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平蓮世 たいらはすよ
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馬鈴薯に
利
(
と
)
き包丁の刃元あて病巣削ぐごと小さき芽を取る
23
雌だけに赤き実ひしと
簇
(
むら
)
がりて
梅嫌
(
うめもどき
)
の冬さかりとなりぬ [題詠 嫌]
8
モンステラ
破葉
(
やれば
)
の隙に空を置きカラーチャートのごとく並べり
8
生
(
あ
)
れし時
逆
(
さか
)
ひて浮かぶシャボン玉追ふ子の指もふはりと
躱
(
かは
)
す
9
誓ひゐし旧館の壁にアイビーはまう離さずと
許
(
ばか
)
りに伸びぬ
8
パンケーキ今日も作りしターナーの隙間に見ゆる穴だらけの世
10
地下鉄の闇は見てをり糸切れてなほ立ち揺るる
木偶
(
でく
)
なる我を
8
落つる実を数へて歩む曇日の単行本ほど重たき脳よ
11
失せぬやう付けし鈴なる定番も今では熊を避くるため付く
9
好物を作れば晩の電話鳴りかひあるべくもなき湯を沸かす
8
炙られし桑名はまぐり口を開く中也の夜もかく暗かりしか
8
結ばれし御籤に紛るる吉の字の加護は問はれず寒風に揺る
10
馬鈴薯のもはらに伸ばす紫の毒は誰へと向かひゐるらむ
9
東京の双子パンダの帰りゆく「人寄せパンダ」と辞書に遺して [題詠 東京]
14
ウィンドウの
写
(
うつし
)
の
額
(
ぬか
)
に重なれりバーゲンセールの文字赤赤と
8
春の旬賑はふあとの食卓の皿をパズルのやうに重ねる
15
蒲公英
(
たんぽぽ
)
や庭に届きし
絮
(
わた
)
ひとつ植ゑてブタナと知りぬ
粗毛
(
あらげ
)
に
12
豪州の肉を噛みつつ和牛とはかくも遠きか年金の日々
18
ははそはの母の
湯湯婆
(
ゆたんぽ
)
しまはれて一万日の日は
捲
(
めく
)
らるる
11
土に舞ふ花弁さへも溝口の定まるところを知るがごとくに
10
一年
(
ひととせ
)
に一度の福運なる日には列をなしたり来ぬ
生
(
よ
)
を求め
8
古寺の門をくぐれば背伸びすと
四方
(
よも
)
を眺めるみつまたの花
13
藤壺の花の重荷と伏す影の深きを君は踏みて行くらむ 〈題詠 壺〉
11
青銅
(
からかね
)
の
馬車
(
くるま
)
の守る火の影は八百の結びを誓ひし聖火
10
たまさかに友とあふ日にくたびれし葱と歩けり古着など着て
16
戦国の石高ならむ米足らず令和に知るや農のたふとさ
10
鉄道の韻律わが身抜けゆきて乱るる魂は歌ひそめにき
10
葉桜に囲まれ匂ひしるく立つ
突羽根
(
つくばね
)
の木へ蟻の一筋
12
マシュマロのはずんだやうに「ぼくもすき」愛しさ増せるホワイトデーかな
10
シシリーの絵画のごとき春装の吾子鍵を開け朝日子となる
10
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