隣席りんせきの父親にかかへられし子の微睡まどろみぬ長き睫毛まつげ揺るる
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もわもわと 身体からだの毛穴 沸き返る 琥珀の海に 遊びて酔えば
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日が過ぎて終わりの桜でる日々今ここにある花はいかり
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さくらんぼ さくさくらかな さくらさく さくらのにわの さくらやさくら
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父も母もいない花見であまりにも近くに墓があったことに気づく
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コストコのレシート拾うゴールドの会員らしいシャツを買うひと
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新調のスーツ姿入学式 やがて氷河期来るとも知らず
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六十歳むとせ とは全生涯だ泣きぬれて審判せよと額づいてただ
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真偽とかどうでもいいから抱きしめて 言葉より温もりがすぐに効く
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昨日より確かに花は散っていて枝の緑の向こうには雲
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築五年八畳一間のワンルーム私の人生対策本部
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今だから 分かる尊さ 彼の二人 桜の散ってゆく 今だから
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世が世なら勅撰集に載るはずの吾輩の歌貶すの誰だ
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咲き満ちて 零れんばかりに 麗しき 風と戯れ 散りゆく清さ
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雨の音 煙るにおいと甘い味 みんなわたしを気にも留めない
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風生の 句のそのままに まさをなる 空よりさくら しだれつるかも /富安風生
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海と目を合わせなければ江ノ島は 迷子ばかりがいるような道
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運悪く嵐の中のお花見も花弁が傘を飾るからアリ
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好きだった彼女の声を聞きたくてまだ捨てきれず昔のガラケー
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憂鬱は雨降りだけのせいじゃなしミックスナッツとココアを摂ってる
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聞き慣れた 値上げインフレ 少子化も 現時点では 序の口という
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散ることもいとはぬ花の心もて世を尽くしてむ命なりせば
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連綿の 美しき御手(おて) 目に浮かび ひた待つ恋の歌 読み返す
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ぬくむ 孫娘まご住む場所とこの 川に入り 花筏はなとザリガニと 戯る写真ライン届く
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杜若かきつばた 躑躅つつじ 蒲公英たんぽぽ 不条理の漢字あれども歌楽しけれ
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年少の見知らぬ少女がジャージはき寝床に闖入する夢を見た
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回覧板 入れるにしては 難儀する 小洒落たポストと 格闘してきた
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不味そうだ カンブリア紀の 海の幸 寒鰤焼きつ 観るEテレ
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わたしからあなたの全てよ出てゆけと角質を落とすぽろぽろぽろと
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朝食のテーブルには「これ観てよ」と言わんばかりのリモコンがおり
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