鵠(くぐい)
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生活感のない短歌。戯言の収納場所です。Xを更新しています。

君となら濡れてもいいぞ。午後五時のおわりかけた春の海辺で。
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この先も生きる約束を交わすふたりのアミュレットは薬莢
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包丁と金槌つかい豚足を料理する父のように強く
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あの島でたしかに生きていた二匹の野良猫の黄色い虹彩
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命さえあればいいという傲慢でお前を救う夢をみたんだ
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薄っすらと嫌われたまま出ていく日にもらったガーベラのオレンジ
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夜蜘蛛がどこかからきた予備校で「逃がしてきます」と言ったあの子
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平成に公開されたきみの髪は夜になびくハニーブロンド
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地下街に忘れたままの雨傘を迎えにいけずソーダをのむ
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かなしくていとおしい日々でしたよ。悪役の君。白銀の君。
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靴裏でマッチをすって煙草吸うみたいな癖をもっと眺める
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面白いバディと称されふたりとも不愉快そうに珈琲を飲む
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疑問など感じさせないほどまでにあなたのことで歪ませてほしい
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僕たちは集中豪雨に傘がなくせめて叫んで駆けていく道
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心臓が欠けたままでも生きていてほしいと願う夢をみました。
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踏切でヒトリシズカと名をつけたなにかがずっと風呂場にいます
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「好きです」と戯言ひとつ直筆で書いてお前に渡したかった
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「髪切って。あなたは俺を殺さない」あずけられた襟足とハサミ
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まだ虹が生きものだった時代なら私も人を捨てて飛んでた
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よんさいですてたにほんごでつづったおかあさんって……窓を擦った
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永遠にレモンが好きな子であれと思っているよ 墓にそなえる
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青の島にひとりでいる魂を黄色の花と迎えにいった
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おおやけにしてはいけない仕事でも 「ただいま」と言う 「おかえり」と言う
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要約ができないほどに不可解な手紙を遺し鳥になる人
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祝福の星の光が届かない地下で踊ろう ふたりだけだね
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明け方の星を眺めた初仕事きみの煙草に分けた灯し火
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後戻りできない地点を越えた朝バジリカータの赤を注ごう
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それぞれのカップの欠けがわかるほど近くだったあいつらの訃報
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いまならば貴方の瞼に触れられる線路脇の偶数の花
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よそ行きの香りを胸に吹きかける今日も出れない子ども部屋より
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