葉舟
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読売歌壇入選・読売俳壇入選。

ああアレか父の呟き耳にして亡き祖母好きな干菓子を買いに
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読み終えたドグラ・マグラの文庫閉じさて休日の午後は出かける
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導きの手さえ来ないとく君に何と声をかければ良いか
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濡れた道黒い雲間クモマに光射すふと気持ちさえ明るく変わり
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たらちねと言われて意味も分からずにジッと見つめる教科書の隅
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かぶる水キラキラとした粒落ちて光るプールの水面ミナモが揺れる
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蟷螂トウロウカゴに入れたる子供の目笑みを浮かべて声発したり
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屈強な武士達まみえた合戦の寂しき影が風に変わりて
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夏の雨慌てて走り込むヒサシ思い出すのは出会いか別れ
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名物の茶碗を師から手渡され震える指で茶筅を回す
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お下がりをダサいと言われて馬鹿にされまあいいウチの方針だもの
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ただいまと弾む父の声色は昇進のこと嬉しげな夜
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寂しげに机に肘つく横顔は君のいつもの顔と違った
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桜花散るその下歩く二人には哀しい影がまとわりつきて
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歩いては気づいて結ぶ靴紐をふと見上げれば桜並木が
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紋白も揚羽も飛べば美しくどんな花など取り合わせれば
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海辺にて遠くを見据え船を見る父とは違う道を進みて
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ああ春かもう春かなど繰り言を言わないでよと君に叱られ
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公園の水道からの跳ね上がる水しぶきで濡れ急ぎハンカチ
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若さとは愚かさなどと言うけども弾ける思いはあの頃にだけ
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ああ君の爽やかさに影潜む理由ワケ美しさの奥言えぬ悲しさ
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みつ豆をそろそろ食べたい時節には一緒に食べたい友も欲しくて
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松山のホトトギスなど気にしつつ短歌を作る吟行の道
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水しぶき公園にある噴水の爽やかさに見るかつての我ら
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別れの日いきなりかよと友に言うもう旅立ちの列車出る頃
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いちじくの実がなりすぎてジャムにする共に食する相手も居ずに
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飛び立ちて異境を彷徨う時期もあり今故郷フルサトに家族を持てり
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蜃気楼船が朧に浮かびおり夢幻の景が空一面に
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烏瓜花開くのは夏盛りその頃にはもうこの地にも慣れ
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いみじくもやりこなしたる大舞台勘三郎の隈取り映える
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