Utakata
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もやい解き子ら旅立てば食卓に影のひとつが縛られてゐる
25
銃口を 向ける仇は 幼き日 我と遊びし パン屋の息子
15
ボイジャーが宇宙の果てを目指すころ私は部屋の灯りを点ける
13
白雲をまばらに隠す鳥たちは天国なんて目指していない。
13
街灯にユスリカの群れ 東京にまだ居場所のない四月の僕ら
12
往来の絶えた通りをからっぽの郵便箱が否認している
11
逆風で腹一杯の鯉のぼり。吾にはなきその強きメンタル
10
「水の色は水色ですか」と問うている 朝日を弾く水面を見ている
9
あったかい日のあとにまた寒い夜酒蒸し作り昆布茶を飲み
9
さようなら 最期の別れ 休んでね 記憶とともに 涙が溢れ
9
大阪に
筋
(
すぢ
)
ぞ多かる御堂筋牛筋煮込みその筋の人
9
新緑の清しき風を吸い込みて五臓六腑が青に染まりし
13
花びらにほのかな霧の咲きなびく紫淡い胡蝶の蘭や
17
夜明け道 足もと照らす水たまり 夜中の雨の匂いを残す
12
レンギョウの明かりのともる通学路転ばぬように迷わぬように
18
命尽く ラストページは静寂の すでに届かぬ 我知らぬ父
12
暁に 勤めに向かい 横見れば 宵闇に居た 猫が見送る
8
喪っただけの衝撃ではなくて葬儀を終えて駆け走る街
9
飛行機に乗ってどちらへゆき女婚活のためちょいとヒマラヤ
11
沈黙の長さを別の感情にすり替えられてしまう雨の日
8
気づかいの小鉢ひとつを持て余し君にすすめる 月、満ち満ちて
14
治らないわけじゃなくって治したくないから抉った もう別の傷
7
あなたにも わたしのために 人知れず 涙する夜 あればいいのに
7
季違いのもがり笛熄む丑三つに 蛙の鳴き音ふいに戻りぬ
18
風
薫
(
かお
)
る
皐月
(
さつき
)
の空に遅桜人目もあらでひとり散り失す
18
酒に酔い床に寝転び見た夢で昔の俺が何か言ってる
7
残ってたカップスープが丁度いい寒かった朝五月一日
6
衣替え 麻のシャツにはアイロンを ビール片手にハンガー眺める
6
月のため外に出るのも億劫で綺麗でしたと嘘つきと成る
6
「ただいま」と 「いってきます」の その間 眠れず 開く『大河の一滴』
7
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