あなたに鱗粉を振り撒く蝶になる 美しき斑模様の翅の
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雨の音 車過ぎる音 こんな日が 幼きにもあり 方舟はこぶねの部屋
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文芸は言葉で人の気持ち縫い合わせおさめる心の外科医
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Utakataうたかたにつぶやくようにむ歌が 心のおりをすすいで流す
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お経より ボレロがいい と言っていた 父の墓前で 15分間
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ネガティブに構えすぎると運下がる 幸せのため希望信じる
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Xエックスは無自覚ないじめっ子だらけ 普通の言葉もすぐ標的
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アンガーをマネージメントしていても あなたの気持ちは そのままでいい
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久しぶり 秋の畑に立ち寄れば 白菜の葉が レースになりおり
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登山してる時に元気に挨拶するやつ街ではそれをしない
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見送って送られてまた見送って「また明日ね!」で、真ん中バイバーイ
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多摩川を渡り彼の地で酒盛りや ななとせの縛り介護を終えて
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親も子も 毒も薬も 喰らいつつ お腹くだして うたかた処方
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朝の度植物たちに霧を吹くこれも一つの祈りの形
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どうせまたAIでしょと思うたびこぼれ落ちてくときめき感動
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予約した 駐車場が 見つからず キャンセル料に モヤモヤつのる
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銀杏いちょうの森 緑から黄に変わる頃畦道に列 黄葉祭り
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偉くなど 成らなくて良いわ 風を浴び ぬくい光に くるまれてたいの
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檜葉の枝杉の木の枝花屋にて並び始めて冬の訪れ
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犬を抱き小雨の中を早歩き 師走の足音から逃げるごと
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幸福も不幸もきっと平等だ街ゆく人のきらめく幻影
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小春日の軒に吊るせる干し柿を揉めばやはらに秋を包みぬ
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この顔にピンと来なかったとしても君はそのまま幸せであれ
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笑いつつ 手を取り走れば 粉雪が なれが睫毛に 我の睫毛に
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陽射し浴び 窓辺に見える パンジーの 花に水滴 輝きを増す
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裸木の枝振多彩なるを見て 描き写したし絵心あらば
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重き物 心にありて 歌にせば 東雲しののめあけに かせは外れり
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週明けて全快とまで言えぬ身に慈悲深きかな師走の陽光 /20
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整形とハリの先生真逆言ふ気持ち泳ぎて画像に目凝らす
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雪原のような白鍵さまよひて悲しき調べ一人辿りぬ
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