▼なべのふた ▼さいばしのつえ そうびして クエスト★★★★★ ▽「からあげづくり」
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八月はちがつの光る地面に百日紅こずえの影を揺らして燃える
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われ義しき國民なれば崇拝すクリスティアーノならず 墓を暴かむ
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復活祭へにがき蕗煮ていもうとはロザリオなどゆめかけざらむ
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父殴てる馴犬哀し。頸枷に「愛われを創れり」彫られて
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神神に主神のあらば 靑藍の仔を降しまづ人間を亡ぼす
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奇蹟のかけがへは誰がつぐなふか瞭然と蘇りなき慰霊碑の石
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戰乱の臭ふ 澁谷交差点群衆も靴鳴らしかへらず
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呪はるる國民たるを耐へず戰争の責任転嫁さる 死者へ
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増長すこの若者らみづからを皇帝と呼ぶすめろぎ擱きて
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ハッとした 能面のよう母の顔 もう一度見たいよ昔の笑顔
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歩けぬが可哀想とは言わないで 老犬キミは大事な我が家の希望
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寝ることが仕事の老犬昼時は しっかり目覚めてオヤツをねだる\体内時計?
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窓際で外に向かって最敬礼 思わず笑みがこぼれた 豆苗とうみょう
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老犬キミはもう聞こえてないのね雷が 逃げ回ってたあの頃懐かし
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種々くさぐさの虫の音色を聞き分けて秋の夢の中で覚めたり
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青柿の枝をはなれて地に落つるまでの時間を思い遣る朝
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一歳が初めて言った「パッパッパー」アンパンマン お熱の今日もしゃべり続ける
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早々はやばやと鳥は見つけた秋の味 庭に散らばる柿の食べかす
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夕立に涼む身を突く蝉の声 わずかばかりと雲追う心
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すわ陽炎 冷え込む耳朶にサイレン音  野分祭りか窓辺の午睡
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虫の音が 誘う枝葉のさざめきに 薫る季節の色を想う
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颯爽と走る若者つい見とれ 背中を見送る私と老犬
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画面には笑顔溢れると孫が 心によぎる会えない寂しさ
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翔平の 刻むベースは晴れやかに  押して迎える秋の朝
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秋探す 夕の陽のジョグ  息急いて 脚止め迷う夜道かな
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満月に ウサギを描く心持ち  子犬の毛にも ススキを愛でる
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人と街 遠き近きで 移ろいで  風に尋ねる 秋の訪れ
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眠れない夜ひとり作るオムライス 丁寧に丁寧に慰める
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歌いつつ自転車を漕ぐ人が行く秋の真昼の心地よければ
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