「かわいいね。」白にほんのり乙女色にじみひろがる梅の花たち
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防空頭巾爛れて千々に孔開きぬ蒙る儘焼かる火に
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いたずらは得意謝るのは苦手似たもの親子並んで午睡ひるね
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闘病を支えてくれる診療所 紙のカルテは地層のごとし
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一九三一年九月画を画き戰端を開きぬ旧宗主の名を日本 といふ
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雪洞ぼんぼりの まろあかりに 伏す君の 手弱女たおやめの如き 長き睫毛よ
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風吹けば 揺らぐ心は 今消えて 木の下君の 髪結ぶ花
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僕たちは 晴れた空にも 気づかない 傘を探して 下を向くから
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冒険という名の種族 転んだり笑ったりするそうして生きる
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青年にドア開けられてしずしずと五十五の我乙女となりぬ
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微笑めば微笑み返すレジ台にやっと届いた小さき子の指
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青天のもと 満開の早桜 メジロをおびき寄する 蜜の香
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ネギ油 炎が上がるカウンター 香ばしい麺 一気に食す
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一輪車押しておうなは春の道 株に土付くほうれん草乗せ
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派手やかに 咲く花よりも 紫の すみれ恋しき 春浅き野は
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ねこ母へ お悔やみ申し上げまする タヌ猫さんへ冥福あれと
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親を子のようにおもう日 崖っぷち、だけど愛して家事をしている
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さんとくジャガイモを 植へたがる母 拒む我 遅霜おそじも逆算 植へるは彼岸
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今頃は 火葬の時間 空仰ぎ 故人思へば 風花の舞ふ /3月8日朝に身内が逝去
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濃桃色こいももの花零れ落つ遊歩道「意宇の里おうのさと」なる名の椿らし
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これやこの 想像ラジオのジングルは行くも帰るも 別れては 知るも知らぬもあふ坂の関 /蝉丸✕いとうせいこう 10/100
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下手なりに 写経に臨む 我を見て 成長したなと 友が微笑む
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名駅で 最初で最後 二人飲み 男女の友情 転勤前夜
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いただきを 目指せ 困難 有ろうとも 高い場所ほど 風吹くものだ
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間違いは笑いとばして知らぬ顔シナプソロジー声弾ませて
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紫の 星のかけらの 散りたるが 朝日を得れば すみれと咲けり
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アスファルトの窪みに春を溜めておく 星の数だけ路面、光るよ
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春あさき 皇居の庭の 「袖隠そでかくし」 たちまち江戸へ タイムスリップ / 椿
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ワンランク、ダウンダウンの化粧水老けも速まる物価高にて
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巣作りの 支度をしおり 烏たち クチバシだけで 器用に運ぶ
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