宿とせし残りの花も散り果てて青葉の枝を渡る鴬
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息つぎの仕方を忘れていた日々の服を静かに脱ぎすてる午後
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どちらでも 本気の顔が 見たいだけ 怒るにしても 笑うにしても
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返信を提案される世の中に 何だか愛も薄れてくよな
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屋根裏で蠢く音の正体を 霊障であれと初めて願う
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心臓の 裏の冷たく柔らかい 僕の住処に 風は吹かない
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雨降りで外出せぬと決め込んでゴミ回収日も失念したる
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私の軸を 根底から 覆す 君の底抜けの 自己肯定感
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爺ちゃんと孫の二人がカフェに来て会話やりとり可愛すぎるよ
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街をゆく縁なきのひとの足もとに契りあぐねた陰が踏まれて
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ここぞとばかりに口数多くなる付和雷同の金魚ぱくぱく
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髪の毛を乾かすついで冷風に夏を感じた夜中十二時
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安心を欲してエーアイに添削という名のヨシヨシ求めてる
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母になり ライブハウスはほど遠く でも風や木が 微笑んでくる
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冷房の二十六度は涼しくて雨の二十度気疎げなり
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「また来週!」と手を振り帰る木曜日。老いには週休3日がよろしも
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雨に濡れ 鮮やかさ増す山ツツジ 薄紅色に咲き誇るなり  
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右手から葉っぱが弾ける音がして静けさを知る雨のベランダ
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寝室の シーツ二組取り替えて 一人りんちゃんごっこに興じる
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五月雨の岩根に沈む鳶一羽まなこ塞ぎて風を待つらむ
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曇天を微かに染めてきえゆくは淡紅の透く暮れのひととき
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​新人と重ねる日々の空もよう不惑の文字の遠く霞んで
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触れぬ距離 保ったままで 揺れる影 ブランコだけが 先へ進んだ
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手繰りよす言葉のさきを 残されたじかんはながくないさ、曇天
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関八州熊の棲まない房の国千葉県 いの鹿キョンが畑を荒らし
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街並みを真っ白にする涙雨 棺と同じ色をしている
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今朝もまたやっぱり君は帰ってく フローリングが嫌に冷たい
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なんとなくお釣りが貝に変わってる気がする海辺のコンビニを出て
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「嬉しい」の受け止め方がわからない 否定で作られてきた「私」
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たまにはと階段上れば心臓が運動不足の警鐘鳴らす
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