カタカタと震える身体と窓の音 香り感じる 春はもうすぐ
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たくさんの子たくさんの親が集う式典の たくさんの十五年に涙ぐむ
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はい!と言い 卒業証書を 受け取って 毅然と礼した 涙腺崩壊
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砂の山ビキニ姿でトンネルを ナンパも無視で掘る女子高生
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存在が罪であるとも 存在は偉大なりきと讃えらるらん
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晴れた空風花が舞いすぐに消え 積もることない雪を眺める
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駈けてでも拭いにいくね 私と出会う前に流した涙をぜんぶ
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甘夏が微妙な風味の一個でも全部食べきる貧乏性よ
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梅園の中歩きつつ足元の飛び石気にし足袋に手をやる
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学び舎の師の声に舞う花の雨 友と別れを暫し惜しむらむ
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ズキズキと 忍び寄る棘 増す痛み 足を引きずり 帰路を急いで
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ミサイルはミサの頭上に降り注ぐ葡萄酒の血を拭う間もなく
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残雪の庭にはあれど日向にはすでに福寿草一輪あらはる
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今日が来た春眠覚めて眉重く牛乳パック傾けて飲む
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初鳴きのウグイス聞きつつ朝散歩  雪の富士にも春はすぐそこ
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気を抜いた背中の写る一枚にどこの老婆と目を疑いし
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いたずらは得意謝るのは苦手似たもの親子並んで午睡ひるね
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畑 終はたおへて 薄暮に浮かぶ 白き月 弥生最初の 望月を待つ
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軽トラが集い田畑も春支度 雲雀ひばり囀る長閑のどかな日和に
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独り身が 語る事無く 桃節句 頬と心を 氷雨が叩く
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邪魔になり冷たくしたら後悔のレコードばかり聴く引き篭もり
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母の肩 めば上手うまいと 褒められり 亡き後に残る 感触寂し
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春寒の冷たき雨のそぼ降りて 独り逝かれし翁を送る /ご近所さん
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手伸ばせば 届く君の肩 波打った 鼓動のせいで 話しかけられない
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朝食の支度のじゃまを やめたねこ 楽だけれどね らしくないんだ
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沈みたる気乗りのせぬ日ネトフリでサザンのおじさんパワーいただく
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晴天の青に優しく包まれて 春草しゅんそうめぐむ 啓蟄の午後
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朝はチャリ昼は無心で夜は外 風と寒さに歌を教わり
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自閉症苦にもせず笑み快活なあの娘はきっと幸せになる
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紅富士に寄りて映えるや十六夜の月に引かれて通院の朝 (3/5)
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