席空けて子連れの親子横並びこんな雨でも報われた気が
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本当はグルテンたくさん食べたいし 世界でいちばんかわいいしガチ
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雨音が 街の喧騒けんそう   かき消して ツツジ鮮やか 皐月さつきも間近
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かたぐちの視線の先にいないこと もういないこと じっと手を見る
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君が為ふんわりラップでレンチンをしてあげるから残れ思ひ出
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死にますとあいしているを平等の温度でこぼす憎き我が舌
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微睡まどろみまぼろしのよにまたたくよりし昭和しょうわさびしささえも/今日は昭和(百年)の日
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少しだけ溶かしたアイスのひとすくい夏には少し早い贅沢
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「けなるい」と言われ笑顔でやり過ごし 後で調べる初耳の方言/三十年も住んでるのに
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ノンアルにノンカフェインにノンシュガー 数値下がらぬ のんびりいくか
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検診でイエローカードと言われたがどちらかといえば黄緑らしい
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この風と貴方の歌とほほえみと亡くなる前に思い出したい
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語彙力も文才もなく飛び込んだ短歌の世界まこと楽しき
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午後五時の 風が涼しい 散歩みち 七つ転んで 八回起きて
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新しき令和の「アン」の登場に広がる世界をまた楽しまん
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ジャスミンの 花の香りが 風に乗り 五月が来たと 告げる帰宅路
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行きしなは我振り返り帰りには妻振り返るふたり来た道
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否定せず アドバイスせず 遮らず 人それぞれと 彷徨うことば
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「たぶん君もハマるよ」あの日の一巻は完結したし、もう忘れるよ
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いくつもの米粒ほどの笑顔よせ一つに和む小手毬の謎
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連休のはざまにひとり刺し子する雨音だけが聞こえる部屋で
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壁面にずらっと並ぶ刺し子糸眺めておれば満たされてゆく
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不器用で昭和の男そのものの今日は貴方の誕生日です
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雨止みて 陽の差す庭に 土香る 四月の疲れ 洗ひ流して
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春嵐に吹かれ散りゆくつつじ花五月の雨は生命いのちの香り
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雨上がり ネモフィラの丘 空と海 視界を満たす青の至福
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昨夜きぞ会いし人の名前の浮かび来ずアミロイドβ脳に棲むらし
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すぐ決まる熟女四人のランチ会花見御膳を揃って平らげ
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引き抜かれ花二つあるスナップ豆スナップが地に横たわり鬼のを見る
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世の中のこわい存在識る二歳ヤギを見てママに抱きつく君
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