死期が来る 春のどこかね そのころは 皆笑うのね 四季が来たねと
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口下手の無意味に思えるロープレも急がば回れいつか花咲く
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何度目のザ・マンザイをこの席で見たかと数えようにも冬
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常夏の 恋情連ねし あのふみ紅梅こうばい咲けども 書き終わらじ
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玉鬘たまかずらつける少女おとめ花宴はなのえん 照らす若菜 上弦の月
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雲墨は 細筆走り 蒼に消え 命を運ぶ 鋼の鳥よ
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見切り品安くも買うに至らなく冷感タイプ入浴剤なぞ
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やりたくはないけどやらねばならぬとき母親たちの漏れ出づるダルゥ
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働いて、働いて、なおインフレと金利引き上げ楽にならざり
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不思議なるアイコンタクト送りくる女性の心理はかり得ぬまま
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ともる灯の明るさ増しつつ急速に雲は厚みを増す窓の外
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院長室 無数に並ぶ 頭蓋骨 この手が切りし 頭のモデル
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山頂に雲海広がる遠き峰朝日の中に地球の鼓動が
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目玉焼きつぶれたけれど気にしないパジャマのままの休日の朝
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明けやらぬくりやに白き湯気の立つカップ二杯の珈琲を淹れる
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牡丹雪に見紛う野に咲くサザンカの真白く光る朝の冷気
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「健康」はやいばの上で回る独楽こま その危うさに気付けなかった
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住み慣れし 街に明かりが 灯る時 過ぎゆく時の 早さ身に染む
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枯れ葉散り あらわになりぬ 枝のはざまあるじ無きからすの棲家
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去る人の残り香宿る年の瀬に白きサツキの帰り花咲く
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新しき鎌を買い来て庭掃除 師走の声に背中押されて
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町内のコスモス咲きし空き地には家が建つらし整地がされて
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琥珀色 アイスティーに 癒されし 海辺の席で 心ゼロにす
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足跡は新雪踏みて倉庫まで「犬のトイレはここではないよ」
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牡蠣届き 生を喰えない奴、フライ? 酢牡蠣しかない 加熱用買え
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しがらみを裂いてちぎって海に撒く。沖まで行けよ戻ってくるな
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三十路みそじにて天に召されし君の子の訃報に嗚咽の涙が滲む
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うまいこと三十一文字みそひともじを並べれば短歌のようなものはできます
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金色のイチョウはまだまだ落ちもせず辺りを明るく照らすかのよう
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いつの間に 車内ダウンの 人だらけ ブレザー1枚 JK潔し!
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