雲ちぎり洗濯物をさらわんと悪童わらしは歌う 名は寒太郎
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ドブ川といわれようとも隅田川 きみに溺れてオフィーリアになる
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五時間目 隣で眠る 君を見る 今日は起きると 言っていたのに
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四桁の印字されし明細票二つ折りにすれば 足元降るサービス券
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偉そうに人生を語るこの人はうたが詠めないし 今は私も詠めません
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半年に一度の経過観察は 生き抜くよすが 人生たび宿木やどりぎ
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白ごまがわかめスープに浮かんでるお椀のふちが岸辺に変わる
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甘き色 洋菓子のごとき 薄桃の 薔薇に頬寄せ 爪を塗る夜
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夜の端 今日もバッグをポチります 腕は二本でわたしはひとり
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「老化では済まされぬことあり」 バレる 数値で示さる摂生不足
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唐突に手を曲げてにゃあと鳴いてみせる同居人は男 齢四十歳
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通りすがりに素顔を知られる回転寿司屋の通路
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素なるかな、頭二つで歯も二倍 島を襲いし双頭の鮫/映画『ダブルヘッド・ジョーズ』
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荒海の君に捧げる澪標みをつくし。頼る島へか、帰る港へ。
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あまりにも自分の理想すぎる君。私のそばでずっと笑って。
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あの店もすっかり名前が知れ渡り恋人たちの語る場所無く
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ストーブを消せば静寂が増えるだけ寒さより先に心が冷える
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苦しんで這いつくばって嗚咽して曇ってそれでも立ち上がってね
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帰省せし長女と妻のならびたつ台所より夕餉の香(か)流る
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末娘より「無事退院!」の電話あり唯「おめでとう」とくりかへしをり(医師脳)
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助けても もう疲れたも 何一つ 拾ってくれない 美しい世界
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持ってる弱さも抱えて海へと続く道 泥付きのサンダルは白くなって
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寝たいけど泪止まらず奥二重一首詠めたら夢の中へと
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落ち着いて ぎゅっと自分を抱きしめて 大丈夫ひとりで生きていける
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他人事ともう思えない、欄干のもとに落ちる花束はきいろ
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ロボットでないことを証明しよう ストーブを消し窓を開けます
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回収が終わった後にゴミがある時間守らん奴が許せん/ゴミカゴ当番
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草原の 青を覆ひし 白銀に 玉投げる児の 手の赤きかな
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新しい空気がさぁっと駆けて行く 船出にそっと寄り添うように
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何時間 かけて仕込んだ 手料理は 食べて一瞬 作り手あわれ
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