豚こまを 醤油とねぎと 大蒜にんにくと  炒めこしらう 即席の薬
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かすみたる山の端追へば川妬みわれ忘るなと水面ひかるや
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陸奥みちのくの 花の盛りを 見ぬままに  時は過ぎ去り 十五年
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父に似た人 二度見して すれちがい 背中見送り 春 ひとめぐり
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悲哀とは 幸福たちの 存在を  証明し得る 唯一のもの
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今日もまた足を踏まれることだけが世間とぽくのコミュニケーション
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病窓に朝を告げ来る鳥の声見上げる空に朝焼けの雲
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無駄足を何度も踏んだ野心家はしつこく古希の初恋をまた
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月が綺麗 あなたの好きな 細い月 見て見てなんて 言える距離なら
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居た場所に もう居ないこと 追いかける 言葉はゆっくり 植物に似て
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一人背負しょい二人はバギーで「こんにちわ!」細い身体でたくまし 母は / 娘
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花ながれ枝たゆたえば古の栄華ぞ散りぬ楼門の風
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ほほつたひ 涙を隠す 春雨は 在りし日思ふ 弥生のしらべ
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木瓜の花 塀の陰から顔出して「おは」とささやく青空の朝
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一歩ずつ踏み出す足にいのち載せ幼な子笑むや 春のきざはし
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さくら花儚き色の風が舞う幾年いくとせ過ぎて覚悟のせつな
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剣岳の天井空へゆうらりと我よ飛び立て味わう煙草 
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空近き 稜線へ立つ童子を照らす小鉢の碧い竜胆 「りんどう」
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テーブルに麦が生けらるランチ会 初にて噛みしむウクライナの味
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いにしえの醍醐の花見してみるも心の疼き癒されぬまま
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わが鬱の様を映しているようだ、桜花咲く重い曇天
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ひさびさに ちま猫ちゃんの「おきてニャーン」 起きるよ食べるよ チーズ蒸しケーキ/アップルパイ売り切れ
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仲立ちをしたカップルと写ってる 原作者って感じの顔で
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「ジャガイモの芽出た?」「三本な」楽しげな会話を聞きつエアロバイク漕ぐ
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ハードルはちょっと高めがちょうどいい華麗に決めたい背面跳びで
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足跡を波に消されて抱き寄せた君は海より深くはかなき
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適温のお湯に緑茶の蒸す待ちの束の間思う君への朝日   「今日は君と」
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青バナナ吊るし置くうち黄に熟し やがてあばたの天人五衰
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正義とか平和を本気で語るのがテレビの中のヒーローだけで
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「ストップ」は春にきかないブルーベリーわがままに枝緑をのばす
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