翌桧旅人
33
29
投稿数
143

下手なりに言の葉でいろいろなものに再接続できたらと思います。
たまにですが、勝手に連作詠んでいます。狂歌っぽいニヒルもちょこちょこと。

初詠:2025.6.10

白き息 冬田ひらけておろし風 し日の友よ いま疾くませ
12
予報士がこの冬イチといった朝 マシュマロマンで暑しはずかし
12
内視鏡 ミミズのボスが腹のなか 白衣は平気に画像で威し
14
メタ認知 夜ごとめぐりて止め処なく「ああまたかよ」とインパスの沼
13
切っ先の鈍るおのれにムチを打ち その無知ムチをまた疑いし夜
12
人波の秋のよそいに巡らせん 思い思いは いろとりどりに
16
り織りし小さき布に息を吹く つよき点りよ 明日の名となれ
13
あすなろは夢みし明日の交差点 山動かすも思ひ初まなば
16
万国の喧騒遠くに流れつつ きょうの私は型の拾壱
14
読まれてもそうじゃなくても満たされぬ ひとり悶えの既読はじゃじゃ馬
15
いつもの豆 かわらぬ味の夜更けかな 深きやすらぎ灯にしみゆく
15
時はいま あめが下しる神無月 高天たかまのなでしこ凛として咲く
19
ゆく風の流れは絶えず鴨の旅 きのうとちがう地図をつかみて
16
虫二なる静かな水に垂らす糸 風月無辺も腹は鳴るなり
13
浮かびゆく光のかたち 温もりの君の右手が 私のひと足
12
見えぬ陽は クロスロードのそぞろ雨 留まる影をそっととかして
14
風ひとすじ 芽を撫でてゆく夕まぐれ 明日を知らぬやさしさのあり
18
本邦初 それだけでまずええじゃない鉄のなでしこサッチャン首相 (そしてお手並み拝見)
9
天下楼ひとり立ちたる心の 薪にくべるは地球儀なるか
10
帰り道 街のぽつり うなずいて 今日もおつかれ 風が言う声
21
暮れ早し遅番の駅 ねむたげにあかりであいさつ チカチカチチッカ
15
画達えかきらの筆の捌きの さありたし こまやもえらく惑うなき線
15
蒼穹に角隠しつのかくし映ゆ住吉は 沁みる篳篥ひちりき 残夏の空に
20
天下楼ひとり立ちたる太閤に大地ひらける空のはてまで
18
邂逅は常なる内の泡沫うたかたに ひそやかな色彩いろ 耳目澄ませば
12
浮世には 美魔なるキノコ 多かりし イマダケカネダケ ジブンダケなり
12
彼岸にも墓にもをらねど 語りかけるる 千の風 ほらねそこにも
18
ブランニュー廻る物語ナラティブ並びゆく 指呼や無限やシュレーディンガーに似て
9
珈琲も空も薄めのブレンドで たしかに匂う風の秋色
21
蝉しぐれ残響とどめて耳の奥 雲議長をり閉廷の声
12