コーヒーを淹れる数分 未来には内緒で僕を取り戻す場所
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注射後にアウアウ鳴いている犬を宥める獣医のやわらかな声
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絵日記を付けるが如く詠む視線ピャッと素早くヒヨドリ逃げて
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雪虫と呼ぶを知らない子供らのその雪虫が春に飛ぶこと
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見ないうちふたりは大きくなったねえ。はにかみ笑う笑窪えくぼがぽちり
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降りて来ぬ 思い浮かばぬ言の葉を 苦悶の末に一首絞り出す
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石橋を叩いて渡らぬ七十路ななそじの君の復職苦難へ飛ベリ
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完璧な朝じゃなくてもいいじゃない 光を浴びに靴履く休日
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「邪魔だよ」と「退けよ」とおきな毒を吐く他人ひとのささくれ我が身に移る/いつものスーパにて
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咳き込めばトローチ持ちて妻のくる隣の部屋の壁の薄さよ
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ちま猫ちゃん しっぽぴーんで よいごきげん ゴハンもたべるよ だいじょうぶだよ
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震災のあの日を胸に刻みつつ 祈りて閉じる今日のまなざし
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天空の 宮殿の鳥 鶯は 春をつげむと 舞い降りて
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まっすぐな学ぶ姿勢の眩しかり小さき歌会の仲間のことば
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馬鹿がいい馬鹿を目指して馬鹿を積む馬鹿は前向き馬鹿は希望さ
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「ごめんね」と言えば「いいよ」と決まってた。いつの頃から「いいよ」で済まぬ
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自信薬あれば誰もが主人公 優の劣のと思わなくなり
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雪解けの 春の陽気に誘われて 季節を食むる茎立摘めり
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戦火の世 平和の夢は踏まれゆく草は倒れつ「イマジン」詠う
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俯きて君を見送る紫のクリスマスローズ風のささやき
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ぷっつりと噛めばはじける春の香の 翠の粒やえんどう豆食む
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ベトナムへ行かぬと決めた「Aの意志モハメド・アリ」継いでいこうよ全人類で
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また来ます または何時かと 訝しむ 吾の脳内は いまだアオハル
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午後一時 待ち合わせする バス停へ 切りたての髪 足取り軽し
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風のにひとの声聴き肩越しの白詰草に春告げる陽は
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実家のタヌ ちゅーるも食べぬ朝が来た まだ生きてくれ まだ生きてくれ
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里帰り 最寄り駅にも ホームドア ところどころに 令和の文化
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校章をはじめて知ったのはたぶん卒業式の退場のとき
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旧友とお喋り尽きず二時間半 明日からの糧となりにけるかな
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植民地支配のやうにアメリカのねっとふりっくすだぶるびーしー
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