半券をノートに貼ればあの日観た舞台は記憶の標本となり
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掴みたいものはだいたいこぼれゆく 吊革だったらすぐ掴めるのに
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「さめざめ」を高速で溶かして回せば かなしいわたあめになる。食べたい。
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液体の磁石のように自意識が近寄ればとげとげしだす心
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唐突に宇宙へ放り投げられる「どこでも好きなお席へどうぞ」
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ゲームカセットの値下げを報告してる 誰にも届かないアイラブユー
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胸の中を掴まれる感覚が好き。寒い日に吸う煙草の話。
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雨垂れが石を穿つ要領で、きっと空いた靴下の穴
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ハイライトブルーが宇宙そらに溶け込んで僕は昨日の君を見つけた
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久々に犬も食わないナンとやら 秋刀魚の塩焼き二人で黙食
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雨に散る金木犀はまだ濡れて仄かに甘い香りの朝で
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女王蟻に肖し式服の白纏ふ偶像たらむ。宰相寫眞も
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死んだあと、きっと世界をこう見てる。屋上の景色。羽はまだない。
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「光あれ。すると光があった。」マジ? お金あれ。「いや、そういうのじゃない。」
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愛犬の匂いの残るこの布団 そおっと下ろす小さな骨壷
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秋空の 雲の切れ間に 差す夕陽 レンブラントが 大地を照らす
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一つ石二つ体を寄せ合いて一つ衣の夫婦地蔵よ
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合わせれば逸らす視線の動線で見えない壁を張る能力者
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切れるべくして切れてきた縁があり、空の財布と向き合っている。
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エアコンの作った空気が苦しくて冬の夜風に消えたくなった
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淹れたての コーヒーの香りは 時を止め 秋空の雲を しばし見送る
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山茶花の花びら降るる日溜まりの僕に秋の日静かに降るる
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人の無い夜中の街で一人きり雪に残った靴跡を追う
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北風の冬の朝には日が澄んで歌の言葉をほどいてくれる
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フード越し風が鳴るのを聴いている星瞬いて流れて消えて
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なんということもない事なんとなく上手くできないそんな今日です
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いつの日かダイヤモンドとなることを今日も願っておやすみなさい
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一晩中 雪の明かりに 照らされて 白夜なのかと 見紛みまごうほどの
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気が狂う ほどの激しい 静寂が 君と僕の 横たわっていた
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未来あす思う いいことばかりじゃ ないけれど 続ける日々が 層になるまで
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