遠い山を見つめる人の背中と体温がうすくなりつづける
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真っ黒なタクシーの窓その中に映る私はいつもよそ者
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長生きを 望まぬ我が 人様の 命守り して よろしきものか
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不意に知る 隣の人の 人となり 連れたワンコが ヒントとなり
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風待ちて雲の晴れなむのちの世はさやかに照らす月を見るらむ
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黒豹は 静かに休む 春の中 目覚め上がるは 天の土俵に
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鉄道の韻律わが身抜けゆきて乱るる魂は歌ひそめにき
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たくあんを噛む音がやけに頭の中響いているよ。ラジオをつける。
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幾年も空をうつした川面にて 恐れをそっと手放してみる
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とりあえず大人なんだから僕たちは綺麗事くらい胸張って言え
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邦船を護衛するべし自衛隊 今こそ見せよ益荒男の盾
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あの人は言葉に詰まると目薬を点すからずっと泣いてるみたい
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藍色の 花を見つける アスファルト 割れ目に絵の具 凛と散りばめ
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改ざんの 悪事をなした 大ボスを 忘れず税の 申告に行く /確定申告最終日
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契約の ネトフリ解約 どれほどの 人がするやと つまらぬ心配
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ひさかたのふるさとの地を踏みぬれば月夜をかくす雲もなきかな
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手紙読み 散りゆく花びら かき集め 懐かしの想い はめ込んでゆく
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生命は地球固有の現象で 指紋と等しく他にあるまじ
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名残香なごりこうほお梅紅色ばいこうしょく 三月みつきの花嫁 夢にゆれつつ
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時経ちて 陽春ようしゅんうた最中さなかなり 飛び立つ花粉せい黄金こがねに輝く
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有明の夢とぞ憶えし逢瀬なら月満つるまで夜桜に泣く
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マンションの垣根を赤くむ新芽 ベニカナメモチの鮮やかな春
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街びとはこんなに高い米を買う農家を離れ街の苦を知る
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手をかざし 守りていたき すみれぐさ 人知れず野に 春げて咲く
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ネギ油 炎が上がるカウンター 香ばしい麺 一気に食す
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青空へ白木蓮のつぼみ立ち再起の君へ春を祈りぬ
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塾へ行く 道に毎日 向かい風 負けてたまるか 待ってろよ、春
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派手やかに 咲く花よりも 紫の すみれ恋しき 春浅き野は
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静寂しじまさす電球色に夢うつつ元気ぐるぐるパンツは回り
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おぼつかぬ 老いたる母に 寄り添える それは狼 否吾であり
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