初雁の遅れ啼く聲かれがれに蓬老いたれみそらもろとも
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割烹の女主人に咎めらる丈夫の二尺上の崑崙
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テレヴィのなかの日の丸にほほゑめる首脳に光差す優生卵
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三十一の文字は牢獄ならずと舎にいへ蒸し焼かる牝鶏
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列王に名を遺すてふみづからの榮代の後までいくさせむ
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治世淘汰のいきさつを感極まるに「Great State Great Again,」
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一人では旅など無理と思いしが末のと行く秋の湯めぐり
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退勤後フードコートに集合でみんなで食べるラーメン旨し
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誰かという人に優しくされるたび生きてるうちに借りかえしたい
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明るくて大きな月で立ち止まり見上げてしまう様な月です
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予定より早く終わって暇だから好きなアイドルで打線を組む
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病院でインフルエンザワクチンを打つ直前に風邪うつされた
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ぐ空を 到着便が 横切った 日本を想う 小春日和に / 国会
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じゃが芋を黙々と剥くピーラーは二十余年の現役選手
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ようやっと布団からぬるり頭出す 肌寒き朝にカタツムリとなる
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嬉しさに 笑顔があふれ 悲しみに 涙 流せる そんな人が
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食べたもの記録初日に衝撃のおやつタイムが5回あったよ/そりゃあ太るわ(笑)
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未だまだ苅田の草は青きまま木枯らし吹きて冬田となりけり
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ベタベタと嫌な思い出 手に付いたガムシロならば拭えるものを
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曲流し我流のノリでリズムとる サザンのパワー部屋中満つる
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会食を 終えて一人で ウイスキー 味わう時間 大人のひと時
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停車する車の屋根がコツと鳴るカラスの仕業胡桃を割れと
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カリゴリと歯石を取ってもらいつつ親不孝とか反省してる
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誕生日 生まれてくれて ありがとう 吾子に伝えし 過ぎし日思ふ
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薄雲の差す夜半よわの空 雲間からまたたく三ツ星は オリオン座
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両親の仲が不穏な日はずっと動物園でペンギン見てた
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穏やかな秋の日差しと温風ぬるかぜむる鴨脚樹イチョウ揺蕩たゆとふ街路
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放棄地に 緑のキャンバス 茶の垣根 白き可愛い 花の星座よ
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キャンドルを 趣味で作りし 部下のため 来年講座で 講師デビューを
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横になり描きかけの母じっと見る美人と写実迷うさじ加減
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