月の色も うつりにけりな いたづらに 袖の白露 落ちしまにまに
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備蓄品 ガサゴソしてる 猫たちに  娘の名前で 声荒げてた
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死の層になお降り積もるかげろうに 絡め取られて堕ちてく地獄
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買ってきてと頼んだものはなにもかも忘れてカヌレ買ってきてくれた
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僕のことあなたはきっと忘れてる虚ろな瞳透明な空
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まだ推すか 身も金も灰 積もれども いのち焦がすを きるとぞ呼ぶ
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「またね」から 数歩で欠けてく幸福を 埋める術なく 家の鍵振る
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ワイパーが花粉混じりの雨拭いなぜか寂しき夜の街角
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寂しさがエンジンとなり動いてる死にゆく者の目で人間ひと観照す
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曇天も雲の上の青空を思いて今日も元気に生きる
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露天風呂即混浴と思うさが治らないまま老年になる
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つつじさく 産業道路に 雨が降り 粉塵まみれの つつじを洗う
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不器用が こさえた不細工 カツサンド これがなかなか おいしかったのよ
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口ずさむ雨に唄えば水たまり私と音と月が揺らぐ
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トランプを「ドナルドさん」と呼ぶ人の挨拶薄曇り空にきく
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からまった イヤホン解(ほど)く もどかしさ 本音の声の 一歩前
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リュック発見の「親族」って誰? 他の家族は無関係なの?
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会えないとちょっとがっかりそれは恋なんていう名の感情でした
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「アツミゲシ」 「ナガミヒナゲシ」 毒草で 空いてる場所に 花を咲かせる
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俗世から逃れて僕はガラパゴス独自の進化に夢を託して
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山芽吹き新緑前のとりどりの淡きみどりを飾り置けたら
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嗚呼君と その黒髪をくように さらりと老いて 死ねば幸せ
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あさが来て 新大陸を 見たような 海が割れたの 庭の雪解け
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晴れ空の下 走るバスの研修車 桜吹雪のエール受けつつ
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いにしへのひじりむてふ春霞憂き世をよそに山にみちたり
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青大豆水で戻して茹でこぼし 塩かけ冷ます自慢の粗肴
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死してなお 看取られぬ今 それもあり 国が認める 安寧秩序
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たかがよりされどの似合ふ便秘症。生命予後まで左右すらしも
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いている 駅と心の 方方ほうぼうに 「広告募集中」の広告
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氷の張った沈黙を今愛で溶かして ぐらつく足元抱いて支えて
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