黄色く花びらうすく咲きなびく初夏の薫りの花は爽やか
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珈琲に深きため息染みていく 黒に混じりて悩みも溶けて
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あらし過ぎ 瘡蓋かさぶた剥がし また重ね なに食わぬ顔 凪を疑ひ
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夏の入り口の匂いがしたけれど 夜の涼しさもう少しだけ
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夏なのは暦の上のだけなはず五月は春のはずなんだけど
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谷水の深き緑に袖ちてむすぶ手近くはしる若鮎
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絹さやを嫌というほど食わされた 実家の飯のああ豊かさよ
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物憂さを纏ったスーツを身に付けて駅までの坂を黙ってのぼる
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主のなき部屋にたたよふ在りし日の家族の影のとほくこだます
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悲しみは部署の宴会遅刻して部長の横しか席がないとき
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若き穂の とうもろこしの 指す空は 真夏に向かう 未だ薄き青
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人も木も 種々くさぐさに花の 咲き満ちて 時うつろへど 永久とわについなし
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この空の蒼の重さと夏のに おろしたシャツの白で抗う
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おそろしさ 恐怖、不安と無力さを 全て抱えて 私は やるだけ/最終面接
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新聞の バイクの音が近づけば 朝靄の中今日が始まりぬ 
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聞き慣れぬ声と姿の野鳥おり 人口減って山化する村?
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暁に声も絶え果て木の暗にねぶる小さき木菟づくの面影
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宵の口 帳に灯る 蛍火に かいなを伸ばし 星を取りけり
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放たれた稚魚さびしげに漂えば掬う手のあり グループLINE
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海望む道を小走る夏の風 記憶仄かに大滝メロディ
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ついに今日冷房つける夜となり梅雨の前から夏は本気だ
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帰り道 話題を一つ 落としたまま 拾わず歩く 街路灯まで
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いつもより 早めに起きて 支度した だってあなたに 会えるのだから
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フロントの若葉マークが吹き飛んだ いつか何処かの青い野原へ
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来年に死ぬ人としてデパートの開店時間待ちわびている
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五月からビニルプールで遊んでる環境適応するのが僕ら
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生きてしまう 生まれてしまう 人間の 強さか弱さか 八日目の蝉
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「ねえ聞いて」夜中に天使が揺り起こす「きみが逃した魚は小さい」
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行き迷う街辻々に風巻きて漢神居たり疾風かぜ巻く辻に
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俺たちはNISAのことも知らないし 口づけをする術も知らない
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