夜ふかしの贅沢おぼえた2階部屋 親は1階そーっと歩き
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心臓はシリコンモールド紅い実を葡萄酒で煮て何か唱える
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数年もストッキングに縁遠くかかとのケアも怠っている
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日本酒を四合しごうも呑んで大いびきかいて寝ている私の太陽
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六畳間 フローリングに敷布団 世界の果ての見慣れた景色
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雨の日に何もしたくなくなるのは、やる気が水に溶けやすいから
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青空にひとつ巨大なカリフラワー 降られる前に帰ってきてね
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「なんですか?」「これはあなたの未来です」「時間は昨日止まりましたよ」
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駆け落ちてピンクの象を見に行こう まぶたの裏でずっと待ってる
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「飲み行こう」「いいよ、いつ行く?」 それっきり返事が来ない 三年くらい
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傘持たぬ人しょんぼりと佇ませ赤信号の悠々と光る
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ときめきの在処を探し 泥水をまさぐるように心を潜る
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知らぬ間に抜け殻二つ 部屋の隅 落とし主がまだ家のどこかに
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吾が友の踏みつけられている人の自由訴う筆頼もしき
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過ぎた日々 幾度も散った 白い片 君が去りても 花は残りて
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あの人が密かに植えたチューリップ寄り添う様に赤、黄色
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「あと千歩」まだ歩こうとする父の残りの数を僕も数える
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玉音、もはや手後れなる日本に響き――、無条件降伏の八十年 後
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惚れそうに なるのを止める 臆病で 失恋すらも 出来ぬ身だから
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秋の夜に明かり灯せし並木道 どこまでゆくか銀河鉄道
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あの道の グラジオラスより 白きシャツ   君の視線の ただ 眩しくて
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読まれてもそうじゃなくても満たされぬ ひとり悶えの既読はじゃじゃ馬
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街角に早くもツリーが登場し 短かい秋が逃げ去ってゆく
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今朝はまた妻が特別ご機嫌で 良い一日が待っているかな
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朝の度植物たちに霧を吹くこれも一つの祈りの形
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白き息 冬田ひらけておろし風 し日の友よ いざ疾くませ
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やすき世は箱入りものやかたぬきの 匂い立つなきあはれなりけり
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今日どれを聴こうか漁るアルバム殆ど全部スピッツだけど
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コロちゃんは白の豆柴ポテポテと短い足で庭駆け回る
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焼け石に 水でもいいと しぼりだす 言葉 3滴 ジュッと蒸発
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