優しさを 持ち合わせたる 君の目に 映る未来を 共に生きたし
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恋よりも生活苦やら介護やら若さは強いと老いみておもう
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抱きあうはなくなりしこの年月を越えて息子の目はあたたかし
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終電を逃す友連れ 山茶花の散りぬ小径を夜半よわ 家路に就く
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雪にさす 朝陽あさひの色は 生成り色 忘却の彼方かなた 竹を編む人
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通学の自転車の群れ見送ってはるか昔を思い出す朝
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曇天と 墨汁なぞる アスファルト 雪衣着て 緑待ちわぶ
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邦土ほうどにて 百年越しに開花せし リュウゼツランの跡地に新芽/一昨年の夏の開花騒動以来
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同じこと今夜も話す受話器越し 祖父はただ今二巡目生きる
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都心部を避けて廻るや武蔵野線 常盤木の杜 竹叢たかむらの青
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豪雪に渇水などと裏腹さ さながら真冬の室内・戸外
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寒晴れや武蔵野線から見はるかす 筑波の山の二角ふたづのの峰
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調つき神社(浦和)名物うさぎの彫り物は ちょっとかわいく作り過ぎなり
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「いい子ねぇ」 言われ続けて 癒着した 仮面気づけば 剥がせなくなり
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はらわたに焼けたハラミをブチ込んで心身満たし己を冷やす
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如月きさらぎに 重ねる君の 外套に 常より顔の 小さく見ゆる
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ひい孫が補助輪外しあぶなげに自転車練習冬の公園
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大根の 鋭利な旨味 一筋ひとすじに  集めてからし かいわれ大根 
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痛みさへ消えゆかむかな 微かなる 蜜の香りか君の刺しあと
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五十四歳ごじゅうしの誕生日祝うラインあり幻なのか愛し人から
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定位置で すやすやねむる ねこを見る キッスもしよう ちいさな額
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バス停のベンチに座り来ては行く電車の音を聴きて わびしや
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ミニスカで同僚女史の登場に 目のやり場にも困る冬の日
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とんとんとん 日向ぼっこの ねこの背を 邪魔せぬように やさしく撫でる
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空腹は嫌な記憶を思わせるドーナツ食べろ今は守りだ
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洗濯物ほしものを畳んでくしゃみ一つして ちょっと困った春の兆しよ /花粉
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這ってでも見たい絵画はありますか。 共に向かいましょうパトラッシュ
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凛として 厳冬に咲く雪中花 凍てる大地に春を待てをり 
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徒歩十五分 家路をゆるり歩む 街路樹の間に 白き寒月
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ブラックの苦味覚へし冬の来る 片方だけの揃ひのカップと
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