Utakata
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平蓮世
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鉄道の韻律わが身抜けゆきて乱るる魂は歌ひそめにき
7
葉桜に囲まれ匂ひしるく立つ
突羽根
(
つくばね
)
の木へ蟻の一筋
14
マシュマロのはずんだやうに「ぼくもすき」愛しさ増せるホワイトデーかな
8
シシリーの絵画のごとき春装の吾子鍵を開け朝日子となる
10
ハウスにて出番を待てる苗障子 待ちわぶ
蝌蚪
(
かと
)
の揺らす青水
16
春雨のまた降り出でて
川面
(
かわづら
)
にいざよふ空を傘に振り切る
12
嘘じゃなく約束でもない寄せ書きの余白に春が着地している
15
特攻の記憶を抱きて五歳の
児
(
こ
)
前世をマリアに委ねて泣けり
10
人並みに生きむとすれば遠ざかる里の
欅
(
けやき
)
のうろ風の鳴る
17
白髪を櫛けづる手もおぼつかぬ老ひが養ふ子の
五十
(
ごじう
)
かな \8050問題
15
爆撃の報せ聞きつつ
朝餉
(
あさげ
)
食み平穏といふ常を知るらむ
11
水銀の禍まがしきを振り下ろす体温計の熱日の記憶
12
「あの件」と一行のみのメールには余白に語るにべもなし 恋
7
初孫を抱けばミルクの匂ひして「あ」と「ぶ」でかぞふ雛人形ゐ
13
トレンドに「戦争とめて来る」とあり卵の殻を
忙
(
せは
)
しく割りぬ
12
抱かるる稚児の指さす若葉へと春はたをやに森ひらけゆく
11
初節句よみつ
軍
(
いくさ
)
を
却
(
しりぞ
)
けし桃の力に君を護らむ
15
身熱
(
みのねつ
)
す
児
(
こ
)
を乗せ急げば看板の問ひに惑ひて右左へと
11
泥濁る溝に
小蝦
(
ざりがに
)
釣りし日は舗道となりて靴音の
下
(
もと
)
16
遮断機の音の
僻
(
ひが
)
むるつかの間に
辛夷
(
こぶし
)
は銀の産毛ふふめり [題詠 辛]
9
明治には身思ふ声を繋ぎしか音の遺産の壱号電話 [題詠 電話]
9
手水舎
(
てみずや
)
に澄みて流るる一片のわづらひ 共に目は見ぬままに
10
前髪に予報に
違
(
たが
)
ふる雪
触
(
さや
)
ぐ 凍つる美濃路の濁り酒かな
13
席を去る人の
背
(
せな
)
にし履歴とは
誰
(
たれ
)
かと共に在りし日ならむ
14
あどけなき
貌
(
かほ
)
を見せつつ
足下
(
あしもと
)
はわがものとせし悪茄子かな
8
落書きの竹の
生命
(
いのち
)
を削りしがともに枯れゆく傷深くして
12
弾かれるやうに車両を抜け出せば肺の奥より息吹返れり
14
まどんなと呼ばれし蜜柑いくかして萎むを見れば萬の元に
12
歯に脆きポン菓子の板 零るれば 多分を鳩の糧に
頒
(
わか
)
てり
12
味もなき白湯をすすりて酸ひ甘ひわが身の内の塩梅を知る
20
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