朝靄の中に光の染み入りて白木蓮の蕾ふくらむ
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山を行けば幹に苔生す桜ありて少し咲く花に風は冷たし
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目を細め 首を伸ばしてうたたねを 布団なくともいいのね猫ちゃん
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文芸は言葉で人の気持ち縫い合わせおさめる心の外科医
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Utakataうたかたにつぶやくようにむ歌が 心のおりをすすいで流す
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お経より ボレロがいい と言っていた 父の墓前で 15分間
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ネガティブに構えすぎると運下がる 幸せのため希望信じる
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Xエックスは無自覚ないじめっ子だらけ 普通の言葉もすぐ標的
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この頃は、体がいちばん謎です。微熱は出るわ体重減るわ
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きたないもきれいも全て薪にして 煤の中でも歌ってよ、スター
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水飲むとずっしり重くなる胃が好きだ 人ってただの筒と思えて
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うたいびと色んな流儀あり過ぎてシェイカーの渦中ヘナヘナ回され
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久しぶり 秋の畑に立ち寄れば 白菜の葉が レースになりおり
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にんげんのことばがつうじないまちでにんげんとしてくらしています
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大病をせし弟よや健やかに暮らしておるか案じて祈る
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金魚妻 わたしの鉢はちいさくて 今は自由に游いでいるか
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国会のテレビ中継見入りつつ行方を案ずまつりごとかな
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風邪の子に焼くオムレツの甘い香と休む仕事の後ろめたさと
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登山してるときに元気に挨拶するやつ街ではそれをしない
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かわいそう? 餌になっても言えんのか 生きるもの皆 必死なんだよ。
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秋が来る 息子殺した秋がくる 落葉のよに 踏みつけた道
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多摩川を渡り彼の地で酒盛りや ななとせの縛り介護を終えて
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バスツアー波静かなり大洗たまの遠出に幸せ覚ゆ
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親も子も 毒も薬も 喰らいつつ お腹くだして うたかた処方
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最期だけ自分の声で泣くことを許されているガラスの欠片
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オリーブの深緑色ふかみどりいろ 空き瓶に薔薇生けてみて勤労感謝
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偉くなど 成らなくて良いわ 風を浴び ぬくい光に くるまれてたいの
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檜葉の枝杉の木の枝花屋にて並び始めて冬の訪れ
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犬を抱き小雨の中を早歩き 師走の足音から逃げるごと
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石垣に枝垂れて生りし柿の実に薄雲染めて夕陽差し来る
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