うつろひは 常世の習ひにしこそあれ 身に沁む秋や齢七十二 
22
啄木の歌読む君の右耳のピアスが揺れる午後の教室
24
ことことと半日かけて煮込みたるおでんをふうふう・・白露の候に
12
浴室の追い焚きボタンを押すような暮らしをする日はいつかくるのか
11
百万の饒舌よりもマスターの温顔沁みるラストオーダー
14
真夜中に 意味なく見上げ 目を凝らす 私に見えぬ 星を探して
11
起きた時 猫が布団に いることが 増えたとなると やはり秋です
10
窓越しの緑を伝う雨粒が 涙のように膨らみこぼる
18
月曜日 無理やりなんとか 乗り切って あんこほおばり 英気を養う
15
秋空は遠く澄たる君のやう 好きでいたってすり抜けるだけ
9
小雨でも朝の散歩は外せない晴天よりも涼しい九月
10
ありがとうじじいだけれど生きてるぜ俺が誰だか分からぬ母に/誕生日
21
この世には嫌でもせねばならぬことあることを知り君は四歳
11
月曜の 朝ならではの メランコリー  一手に引き受け クリスマスローズ
10
時間外、休日出勤しないでね 言うけど仕事量は同じね 
8
幸せは階段登る目の上にミニスカートの裾があるとき
9
小樽行く路線バス乗り気がつくと窓の外にはキタキツネあり
8
キャンパスで 君を追う未来の約束 でも君の恋 分からぬまま
8
この晴れ間逃すものかと種を撒く おでんに最適選ぶ大根
11
長月も半ばだけれど蝉の声真夏日だから仕方ないのか
8
長月や 薄紫の 糸つたう 窓のしづくは いつかのあの歌
9
雨やんで忘れかけてた青見ればお世話になった人に会いたい
9
値上げする 嗜好品たる 数々に 霞を喰らう 仙人なればと
10
悔しさで 胸がいっぱい 詰まったら 愚痴を言っても ええんじゃないか
7
人草の 集ふ博多の 線路にて 秋虫は鳴く 一草もあらねど
7
赤とんぼ自在にとんで空に描く町に夕日をまねく暗号
9
欠けぬ月 文なき宵が 更けゆけば 潮絶ゆ海に 他所の舟影
7
海の果て 夏に佇む 少年は 青さではなく 丸さを悟る / 知性の目覚め
11
秋津映ゆ いにしえ思う石舞台 蘇と白雪羹はくせんこ買い 舌も古
9
痛みあり 初めて行った クリニック  待つこと長しも 優しさあふる
11