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平蓮世 たいらはすよ
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爆撃の報せ聞きつつ
朝餉
(
あさげ
)
食み平穏といふ常を知るらむ
11
水銀の禍まがしきを振り下ろす体温計の熱日の記憶
11
初孫を抱けばミルクの匂ひして「あ」と「ぶ」でかぞふ雛人形ゐ
12
トレンドに「戦争とめて来る」とあり卵の殻を
忙
(
せは
)
しく割りぬ
12
抱かるる稚児の指さす若葉へと春はたをやに森ひらけゆく
10
初節句よみつ
軍
(
いくさ
)
を
却
(
しりぞ
)
けし桃の力に君を護らむ
13
身熱
(
みのねつ
)
す
児
(
こ
)
を乗せ急げば看板の問ひに惑ひて右左へと
9
泥濁る溝に
小蝦
(
ざりがに
)
釣りし日は舗道となりて靴音の
下
(
もと
)
14
遮断機の音の
僻
(
ひが
)
むるつかの間に
辛夷
(
こぶし
)
は銀の産毛ふふめり [題詠 辛]
6
明治には身思ふ声を繋ぎしか音の遺産の壱号電話 [題詠 電話]
7
手水舎
(
てみずや
)
に澄みて流るる一片のわづらひ 共に目は見ぬままに
9
前髪に予報に
違
(
たが
)
ふる雪
触
(
さや
)
ぐ 凍つる美濃路の濁り酒かな
10
席を去る人の
背
(
せな
)
にし履歴とは
誰
(
たれ
)
かと共に在りし日ならむ
11
あどけなき
貌
(
かほ
)
を見せつつ
足下
(
あしもと
)
はわがものとせし悪茄子かな
8
落書きの竹の
生命
(
いのち
)
を削りしがともに枯れゆく傷深くして
11
弾かれるやうに車両を抜け出せば肺の奥より息吹返れり
14
まどんなと呼ばれし蜜柑いくかして萎むを見れば萬の元に
11
歯に脆きポン菓子の板 零るれば 多分を鳩の糧に
頒
(
わか
)
てり
11
味もなき白湯をすすりて酸ひ甘ひわが身の内の塩梅を知る
19
フレームにわがものとせし化石には一千万と我の
二年
(
ふたとせ
)
12
電話置き空のけはひを伺へば凍つる奥羽の
雪解
(
ゆきげ
)
は遠く
13
アムール・ド・ショコラの熱ゆ這ひ出でて身に冴ゆる気や 冬の望月
9
玻璃
(
はり
)
かこむ鉛はその美に沿ひてありおのが重さを知らぬがごとく
12
解けきらぬ霜を踏みゆき貼り紙の冬物在庫一掃セール
9
電話口怒鳴られてゐるあひだにも思考は既に特売の棚
9
銀行の辻に人波たうたうと 資本の熱の
循
(
めぐ
)
りは止まず
9
値札だけ静かに替はり昨日とは重さの違ふ買ひ物籠や
13
円高とニュースは告げる夕餉には安くなりたるものは並ばず
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