平蓮世 たいらはすよ
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梅雨の傘たためばざぶと落つる雨軒下の石しとどに濡れぬ
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祭日の提灯並ぶごとくあり千成枸杞せんなりくこに灯るらむ
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裏返せば糸のほつるる縫ひ代の紺の際だち古き上着は
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あさぼらけ鞘なる我が背見えねばや 我に刀子たうすは危ふきものを   [題詠  刀子]
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雨近しせはしくなりぬ風鈴の音も孕みし酸漿ほほづきの殻
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春駒に袖振り明かし人々の喉を潤す水舟の水
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石鹸の歌うたひつつ子と湯浴み石から生まれし泡にまみれて
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大雨に水面となりし車道ゆく靴の片方口を開けつつ
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馬鈴薯にき包丁の刃元あて病巣削ぐごと小さき芽を取る
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雌だけに赤き実ひしとむらがりて梅嫌うめもどきの冬さかりとなりぬ  [題詠 嫌]
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モンステラ破葉やればの隙に空を置きカラーチャートのごとく並べり
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れし時さかひて浮かぶシャボン玉追ふ子の指もふはりとかは
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誓ひゐし旧館の壁にアイビーはまう離さずとばかりに伸びぬ
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パンケーキ今日も作りしターナーの隙間に見ゆる穴だらけの世
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地下鉄の闇は見てをり糸切れてなほ立ち揺るる木偶でくなる我を
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落つる実を数へて歩む曇日の単行本ほど重たき脳よ
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失せぬやう付けし鈴なる定番も今では熊を避くるため付く
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好物を作れば晩の電話鳴りかひあるべくもなき湯を沸かす
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炙られし桑名はまぐり口を開く中也の夜もかく暗かりしか
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結ばれし御籤に紛るる吉の字の加護は問はれず寒風に揺る
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馬鈴薯のもはらに伸ばす紫の毒は誰へと向かひゐるらむ
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東京の双子パンダの帰りゆく「人寄せパンダ」と辞書に遺して  [題詠 東京]
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ウィンドウのうつしぬかに重なれりバーゲンセールの文字赤赤と
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春の旬賑はふあとの食卓の皿をパズルのやうに重ねる
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蒲公英たんぽぽや庭に届きしわたひとつ植ゑてブタナと知りぬ粗毛あらげ
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豪州の肉を噛みつつ和牛とはかくも遠きか年金の日々
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ははそはの母の湯湯婆ゆたんぽしまはれて一万日の日はめくらるる
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土に舞ふ花弁さへも溝口の定まるところを知るがごとくに
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一年ひととせに一度の福運なる日には列をなしたり来ぬを求め
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古寺の門をくぐれば背伸びすと四方よもを眺めるみつまたの花
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