まっ暗な海であなたが迷わぬよう、明かりを灯すわたしでありたい。
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本にはさむ紙のきれはし 栞になったら大人
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三毛猫の頭を撫でて願います、君の一日幸せであれ。
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愛犬の匂いの残るこの布団 そおっと下ろす小さな骨壷
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十七年たくさんの幸せ有難う! 愛犬キミのお家よ 骨壷を置く
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シリウスは オルゴールのごと ティンコロと 優しき音色で またたきており
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風邪の子に焼くオムレツの甘い香と休む仕事の後ろめたさと
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ひっそりと埋もれる馬は軽やかに走るキャンター一口5
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今朝はまた妻が特別ご機嫌で 良い一日が待っているかな
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聞いたこと 言わずに留める 自尊心 ただ今全力育成中
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やや傷や汚れがついた人形をアプリで売った夜の三日月
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腹切れば同じ血と肉同士の恋 それでも百合と言えるか ヒトだ
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まったりと 猫と留守番 金曜日フライデー あえて音なき 部屋でUtakata
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病ゆえ四角き景色のみぞ見る人にススキが 知らせる爽籟そうらい (在宅療養)
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モフモフの絨毯に変え炬燵出す なにもせぬ日の夫の居場所
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気をつけろ焼き飯を慌てて食うとカッとレンゲが前歯に当たる
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帰り際氷のくぼみのところにストロー当てて残りを吸った
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だれひとり 我のことなど見ていない 下は向かない 空みてるから
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じゃが芋を黙々と剥くピーラーは二十余年の現役選手
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使用後に硬貨が戻るロッカーの百円のように無意味な夫婦喧嘩バトル
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ようやっと布団からぬるり頭出す 肌寒き朝にカタツムリとなる
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かわいそう? 餌になっても言えんのか 生きるもの皆 必死なんだよ。
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老眼に優し 暦求めて 買ったのに サイズ間違え 途方にくれる
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陽のひかり、きらめく流れ、雲が差す。輝きは去りて夜が来る
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ちんちんの湯を注ぎたる湯たんぽにタオル巻きして母の寝床へ / 猫好き様へのオマージュ
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鈍色の空に真っ赤な柿一つ少し痛んで魂の如
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人里の轍踏み分け鳴く熊の声におののき窓を閉め切る奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の声聞くときぞ秋は悲しき /リライト
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雪遊び手足の凍る帰り道母待つ家のありしあの日々
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誰だってまぶたの裏に隠し持つ今よりもっと高かった空
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真夜中に するどく光る 二十三夜 17才の 君に似ている
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