風強し 風の錯乱か 枯れ葉舞う 雲の流れも また急ぎ足
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来し道は迷い違へど一路なり吾子歩みたまへ道選ばずとも
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心配で 泣きすぎて頭痛いから ココアを淹れよ うんと甘くして
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抜く大根 抜く大根に手足あり 一本足の君が見たいよ
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泣きたいとき 泣くのがいいさ あくまでも 自分のココロに 正直に生く
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二度目なる 君なき秋に ハッとする 短歌になぞるは 君の歌ばかり
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串カツを 味噌鍋浸し はふはふと ほおばる友は 無邪気さ溢れ
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緊急か 外出先で メール来て 内容確認 徹夜覚悟で
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晴れ渡る 母の生まれし 日に思ふ 空襲逃れ 生き延び『ツナグ』
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オンキョーとビクター アナログ接続す 70年代 ブルートゥースで
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り織りし小さき布に息を吹く つよき点りよ 明日の名となれ
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あきあかね顔に触れたり遊歩道 車輪の先に立秋ぞ来る
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じっとする 猫も私も じっとする ストーブの前 ずっと囲んで
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早朝に重い深紅の野イチゴがつゆたたえるみずみずしさよ
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墓前にて頭を垂れる父の背にこの二十年はたとせの星霜の積む
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君が住む街があるということ、めざましの天気予報で横浜が晴れ
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月が見たい 星が見たいと 願うのは 自然のことはり あいにくの曇天
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あの日からメジャーになった「忖度くん」言の葉まってる照らす光を
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ひとり醒め 過ぎた夜長の 果てに立ち 街の目覚めと 日々を迎える
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断捨離中 ぽんぽん袋に 放り込む 物を捨てても どうせ消せない
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えらそうに指示だけだしてゐなくなり水筒の蓋ぎゆううとしめる
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採血終え レントゲン終え ちっちゃなエリザベスカラーカラー どうぞ神様 この子を護って
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君たちが走る道行きその先が 光に続いていきますように
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理解より力が今の私には必要なのと歩き続ける
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鈍色の空重ね着をするように赤黄緑の秋 置き土産/改
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秘めやかにあなたの不在思いつつ踏み切り上がり歩き始める
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夕間暮れだれのかなしみ連れてゆくつぶれた店ばかりならぶ道
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人里の轍踏み分け鳴く熊の声におののき窓を閉め切る奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の声聞くときぞ秋は悲しき /リライト
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抱きしめて 何度も何度も ねこを吸う ちいさな額に 何度もキスする
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仔猫拾う手のひらにのる温もりは一週間で一丁前になり
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