重だるい幕を開ければ花ばっかむやみに咲いてばかにしやがる
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眠りから覚める合図や梅一輪開きて庭の色づき始む
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無い物は 別にいらない ったもの 返せ、返せよ 我慢ならない
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ああそうか木の葉は小さな翼だね散るまで羽ばたく季節の風に
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伏せし妻 匙くちもとへ運ぶ夫  寄り添い生きし 老老介護
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いわし雲釣つてみやうかプラプラと折りたたまれたアンテナのばす
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女房より六年長き付き合いの友と酌む酒 梅のほろ酔う
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「ほら最近 流行ってるじゃない?長生き」と かろやかに笑う 人生の先輩
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赤黄青 きららに透ける琥珀糖 母への想い 口にくゆらせ
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ほうれん草はやく食べてと葉先からしおれる前に早く茹でてと
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愛をせず されもしないから 想像するだけで済ませる暖色の家庭
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放課後の紙コップから君の声こっそり「スキ」と告げる糸電話
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白き花ひらかんとする沈丁花待ち遠しかな芳しき
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笑ってもカイリの皺が増してゆく海なら今はニヒャク乖離か
11
ああ無常笑い飛ばせよ人生はご縁が結び誤嚥が別つ
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風の香に 日の温もりに 宵闇に 仄か滲みし春のさきぶれ
16
アンテナに かかる小さな アイデアを 歌にするのは 愛であるかな
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雨の日に 失う恋は 消しきれぬ いつかの君を「思ほゆるかな」
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毎日の 終わりに一首 詠んでいこう 何もない日の 小さな抵抗
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「国」「祖国」 取り払います 今すぐに 其処にある日々 ただ自然なり
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身に纏う 服に戸惑う 温暖化 国道脇の 草花に聞く
14
隣国の 凶器まがもの絶えぬ この街に 穏やかなる日々 いつぞ戻るや
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春が来た 多分そうだよ ヒヨドリの 「ピーヨ ピーヨ」の声 其処此処に
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ドライみかん 唾で実って甘くなる 食べても枯れない ぼくは死なない
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背負った業ごうわざを磨いて業なりわいへ わたくしなりの自業自得
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人生を 振り返っても 苦が多し 楽を見つける 難かしさ
8
「買ったんだ」つれない素ぶりの息子達 「食べる?」を期待し しっぽぶんぶん
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天冴ゆる 凍てつき寂し 峠道 風の間に間に 粉雪吹雪く 一歩ひとりの 影法師
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冬晴れの ひともと咲くや 水仙の  香りこぼれて 風に漂い 冬の朝
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独りゆく 雪の足跡 振り返り 雪降りしきり  木立凍てつき 枝を透かして  氷る月影
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