まんまるだんご
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抗がん剤治療とリハビリ七年目Utakataに救われ

おちこちに「ようふったな」で夏がく雲間に覗く遥かな蒼よ
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歩道来る自転車の子に譲る道 会釈涼しき夏の朝かな
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世話をされさらに乞ふるわがままの沈黙の闇 朝に溶けゆく
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警報にリハジムためらう我に喝! 先導の妻 滝の雨にも
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マルチーズ心ありげに返り見る麻女に引かれ声かけぬまま
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ミニトマト真っ赤に実る鈴なりの重きいのちが夏に輝く
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声高な「ファースト」響きこぎみよし他の哀しみに熱風が吹く
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朝七時 癌セン前に立つ列に椅子を譲りし人ぞ涼しき
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白絹のベールの如く生け垣に蜘蛛の巣かける匠の技は
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三日過ぎ七夕の笹しおるるにデイケアに舞う短冊の文字
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朝顔の強き芽のふくの願い亡母の愛でし花と咲く夏
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炎天の色褪せし紫陽花萎れども日陰に咲くは青の満月
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七夕とラッキーセブンの記念日に紫陽花挿し木 いのちを願う
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日傘さし涼しき顔の流し目にキャップと杖と夏道あるく
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透き通る蝶の舞うよに木槿むくげ咲く空一面に白ヒラヒラと
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紫陽花の葉陰にボール夜露濡れ朝の光に童を待てり 
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湯治場の水の音涼し蛍火は闇に瞬きいのちを光る
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幼き日君と築きし砂の城 波にのまれし夢に月影
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いちじくの小指のベイビ葉陰にて澄まし顔なり空梅雨の空
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鮎釣れず足取り重き少年の頭上にたかく螢舞いけり
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笑点に和む夕餉を噴きとばすマグマの怒り闇に揺れをり
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ほたる籠わらべの枕照らすに夢路に誘うみどりの光り
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医は神のいのちの光り手繰りよせ繕い縫いて明日へと紡ぐ
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杉の香の夢住む家のドア叩く邪鬼の傍ら花のたね蒔く
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忖度と反権揺れるブランコで落ちて芽生える反骨の芯
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水くれと言えず紫陽花萎れしに梅雨戻りきて涙に濡れる
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Utakataをともにす言の葉励みなりなじめぬ歌は勝者のことわり
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朝イチにお行儀わるい椋鳥は山桃散らす赤い実の泣く
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トランプも力で征す爆撃王 微塵も見えぬ異種への敬意
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母のごと米を贈りし妹を想ふ夕餉に舌鼓打つ
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