海野水屑
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み-くづ 【水屑】 水中のごみ。つまらないもの、役に立たないもの、はかない身の上などのたとえに用いられることが多い。

人生はタイムカプセル 後悔は忘れた頃にまた目を覚ます
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きみが跳ぶ! その瞬間に世界から音が消え去るような日もある
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網戸越し吹奏楽の合奏にトロンボーンの音色を探す
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君のいた夏があるから君のいない夏がうまれてここにあるのだ
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「もう一度触れてください」切なげにだれかを呼び止める改札機
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けだものはぼくだけだものきみはまだあかるいばしょへゆけるのだもの
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きみがいま名前を呼んでなんでぼくボイスレコーダーじゃないんだろう!
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大切にしたかったよね こんなことしたいわけではなかったのにね
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図書館へ予約の本を取りにいく からだがちょっと上下にゆれる
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遠くからきみを見ている 届かない星に名前をつけるみたいに
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来世では魚になって水槽の中をふたりで泳ごう ずっと
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嫌われるのが怖くなくなってからあなたのことがこんなに好きだ
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水道の蛇口に住んできみの手に触れる温度を調節したい
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思い出を主食にしてるわたしって手のかからない生き物だから
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イヤホンのぷにぷに、え、そうイヤホンのぷにぷに、ちょっとなんで笑うの
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ビー玉を口に含んで冷たさがきみのたましいとおなじだね
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とん、とん、と幼きわれの背をたたく母の指にも似たる雨音
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エスカレーター のぼるときその先が見えないことを希望と呼ぼう
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きみは星 夜がこんなに似合うからなんと言おうとぜったいに星
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この顔にピンと来たならご連絡! アプリに並ぶ指名手配書
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「生きるってなあに?」と子らが母に問う 死なないことではなかったはずだ
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「妖精はいない」って言う度に死ぬ妖精みたいに生きるわたしは
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馬鹿だから高いところが好きだって言ってた君は煙になった
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透明なあなたに布を被せてはその輪郭を抱きしめている
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03ではじまる電話番号であなたがここにいないと気づく
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食パンの袋を留めるアレみたく僕の名前を忘れてほしい
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ぼくたちの終着点をPとする 毎秒5センチメートル動く
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お金より大事なものを手に入れるためのお金を集めています
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ひとりってひかりみたいなもんなのにどうしてそんなに嘆くのだろう
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終わるからこそうつくしいものたちが終わらぬように祈ってもいい
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