荒田こうでんあぜにひっそり植えられた膝丈ほどの桜にも春
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さよならの 言葉吸い込む 皐月の空 また多分君の 夢を見ていた
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努力など誰も見てなどいないこと分かりつつある二十代なり
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まだ何も 踏まぬ足うら ふわふわと 雲の上む 母をみつめて
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春浅き傘交う窓の縁なぞり雨垂れるまま君を待ちおり
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くしゃみして春こじ開ける君とぼく その断面を分けあうルタオ
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回る寿司 店の出口に鹿しし威しおどし財布のひもの弛みを打てり
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山手線回ってるから大丈夫。外と内との違いは知らない
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東京は駅でお土産買えるわよ。それって多分駅弁だろう?
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り気無く席を立つ青年ひと 礼をせしおうなの声 気持ち良き車両
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ミサイルはミサの頭上に降り注ぐ葡萄酒の血を拭う間もなく
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ほどきたる古着の紐を玩具にし 鼠の尾に見立てじゃるる猫
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寒かった今日振り返り汁物をコンポタとする米研ぎのとき
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忙しや 春告げし後 鶯は 時鳥ほととぎすの子も 育て旅立つ
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ジタバタと苦しむ時も貴女には生きたい世界だったんだよね
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やわらかな 菜の花畑 に腰掛けたなら 地層のような 喧嘩をしよう
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袖口の汚れた白のワイシャツを むき出しで着る男の哀れ
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ねぇ聞いてダウン羽毛コートがへなへなよ洗って台無し「んもう家着ね」
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アパートの入り口いくつも小砂山こすなやま 地下でアリさん小部屋いっぱい
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ナメクジはでんでん虫の進化系なのに嫌われ塩をかけられ
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絡み合う糸の結び目ひとつずつ 丁寧に解き こころ通わす
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白毛布くるまり丸まるボク達磨 白き眼で何を見んとす
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早起きし我の布団に入り来るアニキの顔とちがふ顔して
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あれよあれラスカルだよね 違います 彼アライグマ私はレッサー
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木蓮かコブシの花か迷いつつ自転車を漕ぐ鈴懸の道
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かすみたる山の端追へば川妬みわれ忘るなと水面ひかるや
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夕浜に紅く艶めく桜貝期待は気化し波が掻き消す
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聖書を背負って生きてるきみの住む街はどこへ向かうの? 争いを経て
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追い風の値上げ見積り作成し値上げしてない豆ばかり買う
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枝先の花芽の膨らみ促しつ しとしとそぼ降る弥生の催花雨
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