幾多もの宴が消えたこの夜を嘲笑うよううなる雨風あめかぜ
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母と聴く 父の残したCDと 大人になった弟の声
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書き損じの履歴書たたみ 鍋敷に 正座して、いざ キムチチゲなり。
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上の子が 無視した助言 かたわらで 聞きし下の子 不言実行
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もちゃもちゃと歩く仔犬のまんまるいおしりを眺む転ばずにゆけ
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うわのそら春はハートのたがゆるみ満月さえもうわすべりする
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田舎道陽射しを浴びてひとり旅 蓮華の紫快晴の蒼
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岸壁の風に傾く舟宿のすすけし看板生業なりわいの後
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名前より長いあだ名をつけられて馴染めないまま忘れさられた
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二人して久しぶりだね カラオケのマイク握れば 隅っこに春
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「ママはどこ?ねえパパ!」「百合が綺麗だろ今年は肥料が良かったんだよ」
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雨音でお酒が進む休みの日。それはちょっとだけ寂しいお酒。
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探偵が追えど不敵な笑い声残して闇に消える怪人
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君の今 私がいなくて 回るなら 過去へ墜ちゆく あっという間に
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午後六時 おなかぺこぺこ キッチンへ 魔法の粉で からあげ揚げる
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水なしで飲めるやさしいおくすりの保証範囲はこの指の先
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あの人に貰ったお菓子のパッケージ、やっと捨てたよ。ハート型クッキー。
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絡み合う糸が解けぬ不器用を それを弱さと呼んでよいのか
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親戚と 子供の頃に よく会って あいだがあいて よく会う歳に
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一等星にはなれずとも大人びて微かに光る夜空のほくろ
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子らよ子らその温かき先生ひとの手に引かれ桜咲く道を進めよ進め
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誰にでも発達障害あるのでは お前はそうだとまず言われそう
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聞き慣れぬカタカナ食べた翌日のファミレスのパフェこころ喜ぶ
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八十で初婚の叔父に若菜摘む君がため 春の野にいでて 若菜摘む 我が衣手に雪は降りつつ 15/100 光孝天皇
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じいさまの御帰りを待つこの部屋のなんと淋しくなったものだろう
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ハイヒールそろそろ見かける季節にてミネラルウォーターエヴィアン選ぶ
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庭園の梅見上げては歩を進め池から浮かぶ緋鯉を見かけ
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鈴の鳴るドアある茶店今は無くスターバックスカップを捨てる
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白髪染め売り場の前で立ち止まる。これからもきっと、独りの暮らし。
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夕暮れに 染まるいつもの 帰り道 君の笑顔が ちょっと痛かった
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