薄明かり 初日の出を待つ控え室 外で焚き火にふーと吹く音
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こんなキャンプしてみたかったとはしゃぐ父 おでんとあったまったどぶろく
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昨年の暮れより引きずる動揺は急なる旅にて一時忘れて
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ひなたにて読む新聞のインクの 邯鄲かんたんゆめ 遠き正月
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神様がどこかにおりて松の内 星の光も一際清く
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踊り場はそういう意味じゃないのだが そういう意味ならずっと素敵だ
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御佛みほとけと 笑いあう夢 この年は 何があっても 乗り越えられる
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覗かれるリンパの流れも心臓も 夫にも亡父母にもヒ・ミ・ツを持ちし
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心より体の方が正直だ悲鳴をあげた肋間神経
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子どもらが それぞれ車で帰省する 送迎の手間も 一つ無くなり
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風を受け飛砂ひさ積もる道ペダル漕ぎ 稀有なる千鳥に頬温まり
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声弾む友の電話はすぐそこにいる気がしてる距離も時間も
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「ご飯だよ」呼ぶ声さえもさえずりに聞こえる朝は奇跡と思う
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言えますよ春の七草すらすらと秋の七草 はてススキとか
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靴底の溝に嵌まって出てこない どれほど我をおもうかこいし小石/恋し 
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咲くことの 無きクリスマスローズに 言葉かけ 三年みとせを経れば 今日つぼみ 持つ
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「おちょこ」とふ名前をつけたと友の言う猫を眺める眼差しに愛
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深夜2時 子の胸の上下確かめる 母は強しと 聞いていたのに
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三冊の図書を借り出しお年玉ちいさき包みを両手に受ける
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間違えてばかりの地図をひらいてる私に「赦し」の雨が降る夜
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雪の紋 貼りつけ走る 車窓から 大雪山だいせつざんの 気高き稜線
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誕生を今か今かと待たれる児生まれる前に既に幸有り
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公園の敷地半分削られて なんとか残った遊具のパンダ
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母さんが土砂降りを君に降らせては晴れた後から虹が痛くて
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「あなたには無理」の呪文を噛み砕く 塩味強め母のおにぎり
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読み違え一太歯ぎしり足元で小川ながれるせせら笑って
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奇妙でもこの言葉たち紡がせて 伝わらなくてもいいからどうか
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明けた空キラリ微笑ほほえむ月がいて 微笑み返す今日は記念日
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積読の中に埋もれたあの頃のアイデンティティと出会い沈黙
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初春も癌の治療の始まる日 枯れ野の径に白き水仙
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