切れ目なく言葉を紡ぐすべもなくうわごとだけを並べては泣く
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脱いで入れまた脱いで入れ素裸になって洗濯する心地よさ
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吹く風の 冷ややかなるを 取り込みて 花散りしかば 春と思えず
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自治体の 長(おさ)の醜聞 亡き人も 柩の蓋を 開けて見まさむ
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様々な 事のひとつが 落ち着けば 安堵も束の間 また案じ事
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等持院いっしょに降りた花びらは きっと宇多野からの乗車だね
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雨降りが憂鬱な日だとするならば私の身体は雨が降りそう
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弁当と天国行きのチケットを鞄に詰める午前四時半
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「見せ消ち」を 読むは楽しも 定家書写 御物本なる 『更級日記』 /影印本
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殺人に使っちゃダメだ包丁は殺した後の調理に使え
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折々に思いもよらぬ蹉跌来る世に萎縮する客人なるゆえ
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ムダなもん  削ぎ落として  佇まう  結局のところ  シンプルがええ
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アルペジオ小川のように耳流れ春のコード季節が素肌に纏う
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外からは何も見えないお屋敷の水の音する池に舟かな
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繋ぐ手のひらに書かれた「いつまでも」の消費期限を知らないふたり
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明日こそは花の便りを掴まえに南下してみる北国の春
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葉桜の 横にハナミズキ 「まかせて」と  次は私と 言わんばかりに
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青大豆水で戻して茹でこぼし 塩かけ冷ます自慢の粗肴
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この春を君に見せたくポケットに ふきのとう一つ隠し持ってる
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息を止め箸で土筆を裏返す採取するのは緑の胞子
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繰り返し たづぬ春にも 年毎としごとに 異なりぬ風 異なりぬ匂ひ
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チビ猫の 寝ぼけて うにゃうにゃいう声を 聞きながら飲む 朝のカフェオレ
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生きがいが 見つかるまでは さぞ険し 百年時代 どう生きていく
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伸ばしても伸ばしても私の指は 君に届くことなき夢から覚める
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技芸練り 澄み渡りし 鶯の 声はすれども 姿は見えず
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「殺人は数によって神聖化される」『殺人狂時代』だよまだ/チャップリン
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叶わぬと知りつつ祈る掌はただあたたかき血潮の流れ
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空青くはなみたり三日ぶりに街が目覚めたような朝
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笑みながら刺す薔薇や知る女々しくもなれぬ女のさだめてふもの
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訪れし かの要塞ゆ 四五キロの フジャイラ港に 上がる爆煙 /3月14日イランドローン攻撃
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