Utakata
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平蓮世
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ふぃーふぃーと鳴く
鷽
(
うそ
)
の声口笛に似てゐるやうな午後の陽だまり
14
瓢箪の湧き水を飲む僕の傍 溺れたシダを掬ふ手白く
16
東京の双子パンダの帰りゆく「人寄せパンダ」と辞書に遺して [題詠 東京]
14
ウィンドウの
写
(
うつし
)
の
額
(
ぬか
)
に重なれりバーゲンセールの文字赤赤と
9
春の旬賑はふあとの食卓の皿をパズルのやうに重ねる
15
蒲公英
(
たんぽぽ
)
や庭に届きし
絮
(
わた
)
ひとつ植ゑてブタナと知りぬ
粗毛
(
あらげ
)
に
12
豪州の肉を噛みつつ和牛とはかくも遠きか年金の日々
20
ははそはの母の
湯湯婆
(
ゆたんぽ
)
しまはれて一万日の日は
捲
(
めく
)
らるる
11
葉桜となりにけるかもわが恋はふりにしのちも世はあをくして [ 題詠 葉桜]
10
土に舞ふ花弁さへも溝口の定まるところを知るがごとくに
13
一年
(
ひととせ
)
に一度の福運なる日には列をなしたり来ぬ
生
(
よ
)
を求め
10
古寺の門をくぐれば背伸びすと
四方
(
よも
)
を眺めるみつまたの花
15
菜の花の
香
(
こう
)
に酔ひつつ螺旋なす蝶や現と夢のあはひに
17
藤壺の花の重荷と伏す影の深きを君は踏みて行くらむ 〈題詠 壺〉
13
青銅
(
からかね
)
の
馬車
(
くるま
)
の守る火の影は八百の結びを誓ひし聖火
11
校庭にゲートボールの輪ありて子ら混じりゐる放課後の風
15
たまさかに友とあふ日にくたびれし葱と歩けり古着など着て
18
戦国の石高ならむ米足らず令和に知るや農のたふとさ
12
鉄道の韻律わが身抜けゆきて乱るる魂は歌ひそめにき
11
葉桜に囲まれ匂ひしるく立つ
突羽根
(
つくばね
)
の木へ蟻の一筋
15
マシュマロのはずんだやうに「ぼくもすき」愛しさ増せるホワイトデーかな
11
シシリーの絵画のごとき春装の吾子鍵を開け朝日子となる
12
ハウスにて出番を待てる苗障子 待ちわぶ
蝌蚪
(
かと
)
の揺らす青水
19
春雨のまた降り出でて
川面
(
かわづら
)
にいざよふ空を傘に振り切る
14
嘘じゃなく約束でもない寄せ書きの余白に春が着地している
17
特攻の記憶を抱きて五歳の
児
(
こ
)
前世をマリアに委ねて泣けり
12
人並みに生きむとすれば遠ざかる里の
欅
(
けやき
)
のうろ風の鳴る
19
白髪を櫛けづる手もおぼつかぬ老ひが養ふ子の
五十
(
ごじう
)
かな \8050問題
18
爆撃の報せ聞きつつ
朝餉
(
あさげ
)
食み平穏といふ常を知るらむ
13
水銀の禍まがしきを振り下ろす体温計の熱日の記憶
12
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