海野水屑  フォロー 18 フォロワー 21 投稿数 148

み-くづ 【水屑】
水中のごみ。つまらないもの、役に立たないもの、はかない身の上などのたとえに用いられることが多い。

プリーツの揺れるスカートが連れ去った幻影だけに恋をしている 

長月の生き急ぐような秋風が走れぬ僕を追い抜かしてく 

知ってるか 悲劇のヒロインだってもう自力で立てる時代なんだぜ 

配達中 臆病風に攫われて読まれることのないラブレター 

今晩は月がないから地獄への道はあなたが照らしてくれる? 

とめどなく流す涙で思い出も錆びてくれれば良かったのかな 

見えぬよう重りをつけて水底に沈めた恋はステンレス製 

私たちあの頃無敵だったよね 白い羽根だけ追いかけてたね 

君のため死ぬとか言う気はないけれど小走りになるくらいはするよ 

おい貴様 泣いても無駄だ 午後ティーを午前に飲んだ罪で逮捕だ 

夕立の後はいっそう透き通るラムネの瓶と晩夏の記憶 

女の子が少女になったその日からスマホに住んだピンクのうさぎ 

来世では眩い葉月の陽だまりを歩くあなたの影になりたい 

「好きな奴いるってマジで? 誰だろう」「アンタにだけは分からないわよ」 

あの人の面影のないこの街で今日も私は死に損なった 

朝5時の新米ニュースキャスターが告ぐ若者の人間離れ 

式場で言う「おめでとう」の右側に「好きだったよ」とルビは振らない 

さよならも言わせてくれぬ歳上の遠い背中に唇を噛む 

君からの大好きだけが欲しかった十五の僕に線香上げる 

しあわせになるのが下手な僕たちは惰性で生きて慣性で死ぬ 

ゆるゆると首を横に振る扇風機 お前も僕を否定するのか 

親戚の子供に笑いかけている まともな人の振りをしている 

待ってろよ 今すぐお前のとこに行く 夢で逢えたら、なんて言うなよ 

生まれ変わる方法未だ見つからず 資源ごみにもなれない僕ら 

醜悪な肉で得られる肩凝りがそんなに羨ましいか雌共 

教室の窓の外では致死量の夏に生徒が殺されている 

脱衣所の鏡に映る肉体が汚く見えて眼鏡を外す 

部屋干しの下着のそばで香をたく これが現代貴族の贅沢 

打ち寄せる波と目が合ったあの夜から ざざぁ、ざざぁ、と耳鳴りがする 

恋は罪 ならば君への執着はこれ以上ない罰なのだろう