一歳が初めて言った「パッパッパー」アンパンマン お熱の今日もしゃべり続ける
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早々はやばやと鳥は見つけた秋の味 庭に散らばる柿の食べかす
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夕立に涼む身を突く蝉の声 わずかばかりと雲追う心
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すわ陽炎 冷え込む耳朶にサイレン音  野分祭りか窓辺の午睡
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虫の音が 誘う枝葉のさざめきに 薫る季節の色を想う
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颯爽と走る若者つい見とれ 背中を見送る私と老犬
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画面には笑顔溢れると孫が 心によぎる会えない寂しさ
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かき氷味を覚えた一歳は 大きなあーんで兄の後追う
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賑やかなさえずり声に見上げれば 豊作の柿でヒヨドリ宴会
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翔平の 刻むベースは晴れやかに  押して迎える秋の朝
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秋探す 夕の陽のジョグ  息急いて 脚止め迷う夜道かな
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満月に ウサギを描く心持ち  子犬の毛にも ススキを愛でる
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「まだ読むの?」疲れた兄ちゃん逃げたいが 一歳あと追う「もういっかい!」
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やっぱりね楽しさ倍増アンサンブル フルートの醍醐味仲間と味わう
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二十年ここで寝たんだこのベッド 嫁ぐ日近し涙あふれる\思い出
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人と街 遠き近きで 移ろいで  風に尋ねる 秋の訪れ
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里芋の葉っぱに転がる朝露で書いた短冊 七夕懐かし \羊の皮を被った山羊さまへ
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ふんわりとおさまの匂いにくるまれる 布団を干して今日は幸せ
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歌いつつ自転車を漕ぐ人が行く秋の真昼の心地よければ
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炭酸の抜けたジュースを飲み干した  輪郭のある終わりが欲しい
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朝時雨 車両に向かい構え人 傘先で追う 紺碧の風
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ブレーキをかけてしまった感情にもういいよってねぎらう夜更け
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思い出は電車に乗って帰り道川面に映るみかんの夕陽
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見た目より中身が大事と言う口で綺麗なパンを選んで食らう
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真白な猫の毛並みをお手本に 清くフカフカ生きると誓う
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枯枝に風の浮かべる月の舟響き冷たき銀色の笛
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鮮やかな靴下を履く うつむいてしまった時の励ましとして
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有明の月の白さを手に受けて雑木林の梢に落とす
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遠くからきみを見ている 届かない星に名前をつけるみたいに
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東向きの窓たちみんな輝いて朝を迎える瞳となりぬ
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