誰しもが 訪う歳を意識せず 気付けば大人 どころか夫なう
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ようやくにカフェインハイの醒めたれば静寂しじまに疼く消去デリート念慮
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ゆきどけに水面はあり冬舗道ひかりを受けていずこにも空
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ゆび先の 当たるつよさは 不安定 だけど気持ちは ショパンかリスト
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球体の破壊あるいはたんぽぽの綿毛をとばす 遠くへ あるいは
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簡単な人でありたい薄い雲ばかり行き交う夏空のもと
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この町の駅舎えきのライトに照らされてひとりにひとつずつ影はある
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逆光のなかにある街 清水の舞台の傾斜たしかめながら
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みみうしろ やわらか猫毛 もふもふし 思い出すのは 子猫の時代
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綿毛の塔に風やわらかく吹き込んで崩れ去るにはまだ早いから
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芥子の花ひとすじ伸びて吹きわたる風つよければ折れそうなほど
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揚羽蝶の翅おだやかに振動し何かが始まろうとしている
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しじみ蝶は絡みあい離れあいながら草々のさきにふれてはなれて
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とことこと身体の軸をみださずに扉のしたへきえてゆく ねこ
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新緑のどよめく道をゆきながら小さく礼をしてすれ違う
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しらじらと咲く百合の茎縫いとめて小さな蜘蛛が巣を張っている
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アメンボは水の流れにさからって泳いでは同じ場所にもどって
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池の面に蓮の花びらとどまって静かに夏が終わろうとする
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ささやかな色をのこして紫陽花の花 夏の陽に乾きゆくころ
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昼前に刈り払い機の音響く外を見やると一瞬の夏
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鶏肉と半端野菜を鍋にくべ待つ「この恋が実りますよう煮」
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コンタクトも化粧も落とさず背中越しに ポツリと「わたしいましあわせなの」
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あしひきの 山から眺む 在りし日を 悪しき日もあり 愛しき日もあり
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道端で 白いマスクが 日向ぼっこ 青いお空と そら、睨めっこ
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冬過ぎて 卯月につくし 土つつき 春の足取り 描く澪標みおつくし
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補聴器で 互いの波長を 感じ取り 歩調を合わし 行く散歩道
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平静を 装う君に 詮索はよそう 代わりにご飯 大盛り粧う
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布団から 顔だけ出して 窓を見る まどろみの中 ふと浮かぶ顔
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井戸の中 蛙移動せず 相変わらず 既に足るを知る 心無意識イドの中
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空を指し「あ、オリオン座」と君がいう どこで覚えたの?うちのおりこうさん
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