まんまるだんご
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抗がん剤治療とリハビリ七年目Utakataに救われ

幼き日君と築きし砂の城 波にのまれし夢に月影
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いちじくの小指のベイビ葉陰にて澄まし顔なり空梅雨の空
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鮎釣れず足取り重き少年の頭上にたかく螢舞いけり
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笑点に和む夕餉を噴きとばすマグマの怒り闇に揺れをり
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ほたる籠わらべの枕照らすに夢路に誘うみどりの光り
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医は神のいのちの光り手繰りよせ繕い縫いて明日へと紡ぐ
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杉の香の夢住む家のドア叩く邪鬼の傍ら花のたね蒔く
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忖度と反権揺れるブランコで落ちて芽生える反骨の芯
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水くれと言えず紫陽花萎れしに梅雨戻りきて涙に濡れる
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Utakataをともにす言の葉励みなりなじめぬ歌は勝者のことわり
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朝イチにお行儀わるい椋鳥は山桃散らす赤い実の泣く
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トランプも力で征す爆撃王 微塵も見えぬ異種への敬意
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母のごと米を贈りし妹を想ふ夕餉に舌鼓打つ
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刈り込まれ紫陽花根もとに玉の青 木陰に揺れる炎天の朝
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短冊の妹の文字七夕に「ねえちゃんてすとできますように」
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椋鳥の群れる立木の散歩道 離れて一羽の杖の先
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高原の木道を行く梢には夏の日射しに白雲の浮く
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要介の渡る車道に君がいて脇の支えに胸張り歩く
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デイケアのカップを返し忘れてた「はっ」と気がつきボケの恐怖に
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梅雨の夜深層心理うごめけば罪の淵より湧き出づ祈り
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華やかな輝く薔薇に疲れをり愛づるは夕べの月見草かな
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先生の見舞いに行けぬ少年は雨漏る家にひとり涙す
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わすれんぼ治らぬままにまた今日も迷子の鍵に冷や汗の滝
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みて知る小さないのちのささやきを小さいゆえの生気に満ちる
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過ちと気づいてなおも積み重ね八方壁のつゆの空見る
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つやなきは梅の木陰のバラの夢 挿し木はやがて贈る薔薇へと
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老木の庭にたわわの青梅をジャムに煮る香や孤独の至福
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白青の風車かざぐるまのごと紫陽花は風そうそうと吹かば回らむ \ 我が家自慢の額紫陽花
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咲き初むるあじさいの花うすももの粒から花へ翠の庭に
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肌に乗せタトゥーのような家守くん動けば人の悲鳴のフォルテ
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