あい」で咲き 「をん」で散るらし 言の葉の 「かげ」の先には 「季語きご」ぞありける
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「お嬢様」五十年後もそう呼んでお側にいます約束します
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持論とも呼べずに散らかる自己愛を献花にしたらわたしの葬式
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再会を 祈りし兄の 手の中で 万年筆に 時はりつむ
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寒天は身体の澱は押し出すも心の澱は流してくれぬ
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図書カード nextは期限付きらしく 君がくれたのいつまで飾ろう
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壊れてた無線イヤホンなおるようなリセットボタン人にも欲す
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枝の先 うっすら緑 ピンク色 木々も桜も もうあとちょっと
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不慣れにて処置オーダーの入力を女孫めまごのやうなナースに教はる
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賞味期限の中で目一杯踊ればきっと忘れないヒカリゴケ
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パイプもつキーパーソンは陸軍のやっぱり口髭蓄えし人
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風邪の夢。逝ったおまえの毛並み撫で一緒に歩いて起きて泣く朝
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オーディブル 行き合う単語に 気を取られ 歌の種を得、 話棒に振る
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わたし線各駅停車 全駅にスイッチバックあるようなもの
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クリオネも哲学について思うべしだろうし せばおらほだばなおさらだべしゃそれなら私だったら尚更だろうよ
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過情報浴び 尚尽きぬ 喪失感 現代 人類総疾患
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ほんものはひとつだけです」まやかしの言葉には耳を塞いでくれ
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桜散る 心静けし 五月晴れ つつじ綻び 空碧く澄み つばめ飛び交い 夏来たる
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笑って、歩いてうんと喋って おんなじところに靴を並べよう
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夢のようにおだやかで 劇的ではなくて だけどずっと ずっとそこに
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君がため春は来るのさ こんな日は花束抱え会いにいこうか
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かまいすぎ 大きな溜め息ついたきみ  いつか、きっと どこかできっと
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お得らしい チラシに目凝らし しかと見る スマホよりまず 足下の暮らし
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説教や説得じゃないの独白よ 共感よりも共鳴が欲しい
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上京し お茶を入れた日 夕飯で カップラーメン お湯入れるだけ
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動けずに なくしかできない きみの背に  愛しているよと のろいをかける
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射撃屋の天使に銃を渡されて施しばかり並ぶ的前
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買う豆をやや深煎りにかえてみたホットもアイスも入用の候
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葉桜を見上げて思う北国のまだ雪残る桃色の空
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瀬を早み 違和に流るる 滝汗も 焚きたての湯で ざぶと背を流し
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