Utakata
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鵠(くぐい)
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生活感のない短歌。戯言の収納場所です。Xを更新しています。
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十年に一夜だけ咲く花の種に水をやるような人生だ
11
玉葱が嫌いな私でも時に水晶の蓮華だと思うよ
3
君となら濡れてもいいぞ。午後五時のおわりかけた春の海辺で。
9
この先も生きる約束を交わすふたりのアミュレットは薬莢
4
包丁と金槌つかい豚足を料理する父のように強く
7
あの島でたしかに生きていた二匹の野良猫の黄色い虹彩
6
命さえあればいいという傲慢でお前を救う夢をみたんだ
7
薄っすらと嫌われたまま出ていく日にもらったガーベラのオレンジ
8
夜蜘蛛がどこかからきた予備校で「逃がしてきます」と言ったあの子
14
平成に公開されたきみの髪は夜になびくハニーブロンド
4
地下街に忘れたままの雨傘を迎えにいけずソーダをのむ
8
愛
(
かな
)
しくて
愛
(
いと
)
おしい日々でしたよ。悪役の君。白銀の君。
6
靴裏でマッチをすって煙草吸うみたいな癖をもっと眺める
5
面白いバディと称されふたりとも不愉快そうに珈琲を飲む
8
疑問など感じさせないほどまでにあなたのことで歪ませてほしい
6
僕たちは集中豪雨に傘がなくせめて叫んで駆けていく道
8
心臓が欠けたままでも生きていてほしいと願う夢をみました。
6
踏切でヒトリシズカと名をつけたなにかがずっと風呂場にいます
4
「好きです」と戯言ひとつ直筆で書いてお前に渡したかった
8
「髪切って。あなたは俺を殺さない」あずけられた襟足とハサミ
5
まだ虹が生きものだった時代なら私も人を捨てて飛んでた
9
よんさいですてたにほんごでつづったおかあさんって……窓を擦った
5
永遠にレモンが好きな子であれと思っているよ 墓にそなえる
7
青の島にひとりでいる魂を黄色の花と迎えにいった
3
公
(
おおやけ
)
にしてはいけない仕事でも 「ただいま」と言う 「おかえり」と言う
10
要約ができないほどに不可解な手紙を遺し鳥になる人
8
祝福の星の光が届かない地下で踊ろう ふたりだけだね
7
明け方の星を眺めた初仕事きみの煙草に分けた灯し火
9
後戻りできない地点を越えた朝バジリカータの赤を注ごう
3
それぞれのカップの欠けがわかるほど近くだったあいつらの訃報
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