ヨカナーンの 首に聖穢せいえがこびりつき サロメのキスは 破滅の調べ
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憧れは考えてもうやまなくて苦しくって恋によく似ている
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雨の日は明日の桜を思いつつ珈琲飲んだり酒を飲んだり
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カンダタの夢の中だけ観覧車振り落とされてなお夢の中
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風吹けば 揺らぐ心は 今消えて 木の下君の 髪結ぶ花
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水曜の美術館前バス停で春めく君の頬にひとひら
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春浅き傘交う窓の縁なぞり雨垂れるまま君を待ちおり
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じいちゃんとじいちゃんいぬが歩いてく朝凪あさなぎのみち海のある町
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寒もどりふくらみかけの桃一輪ぎゅっとまぶたを閉じて待つ春
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サックスの深い音色は時をかけ心に届け夢みるごとし
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去る子らに光りを願う心さへ凍てつくままに寒風を聞く
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値上がりは 二十円です。 灯油です。 赤紙みたいな 葉書一葉いちよう / 氷点下つづく
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目覚むれば二日で二尺の雪積みて春は一気に振り出しへ戻る
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身を屈め目線合わせる水仙にご機嫌を問う迷惑かしら
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寒かった今日振り返り汁物をコンポタとする米研ぎのとき
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獣らも恋人たちも陽だまりでつがいで暖とる3月のZOO動物園 
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また来年 雛人形を 片付けて 弥生も半ば 陽の向き変わり
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いい嫁を 演じるつもり ないけれど 遣う気の分 魂抜ける
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飯事ままごと乙女椿ヲトメツバキを洋菓子に見立て ケーキ屋営む幼日
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みーちゃんが来てくれるからおばちゃんは罪滅ぼしが出来る気がする
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名も柄もわれに似ているボケ木瓜の花 木偶の坊にも春の彩り
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遅刻する 急ぐ足元 風過ぎて たんぽぽの綿毛 どこにゆくかな
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我が足に 頭のせぐっすり眠る君 痺れがきても 動けず我慢
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窓越しの 板の間に立ち 温もれる 足の裏から 春入りたり
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妹から「居酒屋予約完了」と 早も心は十勝へ飛びぬ /明後日から
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アイロンの熱を味方になじませて 未来の僕に会いに行く朝/明日はOB訪問
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ファインダー覗く世界は 変わりゆき モノクロームからフルカラーへと
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春彼岸 息子の隣ちょこんと正座 ちさき手合わせ神妙なきみ
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襟足に 春の予感が した日には 泣きたくなるよな 喧嘩がしたい
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並ぶほど愛くるしいは雀なり後光を受けてわれにおはよう
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