婆さんら 仕事帰りの 駐車場 暗い空見て 楽しく語る
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漱石や 太宰が好きな 日本人 真面目過ぎたら 大変だけど
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地主様 畑のごみを 焼かないで 煙臭くて 失礼します
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これがもし冒険譚ならば きっと御伽話も本当になる
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ミステリー 僕にはわかる 犯人が  …いや待てよ待て 振り出しに戻る
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さも月と見紛うように立ちつくす蟹足腫けろいどだらけの君のたましい
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アホ過ぎる 家でミイラが 作れるか! これは故人の 乾燥です
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曼陀羅華 溶ける快楽に飲み込まれ  まだらな宇宙で息をしている
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きっさきに 奔る閃光 散る火花 同じ散るなら 我が生き様も
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ぐらでえしょん指先まで見える足跡を霜焼け、切り傷、かき氷苺味
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毒もって毒を制すと言うならばあなたの音はまさに毒だろう
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知っている景色の酸素の薄さから逃げるためだけ歩く午前2時
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「私はね よく落ち込んで しまうのよ」 「あなたのことが うらやましいわ」ってね⋯
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「血糖値 下がさらへんのは なんでしょね」 医療のプロに まあよくもまあ
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謎おっちゃん  そう呼んどった  療法士  一年を経て  変なおっちゃん化
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ネクタイを縊死いしだって首にかけてみる 自分の意思で生きてたいだけだ
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ママごめん ドレスを縫った夢を見て タイタニック号みたいな人生
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左手の薬指はもう落とそうか 幸せだから態度で示す
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賞レースの結果発表 本人よりも緊張してるってのは言いすぎかな
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黒でわたしを囲おう そのほうが手を出しにくいでしょう?
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夜半の空 手を伸ばしひたすわが爪をくすぐる星が瑠璃に染めあげ/『ネイル』
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遠い日を細目で眺めて思い出す。 昔は良かった?いいえちっとも。
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晩ごはん 食べてひとりの 誕生日 電話が鳴った 酔った母から
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真夜中に トイレに起きて 母に会う 今帰ったの 誕生日おめ
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帰る場所のない旅を続ける放浪者 命尽きても道すべて家
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やわらかい土に体を食べられて これからわたし世界になるの
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いつの日も 奮闘している 医療者の 笑顔向こうに 疲労の色
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画面越しでも眩しくて目を閉じる 日差しのせいか若さのせいか
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見逃して 私にとって神様は周りの人たちからの視線だ
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蛞蝓を 真似て落ちたシマトネリコ 潰さぬように 歩幅を変える
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