陽光を挟んで走る山手線 降り落つ枯葉が天使のように
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業火這う赤い布団に浮き沈み 乳掻きむしる遊女悲しき
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払暁の雷鳴に目覚めて神棚の水と塩を替へあまた願へり
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幸せな約束がある7日間 切なく苦しいあと7日
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人間は 脳司令こそ 才能ぞ 全ての技は ひらめき次第
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言葉から 真意を知りて 気落ちする 人は皆そんな 経験をする
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優しさを 持つ前は皆 鈍色の 齧ってちぎり 君に与える
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親なるは  殊に母は  いつの日も  子どものことを  気にかける生物
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生きていることの証に夕空と海辺のシールをきみにあげる
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パソコンもピンチアウトが出来ればなそう思いつつモニターなでる
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孤雲浮く 深き青空 愛おしく ああいつか死ぬのかと 身震いひとつ
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芸能人占い番組見るのはとても楽しいわれでないからか
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誕生日に小さな百合の花をあげる 私にできる唯一のやさしさです
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吾子の頬 一縷の涙 滴りて 照れる紅きよ ルビーの如し【折句:愛してる】
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木枯らしと 芥に沈む 彼岸花 去り行く命 誰が導く
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真夜中に同期四人の写真受く総年収はおよそ十倍
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全部見て全部忘れる生きているご飯を食べるまだ生きている
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もう過ぎた十一月に降る雪は私のようにきえてゆくもの
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物寂びた紙の香りを思い出す図書館通う懐かしい日々
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野良犬を 見なくなったな この街も 吠えてもムダと 気がついたのだ
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扱いが軽んじられて怒るのか鋭利な端で指を切る紙
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口あいてキンキンされて恥ずかしく死に際などを思い浮かべて
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変動期ふてぶてしさと穢れとが猛威ふるって街々満たす
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そこでまず相手の登記を確認し まだこの話サウナでします?
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ケセラセラ 明日は明日の 風が吹く なんくるないさー なるようになる
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口紅をふざけてつけた放課後に雄の孔雀の鮮やかを知る
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傍に居て欲しい人いなくなる だけど僕は明日の朝起きる
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この旅路誰の最愛にもなれずひとり彷徨い夜明けも来ない
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店先の椅子に置かれて行く人らを見つめ続ける手書きのメニュー
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冬景色全くなしに 寒さだけ からとした風そんな冬も良き
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