やすき世は箱入りものやかたぬきの 匂い立つなきあはれなりけり
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今日どれを聴こうか漁るアルバム殆ど全部スピッツだけど
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コロちゃんは白の豆柴ポテポテと短い足で庭駆け回る
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焼け石に 水でもいいと しぼりだす 言葉 3滴 ジュッと蒸発
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「お母さん寒かったね」と初雪をかぶりし母の墓を拭いぬ
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久々に会う友のため身につけるアクセサリーが気持ちも飾る
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父さんのお母さんおばあちゃんから僕の子へ繋がっている眉毛のアーチ
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冬の星  愛を与える  約束し  忘れゆくなら  照らすなかれ 
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白き画布に 向えば百鬼夜行する 未知のイメージ 徐々に現る
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床の間の無い我が家のテーブルでちょっと場違い迎春の花
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大晦日 暇持て余しブックオフ 行ってもやっぱセールまだだし
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オンラインクレーンゲームでぬい十個 眠れぬ夜に獲ってやったぜ/⋯店より獲りやすい
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病む父の横に座りて毛糸編む指もかじかむ大晦日の夜
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臆するな誰もが他人に興味無し だから背筋を伸ばし歩けよ
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苦は楽に 痛みは鎮め 嘆きめ ただひとときは このひとときは
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薄明かり 初日の出を待つ控え室 外で焚き火にふーと吹く音
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こんなキャンプしてみたかったとはしゃぐ父 おでんとあったまったどぶろく
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昨年の暮れより引きずる動揺は急なる旅にて一時忘れて
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ひなたにて読む新聞のインクの 邯鄲かんたんゆめ 遠き正月
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神様がどこかにおりて松の内 星の光も一際清く
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踊り場はそういう意味じゃないのだが そういう意味ならずっと素敵だ
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御佛みほとけと 笑いあう夢 この年は 何があっても 乗り越えられる
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ごみ出しで「12」の数字と 目が合へば 何故か寂しい 年始の捨て場
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覗かれるリンパの流れも心臓も 夫にも亡父母にもヒ・ミ・ツを持ちし
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心より体の方が正直だ悲鳴をあげた肋間神経
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子どもらが それぞれ車で帰省する 送迎の手間も 一つ無くなり
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風を受け飛砂ひさ積もる道ペダル漕ぎ 稀有なる千鳥に頬温まり
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日常が戻りし今朝は味噌汁と漬物並ぶいつもの食卓
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声弾む友の電話はすぐそこにいる気がしてる距離も時間も
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「ご飯だよ」呼ぶ声さえもさえずりに聞こえる朝は奇跡と思う
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