鵠(くぐい)
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生活感のない短歌。戯言の収納場所です。Xを更新しています。

校内をジャージで過ごす中学で私は緑の蛹だった
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個人的な美術館をつくりたい。これが理念のアカウントです。
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捧げます。どんな色にも染まらないあなたのもとへ黒い一輪。
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たむけます。どんな色にも染まることのできたあなたへ白い花束。
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渋々とKILLERQUEENを歌ったあなたの声は冬の湖
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私たち脱皮不全の蛇のよう校章ついた制服を着る
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抱きしめる 私と同じシャンプーの香りがしてる髪に唇
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シャンプーのイランイランが鼻先をかすめたときに初恋でした
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耳朶を刺すファーストピアスの輝きに寄る辺ない私をあずける
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きみのため桜の枝を摘んできた花はさらに短命になった
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病室で自分のことを老いぼれと笑うお前を離さないから
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中古とは歴史が深いとも言える海にアクスタをかざしてみる
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花束を抱えて走る 病院の禁止を越えてお前に会いたい
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恨み言 栄えある最後の十個目は「お前のせいで哀が止まない」
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じっとりと今年の夏がやってきたてのひらにのるギアッチョがいる
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十年に一夜だけ咲く花の種に水をやるような人生だ
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玉葱が嫌いな私でも時に水晶の蓮華だと思うよ
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君となら濡れてもいいぞ。午後五時のおわりかけた春の海辺で。
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この先も生きる約束を交わすふたりのアミュレットは薬莢
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包丁と金槌つかい豚足を料理する父のように強く
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あの島でたしかに生きていた二匹の野良猫の黄色い虹彩
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命さえあればいいという傲慢でお前を救う夢をみたんだ
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薄っすらと嫌われたまま出ていく日にもらったガーベラのオレンジ
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夜蜘蛛がどこかからきた予備校で「逃がしてきます」と言ったあの子
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平成に公開されたきみの髪は夜になびくハニーブロンド
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地下街に忘れたままの雨傘を迎えにいけずソーダをのむ
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かなしくていとおしい日々でしたよ。悪役の君。白銀の君。
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靴裏でマッチをすって煙草吸うみたいな癖をもっと眺める
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面白いバディと称されふたりとも不愉快そうに珈琲を飲む
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疑問など感じさせないほどまでにあなたのことで歪ませてほしい
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