金魚妻 わたしの鉢はちいさくて 今は自由に游いでいるか
19
国会のテレビ中継見入りつつ行方を案ずまつりごとかな
17
登山してるときに元気に挨拶するやつ街ではそれをしない
26
かわいそう? 餌になっても言えんのか 生きるもの皆 必死なんだよ。
19
秋が来る 息子殺した秋がくる 落葉のよに 踏みつけた道
14
陽のひかり、きらめく流れ、雲が差す。輝きは去りて夜が来る
7
多摩川を渡り彼の地で酒盛りや ななとせの縛り介護を終えて
27
バスツアー波静かなり大洗たまの遠出に幸せ覚ゆ
16
親も子も 毒も薬も 喰らいつつ お腹くだして うたかた処方
39
朝の度植物たちに霧を吹くこれも一つの祈りの形
51
どうせまたAIでしょと思うたびこぼれ落ちてくときめき感動
15
最期だけ自分の声で泣くことを許されているガラスの欠片
10
偉くなど 成らなくて良いわ 風を浴び ぬくい光に くるまれてたいの
25
檜葉の枝杉の木の枝花屋にて並び始めて冬の訪れ
39
犬を抱き小雨の中を早歩き 師走の足音から逃げるごと
28
石垣に枝垂れて生りし柿の実に薄雲染めて夕陽差し来る
34
幸福も不幸もきっと平等だ街ゆく人のきらめく幻影
30
医学とは進歩めざましく超えられぬ好きに産まれて好きに死ぬ事
27
なぜ我を産んだと母に責めた後赤子にもどる母を子守て
35
名産の こんにゃく芋を 掘る農夫 腰曲がりても 後継者無く
28
この顔にピンと来なかったとしても君はそのまま幸せであれ
7
笑いつつ 手を取り走れば 粉雪が なれが睫毛に 我の睫毛に
22
重き物 心にありて 歌にせば 東雲しののめあけに かせは外れり
21
週明けて全快とまで言えぬ身に慈悲深きかな師走の陽光 /20
34
名も知らぬ木に艶々と赤き実や 名も知らぬ鳥梢渡りぬ
31
「納豆を高速回転させるとき 苛々してるの覚えて置いて」
17
もう過ぎた十一月に降る雪は私のようにきえてゆくもの
10
ついさっき嬉しい知らせ届いたの思わずちょっと小躍りしちゃう
19
夜想曲弾かんとしてもその中に密かに宿る夜は逃げ出す
16
秋のの 夏より強く我さそふ 果実かじつかほり、血を吸う薮蚊ヤブカ
15