三十年住み慣れた家を後にする また新婚ね 小さなアパート
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北風の冬の朝には日が澄んで歌の言葉をほどいてくれる
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ほほ笑みは 生後三日の が語る キユッ とあがった ピカピカの頬
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滝の音聞こへ来そふな油絵の水霧飛び来て吾にかかるごと
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二軒分 家事と介護を こなすには 知恵を絞りて 手抜き息抜き
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昨日よりたしかな愛がほしいから日記に書いたあなたの名前
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蝋梅ろうばいの 花芽迎へし 山寺に 母の手引きて 歩む石段
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「キャンセル」の陰気な語感いとわしく 「風呂スキップ」と我は言ふなり
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風呂桶を少し擦って洗ったと 威張り赦されるの小五まで /五十の大家は掃除もできぬ
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腹を押す医師の温もり身に沁みて眠りに落つる冬ざれの夜
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原曲が 映画になると 聞きつけて 名曲楓 歌詞を噛みしめ
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打ち合わせ 終えしカフェの ツリー見て 珈琲一口 パソコン向き合い
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やすらかに息づかいさえ聞こゆればそばにゐるだけそれで足りたり
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東北の冬の青空ありがたし磐梯山の雪の輝く
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雨の降る 師走の街に ちり流れ 過ぎし一ひととせ 思はるる夜
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想い出は街をぐるりと歩いた日 兄の遺した紬をほどく
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浜辺にて 君の名を書く 僕の指 打ち寄せる波 君が消えゆく
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雲のない夕暮れの山その奥にそびえるあの山クリアに捉え/冬の晴れた日限定
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なにもかも すててしまえば 楽ならん この肩の荷を ぶちまけたし
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家じまい ゴミ屋敷の実家いえ片付ける あぁ最後まで迷惑な親 /業者に依頼
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多忙なる 一日ひとひの終わり 静寂が クールダウンを 吾に施す
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アラームをかけた時間もまだ暗くもっと寝たいを助長させてる
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鳥かごに冬の日差しを閉じ込めて蜜柑の皮を剥けば香し
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冬の宵  満月照らす  君の頬  儚く消える  雪の花
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満月の 光欲しいと 祈っても 見ることだけが 世の限界で
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「寒いね」とかじかむ指をすり合わせお鍋の煮える音を待つ夜
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スイーツで飲める系女子でよかったな 笹団子パンとアイスでビール🍺
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街灯り窓の扉に透けており静かな夜の終わりを告げる
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もうすこし ライブの余韻に浸ってたい 二万一千歩 跳ねた歩数計
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長すぎた「また明日ね。」のその明日 あなたに会うため 手に六文銭
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