鵠(くぐい)
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生活感のない短歌。戯言の収納場所です。Xを更新しています。

当日は歌うふりだけしてなさいエーデルワイスは蕾のまま
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もし蓮の海に溺れてしまったら赤い浮き輪を投げてよこして
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嘘吐いて勇気や赦しをあたえて教科書とかに載らなくていい
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冷徹な瞳で可憐な少女を所有したいと願う思春期
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カラカラを雲の切れ間にさしむける私のかわりに翔んでいけよ
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「またうちに履歴書を送ったとして、あなたのことはまずは採らない」
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でかすぎるオオスズメバチのフィギュアを神保町に売りにいく初夏
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ほぼ無職に近いのかもしれないがそれでも生徒にごはんを炊く
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旅先の海辺で貝を拾う瓶詰めとは透明な骨壺だ
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貝殻は骨だと思う肉がない鮑の裏は淡くかがやく
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息をやめエンディミオンになるきみを阻止するために夜に銃口
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迫りくるいまの生活の解が✕のマークでかえってくる日が
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アナベルの白日みたいなまばゆさにあなたの理想の果てを思う
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太陽にたよらなくても生きていけ夜半に咲いた白い玉章たまずさ
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数多い報われぬ勇気の墓をつくった場所で咲いた向日葵
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マゼランの星で見上げた惑星のコンビニで買うアイスはみっつ
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地球ではすでに失われた星座の星からきた留学生だ
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白鼠の浴衣をまとう君は言う「ふたりで金魚を育てようぜ」
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擬人化が好きなんじゃない本体のままからきみに惹かれていたよ
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唇と頬にさすBOSS気に入ったものだけ持って海を見にいく
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通り雨の余韻として香りたつ梔子と君の「ごめん」が
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黒蜥蜴でつくる棘のアイラインでギャングスタアにでもなれるわ
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走馬灯のワンシーンにアガペーを誓った夜の雨の冷たさ
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健やかに生きていくことをやめた日にトイカプセルをよっつまわす
9
俺はただ陽射しのような瑞獣になって貴方を護りたかった
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あなたからもらった詩集を焚べた夜 愛していたのほんとうのこと
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悲しみに濡れないように雨傘を今度は俺がさしだす番だ
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桜桃や仏花にとまる揚羽蝶。今日は祝福する命日だ。
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墓石の「太宰治」に桜桃をねじこんでいく奇祭だった日
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「酸性」と紫陽花の青をゆびさす理科部を辞めたクラスメイトは
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