自らは 十代半ば 黄泉の人 吾を見つめる 吾が抑えり
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さくらんぼ さくさくらかな さくらさく さくらのにわの さくらやさくら
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父も母もいない花見であまりにも近くに墓があったことに気づく
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コストコのレシート拾うゴールドの会員らしいシャツを買うひと
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新調のスーツ姿入学式 やがて氷河期来るとも知らず
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六十歳むとせ とは全生涯だ泣きぬれて審判せよと額づいてただ
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真偽とかどうでもいいから抱きしめて 言葉より温もりがすぐに効く
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昨日より確かに花は散っていて枝の緑の向こうには雲
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今だから 分かる尊さ 彼の二人 桜の散ってゆく 今だから
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世が世なら勅撰集に載るはずの吾輩の歌貶すの誰だ
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本来の 役割果たせず やさぐれて フテ寝している エアロバイク 
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雨の音 煙るにおいと甘い味 みんなわたしを気にも留めない
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風生の 句のそのままに まさをなる 空よりさくら しだれつるかも /富安風生
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海と目を合わせなければ江ノ島は 迷子ばかりがいるような道
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運悪く嵐の中のお花見も花弁が傘を飾るからアリ
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憂鬱は雨降りだけのせいじゃなしミックスナッツとココアを摂ってる
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散ることもいとはぬ花の心もて世を尽くしてむ命なりせば
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連綿の 美しき御手(おて) 目に浮かび ひた待つ恋の歌 読み返す
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ぬくむ 孫娘まご住む場所とこの 川に入り 花筏はなとザリガニと 戯る写真ライン届く
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杜若かきつばた 躑躅つつじ 蒲公英たんぽぽ 不条理の漢字あれども歌楽しけれ
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年少の見知らぬ少女がジャージはき寝床に闖入する夢を見た
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不味そうだ カンブリア紀の 海の幸 寒鰤焼きつ 観るEテレ
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茜さす 紫煙揺蕩う 地平線 忍び出るや 黄昏の月
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なんかこう わからんものを 背負しょわされて 踏ん張ってきた 長子事情
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夜勤明け ビールに焼きそば 食べちゃうぞ 一人暮らしの自由満喫
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桜蕊落ちて踏まるる暖春のかの人の早や詠み殻となり
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手に触れてカチャッと嵌るカラクリで筆を持つ手は歌を綴って
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流れてく川に放すは軽き舟 四季の花びら乗せる折り紙
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名を知れば近しくなった気になって 風とざわめくコナラの葉っぱ
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レンズから図鑑から世の解像度どんどん上がる足を運べば/自然観察
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