巣作りの 燕は強く 逞しく 排気ガスをも 物ともせずに
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黒焦げの鍋並べ嫁の粗相と訴うる 記憶に抗うその声哀し
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朝の陽へ撒きし餌へ舞う群れ鳩と触れ合う爺の影は伸びやか
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いつ会える金曜日なら平気ねの文に溜め込むランチの笑顔
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今日くらい早めに寝ろ、と愛犬の 気遣い受けて布団に入る /介助のために昨晩徹夜
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稀なりや心に燃ゆる蜃気楼やおら夢世にわが身いざなひ
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ポケットに賢治の詩集お守りに深夜は道の真ん中歩く
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山吹の花をかはづと惜しむらむ春の終りの井手の里人
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朝まだ早し ひんやり風に首すくめ 薄手の上着襟立て歩く
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「帰ったら『だれかきた』って言われた」と昭和の父の乾いた笑い
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いつもより 幾分早く 家を出る 話せるかもと 期待を胸に
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手をたたき鬼さんこちら育てしがいつの間にやら鬼は先行き
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まだ眠る 藤花とうか見下ろし ひこうき雲 初夏の翼を 置いて消えゆく
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しどけなき ヘソ天猫の 腹狙い 鼻糞飛ばし 一喝をする
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パイプもつキーパーソンは陸軍のやっぱり口髭蓄えし人
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キッチンと言えぬ広さにグツグツと焦がさぬようにクリームシチュー
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またひとつ また消えてった 好きな場所  変わらぬものなど ないと知りつつも 
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沈丁花 甘さの奥で あの人の 整髪料の レモンがふわり
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教科書を 使わぬ算数 野外授業 子らも先生も 足もとはずみて
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表では 優しい母親 演じてる 己の欲で 鬼の心が お題「鬼」
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0からの1秒の間に思い出し チンという音で君を忘れた
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風呂が好き 古いあたしをなくせるからなくしてよかった、って思えるから
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この先に、何を見たいと思ってる?ずっとあなたがいるならいいな
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あれやあれ なんやったかな でてこない しってるはずが ほんまわからん
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検診の「異型上皮」の判定に印押す気持ちはアンビバレント
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春半ばコーンスープを特売に出すスーパーが三軒もあり
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桜色や移りけりなる我が心思ふらむやぞ問ふかけもすふ
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見えへども香よかほりて水なき空に花の盛りに逢はましものを
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安心したさで謝っている あまりの弱さを叱ってください
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生きてさえいれば見慣れた痕になる 白鳥座によく似てたり、さ
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