啓蟄けいちつに眠気まなこで夢語る 揺れる草木の影に踊らせ
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夜更けて車椅子より手を伸ばし 彼岸のつまの裾に触れけり            
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ルック バック ルック アヘッド! 躊躇なく 昨日を蹴って 今日を漕ぐ
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捏造も 隠蔽もして 憚らぬ 悪しき輩が 富を貪る  /二デック会計不正に思う
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誰の手も 届かぬように しまい置く 櫛笥(くしげ)の中の 玉櫛の妹(いも)
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「このハゲーッ!」 が 広く世間に 流布したる 知名度武器に 立候補しき
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だめなこと おかしいことに 声を上げ 守っていこう 明日の世代を
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薄明は 世の平等を 体現す 富める者にも 貧しき者にも
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白髪を櫛けづる手もおぼつかぬ老ひが養ふ子の五十ごじうかな \8050問題
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桜花散るを誉れといくさ場に莟の学徒征きて帰らず
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西日射す 部屋の隅にて 泣く君の 髪に映ゆるは 明日への光
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かつて吾を守った肩を追い越して あたたかな子を洗う夕暮れ/老いた父へ
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彼岸花まだ青し葉に春の雨ホトケノザ咲き庭に色添え
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「いつ来たの」何度も父に聞かれるが そのたび笑顔が咲くからいいや
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根元から切られてこぶの酔芙蓉 夢を紬ぎて如月を生く
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春風しゅんぷうに 白旗掲ぐ 冬将軍 寒の戻りの短し二月
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なかなかに眠れぬ夜を過ごしてか 家のソファで安堵の寝息 /夫退院
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防空頭巾爛れて千々に孔開きぬ蒙る儘焼かる火に
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嬰児虐殺に残りたる頭の割れて受難人形劇の耶蘇置く
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春を待ち ようやく土から顔出した 雑草抜きつつふとやましさ感ず
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ビジュだとか 美醜に囚われ 微修正 加工の効く世は 不幸か幸か
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叶わない約束もまた星となり 出逢う時までひかり続けて
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道化師は 心の中では 泣いている けどみんなが笑う それで幸せ
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立春の まごうことなき 青いソファ 桜が似合う 優しい色だね
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春を待つ 息苦しさに 耐えかねて 枯れ木は雲を 咲かせたみたい
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人々を操るモノは広がって 脳内にまで侵蝕されて
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大丈夫 ただあなたから 聞きたくて いつも押せない 緑のボタン
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アイフォンを鞄に入れる 今日だけは迷い悩んで自分で決める
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道にあひ 百合子に顔を 赤らめし 三汀の歌 詠みし文明 /三汀忌2026年3月1日
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未使用のかわいい傘をリビングで差す幸せが雲に似ている
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