水の行く道をおもんみるやは其もまた川
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滑稽なタップダンスを踊る僕 足の間を抜けていくねこ
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言の刃を ふりまわしたい気分の日 斬ったら切れていたのは自分
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目も眩むフラワームーンの光芒に結わえられたる宵の空かな
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初夏という春でも夏でもない季節曖昧なれど緑は濃くて
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笑うなよ頬のえくぼが見えるだろバレるじゃないか君が夏だと
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名の知れた地元企業が身売りする栄枯盛衰いつの時代も
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はちみつが娘より届く 母の日の贈り物らし風薫る午後
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持っててもヘルプマークは付けぬ主義 自分に甘え許さぬために
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ヘルパーは数が足りずに高嶺の花 事業所さんは強く出てくる
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今どきはヘルパーみんな70代 戦力を問う事は出来ない
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留守のに檸檬の若葉ぴゅんぴゅんとみなぎ生命いのちに励まされをり
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土をこね時計の針は重なりて終わりを知らぬ造形思考
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通院の日取り決まらずもどかしく送りの息子伺うばかり
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「ねぇパパは保育園どこいってるの?」帰宅のパパへ素朴な疑問 /吾子二歳
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北側の民家の隅に 遅咲きの躑躅ツツジ 梅雨入りの足音近し
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緑なす五月の風の中に立つ白きシャツ着た君が手を振る
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梅雨の間の 陽射しが眩し 運動会 良きタイミング 近所の学校
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忘れずに 取り込まないと たくさんの 洗濯物を 陽に干せた今日
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ガラス瓶 そそいだ水が溢れたら 好きなものから嫌いになるから
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ご近所の人にゆっくりかけられる「こんにちは」の試されてる感
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衰えていく身を抱え 懸命に生き延び 傍にいてくれる愛犬きみ
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歯のメンテ もう二十年来 通う歯科 いまだに知らず 医師せんせいの顔
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中耳炎 今月中に 治らぬか 左耳だけ 水中におり
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すれちがう バスの運転手さんたちの 挨拶 見たくて いつもこの席
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幼子を おさげに結うや 春昼の 抱かるる人形 君とおそろい
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雨予報はずれ降るに鳴く鳥と皐月終はりの朝風惜しむ
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朝顔と君の横顔花開く 笑顔咲く君見つめていたい
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五月晴れ 田の神育む玉苗に そよぐ鳶の音 風まだすが
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夕暮れに友との出会いに感謝する 君と帰るよ紫陽花の道
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