おはようと 挨拶交わせば 茄子キュウリ 我に手渡す おばちゃんの笑み
18
丸二日 そぼ降る雨は小糠雨 野菜農家に休めと諭す 
19
血のなかに病のごとく棲むものか家族という名の解けぬ因果は
21
思い出に溶けゆく日々の積み重ね 川に流れて丸くなる石
14
網目より忍び入る虫避くるべく渦巻くけむり夏を告げをり
13
狛犬の目線の端にひっそりと夕顔揺れてお祭りの夜
12
振り向けば あっと言う間に過ぎてきた 一年十年 多分一生も
15
稲植えて草を抜きたるその先は 祈るがごとく空を見上ぐる
10
花束をすべてキスだとした場合ファーストキスにあたるガーベラ
9
ひざまづく夏の畑の少年の鋏閉じれば手にする胡瓜
9
老後の備え 保険に投信 星の数 カネのなる木を育てることから
10
新鮮が一番だよと励まされ野菜作りは草取りの日々
20
持たされた袋の中に夏野菜 愛がずっしり祖母まだ詰める
20
葬儀にも行けざりし友の命日を 生きて迎へて詫びつつ暮らす
13
アボカドの種にぱつくり割れ目入りぬ。鉢植ゑせしより一月ひとつきあまりで
8
今日もまたエノコロ草を摘み帰りあの子の写真に語り供える
16
木漏れ日の下に立ってるカマキリに小さな鳥の閃光一つ
11
自堕落な暮らしが生んだ苛立ちをそのままシンクに流して捨てた
7
店名と ロゴが奇抜な パン屋さん 初めて行ったら 近々閉店らし
7
機種変に時間と体力捧げつつ数年後をもう憂いておりぬ
15
橋渡るせなを押したる海陸風ペダルを踏めば空飛ばんとす
13
そっと吹き 膨らませたよ 紙風船 やさしく打てば しあわせ跳ねて
16
水筒が入る鞄に変えようか散歩の距離を短くしようか
6
人生は 積み木のように 揺れるたび そっと形を 変えては崩れ
6
五年前に 笑った動画で 今日ふいに 二年ぶりにも 涙こぼれぬ
12
祖母眠る 墓石撫でて 魂が 石へと変わる 無常に触れる
20
梅雨明けが 間近にせまる 晴れ空に 君の笑顔が 眩しく見える
13
夏の海ハダシで駆ける君は波 未来が来ても褪せぬ輝き
5
退勤時 心だけ先に帰して ブルーライトの前にてくたばる
7
光跳ね茹だる此の海掻き回せ の青空に夜の差すまで
5