割引をさせまいとの陰謀か 一向に開かぬエネオスアプリ
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死にかけの人が死ぬのを待っている天使がハエのようにむらがり
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昼休み ウキウキ見るも今は無き 猫の鳴き声 響く新宿
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この雨がふいに桜を写すとき いつも見上げたあなたを思い
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催花雨を草木に注ぐ雷神ともう一度だけ誓いを交わす/折句・さくらもち
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江の島も富士山も誰のものでもない ただに正しく楽しめばいい
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現実の引越しだけでは足りなくて届出に次ぐ届出祭り
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「一人前の歌人」と言はれ嬉しくも詠み難くなる自意識過剰
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思ひでは焼いてしまおう馬なめし武蔵野原とかへりゆくまで
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もう動かぬ分かっていても拾いかねるベランダにひっくり返った蝉を
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関係が消えてゆく夜少しだけ明日あすが来るなと願ってしまう
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昨日落としたポップコーン今日食べる 思い出の味 しけた塩味
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約束ちぎり場所 窓から望む 蒼天の 南山なんざん肴に こいねがうけり
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ほの暗い体育館に残る音 セロハン越しに光る粒たち
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忖度の推敲かさねた文面のママ友グループラインの行方
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まう初夏の風か 監視員となり子らのボールを眺むビール呑みながら
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いつか皆あの世にいくのと言うけれど 生きてる今から心配しないで
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砂浜の君の足跡波に消え嬌声<きょうせい>残る温い一日
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何日か先の気温の予報見て薄手の部屋着まだやめておく
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花の色はうつりにけりな緑色あをいろに卯月よにふるながめせしまに
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死の層になお降り積もるかげろうに 絡め取られて堕ちてく地獄
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僕のことあなたはきっと忘れてる虚ろな瞳透明な空
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まだ推すか 身も金も灰 積もれども いのち焦がすを きるとぞ呼ぶ
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「またね」から 数歩で欠けてく幸福を 埋める術なく 家の鍵振る
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どろどろに溶けてわたしは終わるけど来世は同じ花になろうね
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ワイパーが花粉混じりの雨拭いなぜか寂しき夜の街角
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寂しさがエンジンとなり動いてる死にゆく者の目で人間ひと観照す
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曇天も雲の上の青空を思いて今日も元気に生きる
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つつじさく 産業道路に 雨が降り 粉塵まみれの つつじを洗う
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口ずさむ雨に唄えば水たまり私と音と月が揺らぐ
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