生かされて何とは無しに生きている防災準備は何もしてない
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呼び捨てに一人勝手に心躍る 脈を感じてもいいやつなのか
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納豆を食べる程度の気構えでぜひ面接にいらしてください
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すくわれて向こうに行けと流される小魚になり途方に暮れる
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日々を詠む うたの しずくの 集まりて  渇く心に 慈雨のじんわり
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シャリシャリと月の形の梨を喰む夜暗がりに小さく泣いて
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何もかも捨てて君のもとへ行く はずだったのに私も捨てるの?
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澄んでいる空のかなたにいる人へ 見えるか 私が抱いた赤薔薇
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秋の夜に見上げた月の正円を最初にきみに伝えたかった
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ハロウィンが終われば次は誕生日 祝ってほしいな大好きな人に
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デジタルの目覚まし時計を逆さまにして眺めてる夏が終わる日
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メンソールリップクリーム塗ってキス瞬きもせず冬の訪れ
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背伸びして日常飾るその先でホントの自分行方知れずに
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青薔薇を地上で眠る横顔のとなりに置いて消えていきたい
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透けている血管の青と紫を今更ながら優しく撫でる
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君の声聞きたくなるとカボチャ炊く褒められた事思い出すから
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死ぬまでにやりたいことのリストから「青い紅茶を飲む」を選んだ
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三色ペン ふと見りゃ赤が 減り早く ノートを見ると 間違いばかり
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終端が近づく。茄子を育てたい。区民農園申し込みする
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飼われてるつもりもなくて水槽の小さな自由を金魚は泳ぐ
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満月に飛んだ蝶々の鱗粉をあつめてつくる睡眠薬を
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良き父の 姿になりし 君の人生とき 喜び吾も 母の道ゆく
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肌寒くなりましたねと交わす仲通勤電車名も知らぬ人
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歌割りが少ないあの子 一瞬の輝き待ってしまうなら恋
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ぽっかりと空く穴に吹く涼風を 寂しいと言うならば、いつでも
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家と家細い隙間になお細い三日月浮かぶ僕の街角
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思ってもいない言葉を言いすぎて自分に嘘をついてばかりで
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冷凍のミックスベリーを添えたげて 朝から機嫌が良いヨーグルト
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言はば彼女薄荷煙草の香まとひ清涼漂いて鎮静を誘ふ
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二人きり 嫁いだ長女と 居酒屋で 刺盛り焼酎 ほんのり頬赤
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