テレビ前 後ろで手を組む父と息子は おんなじかたち やっぱり親子 \ 世界陸上観戦
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水飲むとずっしり重くなる胃が好きだ 人ってただの筒と思えて
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うたいびと色んな流儀あり過ぎてシェイカーの渦中ヘナヘナ回され
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天高し ノートみたいに端っこに明日の献立書いてあるかも
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痛くない傷に限って誰からも見つかりやすい場所についてる
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久々に犬も食わないナンとやら 秋刀魚の塩焼き二人で黙食
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初雁の遅れ啼く聲かれがれに蓬老いたれみそらもろとも
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椋鳥の大群賑やか大宴会 味をしめたか柿は食べごろ
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にんげんのことばがつうじないまちでにんげんとしてくらしています
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大病をせし弟よや健やかに暮らしておるか案じて祈る
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金魚妻 わたしの鉢はちいさくて 今は自由に游いでいるか
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国会のテレビ中継見入りつつ行方を案ずまつりごとかな
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かわいそう? 餌になっても言えんのか 生きるもの皆 必死なんだよ。
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秋が来る 息子殺した秋がくる 落葉のよに 踏みつけた道
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誰だってまぶたの裏に隠し持つ今よりもっと高かった空
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見送って送られてまた見送って「また明日ね!」で、真ん中バイバーイ
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畏れつつ自然のかたちを見過ごして先回りしてまた猛けの余
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横になり疲れたふりし指図さしずする チョロいよ息子キッチンに立つ
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気にかける親のもう居ぬ故郷ふるさとの天気予報をついまた見てる
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バスツアー波静かなり大洗たまの遠出に幸せ覚ゆ
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親も子も 毒も薬も 喰らいつつ お腹くだして うたかた処方
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朝の度植物たちに霧を吹くこれも一つの祈りの形
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1122… 溜め息つきて 足袋を履く 遺影の妻へ「行って来るょ!」と…
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最期だけ自分の声で泣くことを許されているガラスの欠片
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きしのふたおやの声おもはする こはるひよりのやはらかな朝
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オリーブの深緑色ふかみどりいろ 空き瓶に薔薇生けてみて勤労感謝
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指先が母になりゆく初冬の夕 ポテトグラタン肉じゃがにする
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大陸の 友と語りて笑いあう 小さき外交 祈りかさねて
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芳香ほうこうが 我の頭を ぬくとめる 妻がのこした 毛糸の帽子
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「胸貸すよ」「助けてあげられなくてごめん」届くLINEに救われて/会議のあと
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