石川グルーチョ
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暑いだの寒いだのもう飽きました黙っていたい秋の光と
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吹けば知る通り過ぎてく風暦巡る季節のはじまり告げて
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ひからびた言葉をぞそぞそこすっては何か生まれろ呪いと祈りと
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季節ごと自分の名前が変わっていく今年の冬は何を名乗ろう
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炭酸が吹き出て転がるライフガード誰の命も救えぬままに
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狭い道老婆2人と並び立ちトラックが過ぎていくのを見送る
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カルガモが一個小隊組織してゆるやかに下る中津川の秋
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加熱式タバコくわえるおじさんが指しゃぶりする赤子に見えた
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じっくりと世界が見たい差す目薬自転車に油差すみたいに
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もし死んで誰かが歌にしたとしてそこにいるのは果たしておれか?
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愛犬が死んでいくのを想像しまだ犬一度も飼ったことない
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2階にて眠れずに居る夫なり一階にいる妻とするライン
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開け放つ家の窓すべて風を待ち来たと思えば通り過ぎていく
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酒を飲みだらしなく笑う友だちも家に帰れば父として居る
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人工の星を見上げる人間が自然な涙を流してもいい
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坂下る自転車の持つスピードがかつての私を置き去りにして
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苦しみも私を作る一部分だからあなたに優しくできる
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流れ星ではなく夜明けの太陽に願いをかける新たな1日
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いつ読むかわからん本を買ったのだついでにビールも買って帰った
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人の名前覚えられない我が妻はみんなからとても愛されている
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口喧嘩始まってしまう三十分200円するパーキング
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朝焼けがみるみるうちに光満ち見つめる我も満ち足りている。
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死者の声また蘇る午後1時針を落とすよロックのレコード
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AIに代替されない人材ですだいたいこんなもんかで生きてる
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さらさらと流れる時間に片栗粉とろとろ流れろ我が人生よ
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我が指がスマホをいじるためだけの道具と化した時間溶けゆく
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ぶらぶらと散歩をしている住宅街秋の光を浴びたいがため
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歩くたび肩の力が抜けていく秋の光が染み込んでいく
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左目を押さえて右目だけでみる世界はひどく頼りないのね
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妻残す梅酒を一人呑みながらレコードを聴く秋の夜長に
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