葉舟
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俳句も作っています。読売歌壇入選。

切れ味の鋭いカーブを投げる君連れて行ってよ甲子園まで
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地下街の暖簾をくぐり声を掛け熱燗一合店主に頼む
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消しゴムを拾ってよと言う君と会い過ごした時間はもう何年か
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川岸の水際光り煌めいて君の横にて水切りをする
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あらまあと祖母が拭いてくれている娘がさっきこぼしたジュース
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泣きながら怒った君の声が今脳裏に浮かんだ鋭い痛み
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ジュラ紀とか白亜紀とかが懐かしい今は代わりのプレゼン資料
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夕方にそろりと出かけるウチの人私の退職祝いにビールか
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粗削り期待されてた初学年今夏はスタンド声を枯らして
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しみったれクラスメートにそう言われ君らお金の大事さ分からん
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エレベーターあべのハルカス展望台デートの場所はやはりここだな
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どぶろくを駅の名店街で買う綺麗なデザイン君に贈るか
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新たなる年を迎えて喜んだ時は昔か過ぎし日怖し
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新古今中古の文庫手に入れて助詞と助動詞じっと眺める
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友達と喧嘩別れの時が来てまた新しい縁が来るかも
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寒椿もうすぐ雪も消え去って微かな日差しが差す季節来る
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切り刻むような寒さはあの時の耳をかすめた悪口のよう
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春先の寒さが抜ける時を待つ姉の婚礼バージンロード
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流麗な雰囲気薫る君を見て触れたらどんなに良いかと思い
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ゲンコツを父に喰らったという父に祖父の頑固な面影を見る
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冬鴨が北へと渡る季節来て池の周りの雪も溶けたり
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これっきり会えない最後のデートでもサバサバとした気分も残り
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ばくだんという玉子入りおでんの具母のなまりと実家の温み
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キレイめの服を着たいと探す春そろそろ店にも行く気になって
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白魚が市場に並ぶこの頃に父の具合も少し良くなり
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紅梅を観に名園へ母と行き茶店で二人お薄を飲んで
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バイト後にサンドバッグを叩く日々口を殴られ血の味がする
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もうすぐに友と別れる時期が来て数十年後の未来は見えず
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春風が吹き抜けていく街角に雑草のみがひっそりと咲く
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定めとは変えられるとの言葉聞き閉じた心がゆっくり開く
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