「夕飯は 何が食べたい?」「なんでもええ」 っちゅう口癖の 禁止を命ずる
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義務じゃない 声が聞きたい それだけで  深い暗渠を 泳ぐ魚に
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どこまでも続く青空伸びる雲それぞれのみち船を漕ぎ出す
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泡と泡弾けるような一瞬のふれあいのため尽くす一日
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雨降りで日が暮れたあと寒くって足首の上カイロ貼ってる
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憧れが醒めてようやく恋を知る 産毛の光るきみの横顔
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暗闇の二駅先に最寄り駅改札くぐれば無呼吸の町
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ジリジリと 生きづらくなる 世にあって それでも桜は 咲いてくれる
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春淡し 伊香保石段 のぼりつつ 湯けむり越しに 思い出埋まる
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早春の 寒気なお残る 榛名路を 身を引き締めて 杉間ゆくなり
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その手すり まだ要らぬと 言いし夫 いまや一番の サポーターとなり
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潮風とかけっこをした散歩道 桜散りゆく 3月下旬
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キキの手にはいつも温かな飲み物おソノさんにもウルスラの手にも
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ランデブーと古い言葉がお似合いの今夜の月と木星の距離
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君が去り空白ばかりのひと日には花の下にてひとりで歌おう
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誘われて 春の匂いの する方へ 花々ひらき いのちあふるる
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命日は春爛漫の花の頃笑顔の似合う君が決めた日
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巣立つの幸願い見る春北斗 夜のしじまに沈丁花ちんちょう香る
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春思い  三寒四温さんかんしおんの  よんを待つ  来れど来れども  七寒零温ななかんれいおん
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心持ちほころびめし桜花 咲けよ咲けよと優し雨降る /催花雨さいかう
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ランドセル 登校最後 君の背が 大きく光る 六年の時
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えいやあとメンコ投げつけひるがえすその行為すらトランプには無い
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万葉の 防人たちの 長き道 誰ぞ知る人 家族への愛
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賭けとして入れずにおいたガソリンが二十七円安くなった朝
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繕った端切れ布じゃあ進めない帆布のマストで風を受けなきゃ
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吾がころも君が遠慮を剥ぎ取った 迎えに往くよ次元を越えて
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見つめられ見つめ返すと「邪魔!」の声 後ろが見えぬと妻の叱責
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ドナドナがリフレインして坂のうえ白い建物母を送りし
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ガスコンロ電子レンジに洗濯機小さい順に壊れゆく頃
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手放した名前は何番目だったか思い出せずに街をはなれる
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