午年は六十九になるけれど三十九の食欲ありて
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薮睨む前髪越しに春北斗ポケットの中ぐうを握る
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雪やこんこん あられやこんこん さっきからきみのマフラーくすぐったいな
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啓蟄けいちつに眠気まなこで夢語る 揺れる草木の影に踊らせ
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夜更けて車椅子より手を伸ばし 彼岸のつまの裾に触れけり            
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ルック バック ルック アヘッド! 躊躇なく 昨日を蹴って 今日を漕ぐ
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旅先で意気投合のあの人と一夜の恋が今プロポーズ
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世界平和なんて無理かも、ジョン・レノン。こんな小さな職場がギスギス。
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歌詠みは必然の網巻き上げて途方に暮れる漁師みたいだ
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連れ合いの笑顔見たさにふざけては笑われてこそなんぼのわたし
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ぽつぽつと小さき緑の見ゆる庭それでも明日からまた雪予報
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伊丹発福岡行きの定時便 洗濯物干す我を見下ろし
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手術中 静かな家族控室で飴ちゃん分け合う祈りの時間
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不揃ふぞろいな個性あふれる塩鮭しおゃけの重なる切り身に当たりやはずれ
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「良い母」も「良き妻」だって呪文です 励まし解くほど君はAI
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ターコイズブルーの髪のひと笑めばマリアの如き 居酒屋の春
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雨の日に 失う恋は 消しきれぬ いつかの君を「思ほゆるかな」
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カスハラから 社員を守る といふ企業 誠心誠意 謝罪しましたか 
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パイプオルガン聴きし御礼にいささかの寄付を振り込むガザを思いて /聖地の子どもを支える会
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傲慢になるな 怯えて震えつつ 切れば血が出るような言葉を
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素直たれと 名付けし親を 前にして 素直になれず また砂を噛む
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現実と離れた歪みで生きている 病だとしてただ息をしたい
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匂わせを封印するほど高まるの 拡散したい秘密の全て
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本当の出会いに別れは来ないなら その目で声でまた抱きしめて
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はつ春の証明として生まれゆく桃のケーキといちごのタルト
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好きな花一緒で嬉しかったのに 花言葉の意味「別れ」だなんて
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叶わない約束もまた星となり 出逢う時までひかり続けて
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道化師は 心の中では 泣いている けどみんなが笑う それで幸せ
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立春の まごうことなき 青いソファ 桜が似合う 優しい色だね
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春を待つ 息苦しさに 耐えかねて 枯れ木は雲を 咲かせたみたい
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