届くか届かないかは関係ない手紙 宛先はあの子じゃない
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霧ふきて 白きをまとう 冬立ち木 風の織りなす 雪衣かな
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ふき味噌の 香りと苦味のハーモニー 春の息吹を噛みしむる朝
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ぬいぐるみ 暑いときだと撫でる気も起きないけれどペンギンならば
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亡き父へのダイレクトメールまだ届きとりあえず生きていることにする
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雨の日の黄シグナルは寂しかろう心の岐路にひっそりと立つ
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病棟の枝分かれしてく夜たちを引き止めようと非常灯淡く
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平行線交わらぬまま居心地の良き安寧の日を静かに重ね
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やっぱりね住めば都だ 片付けを終えて眺める新しい土地
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方角も 無言もなしの 恵方巻き 美味しく食べて 幸せであれ
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AIが 瞬時に提示 夕飯の レシピを頼り ピンチをしのぐ
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デイケアに見知らぬ人の集い来て会話弾みぬ学びの場かな
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「ですね」から 「だよね」になった 瞬間も 気付かないふり 気付かれぬよう
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北向きの 玄関先に立つ梅の 固き蕾は これからひらく
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梅が枝に降りし小雪の消え残り目白しば鳴く小さな声で
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仏頭にさき傷あり境内けいだいの庭の日陰に斑雪はだれ残れり
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雪辱を果す明日もいい天気Z世代がいつもライバル
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白妙の 田んぼに眠る ポテンシャル 北極星は 指揮棒をふる
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掃除機をかけてないこと黙ってる旦那には黒は決して着せない
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ユーミンの歌詞が優しく飛んでゆく冬と春との間の空に
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婚前に 君にもらった ミントチョコ 潤むまなこで 遺影に供へ
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白い蕎麦、人見知り猫、冷の酒。僕を愛する準備はできる
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口紅も 着けない君の 佇まい どこかに忘れた 裸のココロ
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やはらかな小春日和のぬくもりに 眠る氷河は空を夢見る
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コーヒーに「昨日」を溶かしてはちみつの厚い光で今日をはじめる
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歌詠まぬ日々を重ねて帰りつく「ただいま」という一番の歌
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「忘れてた」とはにかむ君を待ってたい空いた椅子にはひかりの座布団
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白紙こそ最強の歌。泥を撥ね生きて戻った俺がキラーワード
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うつむきて 震えるつぼみ陽を浴びて 薄紫のカタクリの花
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味もなき白湯をすすりて酸ひ甘ひわが身の内の塩梅を知る
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