うつむいて君から話してくれるのを 返す笑顔を準備して待つ
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下の名で呼び合う仲に憧れて あなたは呼び捨てで私はさんをつけて
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お互いに点を奪いあう甲子園クーリングタイムスタート
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新品の白タオルでは切なさの吸収力が少し足りない
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猛と暑が掛け合う日々を生きており大袈裟な息、我にさせたり
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花までも星に匂えり我に降る震えて眺む天の川かな
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ぎゅうぎゅうの引き出し開けて哀しみを捨てよ無言の声が聴こえる
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金髪が風にたゆたう今ぼくは秋のはじめの一つと数ふ
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冴えた月見つつ風ごと吸い取りて心に浮かぶ月を眺むる
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床に落つ白髪一本つまみ上げ抱きしめましょう我の人生
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惜しむよに水色の雨落ちてきて僕らの肩にピリオドをうつ
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君の頬真夜中想い手を伸ばす一瞬月に触れた気がして
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三色ペン ふと見りゃ赤が 減り早く ノートを見ると 間違いばかり
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コーヒーが 飲めない君の ままでいて 一人で先に 進まないでよ
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被災者の誰もがそこに戻りたいみんないいのよ故郷だもの
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これほどに紅く染まるか一面に散り敷かれたるもみじ踏みしめ「鶏足寺」
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友よりの画像に一面「サンゴ草」佐呂間湖畔に秋の息吹が
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探しまくる 行方不明のスマートフォン 所定の位置に鎮座ましまし
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陽にあたり風に吹かれる心地よさ これだけでいい生きるしあわせ
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まな板の上に採れたてカボチャ待つ夫の出番半切り作業
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展開が強引過ぎて感情が置き去りのまま終わった映画
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みずいろのペディキュア剥がして夏が逝き静かに震える残された指
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箪笥の角通りがかりの一瞬に打った小指に死も覚悟する
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充電がすぐ切れ反応遅くなり機種変したくもできぬ我が身は
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背後よりガサッと音のす足元に落ち葉となりし大き柿の葉
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誕生日まだ嬉しいのと息子がのたまう 生かされているの当たり前でしょ
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股関節硬いわたしはサーカスの中のヒトにはなれそうもない
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画面まえドジャース試合汗握る解説いらぬ耳障りなり
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勉強をしないとバカになるからと大学出たがロマンス詐欺に
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コーヒーは今や貴族の飲み物となったようです麦茶が沁みる
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