朝靄に身を浸しつつ思ひをり 旅立つ私は一人でいいと
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あかつきに 寝覚めて 十首詠みて恋ふ 雲と見まごふ 白き花枝はなえだ
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トゲのない言葉を探す会話するへとへとになる今日も一日
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弥生末 ねこたちまだまだ 冬ベッド ふたりなかよく 暖を取りたる
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花冷えに夕焼け染まるロッカーの名札剥ぎとり卒業とせむ
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五00キロ 離れし友を訪ね行くプチ家出だと高一の孫
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叙勲いさおしの記章を磨く術もなく 認知わすれの父は私を呼ぶなり
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母の負を父のいさおで拭ひ去り 私は独り介護あしたを編めり
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ふきのとう、教えてしまえば僕だけの春が二人の景色にかわる
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雨音が響く暗がりリビングで 君へのメール読み返してる
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息を止め箸で土筆を裏返す採取するのは緑の胞子
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四月来て店内明るく賑わふもウソも混じらぬ値上げのリアル
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窓枠に切り取られた空の青 雨に洗われ 何と清々し
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らっきょうを 添えたカレーは 春の味 疲れも取れて ギア入れ直す
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シーズン着ずの冬服断捨離し すっきり整う箪笥と心
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花冷えの夜空ふわりと映ゆる月 風雨忍びし桜讃える
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AIにの歌の意味尋ねれば吾も気づかぬ真意答えぬ
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青々と 次々伸びゆく小松菜の 蕾膨らみ春を告げをり 
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月明かり部屋の中まで差し込んで今夜は春を纏って寝よう
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なんだかね自分の息をかいでるようでむかしの短歌うたはちょっと照れます
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立ち寄り湯人のまばらな薬湯に知らぬ媼と桜を語る
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姑の植え残したる椿の木赤と緑が春の陽はじく
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西行の歌をそらんじ老夫婦 桜尚舞う羨む我に
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何であれ通院てのは疲れるねぇ夕餉の支度出足遅れる
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すぐそばに桜の名所ありながら毎年スルーものぐさゆえに
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羊羹とチーズぺろりとたいらげる脂質糖質まみれのカラダ
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譲り合ふ人同士 初対面なれど 会話生まるる 車両の座席
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夢の中 ぐらい良い夢 見たいもの ピンチ連発 寝ていられない
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春の果て 城の桜を縁どりにシャッターを押す君の指先
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五月雨やボタン外れしワイシャツに針刺す父の指見つめをり
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