まんまるだんご
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抗がん剤治療とリハビリ七年目Utakataに救われ

無花果の葉陰に見ゆる粒の芽はすくと育つや秋風のなか
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ときおりの氷の笑みに戸惑いてはぐれ鰯は沖へさまよう
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虫の音の夜明けの空は茜色 熱き太陽兆し満ちくる
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亡母はは愛でし夏水仙は異郷にて庭の片隅彼岸を告げる
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杖の音の似た者同士のおはようが虫の音に沁む敬老の日よ
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弟の温き心にもたれいて親をおき去る総領甚六
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入力の間違い気づく投稿にゲゲの虫のしみる朝なり
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朝顔の萎れし花のゆれる夕つぼみふくらむ明日を契りぬ
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新米を食らふ悦び奪はれし古米をあさる瑞穂の国よ
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安眠を襲う夜中のイカズチに目蓋の重き笑顔がゆがむ
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不安げな爺を残して孫二十歳はたちうさぎのバッグ飛び跳ねて行く
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今一度名月見たし黎明に雨戸開ければ雲に虫の音
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名月に虫も魅せられさやけしに同じ月見る人を思へり
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虫の音の静寂の朝に工場の鉄音てつね弾ける今日が始まる
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父の背につかまるわらべ風になるバイクが叫ぶ「オシリガイタイ」
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炎天の芙蓉の白は招きをり見つめし花は日焼けの泣き顔
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通院の我を待ち居る虫の音の清けし音色に灯りを消しぬ
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自分史をまとめるほどの道でなし証になるや泡沫のうた
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久々の雨は泪の形して渇く心に涙戻りぬ
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母のこぐ自転車うしろ幌の中 小さな手伸び風と遊びぬ
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炎天に萎るる鉢のひまわりを樹下に移せば百日紅の空
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長月の朝の道にも業火待つ狸の背中焼かれるやふな
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飛び立ちて鳴き声止みし時の間にヒヨドリ襲う蝉の逝く空
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花がらを摘みて供養す朝顔や一日ひとひのいのちけふを充ちをり
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公園の木陰のベンチに赤き葉のふたつを伴に秋を思ひぬ
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炎天にミニひまわりは萎れ咲く輝き薄くも我が子と思う
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ブラウスの白の眩しきOLは日傘の中に顔しかめ行く
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涼求めくすのきの下見上げれば繁る木の間にまほろばの蒼
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朝顔の萎れし花を摘む朝に蝶舞うごとし夢のきのうは
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庭プール夏日を浴びるカッパの子 水鉄砲で戦う平和
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