思惑が一致をすれば停戦す死んだ子どもは生き返らない
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葉を落とすカエデの下に横たわる家なき人に陽光は降る
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子の食事あの手この手で工夫して 出す親ごころいつか伝われ
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遊び食べ 成長過程と 言い聞かせ 散らばるおかずと 皿を見つめる
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職業欄「無職」と書きぬ我がいて勤労感謝の日の暮れてゆく
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炊きあがる新嘗祭の朝の飯納豆・佃煮・漬け物・イクラ
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ママチャリが落としたネギを拾い上げ「落ちましたよ~」と走ったあの日
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羽織たる母の遺した鮫小紋断捨離ならず再び納む
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今日の日を塗り替えていく微笑みも君にとってはいつもの笑みだ
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薬ない 病院いけない 無能無能 今日も眠れず夜が明けてゆく
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誕生日 0時れいじジャストに おめでとう 高校生の頃、思い出す
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恐るべき君の引力振り切れず君が太陽 僕は惑星
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気がつけば、大気は静か 彼方から届く朝陽をセーターよ吸え
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夕暮れの雪明かりする帰り道等の町にも降っただろうか
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キス顔の練習してる鏡の前 視界のすみに母親の視線
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数合わせ 一夜限りの うたげにて さかずき交わす 名も知らぬ人
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神様みたいな君を崇めては僕の心はいっぱいになる
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迷うよに落葉おちばふらふら舞い落ちる掴み損ねて振り向く君は
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外掃除ぬしかたわら渦巻きの尻尾がいいね猫が付き
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曼珠沙華 大っ嫌いと言われるのも大好きと言われるのも怖い
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右に姉 左に弟 くっついて 母の寝床は 暖房いらず
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寒空の下でタイヤ交換す 父子の共同作業は楽しげ
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お菊さん回転寿司でバイトして十枚数えて晴れて成仏
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あの世から帰る人などいないという 幸せは宙に浮いています
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恋に恋してる時が一番輝いて見える
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義侠ぎきょうなる銘酒の瓶がプリキュアの微笑む古新聞にくるまれ
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しょうように おきたバァバが 寒くって 靴下 ふとん 自力で足して
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ひそやかにへそくりを貯めるごと 吾は携帯に歌を入れおり
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もうもうと煙る焼肉目に沁みて家族の記憶思い出となる
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夏秋と乗り越えた末の紅葉を今年は特にとっくり味わう
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