葉舟
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読売歌壇入選・読売俳壇入選。

君に似たアルゴリズムに恋をして今日もそそくさ部屋へと急ぐ
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ドラム缶転がる脇の道端に咲くタンポポの散りゆくを見る
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蛍飛ぶ尻の光は何事か嗚呼亡き祖父の今わの言葉
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愕然となる盛り返す気になるもそう簡単に物事行かず
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旅路にて見える稲穂の揺れる波車窓の眺めも遠くの果てに
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草藪に見つけた蝉の脱け殻はまだ合唱が聞こえる前に
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紫陽花の花がもうすぐ咲く季節長靴無くて靴にスプレー
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缶蹴りの空き缶取っておく係あの頃クラスの誰だったかな
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何でなの人間味など無いじゃないもっと貴方の表情カオが見たくて
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さらし巻きフンドシ締めた男衆火祭り花火の筒が踊りて
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びっくりポンあさが来た観て気に入って独り呟く聴こえぬように
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そろそろか揺れる青田の水の上滑るあめんぼ風吹く季節
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興福寺阿修羅の顔のそれぞれが毎朝ながめる鏡の吾の顔
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河沿いの立入禁止の立て札に可愛いアヒルの親子描かれ
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シャリの酢の色が赤くて味が濃くどこの産地か大将に聞く
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茶室での掛け軸眺め禅語読む濃茶の味が舌に残りて
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尻拭いしたくてしてる訳じゃない君の輝き信じてたから
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たまたまに人生で会う人々の想い出の影積み重なりて
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モニターの文字の言葉の友情もAI相手じゃ興醒めがして
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ただ独りそう言う君に挨拶をする町の人もう気づきなよ
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青色のノートをめくり綴るの流れる文字は青いインクで
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息子見て学び直すと決意してふと気がつけば博士の半ば
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奢れよと言うガキ大将ももう大人一歳上の上司となって
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身綺麗にしてきた彼女見違えていつものスウェット止せばいいのに
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イリジウム分析などして生きながら学者の父は老いに佇む
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青梅を綺麗に並べる硝子器に入れる焼酎あとは砂糖も
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じゅうしまつピーコと名付け可愛がる餌は何かとググるパソコン
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うち履きを家に忘れて学校へ一日外履き冷や冷やとする
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夜花火とはいえコンビニ売りパックそれでも家族の思いは弾け
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飛び立ったジャンボのエンジン音響き少しフェンスに寄りかかりつつ
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