一日の終わりに斜線を引くこよみ予約外来気付いたら明日あす
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音もなく 水辺に降り立つ白鳥の 真白き姿冬来たりをり
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雨上がる もみじの雨粒葉を遊び ポツリ落ちたり たまゆら光り
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頼もしやこの冬初のマフラーは のどむね温め汗ばむほどに
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コンビニのコリアンコスメ手に取ってラメのキラメキ見比べてみる
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しかたなくビル街を行く祖父の足 踏みたいだろう畑の土を
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日は差せど寒風痛し風音に紛れ聞こえる熊の警報/防災無線
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低速度エスカレーター降りてくる街が私を泳がせている
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またけふも家人寝てから帰る夜潤いもとめ手に取るサラダ
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星屑の金木犀と冬隣 君の誕生日、儚く終わり
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枯葉舞い いよいよヒーター 点火して 冬が始まる 霜月の晩
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路地裏に落ちた金木犀はやがて夜を照らす銀河になる
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紅葉が一気に進む寒さかな 母のもとには あったかスープ
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たいくつな夜は窓辺でこぐま座と金平糖をころがし遊ぶ
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夜も更け テラスで星を 眺めつつ 珈琲片手に 波の音聞く
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北風が 体を冷やす 晩秋に 祖母のすいとん 蘇える味
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漆黒の 丘の稜線 なぞりつつ 月の輪の凛と 今現れぬ
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電線のスズメをぜんぶ奏でたらラフマニノフが聴こえるだろう
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見るともなく見ていた遠い窓の灯の消えて私もそろそろ寝るか
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鵠沼の 小さなカフェで 海見つつ クロワッサンで 特別な朝
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現実を 逃避し明日はサボります。 おかえりんくる 叫んで笑う 
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チクタクと響く 動かぬからだにフラッシュ焚いて流れる朝露
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恥じさへも詠んで笑って模索して部屋は片付き一歩前進
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死と仮死の秋の狭間に日が落ちる鎮静の夢息をする父
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あすなろは夢みし明日の交差点 山動かすも思ひ初まなば
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物故者に黙祷ささげ始まりし同窓会に集う古希たち
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挨拶を交わす笑顔のうれしくて 思い出せない名前の君の
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綿棒の検査を受けて結果待ち 「はずれ」を願う妙な籤引き
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わんちゃんとおひるねするとげんきでる! あくむをみないでねむるからかな?
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並び咲くざる菊の色とりどりに義母ははの育てし菊はいづこや
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