甘やかな愛情も義理も飛び越えたビターな惰性にリボンをかけて
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雪壁に 小さき氷柱つらら群れ集い 崩されては清明に響く
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笑ってるだけで幸せ感じてる きみに会えた日心はぬくい
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デイケアに見知らぬ人の集い来て会話弾みぬ学びの場かな
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玄関に立てば「おかえり」亡母の声 幾年経れど忘れえぬ声
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孤高なるお花畑の駒草に寄せる思いのまつりごとあれ
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ナチス廣報戰略大臣ヨゼフ・ゲッベルスの群柏の拍手
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動員へ傾る水晶前夜ナツィストへ語る未來に虐殺の譽
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暖かく 陽だまりのごとき 母の部屋 うつらうたた寝 亡き母の夢
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誰もが皆 心優しい 世界なら 大声もも 張らずにいれる
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庭の雪に巨大な氷柱つららを突き刺して「勇者の剣!」と異世界ごっこ
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雪国の春雪原せつげんの凍み渡り これに勝る愉しみは無し/異論は認める
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雪の下 たんと蕾を芽吹かせて 春を待つかなレンギョウの花
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昼の月 凍らせあおく 吹く風の ふくら雀の 胸毛返せり
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うまいこと言えても 生きるの上手くなく 歌で息つぎして また明日へ
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辛酸を 舐めて麻痺した この舌に 効くものはなし 私は無敵
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坂道をのぼり終えつく溜息や流るる雲をしばし眺めん
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木の芽月 陽射し日ごとに力付け グリーン吊るすや明るき窓辺
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雨降りて 煙る街並み 如月の 寒さ緩みて 頬紅潮す
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枯れ草の動き静かな小春日は鳥声聞きて歩かば楽し
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診察で上着ぐのを考えて重ね着一枚減らす見え有り
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淋しさを隠して空を見上げてる 私の心この手で包む
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「雪だべ」と祖母に微笑むドクターのさくら色した往診カバン
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セルフレジ もっと単純化してくれよ 昭和世代をいじめないでよ
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独り占めしたい景色を長靴に詰めるみぞれが降る日のために
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時違わず狭庭に芽吹く福寿草 週の末には寒戻るらし
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雪解けの カタクリの花ひっそりと 薄紫に春待ちわびて 
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ひなたには 満開の梅 見つめつつ 桜と喜び 孫がはしゃいで
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やわらかな日射しが窓を温めてる 少し眩しく珈琲啜る
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介護用電動ベッドは引き取られ そこだけ青い足跡のい草
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