仕事場の篝火花に水やりて星の王子さまにこころ寄せ
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日向だけ辿れる散歩アプリとか誰か作ってくれんだろうか
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生と死を選べることがこんなにも残酷だとは知らなかったよ
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冷えきったつま先揉んで屈伸し炬燵の中はとても暖か
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できれば助けてほしいけど どうせ無理だから別にいっか!
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あきさめの しんしんとふるよの いえじには まちのほあかり にじみてゆれる
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事なき日今頃君はどうしてる 誰かとニ人笑っているかな
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僕が君に見せたのは 正真正銘僕だけど 君が僕に見せるのは きっと君じゃない
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時間だけ共有できぬ貴方とは鏡のような共鳴がある
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おざなりに絡めた指の温かさ 好きって言っちゃいけない気がした
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寒いねと 語り合う君 もういない このまま人リになるんだろうな
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憎むなら 俺を憎めと 奴に言う 俺を選んだ 君は正しい
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二時の自販機ビール売り切れマインクラフトを止めてもう寝なさい
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風俗嬢教えてくれた「威張ってる人ほどアレは小さいのよ」と
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目の前に寒椿など無いけれど 真っ赤に燃える寒椿かな
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根詰めて体調不良になる我が師「けふ出られない」電話くる九時
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うたは遺りいつか歓喜の東欧へ国境線も消ゆカタルシス
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修正ペンで塗りつぶした一角がそのまま流れてくエンドロール
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単語帳を開く 何にも掴まらず 電車の中で大人になった
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一瞬の水死体になる浴槽で透明な明日を待ってみようか
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ラヴォワジエが発見するまで人間の理性と心を満たした酸素
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夜明け前の電車 なにから逃げてるの 太陽だけは追ってくるから
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沙羅双樹 永久とわに咲きたし その様は 白に混じりて 花落つるらむ
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うつくしく目を伏せたいと思うけど 私を見てる貴方を見たい
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傷ついたときは助けてあげようと挫折するのを待ってる私
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裏切りを経たと言うのに好きなのよ脳はあなたに溶かされたのよ
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遠景の山が長い影落とす 寂しさの似合う季節になった
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リュックにはあしたの用意をひとかけら あしたが今日にならないうちに
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ドラマ機に乗馬に触れてみるもよき下手でも馬を洗ふは楽し (以前、半年ほど土日に)
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赤毛の少女が振り返る先には暗闇を切り裂く幕の音
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