十七の君に渡したチョコレート パッケージ褪せアルバムにあり
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絶景の桜にかぶせしキャッチコピー駅構内で春につかまる
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咲き初めし梅に白雪降り積もり溶けて色艶失せし姥梅うばうめ
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束の間の暖気来たりて肩ゆるみ 上着の前を開けて歩きぬ
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プランタを 花咲か婆ちゃんから もらい 花より野菜のタネ 選ぶ 孫
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歌詠まぬ日々を重ねて帰りつく「ただいま」という一番の歌
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うつむきて 震えるつぼみ陽を浴びて 薄紫のカタクリの花
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「楽しかった」と 昨日に告げる ばいばいは 未来を走る コースの合図
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うたかたが僕の心臓消えるまで何度でも灯る愛のスペアで
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味もなき白湯をすすりて酸ひ甘ひわが身の内の塩梅を知る
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黄泉ばかり見ている人の袖をひくこの身をもちて碇となさん
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ゴッホ展に娘も誘い予約する たのしみを待つことの幸せ
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日常はデジャヴをループ時間の輪 鍵は誰かの輪のなか周り
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枝垂れ梅のトンネル抜けて吹く風は戻りし寒さと芳香乗せて /梅林にて
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梅の香をマスクをさげて深く吸う 鼻炎の吾に油断をさせる
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躁鬱と聞いて案ずる姉の身も僕には解けない未知の宇宙で
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ヤオコーの店内曲が脳内に ループしている止めたいけれど
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色彩やキャラクター柄 歩行者を彩りぬ傘 雨天のファッション
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如月は衣を重ねることという一枚一枚ぬいで待つ春
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りくりゅうよ 老眼に涙溢るる我 ありがとう以外の言葉みつからず
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飛ぶことを忘れたカラス慣らされていくんだ知らず知らずのうちに
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タヌ猫が 療法食カリカリ食べぬと 母の言う まだ生きておくれ 母のためにも
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愛しさのほむらしずかに立つ夕べグーグルフォトの走馬燈に似て
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三時間二十四分なり我のプレイリストを繰り返し聴く
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春風に いきなり頬を 平手打ちされたみたいな この寒暖差
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純然とロマンメルヘン味わえた幼少期あり幸いという
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願いなら あいつに俺を殺させて おまえを地獄に連れつくことさ
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早起きは三文の徳この事よ見事な滑走歓喜を見れた
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これやこの この身に迫りたる 末期まつごかな いまはうるはしき花を咲かせて
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ひとつずつ明かりを消してゆくごとく  闇の深さに星を求むる
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