幼児おさなごを膝に抱えて二人して歯磨きしてる今日は父の日
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キレそうになったら見てる 左手の壁を殴ったときの傷跡
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半夏生白き装い雨を待ちこふべを垂れて炎天に立つ
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カッポカッポ お馬の様に歩いたね もうもう動かぬ愛犬キミのその脚
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空も地も花から何から全部「きれい」でまとめたい暑すぎる朝
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電線の影の上だけ綱渡りナマケモノのごと寝そべりたいけど
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収納がうんぬんよりも今そこにあるゴミひとつ捨てるが正解
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ナイターの ない夏至の夜 うっかりと ひらいてしまった つれない家計簿
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早朝の 無心になれる 草むしり 百合のつぼみも 咲く時を待つ
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忌日来て施設の義姉あねの空き家には義兄あにの遺影がポツンと一人
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週の明け律儀に梅雨は戻り来てしとしと細く音なく降りけり
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ご褒美にネットで本をポチッとな 届く頃には次のポチッとな/謎のご褒美(笑)
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百合の花 雨に打たれて 咲き始め 可憐なれども 強さを感じ
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しぶきつつやがて小やみの夕立は祭りのあとの帰り路に似て
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花穂あわく香りかすかにラベンダー咲きそむ庭は真夏日続く
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「いい香りね」言葉頂く少しでも 患者あなたの回復ちからになれたら
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無機質なる地下トンネルの車窓に 暑さ忘るる 通勤の夏
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風邪ひきて親子休んでみたものの部屋はトーマスプラレール街
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誰しもが似ている傷を負いながら似ている夜を耐えているかも
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駅前で弾き語りしていたあの子 君じゃなかった 明日も真夏日
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清水の 舞台上から 飛び降りて 恐れるなかれ 神が支えん
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昨日からマチアプすると決めました スワイプスワイプ、スワイプ、死のうかな
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晩秋に 横に並んで 鍋を食う 前髪上げてる 君の横顔
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お受験雑誌載ったガキ全員しねばいいし 重力の虹の下巻は笑えるし
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悔いなんてひとつたりとも残さずに死ぬまで踊れダンシングバカ
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ひまわりはよく見なくてもひまわりでハトはじっくり見てもハトだね
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ホラーマン、ほんとはきっと最愛の人がいたかのように陽気ね
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「妄想」という名のローカル線に乗る パスポートなんてないのここには
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貝殻は骨だと思う肉がない鮑の裏は淡くかがやく
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冷たくて確固たりえて味もなく形としてのみそこにある石
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