平蓮世
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投稿数
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ふぃーふぃーと鳴くうその声口笛に似てゐるやうな午後の陽だまり
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瓢箪の湧き水を飲む僕の傍 溺れたシダを掬ふ手白く
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東京の双子パンダの帰りゆく「人寄せパンダ」と辞書に遺して  [題詠 東京]
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ウィンドウのうつしぬかに重なれりバーゲンセールの文字赤赤と
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春の旬賑はふあとの食卓の皿をパズルのやうに重ねる
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蒲公英たんぽぽや庭に届きしわたひとつ植ゑてブタナと知りぬ粗毛あらげ
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豪州の肉を噛みつつ和牛とはかくも遠きか年金の日々
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ははそはの母の湯湯婆ゆたんぽしまはれて一万日の日はめくらるる
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​葉桜となりにけるかもわが恋はふりにしのちも世はあをくして [ 題詠 葉桜]
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土に舞ふ花弁さへも溝口の定まるところを知るがごとくに
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一年ひととせに一度の福運なる日には列をなしたり来ぬを求め
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古寺の門をくぐれば背伸びすと四方よもを眺めるみつまたの花
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菜の花のこうに酔ひつつ螺旋なす蝶や現と夢のあはひに
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藤壺の花の重荷と伏す影の深きを君は踏みて行くらむ 〈題詠 壺〉
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青銅からかね馬車くるまの守る火の影は八百の結びを誓ひし聖火
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校庭にゲートボールの輪ありて子ら混じりゐる放課後の風
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たまさかに友とあふ日にくたびれし葱と歩けり古着など着て
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戦国の石高ならむ米足らず令和に知るや農のたふとさ
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鉄道の韻律わが身抜けゆきて乱るる魂は歌ひそめにき
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葉桜に囲まれ匂ひしるく立つ突羽根つくばねの木へ蟻の一筋
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マシュマロのはずんだやうに「ぼくもすき」愛しさ増せるホワイトデーかな
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シシリーの絵画のごとき春装の吾子鍵を開け朝日子となる
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ハウスにて出番を待てる苗障子 待ちわぶ蝌蚪かとの揺らす青水
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春雨のまた降り出でて川面かわづらにいざよふ空を傘に振り切る
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嘘じゃなく約束でもない寄せ書きの余白に春が着地している
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特攻の記憶を抱きて五歳の 前世をマリアに委ねて泣けり
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人並みに生きむとすれば遠ざかる里のけやきのうろ風の鳴る
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白髪を櫛けづる手もおぼつかぬ老ひが養ふ子の五十ごじうかな \8050問題
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爆撃の報せ聞きつつ朝餉あさげ食み平穏といふ常を知るらむ
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水銀の禍まがしきを振り下ろす体温計の熱日の記憶
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