この世には善人なんて居ないのかそう思わせる人的受難
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苛立ちを三日こらえて立ち止まれ先人の言う知恵に鎮める
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一日にほんの小さな一錠で脳梗塞を逃れてる母
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『だし昆布多いと美味しい』こんぶ茶は予防食だと知ってて褒める
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甚平をちょいと着こなし七歳児 少し前まで指吸ってたのに
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幸薄き 定めの中の 幸せな 数は少なき 思い出集め
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春よ来い 早く来いとの 童謡わらべうた リピートされる 電気代なり
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武士もののふの 魂宿す 鎧かな つくも神さま 天下無双てんかむそう
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ひっそりと この胸に秘める この想い 今の関係ふたりを 壊したくない
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「ねえ元気?」「めっちゃ元気」「噓!」スプーンで掬ってくれるようだ優しき
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線路だけつづいているよ毎日を歩いてだけどコンビニはどこ?
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どくだみの花咲き初むる朝の雨心は道に惑ひぬるかな
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イヤホンで占領された子の耳に「行ってらっしゃい」は届かなくて
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毎朝の 純白の心を 引き連れて 都会の空気に 汚しに行こう
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あからひく ユアザオンリー アイハドシーン 君のことは 忘れないよ
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今朝の雲 いわし雲っていうのかな 忙しいけど 空でも見よう
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ベンチ外 ほとんど吾子と 同年代 思ってしまう 「すぐあきらめるな」 / スポーツの日
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遠くまで来てしまってから気付く これは誰かの物語だと
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手離してしまったものの温もりをいつまで憶えていられるだろう
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椋鳥の大群賑やか大宴会 味をしめたか柿は食べごろ
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十七年たくさんの幸せ有難う! 愛犬キミのお家よ 骨壷を置く
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善悪などとうの昔に手離して もう少しだけ軽くなりたい
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墓前にて頭を垂れる父の背にこの二十年はたとせの星霜の積む
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鈍色の空に真っ赤な柿一つ少し痛んで魂の如
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誰だってまぶたの裏に隠し持つ今よりもっと高かった空
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人間が出来てる二人思いやりで譲り合った最後の餃子
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偉くなど 成らなくて良いわ 風を浴び ぬくい光に くるまれてたいの
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指先が母になりゆく初冬の夕 ポテトグラタン肉じゃがにする
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新品のマフラー整え 無意識に 君の温もり探してしまう
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胡麻酢和え。酢と思てたら 白だしドバァー 虚無が創りだす 黒い卵焼き。 / 黒ゴマだった🙄
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