Utakata
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もういない人の好みの味付けで 私のために作る肉じゃが
32
二組の万年布団の片方が謝るように畳まれている
27
木々の
音
(
ね
)
の静けさそよぐ曇り日は葉の色合いもどこか安らか
16
万葉の 人の嘆きを詠めばなほ 千の月日も 人は変わらじ
33
にょきにょきと 立派なアスパラ顔を出す 心と身体に 元気チャージ
19
花火など鳴って何かの催事かと思いつ母の
襁褓
(
おしめ
)
を替える
31
青天が爽やかよりも汗を呼び 春の終わりを夏が追い越す
27
大楠の洞に入りて息ひそめ樹齢に滲む樟脳のかほり
16
腐れ縁憎まれ口と減らず口破れ鍋一つ綴じ蓋一つ
18
味つけはせめて日毎に変えたいの今日は酢味噌で明日はごま和え
18
サワガニが横に進んだ道なりを 前に進んで追いかけて行く
12
外来をすませ医局で一服し「一日一首」に生き甲斐おぼゆ
17
風薫り妻には妻の予定でき子どもとべつで集うママ友
13
叡山で消火訓練やってたよまだ信長が怖いんだなあ
15
春麗ら 予定も無い日を 子と過ごす ありふれた日々 いつもの笑顔
15
ホッピーのグラスの先に青い夜 カフェーテラスのない浅草で
10
雨だから君が頭痛にならないか心配をした 変わる信号
11
君の居ぬ間に食べる辛ラーメン ひとり暮らしの風が吹く夜
10
春なのに 寒く冬服 春服を 交互に着ては 衣変えれず
16
旅終えて 帰れば我が街輝きて 凡庸で良し 我の居場所は
15
現実を受け止められず左折した広がる原野に希望は見えず
8
黄砂去り涼しき北鎮桜舞う ひとり歩けし笑顔多き午後
8
ぽつとぽつ 草木が「降るぞ」と噂して 私は散歩の
踵
(
きびす
)
をかえす
9
指切りをする手が蝶に見えるから交わしたあとは春野に逃がす
35
天井が回るということを比喩でなく体現した朝五時のこと
12
ころころと進む道で立ち止まりアイスが溶ける方角を見る
7
たらればに縋る毎日もう二度と 分岐できない過去にサヨナラ
7
高原はなお裸木のまさる頃 牧場に幽か
早緑
(
さみどり
)
萌ゆる
22
釣り銭の 正しき額を 差し出せず 財布を我に 開きし老婆
8
やは肌の君の血潮も映らない写真にいいねを付けない指紋
15
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