あのひとは 今頃何を する人ぞ ホーム画面に 赤丸探す
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気がつけば戦争中を生きてゐて真綿で首は細くなりゆく
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疑いて繰り返し見るおくやみ欄君の名前は紛れもなくて
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十勝へと向かう車窓に雪舞いて 春待ち詫びし昔日思う
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くさや好き差別されても耐へぬいて 妻に隠れて独り味わふ
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憧れは酒を友とし書を師とし晴耕雨読悠々自適
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1番とくべつに なれなかった哀しみを 吹き飛ばして くれ春十番はるじゅうばん
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小庭辺(さにわべ)を 行きつ戻りつ 中日(ちゅうにち)の 眩しく白き 割烹着の母 /彼岸中日
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ウェーブする 髪なびかせて 動画撮る はしゃぐ子ふたり 肌浅黒く
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雪明けの 白銀の矢射し 春薫る 独りまどろみ 呼べど答えず
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ペンデレツキ聴きて(音)楽の飽き足らぬ現代と名の付くもの熱く 
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雨の間に墓を参れば体冷え嗚呼ありがたき実家の炬燵よ
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「本当にあなたは良い子ね」と言う母 良い子に成りきる苦労を知ってる?
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旬の味 実家から届く 晩白柚バンペイユ 無心で果汁 啜るヴァンパイア
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積み重なった悔いの層一枚づつ剥がしてくれるのは 子の笑顔ありがとうのひとこと
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眠るのも怖くはないね、この蜜が悪夢を溶かすお薬ならば
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朝の卓 卵とパンと 珈琲と ラナンキュラスの花言葉を
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ひと気ない 公園一帯 包み込む 縦笛奏でる ミッキーマーチ
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どこまでも  消えない軌跡  しおり引く  スターテール  君に届くまで
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焼きすぎて 硬き餅(もちい)を 詫びながら 鶴屋茶房の ぜんざいを食む /鶴屋八幡餅付きぜんざい(鶴屋茶房)
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ベートーヴェンのソナタ流るる春の日にきっと僕らは目線合ひ
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ドヤ顔で鬼のパンツと言うけれど ため息つかれたフニクリ・フニクラ
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願わくは浮世の慾を捨て去って草のいおりで世を過ごしたい
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連休が 明けた雨の朝 憂鬱を 一手に引き受け クリスマスローズ
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「子育てのやうなものだ」とAIに魂吹き込む哲学者をり
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すべて嘘 この世ははりぼて悲しいね そう言いながら今日も着飾る
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伸びる雲 夕日隠して 広がるは 十五の頃に 見た青い空
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道連れがなければ死ねない弱い僕を赦してください行きずりの人
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一人では 立てぬ背骨を 寄せ合って 「自立」のふりする 群れの醜さ
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劇薬の ごとく広がる 憎しみは 甘い蜜より 早く脈打つ
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