紅葉を眺めるベストな角度かな座る人なきベンチ微笑む
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多摩川を渡り彼の地で酒盛りや ななとせの縛り介護を終えて
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咳をした 君のとなりに居られるの かみしめながら 一人と 一人
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配達の役割を終へ 我が猫の秘密基地と化す 段ボール箱
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切なさを抱えて入った店内に流れてきたJUJUああもうやめて
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久々に会えば思っていたよりも少し痩せてる父のかんばせ
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黄金の穂を垂れお辞儀するススキ 田畑を山へ連れ還る使者
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早々に日射し陰りし晩秋は日暮れと競ひて晩酌待つ夫
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無人駅のようにさびれたわたくしのプラットホームに冬降り立ちぬ
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私だけ?笑み隠せないLINE着信 あなたはどうかなと聞いてみたい
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辛いのは得られぬ事と思うから与えるだけの恋で止めよう
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見上げれば 編隊を組む白鳥の 規則正しきVの字飛行
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ファスナーの金具の上に膝をつく皿をさすりついたいのとんでけ
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亡き父と 母の誇れる 思い出を  語れる妹が いる幸せよ
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百均のセルフレジ終えホッとする 家に到着品物がない😩
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朝の度植物たちに霧を吹くこれも一つの祈りの形
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短針が 5さし長針 2をさせば 母帰りきて ともる電灯
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確かめずレジに立つなりその数字ごぼう二本の四百円超え
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わたくしの口から出でた言の葉に切られて疼く後悔の傷
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訃報欄思い出深き人の名をしみじみ眺む秋深き日に
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打ち合わせ 終えてカフェで メール処理 右手にチャウダー ふぅーと息噴く
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窓辺から 星を見あげて 無になって 画面に向う 課題山積み
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晩秋や ひむがしの空 オリオンは 大凧の如 昇りゆく夜半よわ
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薬箱に一週間分ふりわけた薬はあっと言う間にカラに
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杖たより丸太階段登りきれば余呉湖に映る紺青の山並み
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限られた 時間の中で 人は皆 命を燃やし 言葉をのこ
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休耕地揺れる秋桜くすくすとナイショ話をしているみたい
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夫と行く散歩を兼ねたお買い物 小春日和に歩を緩めつつ
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七竈ななかまど、野薔薇、南天、山帰来さんきらい  秋深まりてそれぞれの赤
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1122… 溜め息つきて 足袋を履く 遺影の妻へ「行って来るょ!」と…
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