飼い主のいない家猫になるべく来月分の診断書たち
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目がかすむ ダブルパンチの 薬漬け 雨がしとしと 涙のように
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楽しみは インターネットと 冬ごもり 家庭菜園 もうすぐ春だ
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ウィーンにて長き接吻の終わるまで茂吉は飽かず覗き見にけり  /2月25日茂吉忌
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明治には身思ふ声を繋ぎしか音の遺産の壱号電話 [題詠 電話]
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ストレッチャー微笑み乗せて遠ざかる父よ遥けき地平の青年ひと
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巻き貝の螺(にし)をオネジに見立てけん古人(いにしえびと)をわれは敬う /螺子賛歌
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家計簿を 付けて出し入れ適正化 財務省が 規範を示す
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ポテサラに キャロットラペと ブロッコリー 蒸しつつ鮭焼く 合間に大根おろし  
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雨の街 毛先がくるんっ 嬉しそう  だからわたしは雨が嫌い
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公園に 遊ぶ坊やは トムソーヤ 手を引かれよろめく 禿頭爺とくとうや
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一日が あっという間に 過ぎていく 繰り返しては 二月も終わり
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平等で 厚くも脆い 命なら 笑いましょうか 身を打ちましょうか
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溺れかけ 三寒四温の 大波に 慣れたる前に 退避しており
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昨日の雨で地上が顔洗い 潤う朝の晴れやかさかな
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避けられぬ日露の戦に血を流し 我らの祖先は悪を斃せし(ウクライナ思ふ)
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ランチやめ定休増やし抗うはまちの割烹 浦霞酌む
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雪柳 早も数輪咲きめて 陽射し無き日の慰めとする
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こわさないように避けて歩いてく 春の夕焼け宿す水たまり
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プランタを 花咲か婆ちゃんから もらい 花より野菜のタネ 選ぶ 孫
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退社後のバス停 濡れたアスファルト ベンチのしずく 通り雨の跡
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今もなお時を刻めり腕時計 手にとる朝に早春の風
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柿の実を啄む鳥と睦月去りからす一羽の裸木の空
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数字との 戦い始まる 年度末 睡魔が襲う 事務所に一人
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彼方から始発が響きまっさらな今日の端っこ解(ほど)かれてゆく
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同僚ともう春だねと退勤のみちみち話す空はももいろ
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春近し 古木の白梅咲きそむる 若草色のメジロが二匹
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微睡まどろみを 降車と共に 置ひて行き 歌を推敲すいこう いねられず
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『口』四つ五月蝿うるさかりしか此の度は私は屹度きっと『躁』だった由
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夏時間芝に寝転び空見上ぐ何のジャッジも自責も無しに
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