巧妙な手口はしかの感染はコロナインフルよりも強力
17
目に涙浮かべて走る環状線 不意に流れたくるりのせいだ
12
初詣神様なんてそっちのけ今年の夢の話をしよう
10
昼下がり炊事に片付けお洗濯私はちょっとしたマエストロ
19
今はまだ周回遅れの人生 幸せを目指しただ走るだけ
13
ちょっとだけヨコシマなことしてみる?と肩にもたれる霜月晦/八年目はじまる
16
哀しみに刹那打たれて落丁の次第に増えし人生を生く
42
ぬばたまの  暗き心に  あなたの手  そっと撫でると  勘違いする
15
檜葉ひばの木の枝の中には遠い土地香りの中に私の中に
38
万葉の 人に詠まれた 同じ月 やがて令和も 昔と眺む
48
やわらかな 陽ざし差し込む 窓際で 予報外れて じんわり嬉し
24
見切り米 半額処分に 飛び付くも 見切られてなお 高く感じて
24
芽生えたる 夢を忘れる その前に。 命短し 挑めよ我ら
26
『目には目を、歯には歯を』とか 言うのなら わたしの手には きみの手添えたい
27
北風の冬の朝には日が澄んで歌の言葉をほどいてくれる
41
みみっちくチマチマ節約した金で余計な物をアッサリ買ってる
24
滝の音聞こへ来そふな油絵の水霧飛び来て吾にかかるごと
40
無為むいのまま 降りつづく雪 こうなれば 有為ういであろうか 飛ばない飛行機
46
クリスマス前に旅立つ人看取る業務の心うち如何許り/介護士
31
久方の 雨の早朝 鮮やかな カイヅカイブキ 緑濃く伸び
30
年六度 季節の行事を飾る棚 心ほんわり温き場所なり
36
必ずや 新大阪で 立ち寄って たこ焼きうどん 勝負めしなり
28
透き通る 飴細工の虹 渡り行き まほろばの星で めぐり逢いたし
27
海馬かいばてふ語を聞くたびに目に浮かぶ光る海原駆けゆく天馬てんま
26
蝋梅ろうばいの 花芽迎へし 山寺に 母の手引きて 歩む石段
38
「キャンセル」の陰気な語感いとわしく 「風呂スキップ」と我は言ふなり
23
六十路なる吾の通信簿 理音四 国美社が三 数体下がり二
40
いつしらに施設の暮らし一年に義姉あねの肌着の名前薄らぐ
36
原曲が 映画になると 聞きつけて 名曲楓 歌詞を噛みしめ
26
打ち合わせ 終えしカフェの ツリー見て 珈琲一口 パソコン向き合い
29