まんまるだんご
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抗がん剤治療とリハビリ七年目Utakataに救われ

花冷えの桜の街に寒き雨 去り行く人の肩をぬらせり
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図書室にオアシスを見た青春のセピアの日々に抒情のそよぐ
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さくら草 二十二才の君に似て澄まし顔した夢が揺れてる
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春見っけ土を破りしふきのとう味噌に和えれば旬にとろめる
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リハジムにうぐいすのごと春を呼ぶスタッフ消えた鳴かずにきえた
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群生の黄色の水仙斉一の首を伸ばしぬラインの踊り
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受刑者が学ぶこころの中学の陰に光りの卒業の門
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テニスボールはっきゅうを追いかけすごす中学の師と肩を組む卒業の空
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幼子の白き手あわせ祈るごと蕾ふくらむ木蓮の花 \ 彼岸にて
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天に立つメタセコイヤをともにしてヒラヒラ花のこぶしの白き
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夕陽せきようの真西に光る浄土でも子の難に泣く亡母の祈り \ 彼岸にて
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瓶に刺す水仙の花涼やかに公衆トイレは清けきあした
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パンジーの崩れた笑顔吾に似てピエロの顔に笑いを返す 
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老木の梅のはなびらはらはらと地に落ちて見ゆ美宙みそらの蒼き
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頬を刺す北の風にも春の陽の彼岸の入りの牡丹餅ぼたも亡母ぼうぼ
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被爆した牛飼う人は愛あふれさつの施策に 抗い生かす
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被爆せし牛飼う人の優しさに牛は草食む原発知らず \ 希望の牧場
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透くやうなバラの花束感涙の難き日々にも心通ひぬ
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谷の春 水嵩増しぬ水底の石は流れに抗い澄めり
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「うたかた」の出会いのように儚くてさよなら言わず波紋に消えた
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ふるさとを追われて今も十四年 砂の器の原発の策
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沈黙の春に生きるは福寿草 原発暴れ荒れた庭にも
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散る梅は地にひしがれて空見てた 大震災の地獄のあの日
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九十路ここのそじ爺のこぼすや老老の介護の難きもリハビリに凪ぐ
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古木にも生きる芽のでる力ある 逝く冬みつつ風光るなか
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揺れうごく十五の花を吹き散らす鬼の裁きぞ選抜試験
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闇晴れてしだれる梅は滝のごと夢の流れる いのち煌めく
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確定申告かくていをスマホに挑むも迷路なり目がしょぼしょぼの氷雨の弥生
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冴えかえる桃の節句に雪舞えば言の葉凍えとこに潜りぬ
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荒れにける庭の紅白梅の香を主人あるじのもとへそよ吹け風よ
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