菩提寺の桜今年も咲き初むる巡る季節と流るる時と
39
密やかに にほへば春や 沈丁花 を探せよと 囁くがごと
23
見た目には元気に見えども痛み持つ ある者体にある者心に
29
さくら草 二十二才の君に似て澄まし顔した夢が揺れてる
25
気が付けば 桜満開 春の陽が 優しく注ぐ 引越し日和
28
背景に舞い散る花びら美しく少し気も散るラインの画面
23
さわさわと寒の戻りの雪柳 名に負ふ白さ気高く揺らし
26
吐き出して 三十一文字に詰め込んだ 俺のいを おまえにやろう
12
図書室にオアシスを見た青春のセピアの日々に抒情のそよぐ
21
て返る弥生 乗り越え 寒いとも なにも言わずに 開花す桜
27
コンビニの前の空き地に一面の紫の花 しばし見とれる
21
帰宅してぼっとしながら気がつけば手洗いしてる染みた習慣
20
帰り際 角曲がるまで 見送って 手を振る父に 祖母のおもかげ
21
若者は言葉を多く盛りたがり 老人は形容詞を使いたがり
8
球根は起きたいだろう尺余の雪積む庭にまた雪が降る
22
曇天にかすみし花の色寒く弥生の月のついたちの月
18
想像の十倍怖かった先生の死に顔は想像の十倍優しい
5
幸せの定義はなんだ問い掛けて多分答えは生涯出なくて
8
山を行けば幹に苔生す桜ありて少し咲く花に風は冷たし
13
ドクドクと心臓は言うああそうかほんとはきっと毒なんだ血は
5
君がおく パンプスのなか白々と 白蛇のごとく 我をからめとる
4
血まみれのリバーシブルのジャンパーを反対に着て校門を出る
4
映画館君が画面に映る度 輝く光が僕には眩しく
4
ヒーローが目の前にいる興奮とそれを分かち合える喜びと
4
アメンボにトンボにカエルも歌いだす 愛しきイエス我らはここに
4
もう会えぬ 会うこともない 悲しみを 覆い隠して 生きてゆくだけ
4
あのとき渡した百数十円今は足りない自販機のコーラ
4
ありがとう僕もうあなたなしだって生きていけるよさよなら のリム
4
矛盾しかない行動にピンと来ず 理解できても ただ不快です
4
さくらさんだっただろうか教室のどこにいたってきみを見ていた
4