私たち大口を叩いてようね青年という生き物だから
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吾が友の踏みつけられている人の自由訴う筆頼もしき
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真夏には木陰をくれた くぬぎの葉  お疲れさま と ほうきでなでて
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光さす まくらの 温もりいただきて  しばしやすらぐ師走の窓辺
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過ぎた日々 幾度も散った 白い片 君が去りても 花は残りて
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揺れ動く自分の覚悟とアイデンティティやめてほしいよ決意したのに
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文字なぞり普通の世界に喰らいつく 私はいつまでも利口になれない
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恋焦がれ君の姿を追いかけて かなわないと分かっているのに
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暑い夏あの日も今も去って行く 私は今も待っているのに
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思い出すあなたの優しさ思い出と共に これが愛だと気がついたんだ
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四十路にて学びは続く霧晴れて見える世界が拡がっていく
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思い出喰い 夢と思い出 再生産 全てを美化して 苦しいままで
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秋の夜に明かり灯せし並木道 どこまでゆくか銀河鉄道
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あの頃に思い描いた大人とは程遠いけどホームへ向かう
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割烹の女主人に咎めらる丈夫の二尺上の崑崙
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テレヴィのなかの日の丸にほほゑめる首脳に光差す優生卵
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三十一の文字は牢獄ならずと舎にいへ蒸し焼かる牝鶏
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愛犬の匂いの残るこの布団 そおっと下ろす小さな骨壷
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街角に早くもツリーが登場し 短かい秋が逃げ去ってゆく
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今朝はまた妻が特別ご機嫌で 良い一日が待っているかな
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後輩にもらった絵だけ持ってきた 知らない土地で星を探した
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今少し 眺めたきかな 遠き日の 夕雲に似て 山のに沈む
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覚めやらぬ 夢の疲れに ぽつぽつと 鹿の子絞りに 鳥は群れ飛ぶ
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無人駅 氷雨で濡れる単語帳 私は私を好きになれない
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寒月のうら寂しげのそのままに今年はいかに凍てつく冬か
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万葉の 人に詠まれた 同じ月 やがて令和も 昔と眺む
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ピークなる疲労の夜に浮かぶ星やさしいオリオン私を照らす
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頼まれて買物提げて娘来しシンクの汚れを見かねて磨けり
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ケアをすること業にする人たちをケアできたならと密かに思い
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「家じまい無事に済んだよ父さん」と墓に供える白い秋桜
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