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平蓮世 たいらはすよ
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藤壺の花の重荷と伏す影の深きを君は踏みて行くらむ 〈題詠 壺〉
12
青銅
(
からかね
)
の
馬車
(
くるま
)
の守る火の影は八百の結びを誓ひし聖火
10
たまさかに友とあふ日にくたびれし葱と歩けり古着など着て
17
戦国の石高ならむ米足らず令和に知るや農のたふとさ
11
鉄道の韻律わが身抜けゆきて乱るる魂は歌ひそめにき
11
葉桜に囲まれ匂ひしるく立つ
突羽根
(
つくばね
)
の木へ蟻の一筋
13
マシュマロのはずんだやうに「ぼくもすき」愛しさ増せるホワイトデーかな
10
シシリーの絵画のごとき春装の吾子鍵を開け朝日子となる
11
ハウスにて出番を待てる苗障子 待ちわぶ
蝌蚪
(
かと
)
の揺らす青水
18
春雨のまた降り出でて
川面
(
かわづら
)
にいざよふ空を傘に振り切る
14
特攻の記憶を抱きて五歳の
児
(
こ
)
前世をマリアに委ねて泣けり
11
人並みに生きむとすれば遠ざかる里の
欅
(
けやき
)
のうろ風の鳴る
18
白髪を櫛けづる手もおぼつかぬ老ひが養ふ子の
五十
(
ごじう
)
かな \8050問題
16
爆撃の報せ聞きつつ
朝餉
(
あさげ
)
食み平穏といふ常を知るらむ
11
水銀の禍まがしきを振り下ろす体温計の熱日の記憶
11
初孫を抱けばミルクの匂ひして「あ」と「ぶ」でかぞふ雛人形ゐ
13
トレンドに「戦争とめて来る」とあり卵の殻を
忙
(
せは
)
しく割りぬ
12
抱かるる稚児の指さす若葉へと春はたをやに森ひらけゆく
11
初節句よみつ
軍
(
いくさ
)
を
却
(
しりぞ
)
けし桃の力に君を護らむ
14
身熱
(
みのねつ
)
す
児
(
こ
)
を乗せ急げば看板の問ひに惑ひて右左へと
10
泥濁る溝に
小蝦
(
ざりがに
)
釣りし日は舗道となりて靴音の
下
(
もと
)
15
遮断機の音の
僻
(
ひが
)
むるつかの間に
辛夷
(
こぶし
)
は銀の産毛ふふめり [題詠 辛]
7
明治には身思ふ声を繋ぎしか音の遺産の壱号電話 [題詠 電話]
8
手水舎
(
てみずや
)
に澄みて流るる一片のわづらひ 共に目は見ぬままに
9
前髪に予報に
違
(
たが
)
ふる雪
触
(
さや
)
ぐ 凍つる美濃路の濁り酒かな
11
席を去る人の
背
(
せな
)
にし履歴とは
誰
(
たれ
)
かと共に在りし日ならむ
12
あどけなき
貌
(
かほ
)
を見せつつ
足下
(
あしもと
)
はわがものとせし悪茄子かな
8
落書きの竹の
生命
(
いのち
)
を削りしがともに枯れゆく傷深くして
11
弾かれるやうに車両を抜け出せば肺の奥より息吹返れり
13
まどんなと呼ばれし蜜柑いくかして萎むを見れば萬の元に
11
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