初孫の 我をもっこに ひょいと載せ 野良の仕事に 連れゆきし祖父 
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葉に残る春の名残りを洗い去り五月の雨は緑を濃くす
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かお皐月さつきの空に遅桜人目もあらでひとり散り失す
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明日には もういなくなる お別れに 思い出すのは いつもの笑顔
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病みて知る 健常なる日の傲慢ごうまんを 今なら添えし心病むひと
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月めくり世界遺産のカレンダー行きたい国が毎月変わり
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レンギョウの明かりのともる通学路転ばぬように迷わぬように
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焦げているさやを両手で引き裂くとふわふわのわた並ぶそら豆
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黄緑の朴葉をつたう春時雨 連休なんてないほうがいい
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気がつけばもうすぐ五月 慌てつつ予定立てるもまた一人旅
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麗らかな 陽光満ちし菜園に 春を告げたる葱坊主かな 
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花びらにほのかな霧の咲きなびく紫淡い胡蝶の蘭や
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間違えて間違い抜いて辿り着く住めば都で眺める虹よ
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もういない人の好みの味付けで 私のために作る肉じゃが
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生きるのは稀、大仏拝む800年心あてに 折らばや折らむ 初霜の 置きまどはせる 白菊の花 /029/100/凡河内躬恒
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ベランダで 陣地争い オセロゲーム 黒のハシブト 白の干布団
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鉱脈に添いて残りし手掘り跡生野銀山濡れた足音
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なにひとつ明日に繋がる歌の作れぬ日は目玉焼きの黄身に殻が入っている
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連休の天気予報に雨マーク悔やまぬことを悔やむべきなり
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なんとなく死にたくなった僕がただ見上げる夜に君はいるかな
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もやい解き子ら旅立てば食卓に影のひとつが縛られてゐる
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ひたすらに幸せだけを詰め込んだ箱庭の中微睡んでいて
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シャッターを開ければ燕風に乗りふわり飛び来るまた翻る
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ひたむきに生きた証が散らばった服や文具の配置に宿る
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火事花カジバナと忌まれ手折れぬタニウツギ 謂れ知らずもには飾れぬ
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そこどいて一般図書の915 立ち読みしてる背にかける圧
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我ひとり温めるための紅茶淹れ ため息ついて孤独を嘆く
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勤め終え 今日の夕餉は 冷し麺 まだ風涼し 明日から皐月
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閉めたのに途中で止まる実家の戸できた隙間は三年分で
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文庫本十冊売りて 原田ひ香 百円足して連れて帰りぬ
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