Utakata
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香月董花
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雲を呼び風が走れば雨となり跡立つ波の今は行くという
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立ち騒ぎうつる
暇
(
いとま
)
の水かがみ ゆうべの雲はひとときに行く
10
ほの白く昔のわれは空蝉の葉裏に宿り羽となるまで
13
黒つやのてんとう虫は六月の
骸
(
むくろ
)
となりて地に落ちてあり
9
ためらいはこの手にふれてまたたくも来てはまた去る蛍いとおし
12
夏をまつ
木
(
こ
)
の根の闇に蝉の子は最後の夢を今日とむさぼる
11
日のうちは光のなかを浮き島の影から影と移りたたずむ
8
橋上の灯火の列はかがやいて眩く遠く暗闇を行く
11
川音とかじかはたえず流るるも鳴くとも何を思わなくとも
3
ゆく闇に影は見えねどゆき逢えばそれと知らるる幽霊蛍
11
もとの根も傾くばかり椋鳥の葉末もさわに騒ぎつつあり
7
雨の間を夜ゆく街のひややかに手びさし透かし光まばゆき
9
一日
(
いちじつ
)
の雨は一夜に流れ去り 群れ雲ゆきて 夜に雨ふる
10
人なれて近きにとまる古めじろ一目の間またたきに立つ
9
足早に夏は来るらしこの頃も古うぐいすのとよむ葦原
11
長らえば憂きよの
軛
(
くびき
)
きりもなく過ぎての春は夢のかぎりに 〈くびきりぎす〉
7
逢わむ夜を思えば逢わむ飛ぶ鳥のはばたく夢につづく街の灯 〈あおばずく〉
11
ほととぎす思いのそらに行きすぎて夜風を遠く音にきくとき
7
建て替えの工事は明けて立ち替わり軒端を覗くつばめ忙し
11
誰ぞ待つ街の通りに帰り来む隣どなりのつばめ睦まじ
10
あけがたの網戸に影は草の葉か夜風に寄するくさかげろうか
10
くまばちは
斥候
(
ものみ
)
くまなし この者は花ぬすびとかあくまで怪し
7
銀幕の空に一すじ吹き流れつばめの跡は
光斑
(
ひかり
)
の影か
8
いつからと聞くともなくてしじゅうから空の下なる屋根の上にも
10
物憂
(
ものう
)
にも午後の天気は聴くからに雨 雨 雨と止むに止まれず
10
花咲けば花を羨み 鳥の音と鳥の命に思い慰む
7
種いもの芽ぶきの夢もためらいも ひとつひとつに今は転がる
8
冬越しの破れたてはは立ちかねて
木
(
こ
)
の根にとまるほろほろの
翅
(
はね
)
7
冬になれば冬ごもりせむ春来れば春待ちわびて浮かぶ歌かた
6
いにしえのエルドのけもの 呼び声に
去
(
い
)
にてかえらむ その呼び声に〈妖女サイベルの呼び声〉
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