蝉時雨 父の病室 手に残るノブの冷たさ 扉の重み
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炎天に低く読経どきょうす虚無僧とつばくろ覗く駅舎のひさし
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墓前にて 腰まで茂る 夏草の その強き根は 祖母より継ぐや
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語らひて食べるは楽しと言ふ義父を またもひとりの部屋へ送りぬ
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楽しみは 妻が作りし白茄子の とろりと溶ける煮浸し一皿 
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姉だから妹のため我慢する役割背負う三歳の肩
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夏山に今し過ぎぬる夕立の雲より高き蝉の諸声もろごゑ
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コスモス〝宇宙等〟何処どこにでもあり陽炎の跨線橋から見る隣町
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堂内墓 外暑すぎて お参り後 冷たい麦茶 喉にしみこむ
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歌の会次々欠けてこの葉月仕舞と決まる秋風のふく
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一発のどデカい夏をぶち上げる厚みを増したHOT LIMIT/『THE FIRST TAKE』より
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冒頭のノイズで黙る会議室  統合されないMeetのマイク
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厳島いつくしま おごりて去りし波のごと平家へいけの跡に人は酔ひつつ
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願いつつ あきらめつつも 手をあわせ 神仏さまに たくす我が身よ
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死をいまだ了さぬ姪は覗き込み「じいちゃん寝てる」と笑顔で言えり
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何釣るの? 集う野球帽 つば寄せて 青き風吹く 少年の川
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死神と貧乏神は隅にゐて年金支給日けふも越えたり
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よく寝てる友達にまた怒ってる先生の声 私も起きる
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ビール飲む君の望みで席をとる西陽が照らす赤煉瓦壁
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同窓会 有った事実を 知ったのは 最後の級友ともの 通夜の時なり
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買い物に日が暮れてから行ったとて蒸し暑い道すいてない店
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触れるるを 躊躇う指先 ベルベット 混ざりし息と 動かぬ時計
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掃除せば珈琲豆とカリカリと錠剤の出る隅と隙間と/台所
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自転車で右側歩道急ぐ奴パンクしちゃえよサドル破けろ
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おしろいの花の香りに惑わされあやうく死ぬる車道の端で
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目が合って、ハンドサインで (また明日) のぼり電車が 先に着いたね。
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右肩のタトゥーが汗で光ってる 獣になって吠えたい夕べ
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君の手を離さないためだけに買う 入場券という名の切符
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片付けが出来ずに踏んだ洗濯物 過ごした跡を消せないままで
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我が命洗濯よりも終わりたい目覚めぬ朝が来るのはいつか
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