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「お母さん寒かったね」と初雪をかぶりし母の墓を拭いぬ
40
気が狂う ほどの激しい 静寂が 君と僕の
間
(
ま
)
横たわっていた
26
未来
(
あす
)
思う いいことばかりじゃ ないけれど 続ける日々が 層になるまで
25
感情を表すことが不得意で真っ直ぐ言える人が眩しく
32
風生まれ そら舞うたてがみ 技ならぬ業より出づる つよき足音
16
銭湯のえんとつ消えてのっぺりと
角
(
つの
)
を失くした下町の空
42
はからずも連れて帰った参道の 玉砂利たちは靴底におり /「初詣」
25
団体に寄付したぬいよ、さようなら かわいい天使にもらわれてよね
27
「ごめん」より「おやすみ」と言う大学生 許されているのは私のほうか
26
ひび割れた 吾の手のひらの ぬくもりで
癒
(
いや
)
せるものが 有るのだろうか?
32
見慣れない 寝癖つけ走りくる吾子の 涙の跡を見ぬふりし抱く
17
白い空をじいっと眺めている猫のうしろ頭をにんまり眺め
20
紅
(
くれない
)
の実の鮮やかが目に沁みる 我が難(病)転じてくれるか南天
31
年始から 残業続く 吾の身にも 福は来たりと 半月の言ふ
31
結露、結露 滴るしずく拭えどもパッキンの黴ニタニタと黒し
15
母が逝き未だ悲しい涙出ず葬式欠席後悔もなく /悲しき現実
37
暖房の部屋の窓際ピキピキと氷の城のような冷気よ
33
不安でも一日ずつを生き延びて 詠み返す日に泣けますように
17
時雨来る予感のあたる冬夕焼け 着膨れて行く五分のポスト
37
大家らの寝静まる朝ひとときの 安寧求めジャズなど流す
17
タイムマシーンあればあの日の僕の背を 叩いてやりたい「傲慢だよ」と
26
悪くない情緒不安定は君じゃないその原因が君じゃないから
28
なぐさめも励ましもまだ受け取れぬ貴方の胸の閉じたグローブ
30
雀二羽 ぷっくり膨らみ 植え込みに 天敵のない 青空の
下
(
もと
)
39
束ねたる規定の髪は一尺を超えて初めてウイッグになる
29
白みゆく凍てる道行く車にはあからむ富士の
朝
(
あした
)
が乗りぬ
35
俺の番人生ゲームサイコロを 振るようにして今日を引き受け
13
縁側で三つ編み結ひし母の手の熱を帯びゆく幾春ののち
14
「泣けるわ」とスマホを閉じて見上げれば三十一文字の空広がって
27
家族写真 いるはずだった 吾子の分 猫が一緒に 笑っているよ
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