桜とか、雪とか、絵とか、イルカとか、二人で見たら、違うのかなと思う。
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あの頃を妻と重ねる桜かな 腹ばいに駄々こねる子のいて
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スタートに躓き騎手はへたり込む めげぬ空馬からうまゴールへ怒涛
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咲く花に添える薫りの香ばしい初々しさの萌ゆる葉桜
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真っ白な紙の中から現れし尾っぽを立てて迎え出る猫
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言葉にはならない気持ち 春風が吹いて撫でてくこの感情を
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サックスの深い音色は時をかけ心に届け夢みるごとし
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菩提寺の墓の間に間に風遊ぶ夕には春雨そぼ降るらしき
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農園で甘き香りの苺買い好みし夫に供ふ命日
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空腹にガタゴト響く鉄路なり 廃止されてた車内販売
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春浅き君住む街にほおき星 欠片を追ひて永遠の歌詠まむ
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「姉ちゃんは…」と六十過ぎの弟に意見しているふるさとの午後
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貧困と暴力とあゝファベーラのただなか早く春よ来てくれ
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木立打つ雨音枕辺に迫り 澱みたる悔いの念立ち現れたり
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球根のでし芽見んと四つ這いになりて地中の温さ伝わり
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別れとは辛くあれども美しい思い出の曲できゅっとしていたい
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だだくさ適当に一日過ぎれど良き日なり今日に感謝の刻印ひとつ
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いや、いける。筋肉が落ちか弱いが「進め!」と鼓舞し歩き続ける
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通り道桜の有るたび確かめる開花宣言聞いた次の日
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都合良く見えることだけ吐き出して そろそろ季節のうたでも詠もか
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知らぬ間に守られている日々だったトゲの刺さった軍手を仕舞う
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真珠湾悔いて不戦を誓いたる日本の誇り風雨に揺らぐ
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忘れない、どんな地獄に墜ちようと 大好きだから君は置いてく
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魔術師は春風に乗り現れる桜の花に躍らされるたみ
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一羽だけ鳴いているのか白鳥が私の耳は何を聴いたか
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いねられず 咳止まぬ我が背中をば さすりぬ母の手 幼日の夜半よわ
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昔日せきじつの夜 冷気入らぬよう布団の端 トントン叩く母の手の記憶
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朝食の片付けせぬまま 遠き日に想い巡らす 日曜の朝
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興冷めなプラのちょうちん連なりて 地域振興さくら祭の
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一人城 引き揚げてきた三男の 荷物が我が家の居間占領し
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