葉舟
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読売歌壇入選・読売俳壇入選。

旅路にて霧雨の降る大通り楼閣の上鳳凰が乗り
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キラキラとペットボトルが輝いてハードルの横並んだシューズ
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入り浸る飲み屋の影にいる子猫そっと抱き上げ毛づくろいする
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筆箱の消しゴムの先丸くなり受験の日々もあと一息か
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一冬を越せば木蓮花開くそれまでの日々雪を踏みしめ
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正しさは何と聞く友バーボンの小瓶をショットグラスに注ぐ
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信じても信じなくてもこの恋は今生の下うたかたの夢
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イヤホンの片耳外し嫌そうな顔して遠く見つめる君は
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寂し気にたたずむ君の足元のショートブーツはブラウンカラー
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沈むウオ浮かぶ泡とが交わって夕暮れがまたいつもの闇へ
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色と色重なる街のクリスマス硝子ガラスに映る二人の影が
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氷張る小学校のプールには思い出という宝が沈む
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粉雪の降り落ちる空足元の白い靴跡点々として
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キラ星の如くデビューのアイドルも数年後には名前を忘れ
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ありがちの言葉机に残されてあなたの居場所は遠い日の午後
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コンビニのコリアンコスメ手に取ってラメのキラメキ見比べてみる
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顔を上げ見回す周囲教室のテストの最中サナカと知りて驚く
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心配のしすぎと友に言われても手の鳴る方へあなたはだあれ?
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見ず知らず人の行き交う冬の街コートの襟を立てる夕方
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あの日さえ離れてくれぬこの思い抱えて歩く枯野の草を
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中3の夏に立ち寄る図書室の唐詩選から大河が流れ
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足繁く通った店も今はなく会社帰りの独りコンビニ
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散り咲いて香る風来る金木犀スニーカー底花踏みしめる
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熱が出た我の額を冷やす母今は妻の手息子を拭う
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スマホ見て天気予報は雨模様バスまで走る水跳ねる道
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ヌメ革のトートバッグを持った君そろそろ街も薄暮の時刻
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散り散りになる子供らを追いかける保母さん達の歓呼の声か
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緑色つい前までの山の木々五色の色に染まりし秋は
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香り立つエスプレッソの小カップ両手で包み白い息吐く
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日記にも綴れぬ想いためらって窓濡らす雨そっと眺める
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