幾年いくとせぞ詩歌管弦をおさむれど うつつに与へし名残は知らぬ
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手違いで神につくられたガガンボのかろやかさ、それは天使に似て。
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夢でいい 出来る事なら もう一度 黒羊駝きみの瞳に 己れを見たし
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微笑み 香り溢れる 蝋梅の 水ぬるみつつ 春はそこまで
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もひとりの自分の制止振り切りてホテルのタオルくすねんとする /葛藤
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冬あかね 憎めないから愛になる あんたの声は夜の幻聴
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あたたかい風が身体の輪郭をなぞり私を春が見つける
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「これだけは捨てられない」と父は言う ゴルフボールに宿る魂
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愛おしい 貴方のきらいが 私には この世全ての 最高傑作
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幸せ増やす エンドルフィン ドーパミンに オキシトシン セロトニンも必要
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未明なり 凍てつく日々に かじかむ手 吐息吹きかけ いのちともせり
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君のためという一言に背徳の臭いを嗅いでただ聴いている /背徳の忠言
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油絵と冬季五輪にはさまれし待合室の白にさす紅
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声帯を取られたチワワに話す人奥山に 紅葉踏み分け 鳴く鹿の 声聞くときぞ秋は悲しき/猿丸大夫 5/100
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この螺子はどちら巻き?左耳からとろりと落ちてきたこの螺子は
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甘くないチョコを食むたび思い出す接吻だけで終わったあの恋
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主の居ぬ菜園の隅転がった園芸支柱は捨て猫の様
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春浅し 花こぼれ散る 枝垂れ梅   おぼろ月夜に夜の影朧
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日々がまた 劇的なれば 根が腐り 旬が消え去り 路頭に迷う / 安寧そして …
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家計簿を 付けて出し入れ適正化 財務省が 規範を示す
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好きだった同性からの手紙読む タイムマシンがあればいいのに
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夢追いて春を去り行く彼のもと 桜吹雪よ声を届けて
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ひとりでも生きていけると決められてひとりピンクのろうそく齧る
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玉の緒よ絶えねの歌はありぬれど 我が想ふ人はあらず絶ゆらむ
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平等で 厚くも脆い 命なら 笑いましょうか 身を打ちましょうか
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溺れかけ 三寒四温の 大波に 慣れたる前に 退避しており
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温暖化 かかってこいや 今年こそ 二期作やるぜ メロンとトマト
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私が研究を進める間ずっと窓にぶつかり続けていた蛾
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ベランダにそそぐ春陽はるひの強さ増し庭の雪塊もちりちり昇華す
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「つまんねえ」口に出したくなるだらう決めつけられたここにゐること
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