Utakata
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平蓮世 たいらはすよ
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炙られし桑名はまぐり口を開く中也の夜もかく暗かりしか
9
結ばれし御籤に紛るる吉の字の加護は問はれず寒風に揺る
11
馬鈴薯のもはらに伸ばす紫の毒は誰へと向かひゐるらむ
9
東京の双子パンダの帰りゆく「人寄せパンダ」と辞書に遺して [題詠 東京]
15
ウィンドウの
写
(
うつし
)
の
額
(
ぬか
)
に重なれりバーゲンセールの文字赤赤と
8
春の旬賑はふあとの食卓の皿をパズルのやうに重ねる
16
蒲公英
(
たんぽぽ
)
や庭に届きし
絮
(
わた
)
ひとつ植ゑてブタナと知りぬ
粗毛
(
あらげ
)
に
12
豪州の肉を噛みつつ和牛とはかくも遠きか年金の日々
19
ははそはの母の
湯湯婆
(
ゆたんぽ
)
しまはれて一万日の日は
捲
(
めく
)
らるる
11
土に舞ふ花弁さへも溝口の定まるところを知るがごとくに
11
一年
(
ひととせ
)
に一度の福運なる日には列をなしたり来ぬ
生
(
よ
)
を求め
9
古寺の門をくぐれば背伸びすと
四方
(
よも
)
を眺めるみつまたの花
14
藤壺の花の重荷と伏す影の深きを君は踏みて行くらむ 〈題詠 壺〉
12
青銅
(
からかね
)
の
馬車
(
くるま
)
の守る火の影は八百の結びを誓ひし聖火
10
たまさかに友とあふ日にくたびれし葱と歩けり古着など着て
17
戦国の石高ならむ米足らず令和に知るや農のたふとさ
11
鉄道の韻律わが身抜けゆきて乱るる魂は歌ひそめにき
11
葉桜に囲まれ匂ひしるく立つ
突羽根
(
つくばね
)
の木へ蟻の一筋
13
マシュマロのはずんだやうに「ぼくもすき」愛しさ増せるホワイトデーかな
10
シシリーの絵画のごとき春装の吾子鍵を開け朝日子となる
11
ハウスにて出番を待てる苗障子 待ちわぶ
蝌蚪
(
かと
)
の揺らす青水
18
春雨のまた降り出でて
川面
(
かわづら
)
にいざよふ空を傘に振り切る
14
特攻の記憶を抱きて五歳の
児
(
こ
)
前世をマリアに委ねて泣けり
11
人並みに生きむとすれば遠ざかる里の
欅
(
けやき
)
のうろ風の鳴る
18
白髪を櫛けづる手もおぼつかぬ老ひが養ふ子の
五十
(
ごじう
)
かな \8050問題
16
爆撃の報せ聞きつつ
朝餉
(
あさげ
)
食み平穏といふ常を知るらむ
12
水銀の禍まがしきを振り下ろす体温計の熱日の記憶
12
初孫を抱けばミルクの匂ひして「あ」と「ぶ」でかぞふ雛人形ゐ
13
トレンドに「戦争とめて来る」とあり卵の殻を
忙
(
せは
)
しく割りぬ
12
抱かるる稚児の指さす若葉へと春はたをやに森ひらけゆく
11
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