頼まれて買物提げて娘来しシンクの汚れを見かねて磨けり
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ケアをすること業にする人たちをケアできたならと密かに思い
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「お母さん寒かったね」と初雪をかぶりし母の墓を拭いぬ
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雨降らば茶色く濁る泥川の河辺に咲ける白き水仙
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白き画布に 向えば百鬼夜行する 未知のイメージ 徐々に現る
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床の間の無い我が家のテーブルでちょっと場違い迎春の花
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未来あす思う いいことばかりじゃ ないけれど 続ける日々が 層になるまで
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風生まれ そら舞うたてがみ 技ならぬ業より出づる つよき足音
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初雪に錯覚ごとき起こりつつ木々に花々咲かせおるなり
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子どもらが それぞれ車で帰省する 送迎の手間も 一つ無くなり
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風を受け飛砂ひさ積もる道ペダル漕ぎ 稀有なる千鳥に頬温まり
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必要とされていることの幸福をわたくしは抱く 湯あがりタオル
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いよいよに小さなアパート二人だけ 新婚生活戻ったようで
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朝ごはん 富士山望むリビングに ちょっと優雅な気分に浸りて
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はからずも連れて帰った参道の 玉砂利たちは靴底におり /「初詣」
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間違えてばかりの地図をひらいてる私に「赦し」の雨が降る夜
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許しとは私のなかのピストルをそっと野原に置いてくること
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22時 大三角形に 星流る「わすれないで」と ささやく様に…
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「あなたには無理」の呪文を噛み砕く 塩味強め母のおにぎり
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読み違え一太歯ぎしり足元で小川ながれるせせら笑って
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あの人に一票入れて一年ですこうなるだろうと思ってましたか?
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口開けて良かつた歌を思ひだしこそぎ落され歯垢とともに
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「当たり前!」若い頃の 生意気が 今は懐かし 言霊ことだま覇気はき
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『この世なの?』 『あの世なの?』 言葉遊びで けてゆく夜
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静かなる炎を抱きて闘いし タイ緩むるを背中で感ず
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削れゆく鉛筆走る音さえも染みゆかむかな 雪の白さに
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駅前に想像上の唐揚げ屋 想像だけで嬉しくなっちゃう
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花そよぐ ふとした先に 君がいる この街ごと好きに なっちゃったかも
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子や婿の仕事始めに残された 我に今日から初場所来たり
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寒風に 軒につるされ 大根の 揺れる動きが 癒しを誘う
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