芸術は慰めか、あるいは麻酔か
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甘党な人だった天気を心配するような人だった何も言わず去っていったあなた
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誰しもが 訪う歳を意識せず 気付けば大人 どころか夫なう
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雪像の 山のなだれに 道しるべ 霧吹きわたり 樹の雪衣( ゆきころも) 道無き道の つがい影
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日昇りて 晴れゆく嶺に 陽溜まりて 陽炎ゆるる その影菩薩かな
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人絶えて 訪れ無きは 詫びしからずや 清水湧き凍つ 早瀬渦巻 水しぶき
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AIに短歌作らせ いざ勝負 負けりゃ廃人 歌人のクセに
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心捨て ベルトに乗って 運ばれる 製品ですか 人間ですか
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祭日が こんな居心地 いいなんて 自覚はないが ストレスなんだ
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小さなる 虫歯削らず 抜く如き 扉の処理に 異議を唱えき /管理組合総会予算案
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婆さんよ! 笑うくちびる 目に焼いて 枝垂れ桜の 花は散らさじ
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違法改造バイクに「さびしい」とモールスを送られタオルの畳み方を間違える
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バスに乗り 向かう病院 着くまでに 乗り物酔いと 人酔いで 
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天高く まさをなる空 雪富士の 凍つさざ波の 薄氷崩れる 春隣
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冬深し 茜に燃える 富士の背に 雲海に埋み 薄墨染まる 春隣
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碧冴ゆる 白煙上がる  雪富士の  滑り轟き 山の背なだれ 静けしや
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罪の山 収集車にて 肩代わり 重荷は少し 軽くなったが
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いつの間に 商品棚に 乗っている 自分自身が 売りに出されて
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雨垂れの如き尿(ゆまり)の侘びしさを人麻呂ならば如何に詠みけん /歌聖柿本人麻呂
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お通じという言葉では伝え得ぬ生みの苦しみが三日おきに来る /阿鼻叫喚
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キリストが 復活したと 言われても 知らぬ存ぜぬ ソドムとゴモラ
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しゃっ面をむずむず踏んで報いたき思いはあれど色にいださず /如平清盛
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ぽかぽかと日差し春めきふらふらと裸で歩く人も出てくる /風狂如春酔
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ねじまいてこの路くらく訪ぬればほの火のもゆる底つ根の国 〈ねじ〉
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暁の 埼京線に 変な空 ピンクとグレー 犬の幽霊
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幸せが動物性から離れるか野垂れ死ぬかの輪廻転生
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天気予報の明後日がなくて地球滅亡を感じる
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甘い酒を飲んでる君と私の 日々はもうない 頼む角ハイ
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インビザライン最適化の果て に ぼく は 剥き出しの 歯 で 君 を 肯定する
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こっそりと 秘かに忍ぶ 者のよう 光と影の 合間を縫って
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