おひるねは 怠惰ではない お仕事の能率を上げ 合理的なの
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いろいろな椿の花が咲いていてどの花もすこし傷ついている
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カルボキシメチルアラニルジスルフィドケラチン籠めし髪も今朝断つ
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怪獣の放射火炎が残る夜の乾いたままのおべんとうばこ
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コーパスをみそひともじに追い詰めて 逃れた音も抱きしめている
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はじめてを君にあげると言ったけど それが嘘だとキスで気づいて
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声殺し君がうなずく姿見て 満足したとシーツに沈む
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人口比興味の数と思い知る文字の大河に叫び流れて
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「本日は埼玉県の終了です」空から落ちるペンギンの群れ
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三日後にサルバトーレの姿なく 君が勝手に助かるんだよ
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求めてる、《へびつかい座のホットライン》あるいは《蚊の禿》の果てにある《玉》
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うたかたに文字禍X S Sは起きずふるいには紅玉のみがつややかに見ゆ
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知らぬ間に休みは勝ち取るものとなり モラトリアムは残り香も無し
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ゲーセンの壊れたレバー押したときたまにふりむくきみの清しさ
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素直さが無意味だと知る真夜中に あなたのことをなにも知らない
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何者にも規定されない時間こそ、第一等の輝きを得る
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ひとと待ち合わせる朝の 浮き上がる今日の世界は 肩よりも上
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文字列は手練手管の往来に七七狩りの足音を聴く
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変化なぞ死に続けてるのと同じだなんてことを考え生きた
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いかにして韃靼海峡渡りけむもろくはかなくしろきその翅
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心とは 記憶の中の紫陽花が現実よりも美しいこと
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二十九万二千二百五十六年後、元日朝九時前に逢おうよUNIX時間の果ての果ての果て、すべてのうたのおわりがそこに?
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人びとの残りをもとめ散る花の上を歩いてゆく鳩の群れ
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片耳にマスクをかけて池の面をながれる風に呼応している
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平凡でありきたりだと捨てた日が懐かしき詩の一節となる
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梅雨の時期はごめんよくせ毛 俺の性格がひねくれてしまったばっかりに
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「やっぱりね」 「人生なんて そんなもの」 気づかぬうちに  諦め上手
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進もうか きびすの先は 前後まえうしろ 歳の数だけ たおやかであれ
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賑やかな黄色帽子の一列を朝残る半月が見ている
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「もういいかい?」 空に向かって 叫んでみたら 「マダだ」と応える 君に問いたい  
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