安らわむ 硝子の月に 息をかけ 貝の小舟で 眠りの海へ
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気が狂う ほどの激しい 静寂が 君と僕の 横たわっていた
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感情を表すことが不得意で真っ直ぐ言える人が眩しく
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はからずも連れて帰った参道の 玉砂利たちは靴底におり /「初詣」
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深呼吸 腹にくくるは 命綱 仕事初めは 大木の松
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団体に寄付したぬいよ、さようなら かわいい天使にもらわれてよね
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「ごめん」より「おやすみ」と言う大学生 許されているのは私のほうか
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夏のはあれほど厭うたアイロンをまめに掛けてはほっと暖取る
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ひび割れた 吾の手のひらの ぬくもりで いやせるものが 有るのだろうか?
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見慣れない 寝癖つけ走りくる吾子の 涙の跡を見ぬふりし抱く
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降車せし バス停の傍 出迎へり 冬の花壇に 水仙笑ふ
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白い空をじいっと眺めている猫のうしろ頭をにんまり眺め
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七福神めぐりて引いたおみくじの短歌を胸に今年も一年/大吉
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くれないの実の鮮やかが目に沁みる 我が難(病)転じてくれるか南天
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年始から 残業続く 吾の身にも 福は来たりと 半月の言ふ
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不安でも一日ずつを生き延びて 詠み返す日に泣けますように
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大家らの寝静まる朝ひとときの 安寧求めジャズなど流す
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除雪車が削ったカーブの側面は 巨大なケーキに見えて楽しい
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タイムマシーンあればあの日の僕の背を 叩いてやりたい「傲慢だよ」と
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悪くない情緒不安定は君じゃないその原因が君じゃないから
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なぐさめも励ましもまだ受け取れぬ貴方の胸の閉じたグローブ
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束ねたる規定の髪は一尺を超えて初めてウイッグになる
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白みゆく凍てる道行く車にはあからむ富士のあしたが乗りぬ
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羽たちがみんな巣立っていきましてペラペラになるダウンジャケット
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寒風に 軒につるされ 大根の 揺れる動きが 癒しを誘う
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木枯らしの冷ややかな音響き渡る 寒空続く静寂な朝
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「泣けるわ」とスマホを閉じて見上げれば三十一文字の空広がって
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肉まんとピザまんどちら 食べますか おっさん二人 真剣悩む
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推しメンは年長組のそうし君 さ行が言えず「7×1=7ちちいちがちち
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幼き日祖母に教わるご飯炊き冬はぬくいが夏はかなわぬ/かまどにて
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