花時雨 珈琲香る朝にゐて えにしをめぐる 泡沫の歌
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高雄口いつしか駅名は変われどもあの頃のままの桜花のトンネル
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小鳥の巣に小さな命籠の中に生まれ育む小さな世界
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田舎道陽射しを浴びてひとり旅 蓮華の紫快晴の蒼
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隅っこの花梨の花はひそやかにそっと春呼ぶ桜の陰に
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心臓よ、 高鳴らないで 今だけは 鼓動が彼に 聞こえちゃうでしょ
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岸壁の風に傾く舟宿のすすけし看板生業なりわいの後
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小糠雨 休憩室の窓外そうがいに 子らの声なき広場の桜
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名前より長いあだ名をつけられて馴染めないまま忘れさられた
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二人して久しぶりだね カラオケのマイク握れば 隅っこに春
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グラスの中でずっと眠っていた星をいともたやすくきみが光らす
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古寺の門をくぐれば背伸びすと四方よもを眺めるみつまたの花
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楽しげな嘘が溢れてそのなかで各自が愛を削がれていくよ
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「ママはどこ?ねえパパ!」「百合が綺麗だろ今年は肥料が良かったんだよ」
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春淡し 伊香保石段 のぼりつつ 湯けむり越しに 思い出埋まる
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五年間歩いた道だ 笑ってる記憶の方が多い 良かった
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君の今 私がいなくて 回るなら 過去へ墜ちゆく あっという間に
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自炊を諦めた夜に行くすき家。いつもはつけないとん汁もつける。
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音楽で寂しい夜を塗りつぶす。「君の顔が好きだ」「グッバイ青春」
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憧れは考えてもうやまなくて苦しくって恋によく似ている
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月明かり 闇夜を照らす 存在に あなたの中で かくありたい 
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待ちわびた 春の開花に 雨は降る 人生みたいと 言って欲しいか?
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この春よりシニア女性の健康をサポートせむと爺医の我は意気込む
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可愛いね。愛されてるね。よく笑うね。ずっとそうして生きてきたんだね。
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あの雲も消えることなく地平線 知らないことはなんにもないよ
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タンポポの 黄色一色 日溜まりに 咲き綻ぶや  坐して酒酌み 草枕
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林檎の真ん中射抜くごと詰られて わかってる恥じているよと胸の内で/其の二     
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足裏を撫でて浚ってゆく砂はどの悪夢から流れ出したか
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朝でなく必ずきたる夜にこそオニキスの鼓動安らかなりて
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卒業祝いのセージのボールペンポケットに刺しそっと胸張る
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