石川グルーチョ
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投稿数
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ニュース見る開いている口ふさがらず喉が乾くよ今の世の中
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このスープどこかにアイツがいたはずと麺をかき分け捜索すメンマ
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3時間映画見たあと痛む膝もう少し流れろエンドロールよ
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居るだけで暴力になる我々のこの身体の所在の無さに
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稀にでも自分のことが好きなのと胸を張れる日できれば毎日
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目と目と目耳耳耳と口口口伴い迫る体体が
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ぴりぴりと唇の荒れ舐めとりて乾いた風吹く冬の訪れ
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「疲れた」や「暑い」とばかり口をつく「愛してる」なんて言う余裕無し
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自販機の買った飲料取るのさえ億劫なりし炎天下の昼
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死にたけりゃ死んでいいよと誰一人言ってはくれないこの世の厳しさ
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夏になり冬のことなど忘れては冬を迎えて夏が恋しい
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中空に果てる光の炸裂を「たまやー」と叫んで喜ぶ人間
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土手沿いをさまよい歩く夫婦なりどこで見えるかうるわし花火は
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純粋な怒りはとうに消え失せてあとは惰性で浴びせる罵声
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俺たちはただの肉だと思い知る町に出る熊自然の摂理
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あらかたは語り終えたかじゃあそろそろ本音が出るよ急に据わる目
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同じことずっと言ってる気がするの地球が自転続けるみたいに
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毎日を肯定したいと思いつつ挫折するなり明日はまた来る
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ぬるまったスーパードライを飲み干してそのクソマズさ昼寝の途中
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花の名を幾度も連呼す義理の母誰も答えず我は読む本
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揚げすぎた天ぷら山盛り食べ残しテーブルの上外は夕焼け
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鬱蒼と繁る緑の揺れるさま風を受け止めそれに応える
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怒りとも悲しみだとも言いがたくこの感情に誰か名前を
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つぎつぎとちいさなひかりきえうせてもうねるじかんかおやすみをいう
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炸裂す花火を窓から眺めつつ「たまやー」の声がひびくリビング
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噛みしめるポテトチップス砕く音妻はベッドで寝息たてるころ
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やさしさはどこまでいってもやさしさでやさしいだけじゃどうにもならない
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みずからの暗さを見つけるうれしさよことばは映すわれの心を
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人々の狂気はいずれ正装す歩いたり食ったり人間の生活
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とりあえずオロナインでも塗っておくあとは寝てればいつか治るさ
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