七十路の 惰眠貪る夏の午後 馬齢を重ね今日も草を引く
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背中から伸びゆく影が重なって『月がきれい』も要らないくらい
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若き日に訪れしまちの名が無機質に 繰り返されてテレビに流る/無事を祈ります
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無事ですかその一言が送れない 届かぬ返事を先に怖れて
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おにぎりとサンドイッチを買ったのにからあげクンと見つめ合う夜
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見上げれば大輪の花の見れるにわたしはきみと手持ち花火を
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ためらいも打算もなにもない顔で ショートケーキのいちごをくれる
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早急に振り込みなさい息子さん地震に遭ってお金要ります
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似たような家族がそこにゐたはずで日常だつたイオンの二階
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地下鉄の ホームに並ぶ おじさんに 敬意を抱く 新卒の夏
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何がどう悪かったのか分からない熱中症の診断を受け
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面接で存在しない小説の感想述べた お祈りされた
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四方から迫る空気の軋む音大地は震え濁る日常
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「お魚ととうもろこしのジュースです」お店ごっこの君と乾杯 /吾子三歳
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もしいつか五感を失う日が来たら最後は晴れた芝を踏みたい
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ひび割れて伝う路上に濃緑こみどりの苔は日に日に日に焼かれつつ
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油蝉鳴き声聞かず気づきたり天仰ぐごと躯ベランダに
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手の震えだけが私の本心で 帰りたいねと握る赤ペン
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右向けば つむじの見える 総武線  入道雲から プールの匂い
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施設にて 小さくなりし我が母は 負の記憶越え ただいとおしく
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炎昼に 角の公園 人絶えて 鉄棒の影 濃くて低くて
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もう二度と開けられないまま電子の海をただようパンドラの箱
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夏の夜の 花火と共に 散りぬるは 私の淡き 恋心かな
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決意して短歌教室通いたり下手くそなれどほめる人あり
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逃げ出してしまえペットショップのゲージ突き破って遠吠えをしてくれ
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もたけつ 徒然つれづれなれど そぞろなる ながみしゆうの 寂寥せきりょうはば
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見られてる気配にパッと振り向けば棚にあいつの金縁メガネ
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雨止みて仰ぐ岩根の虚しさよ鳶の影なく烏のみ舞ふ
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友人が社内結婚をした一方 俺はコーン茶を初めて飲んだ
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好きでもね好きと言ってはいけないよ恋の気持ちが死に絶えるまで
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