月光夜どうしようもなく秋の風あしたは桃を買ってきましょう
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きたないもきれいも全て薪にして 煤の中でも歌ってよ、スター
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水飲むとずっしり重くなる胃が好きだ 人ってただの筒と思えて
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うたいびと色んな流儀あり過ぎてシェイカーの渦中ヘナヘナ回され
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久しぶり 秋の畑に立ち寄れば 白菜の葉が レースになりおり
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神の旗増えゆく駅傳の選手に振りつ國民の傲りたるも見ず
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にんげんのことばがつうじないまちでにんげんとしてくらしています
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歌の宿命とはおもふ有明の月蝕旅館から仇敵の余名出づ
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大病をせし弟よや健やかに暮らしておるか案じて祈る
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金魚妻 わたしの鉢はちいさくて 今は自由に游いでいるか
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国会のテレビ中継見入りつつ行方を案ずまつりごとかな
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風邪の子に焼くオムレツの甘い香と休む仕事の後ろめたさと
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登山してるときに元気に挨拶するやつ街ではそれをしない
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かわいそう? 餌になっても言えんのか 生きるもの皆 必死なんだよ。
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秋が来る 息子殺した秋がくる 落葉のよに 踏みつけた道
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多摩川を渡り彼の地で酒盛りや ななとせの縛り介護を終えて
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バスツアー波静かなり大洗たまの遠出に幸せ覚ゆ
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親も子も 毒も薬も 喰らいつつ お腹くだして うたかた処方
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最期だけ自分の声で泣くことを許されているガラスの欠片
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オリーブの深緑色ふかみどりいろ 空き瓶に薔薇生けてみて勤労感謝
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偉くなど 成らなくて良いわ 風を浴び ぬくい光に くるまれてたいの
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檜葉の枝杉の木の枝花屋にて並び始めて冬の訪れ
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指先が母になりゆく初冬の夕 ポテトグラタン肉じゃがにする
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犬を抱き小雨の中を早歩き 師走の足音から逃げるごと
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石垣に枝垂れて生りし柿の実に薄雲染めて夕陽差し来る
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医学とは進歩めざましく超えられぬ好きに産まれて好きに死ぬ事
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名産の こんにゃく芋を 掘る農夫 腰曲がりても 後継者無く
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忘れ花 凍蝶とまりて動かずや 越冬できらば 春野飛びゆけ
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重き物 心にありて 歌にせば 東雲しののめあけに かせは外れり
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週明けて全快とまで言えぬ身に慈悲深きかな師走の陽光 /20
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