「親」という役を降りない母と飲むクラフトビールの苦い延長
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梅が枝に降りし小雪の消え残り目白しば鳴く小さな声で
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一年の辛苦に耐えし老い梅の蕾つけしがヒヨドリの
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仏頭にさき傷あり境内けいだいの庭の日陰に斑雪はだれ残れり
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山茶花の花びら積もる坂道をのぼりつつ聞く鳥の囀り
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食欲が戻り口にすトーストの小麦の香りが幸せだったり
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掃除機をかけてないこと黙ってる旦那には黒は決して着せない
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婚前に 君にもらった ミントチョコ 潤むまなこで 遺影に供へ
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きらきらと春呼び寄せる陽光にスカートの裾ひらりと揺れる
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ひまわりのような恋なら古希だって「あのね」「介護じゃないよ」「うふふよ」
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立春を十日過ぎても真冬日の桜もちだけ唯一の春
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白い蕎麦、人見知り猫、冷の酒。僕を愛する準備はできる
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桃色の 花を飾りて 春が来る 長き冬の日 忘れるほどに
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バス停のおじいちゃんの笑顔こそこの街に咲いた 最初のさくら
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コーヒーに「昨日」を溶かしてはちみつの厚い光で今日をはじめる
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生きるのに絶望しても血税で死後の処理とは何か苦しい
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目標は生きる力になるかもとカンパネラ弾く漁師を都度見る
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歌詠まぬ日々を重ねて帰りつく「ただいま」という一番の歌
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うつむきて 震えるつぼみ陽を浴びて 薄紫のカタクリの花
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まだ暗い 部屋にひとりの呼吸音 宇宙そらとわたしの 秘密の時間
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浅瀬ゆく小石の光り掬わむと水に透くる手幼き紅葉
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浮き雲に寝ている心地 ごめんねと言えてすべてが軽くなりけり
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ふとふ 二文字ふたもじの中に 綺羅星きらぼしと 風と泉と 夜櫻よざくら
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僕たちが 不動と信じ すがるのは 昨非今是の 正義に過ぎぬ
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何回も動画見ながらリハーサルボンボンショコラは無事に納まる
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透明な高次脳機能障害ハンディキャップに包まれた重さに倒れ誰も気付かぬ
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選手らの熱き滑りを追うて飛ぶ さきドローンが健気にも見え /ミラノ・コルティナ五輪
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涙星 泣きたいときは鳴けばいい いつかは渇れて 忘れてくから 
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知らぬ間に流行り廃れる人たちの有象無象の欲が舞ってる
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「雨水」だと気付いただけでホッとした雨が降るから春が来るから/明日雨水
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