サックスの深い音色は時をかけ心に届け夢みるごとし
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保育園 六年間も 行ったのか  い立つせがれ 少し遠くに
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先輩はマンガ喫茶かサボりつつ結果出すのがプロだと言って
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好きな人黄色い傘を差している恋空は今晴天となる
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何度でも カメラフォルダ 見返して スクロールする 指はやくなる
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貧しくも思いは高くと言い訳し株は疎くて短歌うたに溺れる
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抽斗ひきだしの整理 宝探しの如 失くしたはずの 記念の硬貨
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冷雨落つ薄暗し朝 車窓より見ゆる春 つぼみはぢくる枝
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教科書にひらがな四つ「てふてふ」と春の扉をひらいたあの日
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空腹のこの喜びをたれぞ知る飽食牢を釈放間近
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カッターで青い画用紙切るようにツバメが一羽飛んでいく朝
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弱虫めお前のことは無視したり責めたりなどもしてはやらない
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ハイ!チャイナ!宮廷ドラマに胸打たれ僕なぞ出る幕のない美麗
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金ローの魔女宅録画見つからずキキに会いたくTSUTAYAに走る
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懐かしき頃のおもひで恋の華いつかの夢に燃えて尽き夜に
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春日中はるひなか 二つの川が 交わりて 川面の光 ゆらゆら揺れて
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過ぎし日の父とのキャンプ懐かしみ ひとり山入りテント張る息子
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芽吹く風 淡紅揺れて 山桜 いまほどけゆく 一本の春
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独り食う 参鶏湯は ラヴェルの 『ボレロ』の如く 飽き初めにけり
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盛りには白くかがやく木蓮が燃えさしのよに何で散るかな
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春うらら 春休みとも 重なりて 平和な日本 みな桜色
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見るものと  思ふこととを  なすことの  すべてを決むる  われにありけり
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こんなにも 電波時計を 狂わせて お互い知らない 月曜の朝
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ホーと鳴きケキョと続かぬ春時雨 軒の端伝う 彼のひとは来ず
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クロッカス踏んづけぬよう玄関の脇道歩く毎年のこと
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生まれ落つ憂しと云ひつつ泡沫の浮世に生まれ返る愚かさ
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君も又 いなくなるのか 尋ねられ いるよと言えば 安堵の笑顔
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おもしろい 話をしている ハズなのに まだ一回も 笑わないキミ
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味噌汁をふーふーするのとおんなじで この関係にもに意味はない
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夕焼けの 銀の陽射し 水際の 引いては寄せる貝殻ひとつ 拾いてこぼれ 独り戯れて
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