東雲の 明け三日月を見上げれば 暁の雲ゆるり流れり 
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金色の銀杏背にして君を待つ遠い秋の日十七歳じゅうしちの吾
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竹と縄で職場の木々は冬支度 雪吊り美し霜月の空
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ほんさき心の棘の除かれて 見やる夕日の美しさ増す
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素の笑顔 引き出したいと 願いつつ 貴女を想う 静かな夜に
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晩秋の冷へ込みぬ夜半よわ 寄り添ひて温もり与へ合ふ 犬とつま
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小春日の 花屋のあるじ上機嫌 嵯峨菊談義 愛おしそうに
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手術後の犬の呼吸を感じつつじっと添い寝をしている夜長
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フランクにもの言いかける能力が決定的に欠けてる私
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久に会う誕生月の娘のために少しはずんでランチ愉しむ
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セルフレジ済ませ品物見もやらず立ち去りかけたおバカな私
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煮詰まった 頭を覚ます 屋上で チョコを一口 甘さにほろ酔い
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華がない だからどうした漢なら 生き様死に様 背中で語れ
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長押しで電源を切る親指がたしかに息の根を止めていた
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授業中左右に揺れる君の頭 私の肩にいつでもどうぞ
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秋は去り いよいよ冬と 襟巻を  慌てて出すも 巻きて汗かく
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一瞬に光って割れた流れ星 星屑三つ願いを込めて
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子が帰り我も帰りてはち合わせ抱きしめられて冬のひだまり
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この寒さに三日残りし初雪も溶けて軒端のきばのしづくとなれり
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炊飯器に張ったおみずを のむことが ちま猫ちゃんの つうじょううんてん通常運転
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藤村の終の棲家にたゆたへる「椰子の実」よぎる大正硝子 / #短歌写真部、お題「レトロ」
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あと少し あと少しだけ眠らせて 無情に響く最寄り駅の名
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AIと 環境憂う 対話する サーバー支える 二酸化炭素
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風呂上がる 「先に入れ」と言った母は ソファーの幅で 既に眠れり
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ジハンピで コンポタひとつ買ったとて 悪くはあるまい いつも売り切れ(ただいま!😸)
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ラテアートぐるぐるまぜてきみはきみを探しているんだろう 深淵
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憧れの ハーマンミラーも 結局は 我には分からぬ 現代アート
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かぶりつく大きなチキン美味しいと笑うあなたと幸福の味
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ここに居たあの子の跡が大きくて 嗅いで眠って埋もれていたい
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年は取ったが見つかっていない その人を今はかりそめ恋人と呼ぼう
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