〆切に泡立つ心にも慣れて 眠気を焦がす 温度も忘れ
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妻とを大鰐温泉へ送り出し飛行機修理!ユーチューブにて
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プライドの短歌うただと分かった一目見て 虹の旗なくも我らはここに
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春 桜ユキヤナギ咲く遊歩道 夏の日差しにアベリアの花
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見覚えのない卒業の写真には 俺とおぼしき男が一人
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折り紙を折ろうといって真っ先に 金をつかめる君の尊さ
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私にまつわる比喩をほどいてありのままの私でいさせて
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今日の朝八時くらいの天候がずっと続けばいいと思った
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友人に 近所の神社 紹介す 「それは私の おいなりさんだ」
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プチトマトふたつ頬張り弾かせば 今日も元気だ夏かかって来い
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パソコンと睨めっこをする日々で 一度も勝てず目がしぱしぱ
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捕まえた!城のぐるりに棲む魚 その背に乗って旅の始まり
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星の君 渡るなる日に 我をもと 渡れど逢はれぬ 物の理  \ 男が九割、物理学徒の願い
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居酒屋で声が通らず延々と店員呼び続ける悲しい
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息を呑む「奇跡」を捉えた瞬間は「画面越し」に見るアナタの為に
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すれ違う言葉にすがる日々の朝 防虫剤が「おわり」と示す
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じっとしても茹で上がりそうな真夜中に天井ばかりを見つめ続ける
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青山の 向かふそびゆる 白雲の もとはいかにや 遠く鳴神
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「外来種」 「絶滅危惧種」 「記念ブツ」 人間さまの勝手な言い草
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二日目のカレーの如く定年は 人生熟成らっきょがあれば
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安らかな寝顔の呼吸を確かめつ 不安癖がずっと抜けない
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濡れた空ふと思い出す君と見た 花の香りし桃の夕焼け
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初夏夕日一人バッドを振り回しホームラン打つ架空の球場
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税収が七十五兆といふ国の民が古々米の放出を待つ
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鳥籠に 入れられ出れぬ 姿見て 都合良き時 愛でる残酷
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見たことのない鮮やかな色になる 腐る手前の多肉植物
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エデンの園で生まれ育った寵児なの 故郷を放たれてこそ艶めく
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バイバイをして 乗る帰りの急行で もっといい言葉を思いつく
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おっちゃんの こってりラーメン大盛りに ニンニクマシマシ 失恋の味
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早起きを したはいいけど 代償に 眠気が襲い 自然と早寝
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