他人から 選ばれるのが 嬉しくて 自ら自分を 失ってゆく
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いにしえの 陽光秘めた 年輪の 揺らぐ炎に 過ぎし日還らん
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あいつ苦手、仕事しんどい、お金ない。当たり前のことつぶやくキッチン。
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吹きゆける この北風に 頬こごえ 春よと願う 藍の夕空
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ミサイルも ドローンも要らぬ 一壺の 葡萄の美酒に ただ酔いしれて /オマル・ハイヤームのフェイク短歌
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あなたには私は使い捨てカイロ せめてストーブのようにありたい
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めんどうね、ひとにやさしくする癖にひとにやさしくされたがらない
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娘らはみな巣立ちける今もなほ老妻いはふ雛祭なり
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「メンヘラの」枕詞に続く語を考える会夜の四時半
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世の中にあふれる点P死んだ目で動きつづける月曜の午後
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すりきれたままの命とすりきれた弁当袋で季節をこえる
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貴方には少し好意を混ぜておく 全部入れたら甘すぎるから
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眠れぬ夜に抱きしめられて聞くサイレン知らぬ誰かの 運命さだめを祈る
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かもめらが 夜の帷を めくりあげ この街の海に 朝がこぼれる
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放課後も解けぬ問題 青ペンは数式よりも君の名なぞる
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肉まんを 耳当てがわり 笑わせる お茶目な部下は 還暦間近
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桜もち思いがけずに賜りて小さきひいなをそそくさと出す
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吾を見つけ鴉寄り来る庭の隅「これはないしょ」とパンを分け合う
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春冷えに白く膨らむ花たちを束ねて行かむ清き風待ち
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つまらないことは考えないことに挑戦をする古希若いから
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両脇に 幼な子かかえる 細腕が かけるメダルは 何色だろう
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宰相は軍拡狂女と謗られど 笑みで返せる肚を据えたり
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西の空 下弦の月を 眺めつつ 明日を想い 珈琲含む
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他意の無い「励ましたい」がそんまんま伝わると良いな今度会ったら
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今は無き 故郷こきょうの古き喫茶店 記憶を灯す 茶色のランプ
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泣きながら震える声で「お母さん、今行っていい?」察するに余る
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若さには傷付くことは多けれど堪えるよりも泣いていいんだ
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暮れ六つの公園 春一番吹く 北に見ゆるは 北斗七星
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押し入れの闇に目をあく雛人形 光の日々を遥かに見つむ
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「もういい」と夫のことば遮りて目の前の河みないふりする
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