着ぶくれて厚み増す分低くなる冬の枕にタオル一枚
22
電線に止まる寒鴉かんあの背景に 白き残月 朝の西空
29
丙午ひのえうま 年が明ければ 年女 避けられた年 それでも生まれ
27
紙やすりで 研がれるような 寂しさに みぞれざらざら 降り注ぐ音
25
凶をぬきイベントのためおみくじをせっせと作るわれはペテン師
28
寒風かんぷうに 耐え抜く蜘蛛へ 落葉らくようは お先に逝くねと その生を終え
26
いつだって職場の床は針の山 脳はプチプチ刺激に弾け
21
雪が降る むかし絵本で見た姫がガラスの靴を履く静かさで
17
注意され「うっせー」ドヤる若者よ「うっ制道」を貫いて行け
16
ワンショット「ナイス天才!」呟いて小さな仕事も真摯な腕で
14
コミュ力で刺激をピリリと効かせれば仕事は回って密かにニヤリ
19
トラトラトラ熱狂に酔う暗号に 「血沸き肉躍る」 主婦の日記
20
ぼくたちのにてるところとちがうとこ ならべて神経衰弱しよう
9
言の葉の大海進む俵船 七副人は乗り込めますか
14
いつまでも なんかじゃなくて いつもです こどもはこども まごはまごです
19
ちま猫ちゃん おでんき ポチッと けしますにゃ なんとなくだよ ねこは きまぐれ
20
蟹座より先に見るのは天秤座 今日のあなたは幸せかしら
11
自転車に 乗って辺りを 漕ぎ回る こんな老後が 残っていたか
6
我が遅刻より 人の命が大事 救護者の無事を祈る通勤/遅延
24
人混みの向こうの空にカラス飛ぶ 呪われし身を突くフラミンゴ
8
スカートの下にジャージの女学生体いとえてよろしき事よ
13
気に入らぬオムツ八つ裂きばらまいて餌だしやがれケルベロス鳴く
7
横断を待つ児ら無視の車どもネズミ捕り速度超過取締でもかかってしまえよ
10
ためらえど六十路半ばの吾ならば シルバーシートに座っていいよね?
22
年末の挨拶回りの帰りがけ スコッチ一杯肴は夕陽
21
老人と夕陽の窓とスコッチと なんか俺ってかっこいいよな
20
出張の経費で貯めたポイントJREで タダ酒を呑むこれが「役得」
19
2個上の奴に苗字にちゃん付けで呼ばれるような自分が嫌い
8
あの頃の「スタジオ101いちまるいち」からの 今も響きし 『赤い鳥』の歌
15
寂しさと寒さの間の星空に送るカードは宛先不明
9