海野水屑
28
40
投稿数
300

み-くづ 【水屑】 水中のごみ。つまらないもの、役に立たないもの、はかない身の上などのたとえに用いられることが多い。

こいびとは遊星歯車の仕掛けで踊るコーヒーカップのごとく
4
雪解けはつめたくまるいともだちを奪っちゃうから行かないで 冬
6
眠れない夜に耳から流し込む忘れかけてたあのころの歌
3
目覚めたらどこに行こうか とりあえず海の色でも確かめようか
2
猫じゃないあたしは命の終わりまできみの前から消えてあげない
3
名刺入れ、スーツ、パンプス、あとひとつ心の準備だけができない
6
角張った言葉にやすりがけをしてきみの健やかさを守りたい
2
さようなら、さようならって声に出す 卒業式の予行演習
6
ばらばらに分けたわたしを箱に詰め空っぽのからだで移り住む
3
ぱいなつぷる って進むためにパーを出す君に私はグーで応える
8
引き出しの鍵が壊れて在りし日のぼくが飛びだす学習机
6
前をゆく制服たちが傘の下ぶつける右肩と左肩
1
八畳半の方舟はつがいにはならないふたりを乗せて進む
3
海だってぼくらの母になりたくてなったわけではないはずなのに
8
パルメザンチーズみたいだ 粉雪をまぶしたきみはおいしそうだし
1
Fall in Loveの重力加速度は9.8より大きいらしい
8
ごめんねは言えないくせに花束を買ってくるのは平気なのかよ
2
ありがとうって言ってくれないのにケーキ買ってくるから怒れないじゃん
1
君の目の奥で光ったきらめきに消えない明けの明星を見る
4
さよならの合図のように手を振った紅葉もみじが落ちて地面にねむる
1
明日から一気に冷えるらしいけどフライングして今夜から鍋
2
小さくて脆いからだでいっせいに「ここにいるぞ」と香り立つ花
2
うまく生きられんし社会こわいけどだいじょぶ、ご飯おいしいもんね
3
階段を二段飛ばしで駆け下りるように冬へと近づいてゆく
4
なけなしの孤独 なけなしの幸福 なけなしの心で息をする
2
真夜中に捨てた花束 わたしより綺麗に咲くのが許せなかった
2
丁寧に暮らせなかった窓辺にはからっぽのまま佇む花瓶
14
ロマンとか要らんよ、うまい飯食ってお風呂上がりに桃鉄しよう
4
ふにふにのほっぺが可愛すぎるから唐揚げにして食べちゃおうかな
3
海色のインクで引いた直線の彼方に浮かぶ国の友達
5