平蓮世
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投稿数
57
「あの件」と一行のみのメールには余白に語るにべもなし 恋
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​初孫を抱けばミルクの匂ひして「あ」と「ぶ」でかぞふ雛人形ゐ
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トレンドに「戦争とめて来る」とあり卵の殻をせはしく割りぬ
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抱かるる稚児の指さす若葉へと春はたをやに森ひらけゆく
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​初節句よみついくさしりぞけし桃の力に君を護らむ
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身熱みのねつを乗せ急げば看板の問ひに惑ひて右左へと
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泥濁る溝に小蝦ざりがに釣りし日は舗道となりて靴音のもと
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遮断機の音のひがむるつかの間に辛夷こぶしは銀の産毛ふふめり [題詠 辛]
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明治には身思ふ声を繋ぎしか音の遺産の壱号電話 [題詠 電話]
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手水舎てみずやに澄みて流るる一片のわづらひ 共に目は見ぬままに
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前髪に予報にたがふる雪さやぐ 凍つる美濃路の濁り酒かな
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席を去る人のせなにし履歴とはたれかと共に在りし日ならむ
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あどけなきかほを見せつつ足下あしもとはわがものとせし悪茄子かな
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落書きの竹の生命いのちを削りしがともに枯れゆく傷深くして
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弾かれるやうに車両を抜け出せば肺の奥より息吹返れり
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まどんなと呼ばれし蜜柑いくかして萎むを見れば萬の元に
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歯に脆きポン菓子の板 零るれば 多分を鳩の糧にわかてり
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味もなき白湯をすすりて酸ひ甘ひわが身の内の塩梅を知る
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フレームにわがものとせし化石には一千万と我の二年ふたとせ
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電話置き空のけはひを伺へば凍つる奥羽の雪解ゆきげは遠く
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アムール・ド・ショコラの熱ゆ這ひ出でて身に冴ゆる気や 冬の望月
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玻璃はりかこむ鉛はその美に沿ひてありおのが重さを知らぬがごとく
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解けきらぬ霜を踏みゆき貼り紙の冬物在庫一掃セール
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電話口怒鳴られてゐるあひだにも思考は既に特売の棚
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銀行の辻に人波たうたうと 資本の熱のめぐりは止まず
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値札だけ静かに替はり昨日とは重さの違ふ買ひ物籠や
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円高とニュースは告げる夕餉には安くなりたるものは並ばず
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