下の名で呼び合う仲に憧れて あなたは呼び捨てで私はさんをつけて
10
新品の白タオルでは切なさの吸収力が少し足りない
32
猛と暑が掛け合う日々を生きており大袈裟な息、我にさせたり
31
花までも星に匂えり我に降る震えて眺む天の川かな
27
ぎゅうぎゅうの引き出し開けて哀しみを捨てよ無言の声が聴こえる
38
金髪が風にたゆたう今ぼくは秋のはじめの一つと数ふ
28
冴えた月見つつ風ごと吸い取りて心に浮かぶ月を眺むる
31
惜しむよに水色の雨落ちてきて僕らの肩にピリオドをうつ
26
君の頬真夜中想い手を伸ばす一瞬月に触れた気がして
31
コーヒーが 飲めない君の ままでいて 一人で先に 進まないでよ
10
被災者の誰もがそこに戻りたいみんないいのよ故郷だもの
23
良き父の 姿になりし 君の人生とき 喜び吾も 母の道ゆく
15
これほどに紅く染まるか一面に散り敷かれたるもみじ踏みしめ「鶏足寺」
24
ぽっかりと空く穴に吹く涼風を 寂しいと言うならば、いつでも
6
友よりの画像に一面「サンゴ草」佐呂間湖畔に秋の息吹が
24
白黒で はっきりさせないこともまた 美しさかも 百鼠色
58
まな板の上に採れたてカボチャ待つ夫の出番半切り作業
29
幼子と 言葉を交わし ふと気付く 離れていても 愛は続くと
15
カスハラは無理矢理にでもカステラを食わされるとかそんなんじゃない
17
背後よりガサッと音のす足元に落ち葉となりし大き柿の葉
30
誕生日まだ嬉しいのと息子がのたまう 生かされているの当たり前でしょ
34
画面まえドジャース試合汗握る解説いらぬ耳障りなり
23
軽口と分かったうえで浴びに行く耳心地よきその人の談
23
湯の川を揃ってゆったり魚たち群がるところが湯の湧くところ
20
「ごめんなさい」 ヒラヒラ羽を 伸ばしけり さなぎの想いが あるからなのに
16
夫婦茶碗サイズを変えて主張する飯のかさなど変わりはせぬに
34
大谷の芸術ごときホームラン響く快音耳に留め置く
28
姉の名の ふりかけある事 嫉妬して 拗ねた紫色の思い出    (ゆかり)
24
雪道の 峠のカーブ 右ゆけば トンネルあかく 我を吸うなり
42
女王蟻に肖し式服の白纏ふ偶像たらむ。宰相寫眞も
28