夕日みて黒田三郎思い出す ビール片手に斜めに座る
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街路樹の影青ければ 午後の陽その陰にまたクマのまどろみ
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同じ曲 つま先見つめもう時間 一対一の悲しみがある
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信号待ちの中空に僕は見たんだ追いつ追われつ飛ぶ赤トンボ
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北半球の小さな島国に少女ひとり 溢れるほどの、満天の星に何を願おう
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いくらかは 飽きてきたよな 菜園も 野菜を前に 時を忘れる
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じりじりと私に穴を開ける視線は太陽かあなたのまなこ
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二十五才眩しい紺の立襟日の丸振ってお腹に手添え
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喜怒哀楽酸いも甘いも重ね合わせ ミルフィーユだね僕らはきっと
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インドには ロシア禁輸︵経済制裁︶違反だと。ひそかにオーケイ 日本とEC \サ ハリン2から原油輸出
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鉄筋製無名の墓標に出入りして 今日も市街/死骸の隙間を縫い取る
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気泡たつガラスの海をはめている人差し指が連れ出す電車
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お兄さんカバン見せてで胸を張るちゅーる三本洗濯ネット
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丁度良い メンヘラばばあやりまんの おまえが俺に丁度いいんだ
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さらば夏声尽きるまで鳴き続け空へ溶けゆくいのち儚く
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野菜一 可憐な花はと聞かれたら ハゼランとしか 答えられない
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花火向け追いかけたアリに 今度は追いかけられる夢を見た夜
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直接は話さず話せず触れられず緑の通知が私の明かり
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池魚篭鳥月に数日似たような境遇にいて耐え難きかな
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あしびきの 延々の夜を 明くるには 憂き我がさがを 認めざらんを
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宿題に追い詰められる地球暦百億年のある夏休み
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太陽の熱こそ恋の原動力 鳴く蝉もまた季節の奴隷
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誠実でありたかったの疾患やコンプレックスを零してばかり
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首振りが逸れた途端に夏が来る
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被ったらヤバいと検索 AIの理解がヤバいちょっと嬉しい
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恋は指 愛は爪だから触れていたい 傷つけないけど傷をつけたい
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この恋は 儚いだとか 数奇とか 形容し難い ただの恋 片思い
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あまりにも可愛い夜に不意にキス サッと交わした「もぉ〜」いない君
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今だけは動かないでと祈りつつ妊婦の腹に手を伸ばしゆく
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光立て消える最期の星の屑  人の屑にもなれない我が身
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