Utakata
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葉に残る春の名残りを洗い去り五月の雨は緑を濃くす
23
もういない人の好みの味付けで 私のために作る肉じゃが
46
釣り銭を 正しき額で 差し出せず 我に財布を 開きし老婆
22
ぽつとぽつ 草木が「降るぞ」と噂して 私は散歩の
踵
(
きびす
)
をかえす
22
暗幕を閉じてはじまる理科室は星のスライド尾を曳いてゆく
17
苗代に雪消の水を流し入れて高嶺に遅き春は
来
(
き
)
ぬらし
16
父さんの言いたいことが分かるのは私だけよと母さんの声
14
爽やかな杜の都の新緑を味わい歩けばまもなくライブだ
14
早朝の植田に映る山影を踏みしめていく
烏
(
からす
)
が一羽
14
別れ際に彼はどうかと尋ねれば 施設にいると寂しき報せ
12
ひたむきに生きた証が散らばった服や文具の配置に宿る
12
いろいろな憂さを抱えて貼り付けた笑顔の裏の重たい身体
14
すくむ足背中を前に押したのは健気につよく咲いた一輪
11
水音の透ける煌めき細やかな窓辺の鳥の歌うさえずり
12
気だるさとめまいで自由を奪われて 自由に動ける奇跡に気付く
15
にょきにょきと立派なアスパラ顔を出す 昨秋の施肥のお陰なら嬉し
15
我ひとり温めるための紅茶淹れ ため息ついて孤独を嘆く
11
サワガニが横に進んだ道なりを 前に進んで追いかけて行く
20
雨だから君が頭痛にならないか心配をした 変わる信号
20
似た
形
(
なり
)
のまったく別の雑草として人混みにまじる夕暮れ
14
勤め終え 今日の夕餉は 冷し麺 まだ風涼し 明日から皐月
9
君の居ぬ間に食べる辛ラーメン ひとり暮らしの風が吹く夜
17
水張田に鈴振るような音満ちて ああ今さらに、これがカエルだ
21
連休の
何処何処
(
どこどこ
)
行きます報道もスーパ行けば変わらぬ人影
20
火事花
(
カジバナ
)
と忌まれ手折れぬタニウツギ 謂れ知らずも
屋
(
や
)
には飾れぬ
14
そこどいて一般図書の915 立ち読みしてる背にかける圧
8
涙ぐむ AIの組む推しからの 正しく重い正論受けて
8
「ゴミ・タバコ・拭き紙・等を・捨てないで」トイレに書かれたリズムをまもって
10
シャッターを開ければ燕風に乗りふわり飛び来るまた翻る
22
縮むのが母の歩みと知ったとて なにも返せず何も残せず
10
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