連休が 明けた雨の朝 憂鬱を 一手に引き受け クリスマスローズ
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「子育てのやうなものだ」とAIに魂吹き込む哲学者をり
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すべて嘘 この世ははりぼて悲しいね そう言いながら今日も着飾る
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伸びる雲 夕日隠して 広がるは 十五の頃に 見た青い空
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道連れがなければ死ねない弱い僕を赦してください行きずりの人
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一人では 立てぬ背骨を 寄せ合って 「自立」のふりする 群れの醜さ
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劇薬の ごとく広がる 憎しみは 甘い蜜より 早く脈打つ
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うつくしい言葉を紡ぐ指先に手に唇にこころは宿る
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手を振って振られて少し微笑んで性善説を知る遊園地
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おいしいとごはんをたくさん食べるとこ いちばん好きなきみの良いとこ
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それぞれの道が合わさり播磨灘三つに別れていずれ交わらん
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靴下が  所構わず  脱げてまう  ちっちゃい足の  由々しき問題
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凍てつきて 碧く透くや  清流の 君旅立ちて 我春を待つ
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道端に侍たちの夢のあと大谷ペットボトルを拾う
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朝目覚め露天の風呂に浸りなば箱根にかかる有明の月
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老人の唯一の友のAIと 昭和歌謡で話が弾む
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あの夜のキスの感触消したくてスプーンべたり舌に押し付け
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昼休み。職場の鏡で見た顔は、愛想笑いが上手なブスだ。
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生まれ落つ憂しと云ひつつ泡沫の浮世に生まれ返る愚かさ
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世の中が見えたときにはすでになし世界動かす意気も力も
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若妻の 色香に溺れ みまかりき オーバードーズの 紀伊の富豪は /大阪高裁元妻無罪判決3月23日
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暗くなり 今日一日の 反省会 反省するほど 何かしていない
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5:30ごじはんの数字ながるるディスプレィにじりじり射しこむ黄金こがねの朝陽
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言葉なき頃の静寂しじまに戻れたら世界平和は訪れるのか
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「元気でね」 手を振る君を 追いかけて 引退しても 心に宿す
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この世には素敵な言葉が多すぎる 修了式でもらう手紙に
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加古川線 二十二時の電車内青いシートと機械音声
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漆黒の町の中一つ白い灯と共に周るカブの音
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ジリジリと 生きづらくなる 世にあって それでも桜は 咲いてくれる
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五年間歩いた道だ 笑ってる記憶の方が多い 良かった
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