Utakata
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平蓮世 たいらはすよ
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尾で我の脛を弾きて行き過ぐる猫の斜影の笑ふがごとし
9
一日
(
ひとひ
)
にはひとつの仕事をなせば良し
無聊
(
ぶれう
)
に
欠伸
(
あくび
)
のひとつでもして
8
軒下にスズランテープを巻き込みし洒落た
玄鳥
(
つばめ
)
の巣に雛が鳴く
12
やうやくに
贖
(
あがな
)
ふ味噌の瓶蓋を難なく開くる
夫
(
つま
)
に嫉妬す
8
にはか雨明ければ白き土用波ペットボトルを強く揺らしつ
9
流燈
(
りゅうとう
)
の流れに添ひて来る秋を拒みて三度岸を
啄
(
つつ
)
く葉
15
傘をさし行き交ふ人を見下ろせば影にし覚ゆ夏の炎帝
13
いわさきの絵を観てかへれば青の顕つ光零るる群木をゆけり
9
いつのまに好み変はりしネクタイの吾子のつまみし中トロ鉄火
13
親ガチャと言ひし
朝
(
あした
)
と言はれし
夜
(
よ
)
終はらぬ縁の呼子鳥鳴く
13
迷信に形のなきと丙午ひとりお七の
眷恋
(
けんれん
)
思ふ [題詠 午 今年の出生数は微減ときく]
8
万緑をロープウェイにて眺むれば枯れたる杉のシミとして在る
10
照明を落とせば非常口のあをぼんやり浮かびて夜のこごれり
12
そらに浮く波紋となりて土星の環たれか投げたる石のありしか [題詠 環]
10
青田なる
久延毘古
(
くえびこ
)
の身にそよぎたる縞のチーフの光ほどけり
9
見上げれば蛍光灯は身じろがず白夜とならむ書類の上へ
10
菩提寺の境内占むるキッチンカー
市
(
いち
)
をマルシェと迎へし杜や
9
梅雨の傘たためばざぶと落つる雨軒下の石しとどに濡れぬ
9
祭日の提灯並ぶごとくあり
千成枸杞
(
せんなりくこ
)
は
夜
(
よ
)
に灯るらむ
13
裏返せば糸のほつるる縫ひ代の紺の際だち古き上着は
8
あさぼらけ鞘なる我が背見えねばや 我に
刀子
(
たうす
)
は危ふきものを [題詠 刀子]
6
雨近しせはしくなりぬ風鈴の音も孕みし
酸漿
(
ほほづき
)
の殻
14
春駒に袖振り明かし人々の喉を潤す水舟の水
9
石鹸の歌うたひつつ子と湯浴み石から生まれし泡にまみれて
14
大雨に水面となりし車道ゆく靴の片方口を開けつつ
11
馬鈴薯に
利
(
と
)
き包丁の刃元あて病巣削ぐごと小さき芽を取る
23
雌だけに赤き実ひしと
簇
(
むら
)
がりて
梅嫌
(
うめもどき
)
の冬さかりとなりぬ [題詠 嫌]
8
モンステラ
破葉
(
やれば
)
の隙に空を置きカラーチャートのごとく並べり
8
生
(
あ
)
れし時
逆
(
さか
)
ひて浮かぶシャボン玉追ふ子の指もふはりと
躱
(
かは
)
す
9
誓ひゐし旧館の壁にアイビーはまう離さずと
許
(
ばか
)
りに伸びぬ
8
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