有明の夢とぞ憶えし逢瀬なら月満つるまで夜桜に泣く
23
祈りでは平和守れぬこの星にユートピアあるかと地球儀回す
43
幕下の五枚目までは上がってた 郷土力士の引退を知る
30
菩提寺の墓の間に間に風遊ぶ夕には春雨そぼ降るらしき
46
十勝へと向かう車窓に雪舞いて 春待ち詫びし昔日思う
29
淡々と全てを置いて進むだけ黄色水仙咲く場所で咲く
26
貧困と暴力とあゝファベーラのただなか早く春よ来てくれ
20
バラ色の未来買うほど暇はなく「広島おんなエレジー」ずっと
24
夫と行く遠き蕎麦屋の帰り道 芽吹く野山をふたり見つめて
30
球根のでし芽見んと四つ這いになりて地中の温さ伝わり
24
別れとは辛くあれども美しい思い出の曲できゅっとしていたい
30
だだくさ適当に一日過ぎれど良き日なり今日に感謝の刻印ひとつ
41
お彼岸の助手席の祖父その顔は どの遠足ピクニックより春の輝き
30
枝先に 萌黄色のちさき若葉 心細げに 春風に震え
21
羽広げ 一点見つめ 飛び立ちぬ 朝の白鷺 雲間に消える
35
魔術師は春風に乗り現れる桜の花に躍らされるたみ
31
一羽だけ鳴いているのか白鳥が私の耳は何を聴いたか
33
偶然に彼と出会った雨宿り神様からのご褒美かしら
13
いねられず 咳止まぬ我が背中をば さすりぬ母の手 幼日の夜半よわ
31
たおやかな 言の葉という インスリン 吾の血糖値 下げてくれたり
15
野に咲くは紫、黄色、白き花 心焦がされ見つめし君は
23
曇り空どうかわたしの心まで圧し潰すなよお願いだから
21
足下にてんとう虫の歩み観て単車休憩牡鹿の海よ
21
手の冷ゆる 彼岸の午後の 徒然に 甘めの紅茶 時かけて飲む
21
アウターの人半袖の女性(ひと)もいて横浜は今春の入り口
16
今がまだ 未来であった あの春に ただ君だけは そっと微笑め
10
お出かけの準備で力尽きにぎり飯食ふコヒガンザクラの下で
12
落ちちゃった 薄桃色の 付箋紙を 適当なページに 黙って戻す
8
雨音に掻き消されたと嘘ついて愛をふたたび告げさせる君
12
実家での団欒のあと春なのに風吹かなくとも日曜の夜
8