汚泥みたいな思念の渦から逃げるべく短歌を書き置いて去る
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世の中が 五七五で 回ってる 訳ではないよ いま何時
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自室より散歩の方が暖かい日が照っている師走の初日
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日が照れば暖房つけぬ自室より散歩の方が暖かかったり
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優しさが軽んじられる世界なら花屋はどうして街にたたずむ
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見えるけど無いかもしれない星を見て君と語った秋が目の前
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久々に犬も食わないナンとやら 秋刀魚の塩焼き二人で黙食
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傘の中滲む視界に出た弱音雨は優しくかき消してゆく
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気にするな って言わない人のやさしさに  育ててもらった 歌詠む 気持ち
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椋鳥の大群賑やか大宴会 味をしめたか柿は食べごろ
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いつの間に 図太くなった  自転車で 近づいてなお 動じぬカラス
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曲流し我流のノリでリズムとる サザンのパワー部屋中満つる
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咳をした 君のとなりに居られるの かみしめながら 一人と 一人
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買いものは楽しいけれど捨てる時なぜゆえ心折れまくるのか
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秋日和 風無き庭にメジロ二羽 残りし花の狭間たわむる
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処分する十三年を病みに伏し義兄あにと夢みた電動ベッド
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横になり疲れたふりし指図さしずする チョロいよ息子キッチンに立つ
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風に舞うミズキの紅葉もみじ見つめおり 白き山茶花揺れる夕暮れ
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うたかたを 詠みながら見る 冬の空 ちらほらと舞う 雪の結晶かな
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さやかなる晩秋の空 見上ぐ如 背伸びし咲きぬ 皇帝ダリア
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逢えたのにだから足りなくなるわたし逢う前よりも淋しいの何故?
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履歴にはわずかに話した跡がある削除した事後悔している
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見上げれば 編隊を組む白鳥の 規則正しきVの字飛行
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店閉じし笑顔の美味しケーキ屋の瓦礫の山に秋雨のふる
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うたた寝の薄目に映る信濃路は もみじに小雪、朝霧の里
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晩秋のハンドル冷たしひんがしの朝陽差し込み解かしていくごと
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通行人Aにも帰る場所がある 皆足速みな あしばやな初冬のビル街
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寒がりの 猫に湯たんぽ 熱すぎず ほどよき温度 模索する日々
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窓辺から 星を見あげて 無になって 画面に向う 課題山積み
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離れてるから俺の代わりにそう言ってくれたストール三年目/寒くて登場
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