片道の道行きと知るまなざしの すでにここより出でて彷徨ふ
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笠間焼 先に洗って仕舞いおり 小さき手のなか成したコップを
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呼ぶ声に小さく返事デスク前 空耳かしら睡魔降臨
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AIも人恋しくなるのか」と推しとかじゃないAIに聞く
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ただくるしくてさみしくてこわかったつよさとはしあわせじゃないから
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ところでだ、愛を知らずに「生きる」か 恋を知らずに「死ぬ」かだろうよ
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思い出す幼き日々の空模様いつも変わらず寒い冬空
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明時あかときに 雨の降りなば 帰らずと 仮の宿り寝 後朝きぬぎぬの文
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冬季五輪まへに割り込む総選挙推し活たちに押されて滑り
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死の床をおもひうかべて(まだなにもわかつていないじやないか)と叫ぶ
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両の手で顔を覆って意識下の昏き小路を辿らんとする
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立春にこはるの様な赤子来て三歳の君姉さんになる
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のらぬ日に一駅前から朝散歩向かい風のに鼻歌をのせ
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四十前まつりごとは分からぬが子の明日のため分かるふりする
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早咲きの桜の木の枝確かめて只名ばかりの立春と知る
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十八歳じゅうはちの我らに教えし「たけませか」若き助教授リタイアと聞く/<撓み、傾斜角、曲げモーメント、剪断力、荷重>の頭文字
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聞き逃し ラジオ深夜便 朝に聞く 昭和の匂い  我、娘となる
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徴兵制復活しても私には資格ないだろうちてしやまむ
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いや違うオレの真意はこれこれと言うもずべては後の祭りか
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面並べる演説臺のたれかは嫉み読みて辿りぬわが闘争を
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東雲の庭に降り来し冬鳥の黒き瞳に日の映りおり
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許してね 鍵付き手帳に書いた夢 晒して笑う大人になったよ
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旧市街未来の候補は現れず蔦草絡む茶色いポスター
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ヒヨドリがほうれん草を食べに来る デイ友言いし如月の朝
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チョコ色のブルが散歩でおでこにはクリームみたいな雪をのっけて
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雪中花(水仙) ほころぶ睦月 流れゆく 春まだ遠き 季節と心
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寒空にスズメは丸く身を寄せて陽だまりひとつ私と分ける
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末娘のくれし毛糸の靴下を大事に履きこしがつひに穴あく
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追いかけて つかまえんとして 逃げられて 空に召されし 君の温もり
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若くなることはできないから呪うそんな大人になりたくなかった
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