遮断機の音のひがむるつかの間に辛夷こぶしは銀の産毛ふふめり [題詠 辛]
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日本の 背後にデカい 米国の 影濃くなりて 色もつきつつ
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電線の 下に連なる 烏の糞 何求めてか 定時巡回
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「若者よ、君の未来は明るい」と 笑って送り出してやりたい
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追い追われ 想い想われ 手を取って このまま共に老い終われたら
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落花生 投げては拾いまた投げて 吾子はよびこむ わがいえの春
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卒業と入学のの春風は、こぶしの白い花を揺らして
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眠るの耳元にそっと「さんぽだよ」ささやく夫に優しさを見る
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蝉時雨 ふと立ち止まり目をつむる 矢の如くゆく光陰の中
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粗大ゴミ置き場置かれた姿見に映る私に見覚えは無く
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本当に美しい日はおそらくは忘れてしまう程穏やかで
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明け方の雨の雫を葉に残し薄陽の中に蓮匂い立つ
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直接は話さず話せず触れられず緑の通知が私の明かり
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ひたすらに眠ることと食べること 愛しさ増して 我が家の老犬 \ もうすぐ17歳
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空を飛ぶ夢など見たことないけれど自転車からはいつも落ちてる
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依存せず、期待をかけず、受けいりてすべを覚えし歳月としつきの果て
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「三人で来たかったね」と逝きしを偲びつつ行くコスモスの道
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頼まれて買物提げて娘来しシンクの汚れを見かねて磨けり
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動かざる思ひ知りたる雨の歌ひとり受けたしあゆみ静かに
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父さんのお母さんおばあちゃんから僕の子へ繋がっている眉毛のアーチ
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便りあり支えなき父歩けぬと冬柿の枝さぞ細かろう
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独り身の寂しさ煮詰めたかのようなレトルトカレー食む寝正月
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初雪に錯覚ごとき起こりつつ木々に花々咲かせおるなり
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蜂蜜を紅茶に垂らす一年が穏やかなれと出初めの朝に
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止まらずに まわり続ける 暴れ駒 張り手一発 作法はそこから
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見上げれば紅梅咲いてこの空のどこかにきっと精霊はいて
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高3生 決意を胸に あとにした 教室に光 しづかに満ちる/明日、共通テスト本番
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一筋の祈りみたいな名前やね「のぞみ」私は東京へ発つ
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肌と肌触れ合うことの滑らかな心地の中で夜溶けてゆく
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行った店 歩いた道に観た映画 記憶の花が咲き誇ってゐる
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