鴨鹿
2
3
投稿数
38
言語すら分厚い壁 手を伸ばしても 画面の中の若き日の彼
4
脳揺れて美に溺れた夜 僕らまだ 息するたびに世界きらめく
6
あの夏も 枕についたあのシミも 瞬きにすら満たぬ虚空か
3
グランドの砂の味した 高い空 六年ぶりの擦り剥けと鬼 
8
不機嫌なあの子の顔も美しい だからもう少し生きてみようか
6
午前二時 壁越し響く蝉時雨 睡眠不足に拍車がかかる
8
君去りて 戯雨にぬれる午後二時の アスファルトだけ やけに正直
9
トタン屋根叩く雫と アスファルト落ちる炎の雫の不調和
7
戌四つ 熱気の籠る体育館 今年の花火もまたお預けか
6
先日の 貴方の肩に身を寄せて ただただ静かに 泣いてあげたい
8
友と書く 十六の日の短冊は 天に伝えず ただ胸の内
13
昨晩は 腹抱えたる痛快の 報いし朝のカプサイシンよ
6
ごめんねもありがとうもまだ言いきれず かすり傷以外負いたくないの
7
あまりにも日常すぎた夢の中 さめなければと後から想う
13
ゼロコンマ このためだけに二時間半 またすれ違い 梅雨の風吹く
6
友達のホーム画面のAとY 消えた文字たち 密かに喜ぶ
6
耳の傷 若気の至りと言いつつも 愛猫様とお揃いならば
12
梅雨も多分 休みたいときあるんでしょ 昨日の怠惰 本日配送
15
為せば成る為さねば成らぬ何事も 為す元気すら私にはない
9
いつの間に 知らない人になったみたい ほんの優しさ されど優しさ
7
合宿でぎっくり腰の十五歳 クロール足攣る十六歳
8
いつぶりか見慣れた顔と夕食を 別れた後にまた蕁麻疹
8
「好きな人できた」「いいじゃん」十六年 君の期待に応えられない
5
優しさのマジックミラー 君からは何言われても防御の姿勢
7
一日を乗り越えるだけで精一杯 楽しかったら万々歳
12
窓際のカビと埃と涼風と 少し早めの蝉の鳴き声
9
放課後の教室響くゲーム音 叱られてこそ 友と青春
6
またひとつ貴方のことを知れたのに。これは何人知ってるのでしょう
7
気付かないフリをするにはあまりにも貴方の瞳が輝きすぎて
10
水魚よ あなたを信じていたいから あと少しだけそばにいさせて
5