葉舟
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読売歌壇入選・読売俳壇入選。

曼珠沙華咲くのは肌か地の上か乱れ髪さえ整えきれぬ
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旅路にて出会う人達影に似て脳裏の奥に浮かんで沈む
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水の瀬に打ち寄せる波音かすか小雨降る空仰ぎて歩く
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キリギリス窓の隙間を眺めつつ落ちていくのは奈落の底か
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色づいたカエデの葉さえざわめいて僕の心の雲は暗くて
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暮れ時の小道慌てて小走りに仕事帰りの余計な用事
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少しずつ寒さ近づく季節にはあの娘のカフェに入ってみるか
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遠い地の戦争友の力説も我は言葉の綴りを気にし
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夜寒など書きつつ続き決めかねて燗を一本つけるか迷う
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ビルの影角度斜めに傾いて木枯し強く吹く季節来て
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スーパーの刺し身国産少なくて黒潮熱く魚も捕れず
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叩くキー目に沁むモニタ青光りあとどれくらい退勤時間
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残暑にてもうしばらくは冷コなど飲むかと職人仲間と茶店
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しんみりと祖父の思い出懐かしむ頑固職人ノミを握る手
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鉛筆の短さ気づき持ち替えるあともう少し画廊の展示
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蛇口から水滴ポトンと落ちる音静まる部屋でテストを受ける
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気にしないでいてと言って去る君の背を眺めつつ胸に込み上げ
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サンダルの化け物が出た泣く息子遊んだ夏を思い出したの
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雷神と風神描く宗達を想像しつつ曇天を見る
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カップ見て陶器か磁器か悩む母伊万里焼だと教えてあげる
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ふと光るスマホのガラス太陽の日が跳ね片目ギュッとつぶりて
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棒飴を子供がねだる秋祭り僕振り返り君は小走り
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老親の手を引き二人散歩する昔は母が僕の手引いて
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川面にも流れる想い浮かび行く果ては海まで届けと願い
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合いの手を入れる漫才寄席の奥暖簾をめくりコンビながめる
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美味なお茶抹茶茶碗を傾ける手の名物をじっくり眺め
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知り合いと出会い挨拶マアマアと頭を下げてお互い汗が
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流水で洗う取れ立て野菜見て暑さも消える台所横
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勢いの良い玉投げるピッチャーの右の肘には細い傷跡
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いつまでも嘆くことなど無いなどと友の言葉でまた歩み出す
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