中国とことを構える気は確かか死ぬる覚悟が儂は聞きたい /『曽根崎心中』お初の呟き
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怒号聴き フラッシュバックの トラウマが 発動すれは すたこらサッサ
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無辜の民万と死なせてぬくぬくと生きし中将を豈忘れめや /インパール作戦
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小さくて 幼い頃の 心など 誰も知らない 忘れちまった
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空間に 浮かぶ一つの 点だから 何も知らない 無限の宇宙
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邂逅を求めた街は何もない 近所のババアいつも小さい
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柔らかく優しい君と離れるよ 温もりだけがそこにはあった
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違和感は自分の声が1センチずれて聞こえる気づいてしまった
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自分から別れを告げた翌日はなぜかポテチが不味く感じる
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正義と綺麗事を、悪性と理不尽を持ってして、社会に罷り通してやる
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パーカーが握りしめてたこの毛はさ、長いし細いしそもそも赤い
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凍える朝 連なるつらら 軒の下 つらさに漏れた 小声の波形
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股引や古き縫ひ目のほつれにもなほ余りある昔なりけり /本歌取り
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念入りの筈が念入りでないようなこの洗濯機まだいけるかな
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それナイフ? 護身用です 護身用 そう言ってたよ まさかあいつが
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浅薄な愛を並べる君よりも 泣き縋る君が一番愛しい
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幸福を 語る相手を 間違えて 熱くなっても 喧しいだけ
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「いつ来たの?」と訊ねる 小指の先の紅い切り傷
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ゆらゆらと 揺れる私の 手を取りて あの目は君を 見ていたという
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本質が愛なら私は愛せない 私のあなたが増殖していて
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冬椿花の色さえぼやけてしまう絞り開放焦点は君
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掛け違うボタンはいつも最初から僕らは焦るボタンひとつで
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出発のじかんはすぎた冬日和洗車などしてすぎゆく二月
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ごみ出しに 外出た瞬間明らかに 異なる季節迷い込んだ朝
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夢でいい 出来る事なら もう一度 黒羊駝きみの瞳に 己れを見たし
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亡き父へのダイレクトメールまだ届きとりあえず生きていることにする
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民衆少なからず飼はれたる故に此処に危機あらざる今は
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二月にんがつの午後に歩かば聞こへ来る公民館より懐かし叙情歌
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若人の「恋詩」読みて 過去想ふ 手のひら見つめ 溜息の午後
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ふりかへり 母の面影探しをり 通りすがりし梅鼠うめねずのいろ
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