咲き満ちて 零れんばかりに 麗しき 風と戯れ 散りゆく清さ
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雨の音 煙るにおいと甘い味 みんなわたしを気にも留めない
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風生の 句のそのままに まさをなる 空よりさくら しだれつるかも /富安風生
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海と目を合わせなければ江ノ島は 迷子ばかりがいるような道
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運悪く嵐の中のお花見も花弁が傘を飾るからアリ
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好きだった彼女の声を聞きたくてまだ捨てきれず昔のガラケー
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憂鬱は雨降りだけのせいじゃなしミックスナッツとココアを摂ってる
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聞き慣れた 値上げインフレ 少子化も 現時点では 序の口という
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散ることもいとはぬ花の心もて世を尽くしてむ命なりせば
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連綿の 美しき御手(おて) 目に浮かび ひた待つ恋の歌 読み返す
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ぬくむ 孫娘まご住む場所とこの 川に入り 花筏はなとザリガニと 戯る写真ライン届く
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杜若かきつばた 躑躅つつじ 蒲公英たんぽぽ 不条理の漢字あれども歌楽しけれ
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年少の見知らぬ少女がジャージはき寝床に闖入する夢を見た
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回覧板 入れるにしては 難儀する 小洒落たポストと 格闘してきた
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不味そうだ カンブリア紀の 海の幸 寒鰤焼きつ 観るEテレ
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わたしからあなたの全てよ出てゆけと角質を落とすぽろぽろぽろと
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朝食のテーブルには「これ観てよ」と言わんばかりのリモコンがおり
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死を思う人よ生き死に自由なれど私はあなたの居る世界を望む
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菜の花に ひらりひらりと 戯れる モンシロチョウの 美しいこと
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飾りギター君がせがんだイエスタデイ Fに痺れたLoveの想い出
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現世で 能ある人に まことなく 足を洗えよ 分相応に
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散る桜 残る桜も 散る桜 泡の如くに 夢の如くなり
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そりゃああなた持ってるやつが「持つな」って云うから八十年不均衡
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春なれば 『田村』謡うと 取り上げし 和綴の本の 紐切れて居り /観世流大成版謡本
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ああ、これで一冊目の歌集がつくれます製本はしまうまフォトブックで
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砂浜の君の足跡波に消え無邪気な声にかぶる潮騒
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十津川の緑青色ろくしょういろは夏を呼び 戸惑う桜は春を終ふ
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春うらら 春一番に 桜舞う そよ風に乗り あなたのもとへ
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米国に 加担はしない 抗議する 絶対見ない メジャーリーグ
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ひとつだけ 赤きアネモネ 風に揺れ 菜種に染まる朝の庭先
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