注射後にアウアウ鳴いている犬を宥める獣医のやわらかな声
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雪虫と呼ぶを知らない子供らのその雪虫が春に飛ぶこと
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降りて来ぬ 思い浮かばぬ言の葉を 苦悶の末に一首絞り出す
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石橋を叩いて渡らぬ七十路ななそじの君の復職苦難へ飛ベリ
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一日ひとひ終へ バツ印増へゆく暦 過去へ戻らず 歩みぬ印
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ちま猫ちゃん しっぽぴーんで よいごきげん ゴハンもたべるよ だいじょうぶだよ
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木蓮がゆうらり揺れて思い出すこの花こわいと言ってたひとを
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春風しゅんぷうを浴びつ 早桜を眺む ペットボトルのお茶を片手に
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すぐそこの春の気配をかき消してびゅんびゅん吹雪く冬のプライド
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はや満開 多摩川河川敷 白く染めをる雪柳や 早春
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天空の 宮殿の鳥 鶯は 春をつげむと 舞い降りて
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湾岸に 何も云わない 日本の 明日は我が身か 暗い淵みる
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戦争は人の狂気の地獄絵図 殺人罪とはいったい何か
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香りつき練り消しレジへ持って行くボールペンしか持ってないけど
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透明の水彩画からこぼれ落ちだいじな欠片かけらうまくけない
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衣川 仁王立ちして 死してなお あるじを守る 盾の弁慶
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住宅街 カレーの香り 帰り道 ひとりぼっちの部屋は夕暮れ
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自炊の字すらも浮かばぬ三年目TKGなら作っているよ
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かすがいの 子どもがあっても いなくても 互い離れぬ 磁石がいいの
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わがままと文句ばかりの宇宙人 ジャージ制服 ソファに投げる
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選択が 正しかろうと なかろうと 人生は続く そういうこと
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ヨドバシで 電気ケトルを 買いました おすすめされた 象印のヤツ
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ため息で 伝えることは できなくて 昇進しちゃった 現場を離れる
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正直君のこととか興味ないどこで死のうがだれが死のうが
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百円で 赤いトマトを 買いまして 種を採ったら 百五十粒
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透明な ゴミの袋を 買いまして 張り巡らして 温室作り
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正しさを終わりに求めてはならない 正史ってそういうことじゃない
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ニコニコと いつも機嫌が いい俺を 嫌いと言う奴 いつも不機嫌
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朝起きてコーヒー香りトランプを 指を一回ハートのエース
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あなたのさ 心の海は 優しさで あなたの涙で できていたのね。
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