ひたすら聴く 介護頑張る友の愚痴 「スッキリした!」が何より嬉し
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坂道を風ひんやりと吹き抜けて隣家の庭の藤棚ゆらす
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こそばゆい「あら、おくさま」のスタンプのラインは知らず難儀の妻を
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短めの自己紹介も不得手ゆへ 声だけ作る講座日初日
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季の移る境に身体からだ慣れぬ折 躑躅の香り甘やかに嗅ぐ
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故郷の思ひで辿る旅終へて夫とねこ待つ家に帰へりき
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時を得て 紐解れたり 花蕾 名を上ぐりて 立てば芍薬
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縁側でつに髪結ふ母が手の刻まれし皺 幾春越えて
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果てしなく 続くパレード 円周率 次は何かな いかなる未来
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かっくんと顔を真上に振り上げて錠剤を飲む 父のしぐさで
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枕花 百合の花粉が床に落つ花瓶の水はそのままの朝
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野に還る耕作放棄畑には黄色が満ちるたんぽぽ群れて
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雨男レインマンと 並んで歩く 男との 狭間に見ゆる 傘の幻
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ざわざわと四月の雨の冷たきにいたち轢かれし道にそぼ降る
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櫛に生ゆ 母の髪の毛 細き見て芒の夕べの風を抱く我 「芒のぎ。すすき」
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荒天の 運河の流れ 見つめつつ アトリエで待つ 時とまる午後
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進みゆく夏への歩み 止めるよに ひんやりそぼ降る 雨に癒され
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我慢する ふりをしてれば いつの間に 心のどこか 壊れる音が
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真夜中の こむら返りに 悶絶中 口開けて寝し 旦那は他人
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自転車も 押して歩けば 歩行者ぞ 横断歩道で 理不尽クラクション
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どこまでも 続くであろう 道々を ゆっくりゆっくり 歩いてみたい
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受け継いで息継ぐ暇もないほどに馬群に揉まれ駆ける愛馬よ
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裏読みを楽しむ僕は銀河人ぎんがびと 距離はいらない心がワープ
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渡してと 店員へ言い 品を入れ レジ待ち人の ストレス緩和
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満開の 桜の枝と 握手して 優しく今も祖母はほほ笑む 
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紅白の 躑躅の香る 道の辺に 我れ深呼吸してペダル踏む
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雨の夜の 街の光りの 水滴を 受けるメガネはまるで油絵 
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発つ想い紡ぐ衣を肩に掛け今すぐ行くよと歌雲うたぐもに乗り
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薄日差す静かな午後にしとしと新緑濡らし雫となりぬ
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ひと冬の埃清めたストーブを再び灯す雨の寒き夜
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