オリンピック 静かな実況 好ましき その瞬間に 身を合わす
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けふもわたしが生きてゐると云ふダダイスム也 爪を噛み
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生き終えた細胞で覆う脂肪の身 離せやしないし今世は脳幹
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寒桜 春疾風はるはやてに 吹かれよと ひょうひょうとして ブレることなく
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老羊駝 のんびり暮らす 小屋の中 天寿全う 心から祈る
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一煎目は君 ニ煎目はわれ ティーバッグ 一つをいつも分けて飲みにき
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図書館で 羊駝の書物 探しても 扱いなしとの 検索結果 
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「冬が好きなんです冬に死んだから」夏に死ぬのも悪くはないよ
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十三時過ぎて出られぬ布と布の間たまる重いぬくもり
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「本当に好きなんですか?」時雨降る「それってただの同居人じゃん」
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アルパカの 唯一持ってる 写真集 黒羊駝あの子蒼瞳羊駝あの子 だったらいいのに
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南西の医療のない国でトゲ刺さるあしびきの 山鳥の尾の しだり尾の 長々し夜をひとりかも寝む /坂上田村麻呂 3/100
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「離れてる」 君はいうけど 「触れてるよ」 怖さ隠して 伝えゆくわれ
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離れつつ 揺れつつわれら 並びおり 手の温もりで 影を止めゆく
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遠ざかる 勇気はなくて 立ち止まり 君の体温ねつだけ いまは灯火しるべ
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病棟の枝分かれしてく夜たちを引き止めようと非常灯淡く
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噴水が落ちる間際に映し出す街は眩しく崩れていたり
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元気でも慈しまれているような気になれるからおかゆが好きだ
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様々な 生き方あるが 寛容で 人に優しく そうでありたい 
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二月にんがつの午後に歩かば聞こへ来る公民館より懐かし叙情歌
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ピーと鳴り炊飯ジャーを空けた後卵一個で地上の奇跡
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しだれ梅 硬い蕾が 揺れている 春はまだかな 口ずさむ夜
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納豆と 卵が賞味 期限の日 納豆チャーハン 夜のやすらぎ
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時間なき 我をみかねた カフェ店長 ひと休みしな クッキー差し入れ
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「体験と経験の差は観察よ」ナイチンゲールの実地の叡智
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抽斗ひきだしを整理整頓 混沌こんとんす思考と共に 心整ふ
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ユリの木は枯れ花つけて空に立つ春を忘れずかすかな芽吹き
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春忘れ芽吹きを忘れしおれゆく市井の一票どこかに消えた
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食欲が戻り口にすトーストの小麦の香りが幸せだったり
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遊びつつ寝覚めをすすぐ小径かな雨や花やと筆を滑らせ
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