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平蓮世 たいらはすよ
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梅雨の傘たためばざぶと落つる雨軒下の石しとどに濡れぬ
7
祭日の提灯並ぶごとくあり
千成枸杞
(
せんなりくこ
)
は
夜
(
よ
)
に灯るらむ
13
裏返せば糸のほつるる縫ひ代の紺の際だち古き上着は
9
あさぼらけ鞘なる我が背見えねばや 我に
刀子
(
たうす
)
は危ふきものを [題詠 刀子]
7
雨近しせはしくなりぬ風鈴の音も孕みし
酸漿
(
ほほづき
)
の殻
13
春駒に袖振り明かし人々の喉を潤す水舟の水
10
石鹸の歌うたひつつ子と湯浴み石から生まれし泡にまみれて
15
大雨に水面となりし車道ゆく靴の片方口を開けつつ
11
馬鈴薯に
利
(
と
)
き包丁の刃元あて病巣削ぐごと小さき芽を取る
24
雌だけに赤き実ひしと
簇
(
むら
)
がりて
梅嫌
(
うめもどき
)
の冬さかりとなりぬ [題詠 嫌]
9
モンステラ
破葉
(
やれば
)
の隙に空を置きカラーチャートのごとく並べり
9
生
(
あ
)
れし時
逆
(
さか
)
ひて浮かぶシャボン玉追ふ子の指もふはりと
躱
(
かは
)
す
10
誓ひゐし旧館の壁にアイビーはまう離さずと
許
(
ばか
)
りに伸びぬ
9
パンケーキ今日も作りしターナーの隙間に見ゆる穴だらけの世
11
地下鉄の闇は見てをり糸切れてなほ立ち揺るる
木偶
(
でく
)
なる我を
9
落つる実を数へて歩む曇日の単行本ほど重たき脳よ
12
失せぬやう付けし鈴なる定番も今では熊を避くるため付く
10
好物を作れば晩の電話鳴りかひあるべくもなき湯を沸かす
7
炙られし桑名はまぐり口を開く中也の夜もかく暗かりしか
9
結ばれし御籤に紛るる吉の字の加護は問はれず寒風に揺る
11
馬鈴薯のもはらに伸ばす紫の毒は誰へと向かひゐるらむ
9
東京の双子パンダの帰りゆく「人寄せパンダ」と辞書に遺して [題詠 東京]
15
ウィンドウの
写
(
うつし
)
の
額
(
ぬか
)
に重なれりバーゲンセールの文字赤赤と
8
春の旬賑はふあとの食卓の皿をパズルのやうに重ねる
16
蒲公英
(
たんぽぽ
)
や庭に届きし
絮
(
わた
)
ひとつ植ゑてブタナと知りぬ
粗毛
(
あらげ
)
に
12
豪州の肉を噛みつつ和牛とはかくも遠きか年金の日々
19
ははそはの母の
湯湯婆
(
ゆたんぽ
)
しまはれて一万日の日は
捲
(
めく
)
らるる
11
土に舞ふ花弁さへも溝口の定まるところを知るがごとくに
11
一年
(
ひととせ
)
に一度の福運なる日には列をなしたり来ぬ
生
(
よ
)
を求め
9
古寺の門をくぐれば背伸びすと
四方
(
よも
)
を眺めるみつまたの花
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