餌くれた人越してったマンションの廊下にそっとたたずむ野良猫
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花林糖かりんとうやめられぬまに芋けんぴ 縁側の茶器を雀はのぞく
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マンションの長き廊下に猫一匹お知らせ配る私をにらむ
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酢漿かたばみの 黄色といが 連れてきた  青き炎天 もうすぐそこに
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遠雷の くもれる野辺にとどろき て 無人のあぜに 苗箱ひとつ
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根を伸ばす神棚前のさかきの木わたしの運が一緒に伸びる
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椋鳥が蜥蜴を咥え誇らしげ遠い祖先は恐竜なれば
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アリさんだ! 駆け寄る子らが じっと見る 運ばれて行く 虫の亡骸
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朝ラジオ いつもの声に 目が覚める 粗塩手に取り 握るおにぎり
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鶯の まだ整はぬ鳴き声も 初夏の頃には誇らしげなり 
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菓子袋色無くなると伝えてる新聞紙面カラー印刷
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街中に日傘の花が咲いていた不意を打たれた夏の訪れ
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なきものと思ひし命ながらへて浮世の闇に惑ふぞ悲し
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あいつただ走ってるだけに見えるけどなにげに光合成してるらしい
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街路樹の枝葉をトレースする影で、無地なわたしも華やかな昼
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セブンティーンアイスの跡地にダイドーの自販機があるような夕暮れ
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うっすらと 面立ち記憶する祖母の 年を追い抜き 老母ははは長生き
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なんとなく娘にライン届けたい窓から眺む小立野の空
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忘れなけりゃずっと居るのと同じだろう? 世界でいちばんいとおしいララ
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瓶ジャムの 底をさらった ゴムべらは 驕らずもとの 水切りかごへ
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うつろはぬものと伝へし老松も薄き二葉の夏衣着る
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今日という美しい日を名に刻み 燦々と降る五月の光
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水田がキラキラ揺れる春の夜 優雅に歩く白鷺一羽
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石楠花しゃくなげの雪折れ枝に花九輪。玄関先の大壺にありて
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音で無く形互いに響かせてろう者の彼としじまの中で
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重くなる神輿をみなで担ぐ日々転嫁できないとこから潰れ
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感動と正反対なことたちが何て沢山あったのでしょう
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のめうたえ うかれはしゃぐは 餅名残もちなごり 鳴神弾む 春の酔いかな
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ぶつかって痛む心ごと削られて河原の石は安寧を得る
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朝イチに重たき仕事片付けて 黄昏を待つ私のパソコン
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