如月の望月の夜に花はなく 西行の世とひとつきのズレ
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洗濯物ほしものを畳んでくしゃみ一つして ちょっと困った春の兆しよ /花粉
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おだやかな日々の暮らしをかみしめる しみじみ思うなんと尊い/平和
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手指だけは妣譲りだとすべすべの六っつの手のひら姉と見比べ
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泣きながら産まれてきたね それでいい 無理に笑わずスープを啜る
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雪だけですべてを覆う冬の夜こんなに白く失われるなら
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だれと呑むなにを呑むかと如月のじゃんけんぽんが木魂する居間
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徒歩十五分 家路をゆるり歩む 街路樹の間に 白き寒月
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おみかんを ひとつつまんで 甘くって 幸せ気分で 眠りにつけり
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ちさき手を 伸ばして池に パンの屑 群がる鯉に 孫あとずさり
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耳搔きに うっとり目を閉じ 我が愛猫 癒されてるのは わたしの心
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顔見ると ことば少なく 交わす父 いつからこんなに 細くなったのか
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不合格通知で折れるナイフなら 今の私が研ぎ直すんだ
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眠れぬ夜 羊かぞえるのはやめて 牧羊犬を走らせてみる
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君の横 すでに女の 見えつらむ 無駄と知りせば 恋せざらましを
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入滅は昨年だつたと知つた日のこたへあはせのようなスワイプ
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ジャケットのフードをかぶりしのぐ雨 傘持たぬ時予報は当たる
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小春日の温もり去った公園で 雨にけぶブランコが揺れ
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恵方巻黙して食すが定めとか独りの吾はいつも黙食
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誰々が美人シャンで好いと貴方は笑ふ わたくしの方を見ることもなく
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夜が明けたことにも気づかぬ君と月 気づいているのは朝焼けと我
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しでかされ コンコン叱り 家を出て 心揺さぶる ガタンゴトンと
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すべすべに 衣を剥いだ サルスベリ 猿はツルッと 我が目はピタリ
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コンテナを船から降ろすガントリークレーンはさながらUFOキャッチャー
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日本人 右向け右の 性格は 親から子へと コピペーされる
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もう五分わんわん泣く子抱き上げた 甘えるでもなく辺りを見てる
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福袋 君に指輪 渡せたら…  完売の札 神の啓示
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雪景色 オレンジががった マシュマロくちへ 遅効性の 毒薬となれ
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呆気なく古い繋がりほどけてて あぁもういいのかと肩すかし
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今まさに ヌルッと追いつく 『賢者』にも チョイとおいでと 影踏みあそばせ
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