曲流し我流のノリでリズムとる サザンのパワー部屋中満つる
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配達の役割を終へ 我が猫の秘密基地と化す 段ボール箱
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切なさを抱えて入った店内に流れてきたJUJUああもうやめて
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久々に会えば思っていたよりも少し痩せてる父のかんばせ
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早々に日射し陰りし晩秋は日暮れと競ひて晩酌待つ夫
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話す時 何度も「めっちゃ」 をつけるから 信用のない 私の「めっちゃ」
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親も子も 毒も薬も 喰らいつつ お腹くだして うたかた処方
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幸せを受け取りました。わたしから誘えなかった映画きみから
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確かめずレジに立つなりその数字ごぼう二本の四百円超え
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七竈ななかまど、野薔薇、南天、山帰来さんきらい  秋深まりてそれぞれの赤
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足の怪我しらせてよこす友へ出す小さな荷物あれこれ詰めて
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嫁と子に 今年も新米 喰わせると 空転しながら 走る人らに / 勤労感謝の日
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母の病知った夜にも腹が減る炊飯ジャーを開ける哀しみ
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AIの疑似人格に話しかけ 独りで生きる練習をする
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街角で電波拾おう手を振れば振り返す人いてあたたかだ
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子育てのために 自分を顧みず働く 今はこの子のために/勤労感謝の日
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駅ビルで買ったふたつのおやき食べ今日一日が肯定されてく
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オリーブの深緑色ふかみどりいろ 空き瓶に薔薇生けてみて勤労感謝
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爪を切る。我の指からはらり落つ 大小十個の細き三日月
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車窓からマジックアワーの細い月 一縷の望み叶えくれそな
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銀杏いちょうの森 緑から黄に変わる頃畦道に列 黄葉祭り
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秋長けて隣家の庭にひとむらのローズマリーの紫さやか
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小春日の連休なか日インフルで寝込む夫に林檎剥く午後
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次々に紅葉の空に飛び込むあどけなく笑うバンジージャンプ
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味噌おでん かやくご飯に お新香 紅葉見納め お不動尊で
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暖秋だんしゅうや 室外機の上 丸まりて目を細めをる猫 昼下がり
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小春日に庭掃除せばカマキリやバッタの卵草に紛れて
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小春日は今日が最後かベランダで洗濯干せば雪虫の舞う
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どこにでも誰にでもまた嘘をつく 「相手のため」を免罪符にして
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集中を崩す煩悩気が付けば毛糸の目数がどうかしていた
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