南条充
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その日の思い、気の利いた話を三十一文字にまとめて、日記風に記録したい。目標は、多くの人がそんな感じよく分かるよなとなればいい。

橋幸夫最後の所属夢クラブ 何処か陳腐で人間臭い
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日照る中萎れかけたるミカンの木 バケツ二杯で翌朝ピンと
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二紙三紙束ねて余裕老齢者 茶店の害と自ら知らず
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夕日みて黒田三郎思い出す ビール片手に斜めに座る
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鳴かぬならツクツクボウシ鳴かせよう いでよ秀吉酷暑の今に
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エアコンをつけっぱなして早や十日 我が家の記録果てなく伸びる
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この炎暑猿も木々から落ちて死ぬ 我ら涼所でこの知らせ聞く
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短歌には季節変わりの秀歌あり 秋が来ずして虫おも鳴かず 
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甲子園球児の努力認めるが 時代錯誤は汗の押し売り
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やすやすと五時間待ちを横にみて パビリオンへと政治家は消え
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計画は暑さ和らぐ日にこそと メモが増え行くだらりの暮らし
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白々と維新のアホのエックスは オールナイトの万博と褒め
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いつまでもあると思うな日本国 処暑の予報が三十八度
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年々と夏を超すのが一苦労 花火も祭りもう充分だ
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万博で帰れぬ一夜過ごすとも 良き思い出としてしまう落ち
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盆を期しダムの湖底が露わるる 先祖の霊は野を駆け巡る
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盆セット松明もあり六本で 先祖多きは道に迷いて
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この雨は降る所には過剰にも 降らないところ貯水率ゼロ
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勝手知る老人たちの避暑地とは ホームセンター寛ぎのチェア
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この夏に研ぎすまされた感覚は 小さな秋を見つけんとする
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生きるのが億劫になるこの暑さ まだ猶予有り平均寿命
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切なさは誰も知らないアポロチョコ 火垂るの墓のサクマドロップ
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人生に身の置き場なし四十度 しばし休憩熱冷めるまで
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仰向けの動かぬ蝉に触れたなら 指にとまりて根元に返す
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この暑さ百葉箱で四十度 日当たりならば灼熱地獄
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ギネスとか打ち上げ花火盆踊り 趣旨と離れた万博の今
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終わりなき暑さが遂に十勝まで 熱中症にかかる牛たち
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かつていた雀も今は稀少種に 酷暑が続く都会では無理
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絶唱の小雪演じた冒険家 和泉雅子は波乱万丈
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蝉の音が始まる頃に夏休み ツクツクボウシまだまだ先に
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