いつだって言葉は足らず であっても出会っても 祈りのように そこに置くだけ
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お祈りの終わりのようにまぶた閉じ棒キャンディーの取っ手をなめる
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世の糸の絡まってひとすじ光る君の祈りの美しいこと
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ひとつだけ飛び出た煉瓦 踏み込めばきっと何処かの扉が開く
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トラバー点 ここを通れば自宅へのワープゾーンがある(ことにする)
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ジョギングのクリア報酬!「鉄火丼」 冷蔵庫からお受け取り下さい
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遺骸数多納められてある地下納骨堂に続く青年の奥処を燈れる錫の世紀は
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木葉屑草壁若葉花いきれ 牛迷宮に学生帽は燃えつきにけり
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情緒なくトンズラこいた「夏」のやつ ブラジル行けばまた会えるかな
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ちっぽけなほど良いこともあるのだと マンデルブロの銀河は語る
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長月と競い伸びゆく爪と髪 気付けば俺は狼男
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ふるさとの百葉箱の神様へ。 風がそちらへ向かうようです。
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偶像アイコンを失くした僕ら もういっそ名も泡沫に溶かしてみようか
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百四十字の声が入る封筒ありふれた真白のテキストボックスに 写真一葉今日の昼食のみ添え送る天邪鬼だから「さえずれ」と言われても鳴かず飛ばずで過ごしています
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光線の届かぬ部屋が寒くなり ここが惑星だと思い出す
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なぜなんだ 煮卵入りのラーメンを買って煮卵だけ残す人
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暇四に方侘かびら妬睨みむは赤募目るも 振郭り公ほやど きそ の急青げ巣自ご転と車落 と雛しのて鳴しくま間えに
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こちら側のどこからでも開けられぬ封を切り裂く選ばれし剣
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 僕 た ち に ﹁ い の ち ﹂ が 有 る か 無 い か と か   量 子 の ゆ ら ぎ   そ れ だ け の こ と
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ともすれば孵り育っていたはずの燻製うずらはこんなに美味で
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ハロウィンはケルトの年末なんですし日本人も休みましょうよ
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「東京の夏を観に行く」と言ったきり スポーツの日が帰ってこない
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この時期はみんなそうだと思うけど、頭の中に蛸泳がない?
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金曜を咲かせるための腐葉土として横たわる僕ら店員
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今日の知見:ごま油越しの世界はさよならに似た深い紅色
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パイル地の裏側に見た幾星霜 黴は宇宙の匂いにも似て
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初雪で思い出すのがラブソングじゃなくゲームの曲でごめんね
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褒め言葉を醸した酒が世を満たす 十一月の第三木曜
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「役に立たない消しゴム」がデジタルの紙面の上で役に立ってる
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夜に糸の絡まってひとすじ落ちる僕の祈りのたよりなきこと
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