江の島も富士山も誰のものでもない ただに正しく楽しめばいい
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現実の引越しだけでは足りなくて届出に次ぐ届出祭り
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「一人前の歌人」と言はれ嬉しくも詠み難くなる自意識過剰
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久々に つくったリース もろそうな ドライフラワーに 小技仕掛けた 
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思ひでは焼いてしまおう馬なめし武蔵野原とかへりゆくまで
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もう動かぬ分かっていても拾いかねるベランダにひっくり返った蝉を
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などてかは春の夜風にふりにふる花と過ぎにし月日追ふわれ
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神がさえ 虚妄に喘ぎ奉る 世界いよいよ暁も無く
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関係が消えてゆく夜少しだけ明日あすが来るなと願ってしまう
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凧あげよガザでアフガンで遠州で子よ無事にあれ空高く高く
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凪ぐ風に 貨物列車の は優し お休みなさい 「Good Morning」おはようございます
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昨日落としたポップコーン今日食べる 思い出の味 しけた塩味
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約束ちぎり場所 窓から望む 蒼天の 南山なんざん肴に こいねがうけり
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ほの暗い体育館に残る音 セロハン越しに光る粒たち
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賑わいと 混雑混じり 息できず 「混声合唱」 発展途上
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忖度の推敲かさねた文面のママ友グループラインの行方
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まう初夏の風か 監視員となり子らのボールを眺むビール呑みながら
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いつか皆あの世にいくのと言うけれど 生きてる今から心配しないで
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砂浜の君の足跡波に消え嬌声<きょうせい>残る温い一日
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蒲公英たんぽぽや庭に届きしわたひとつ植ゑてブタナと知りぬ粗毛あらげ
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どこからか宅配された髪の毛の束の根元に血がべっとりと
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何日か先の気温の予報見て薄手の部屋着まだやめておく
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月の色も うつりにけりな いたづらに 袖の白露 落ちしまにまに
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備蓄品 ガサゴソしてる 猫たちに  娘の名前で 声荒げてた
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蒼天に奇っ怪なる構造物並び 発電騙り宇宙と交信するや
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死の層になお降り積もるかげろうに 絡め取られて堕ちてく地獄
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買ってきてと頼んだものはなにもかも忘れてカヌレ買ってきてくれた
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僕のことあなたはきっと忘れてる虚ろな瞳透明な空
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まだ推すか 身も金も灰 積もれども いのち焦がすを きるとぞ呼ぶ
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「またね」から 数歩で欠けてく幸福を 埋める術なく 家の鍵振る
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