翌桧旅人
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下手なりに言の葉でいろいろなものに再接続できたらと思います。
たまにですが、勝手に連作詠んでいます。狂歌っぽいニヒルもちょこちょこと。

初詠:2025.6.10

こたえなきひとのかたちを見つめても言葉はきえて胸にしずもる / 首相会見
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尊きは勤勉律儀なハウスキーパー 小さき食客5代目アダンソン
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蜃気楼まじるタメ息ポップコーン並ぶ理由は魔法のかなた
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かげろふの衆がひしめく蜃気楼 ポカリ500でノー天気なボク
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夏がきぬ 年にひとつの大発布 喝采のセミ総立ちしぐれ
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白き巨人くも夏のはじめを告ぐ議長 ビルの谷間を覗き込みつつ
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ふりそそぐ光の粒に風の音に青芽の匂ひもただ常しえに
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絡みつく熱気なけれど湿り気の何を忘れたもどり梅雨の空
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あまぐものむこうにうすく光差す しょっぱきあとにほの甘さ残る
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梅雨果つる空とこころの輪郭に なぞるしょっぱさ塩グミの午後
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浮き世では価値の色彩しきさいとりどりも守なき破離ぼて砂楼をおぼえん
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たまゆらの風にたなびく香煙に肌の記憶はさかのぼりけり
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音もなく像もなく咲く言の華いつぞさかずき交わさんことや
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言の葉が器となりて酒となる誰と交わすか すべてはそこに
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ゆるやかに帰宅モードの午後三時 お囃子軽やか 休出なれど
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浅はかな須弥に住まうを打ちりて深き淵より這い出づるうた
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凡人は陳腐を好めど子規ほととぎす 鳴いて血吐くはおよそ人なり
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照りつづく熱波ひと息曇天のビルの林も肩をすぼめて
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しなやかな麻のひとくさり織りて したたかとなれ素のままにこそ
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凪の声 水面にゆれる一条の月のうさぎが誘う道かな
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大恩の報いるよすがも今はなきめぐる想いは継ぎ送りとせめ
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陽炎の水運ぶ人そこにゐてなどか気づかぬ水のむともがら
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満員の押し合うとびらわきに咲くにわか護りし小さなたんぽぽ
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夢うつつ重なるままに疾く起きて枕ひかれる月曜のあさ
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ネットより杖つく足のほうが早い世界もあるのだ 父よあざす
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叩かれぬ扉に気づく静けさを恥じと知りたる明け方の窓
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声枯らしシブヤの訴え遠巻きに未来の住人ひとへ あと頼みます
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ねがいしは明日の顔花のこどもたち連綿と継げ祈りの票で
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趣味ですと御朱印言うたそれきりで神社の写メであふれさすおとん
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都会の夜 大輪咲いた書き割りのとどろきさがす耳手のおかん
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