酩酊は知らぬが苦しみ溶かしたくて 風邪薬飲んで飲んで飲んで
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風呂沸いた 先に入れと 嫁が言う まだ生ぬるい 湯船につかる
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風呂の水 温くなるまで かき混ぜて 寒さ堪えて 肩まで浸かる
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ブルゾンの  フードをかぶり  暖房を  つけよかどうか  迷ぉてんねん
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駅前で 小さく足踏み してたキミ 俺のほっぺに 冷えた手をあて
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雨あがり 朱の混ざる灰 雲の端は  淡い緋走り 風はかがやき
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街灯が  仄かに灯る  寒夜時  顕に出でる  幽玄の相
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終焉が  オドロオドロと  迫り来る  進め青年  死はまだ早い 
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いたずらに吾子が鞄に忍ばせた丸い積み木が今日のお守り
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放物線。ダイヤモンドを 駆け回まわる 宇宙のような 素粒子のよな / 野球
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気にするな って言わない人のやさしさに  育ててもらった 歌詠む 気持ち
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初雁の遅れ啼く聲かれがれに蓬老いたれみそらもろとも
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割烹の女主人に咎めらる丈夫の二尺上の崑崙
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テレヴィのなかの日の丸にほほゑめる首脳に光差す優生卵
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列王に名を遺すてふみづからの榮代の後までいくさせむ
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治世淘汰のいきさつを感極まるに「Great State Great Again,」
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退勤後フードコートに集合でみんなで食べるラーメン旨し
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葬儀屋のネオンサインは煌々と大河の様な国道の脇
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富士山は初雪浅く地肌見せ墨絵の筆のかすれの如し
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切り花のコスパ日割りで考えるそんな僕にも秋のひだまり
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木枯しの一号雲を掃き清め澄みし御空に十三夜月
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愛犬の匂いの残るこの布団 そおっと下ろす小さな骨壷
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誰かという人に優しくされるたび生きてるうちに借りかえしたい
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風邪の子に焼くオムレツの甘い香と休む仕事の後ろめたさと
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明るくて大きな月で立ち止まり見上げてしまう様な月です
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予定より早く終わって暇だから好きなアイドルで打線を組む
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隙風すきかぜしこりほぐすや山の湯に妻の生まれ日 紅葉の今日 / 11月7日
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ふるさとの妹からの豊の秋 赤い柿食む陽だまりのなか
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雨上がる もみじの雨粒葉を遊び ポツリ落ちたり たまゆら光り
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宰相の本音ポロリに弁解も軍靴のをまどろみに聞く
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