母親と 同世代の ばあちゃんに 「長袖着なさい」 今朝も言われた
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腕があると面白くないから腕がある銅像を見たことがない
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やや傷や汚れがついた人形をアプリで売った夜の三日月
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こちらこそ仲良くしようとは言うけれどあと半年でどうすりゃいいか
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泣きつかれ引っ張られても変わらない反射しているほつれた糸が
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腹切れば同じ血と肉同士の恋 それでも百合と言えるか ヒトだ
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今この目に入った光は、8分前、定刻通り離陸した太陽
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人を殺す言葉になったら怖いから 今日もメモを書いては消す
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いいんだよ。私は君を好いている。だから気にせず、何でもおいで。
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昔からあの笑い方だったかと包みを下げて海へ行く道
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大切な ものほど目には 映らねば 心で感じ 心で見よう 
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諦めようとした佳境で、初めてその重さに気が付いたけれど
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看護師が 夜見回り時の 寝たフリを 習得したと 自負している 
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我が鍋の 碗と引き換え 誇らしく ししゃもを一尾 ししゃも一尾か 
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目を閉じてたった2秒の表情が私のアタマの待ち受け画面
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その声で 口説かれたら 落ちるのに 小ネタ話して 落としてどうする
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何日か髭剃らずとも効くならば顔認証のスマホ買いたい
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暦ではもう冬だとか言われても秋の味覚はまだ食べ足らず
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十字架は通院の夜切ったPTP薬の残骸 捨てます
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お風呂場でタップダンスをしてみるも転んで怪我する四歳の俺
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酉の市 見世物小屋に躊躇する 内なる煩悩 覗かれるようで
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靴紐に使って余った水色を雫の綾でシャツへ縫い付け
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出版の夢諦めて涙する 私に才能は無かったよ
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幼子の柿食む口元柿色に 可愛くもあり 貴くもあり/改
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質問や相談しにくくならぬよう、 出来うる限り、暇に見せたい。
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木枯らしの吹き余しつる草のいほにさらにびよと照る冬の月
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神無月誰に手向たむけむぬさぞとて紅葉吹き払ふ木枯らしの風
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鉤爪も牙も持たずに鈍足で猫にも勝てぬ人間様だ/熊
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崩れ落ち 泣きじゃくる日も あっていい 弱さもキミの 素敵な一部
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気にするな って言わない人のやさしさに  育ててもらった 歌詠む 気持ち
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