鵠(くぐい)
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生活感のない短歌。戯言の収納場所です。Xを更新しています。

男装のコスプレイヤーだった日々 それらはいまも反射する青
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「さようなら。またいつの日か出会おう」と買取査定されていく本
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口紅をふざけてつけた放課後に雄の孔雀の鮮やかを知る
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心臓を握りつぶしたときにでる赤に似ている口紅をくれ
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原作に存在しない花嫁に珊瑚の骨をわたす悪役
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生きていることの証に夕空と海辺のシールをきみにあげる
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体温が雪に流れていくきみに注ぐまなざしの色があった
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白桃の種のまわりをなめている舌で触れれば傷はつかない
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がんばって幸せなんだと感じた。新しい病名の書類と。
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躁鬱の自分といつか和解して、送りたいのは薄桃の薔薇
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やや傷や汚れがついた人形をアプリで売った夜の三日月
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思ってもいない言葉を言いすぎて自分に嘘をついてばかりで
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半球と炭酸水の境い目をねだるあなたとともに暮らした
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満月に飛んだ蝶々の鱗粉をあつめてつくる睡眠薬を
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褐色の素描でのこす横顔は百年先できみと出会うよ
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死ぬまでにやりたいことのリストから「青い紅茶を飲む」を選んだ
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青薔薇を地上で眠る横顔のとなりに置いて消えていきたい
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叶わないことをなぞった夏が暮れつめたいだけの自販機の青
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秋の夜に見上げた月の正円を最初にきみに伝えたかった
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澄んでいる空のかなたにいる人へ 見えるか 私が抱いた赤薔薇
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大丈夫 怖いことなどないんだよ だって僕たち手をつないでる
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それってさ働くよりも大切な恋愛ですか?火曜のドラマ
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愛してるって意味で言うgattinaを夢小説で味わう夏
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朝顔をいけた花瓶を置いたからいっしょに見よう 帰らないでよ
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ドイツ語で「はなれないで」と話せるようBleib hier と唱えつづける
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父親がラムネの玉でした手品そういう記憶だけでいいから
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二十代ってまだ未熟だと思う腹を貫く腕で死んでる
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長生きをしないつもりで生きてても千百円の指輪に迷う
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三人の男でちょうどいい愛だいとしい視線が多い部屋だ
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障害者手帳の相談したあとにオーロラグレーのマニキュアを買う
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