射抜かれたあの目の睫毛が触れていて洗いざらいをあなたに差し出す
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幸せという字は手枷の形から出来た われてみたい夜がある
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見る角度によって変わるアートなので今いる僕もウソでほんとう
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構ってと 現金押しつけ 着飾って 自分を押し売る街だ新宿
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西日差す 新大阪のホームにて 長き別れの 予感抱きて 
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幸福な今日で話を結びたい めでたしめでたしの先を生きる
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羽化をしてさてこれからという顔で鳴きだすどれも晩年の蝉
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終点の駅の窓から駅長が双眼鏡で見てるキツツキ
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人生をやり直すならもう一度あなたに合って一目惚れしたい
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あの人が俺を好きとか嫌いとかそれで生死を決めちゃう年頃
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心理的安全性が損なわれ春からずっと下ってる腹
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いつかまた戻ってほしい本にだけちいさく犬の絵を描いて売る
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30で娘の送り迎えとかベンツでしたい人生だった
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もし俺が死んだら君は悲しんでくれるかなって考えるだけ
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きつねでもないのにごめんが言えなくて そっと置いとく君の好物
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不採用だった会社の案内は鍋敷きになる刑に処される
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同じ曲ばかり聴いては飽きていく そんな愛し方しかできないけどいい?
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炊飯器のボタンを押す 今日もまた遺書は日記になってしまって
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日を浴びて歩んでほしい人がいて休める日陰を作って生きる
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食べごろを逃した恋に刃を入れる さよならあとは腐るだけだね
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いま君に吐いた言葉で唇を切ったみたいだひりひり痛む
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ただ君と仲良くなりたいだけだった 気づいた頃に僕が壊れた
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星の数ほど女はいるらしいけどどこまで伸ばせば星を掴める
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ポテチを食いてぇ 食べたところで幸せになりやしないと分かってるのに
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もう少し頑張れるはずだ唇はいつも切れてて血の味がする
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夕時雨あなたに借りたヘミングウェイあなたは吸わない煙草の匂い
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信号の先で揺らめく月を食む ひとりぼっちで生きる顔して
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ひとしきり甘やかした絶望との別れが似合う曙色あけぼののいろ
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あの時の自分に言葉の刃向けその傷跡が未だ治らない
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君が死ぬこともあるよね そんなこと含めて全部許せないよね
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