いつだか、かえってこなくなって、今も1人。
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くだらない歌をてのひらに描こう白菜がにっこり笑ってくれるまで
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ラムネ手に子は米袋肩に担ぐ我を追い越してゆくなりどこいくの
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可愛いかよりはしっくりくるの化粧顔 普通になれない普通になれない
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小高い丘の上にたつ午後のベンチ あのブーメラン硬いやつかな
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しろつめ草 つんで帰ろう 幸せの  王冠かぶって 去り行くあの子
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嘘つきのあなたはとても正直で だから私も嘘をつけるの
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眠れずに父よ母よと呼びてみる吾に降り積もる愛(め)ぐし面影
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眠れずに想い出降り積む年の瀬にうたかたの友愛してやまず/らいとしょっぷより
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平和論者の唇うすき遅夏もくれなむ重機工場の夕
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勢いはあるかなり変だが二人ヒロシマ知らぬ広島育ち
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欠伸から疲れていると知ったのに若いのでまた古希を忘れて
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眠れないまたも嬉しい寝不足はお泊りに来た君のせいだよ
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週末にかけて寒さが逆戻り今日はお花見今日は初恋
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まだ古希だ開幕ローテ入りへさあ老け込むなまだ若いじゃないか
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待望の1号4番候補なら期待は大に「あっ目が覚めた」
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因縁の対決は大盛り上がりだったカメラじゃなくみなスマホ
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巧妙な手口はしかの感染はコロナインフルよりも強力
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目に涙浮かべて走る環状線 不意に流れたくるりのせいだ
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初詣神様なんてそっちのけ今年の夢の話をしよう
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昼下がり炊事に片付けお洗濯私はちょっとしたマエストロ
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今はまだ周回遅れの人生 幸せを目指しただ走るだけ
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哀しみに刹那打たれて落丁の次第に増えし人生を生く
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ぬばたまの  暗き心に  あなたの手  そっと撫でると  勘違いする
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檜葉ひばの木の枝の中には遠い土地香りの中に私の中に
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万葉の 人に詠まれた 同じ月 やがて令和も 昔と眺む
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芽生えたる 夢を忘れる その前に。 命短し 挑めよ我ら
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『目には目を、歯には歯を』とか 言うのなら わたしの手には きみの手添えたい
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内側に残るレッドに先ほどの口づけ思うマスク生活
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北風の冬の朝には日が澄んで歌の言葉をほどいてくれる
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