想定外の抵抗であのひとに噛みちぎられた小指をさがす
4
目覚めたら ちっちゃい電気が ついていて あっ?!そうか 帰ってきたんだ⋯
4
かじかんだ喉を切り捨てなおにじり寄る眠気と渇き名声の中
4
数年間 勉強をして 知ったこと。 全く自分は 無知ということ。
4
一言で片付けられるようになる 言い訳みたいな言葉好きなのに
4
風呂沸いた 先に入れと 嫁が言う まだ生ぬるい 湯船につかる
4
風呂の水 温くなるまで かき混ぜて 寒さ堪えて 肩まで浸かる
4
トリミング上手なあなたの日常にいないことになりますワタシ
4
ブルゾンの  フードをかぶり  暖房を  つけよかどうか  迷ぉてんねん
4
淹れたての コーヒーの香りは 時を止め 秋空の雲を しばし見送る
4
わかりますお願いメールに対応の読売歌壇にペンネーム欄/とてんからさんへ
4
街灯が  仄かに灯る  寒夜時  顕に出でる  幽玄の相
13
終焉が  オドロオドロと  迫り来る  進め青年  死はまだ早い 
9
いたずらに吾子が鞄に忍ばせた丸い積み木が今日のお守り
70
放物線。ダイヤモンドを 駆け回まわる 宇宙のような 素粒子のよな / 野球
37
気にするな って言わない人のやさしさに  育ててもらった 歌詠む 気持ち
45
初雁の遅れ啼く聲かれがれに蓬老いたれみそらもろとも
23
割烹の女主人に咎めらる丈夫の二尺上の崑崙
17
テレヴィのなかの日の丸にほほゑめる首脳に光差す優生卵
20
列王に名を遺すてふみづからの榮代の後までいくさせむ
16
治世淘汰のいきさつを感極まるに「Great State Great Again,」
16
退勤後フードコートに集合でみんなで食べるラーメン旨し
37
葬儀屋のネオンサインは煌々と大河の様な国道の脇
38
富士山は初雪浅く地肌見せ墨絵の筆のかすれの如し
45
切り花のコスパ日割りで考えるそんな僕にも秋のひだまり
41
木枯しの一号雲を掃き清め澄みし御空に十三夜月
39
誰かという人に優しくされるたび生きてるうちに借りかえしたい
32
風邪の子に焼くオムレツの甘い香と休む仕事の後ろめたさと
42
明るくて大きな月で立ち止まり見上げてしまう様な月です
39
予定より早く終わって暇だから好きなアイドルで打線を組む
18