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山本葉舟
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読売歌壇入選・読売俳壇入選。
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君の巻くニットの襟巻き薄ベージュエスプレッソのカップ手にして
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自販機もそろそろ熱い缶コーヒーあの雪の日の思い出浮かぶ
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階段に枯れ葉の散った坂道をすれ違う人流れる空気
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雲水の托鉢笠に積もる雪遠山白く吹き荒ぶ風
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永遠と口から流れ出る嗚咽旅路の果ての砂埃まで
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心落ち溶けては落ちてまた溶けて湖面の上に広がっていく
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嘘つきの君を好きだと笑ってたとっくに本心知っていたのに
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イリジウム分析などをやりながら学者の父は老いに佇む
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朝早く目覚める時の茫漠とした瞬間の時の流れよ
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薄雲が空を覆った午後が来て二三滴ほど雨粒落ちる
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あの山を走る阿闍梨の足音を微かに聴きしこの高野にて
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石畳路上に枯れ葉散らばって腕組む人と何年経つか
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あの頃は良かったなどという人にお前はいいな捨て台詞吐く
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寒々とした日々すぐに近づいて黒いパーカーフードを被る
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血脈も絶え果てた家思いつつ時の速さが我が身を変える
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意味もなく速さを求め疾走すバイク少年あの頃の夢
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生き急ぐ早さはまるで若鮎が老いて川面を落ちるが如し
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正しさを振りかざしても正しさの意味すら知らぬ泥沼の蓮
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あの日聴くサウンドオブサイレンス風の色味は少し霞んで
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水溜まり超えていくたび振り返る小学生の幼き我が子
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あの朝の風頬を撫で陽が射して靴紐結び出かけた記憶
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いきなりの価値って何って言う君に口ごもってたそんな夕暮れ
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価値観の違う君との生活も長くなったなケンカしたのに
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水際に立ちさざ波を眺めつつあの離別の日池の底へと
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彼岸花咲くこの原を踏み分けて家族の別れ来るのを見る
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旅立ちの日に飲み干したいろはすはこの街の日々煌めいていた
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シャーベット口に運べる季節すぎ足元はもう色づく枯れ葉
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夏が過ぎもう秋が来て肌寒しあの日の記憶脳裏を去らず
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彼岸花鬼籍に入りし弟よ遠くの声がかすかに聞こえ
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老いらくの我が身となれど今生の苦とやらはまだ知らぬとみえる
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