葉舟
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570

読売歌壇入選・読売俳壇入選。

荒事の歌舞伎を観たあと下駄揃え足袋のよじれをそっと整え
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見送って荼毘に付したる肉親の想い出がもう我が身の内に
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帰り際振り返る君言いたそう派手な言葉は今夜は止して
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ヒヤシンス青い花びらチリチリと胸に刺さりて傷む恋情
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日常の忙しさを君輪舞曲ロンドなど言うのは止して靴履きたまえ
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上げ膳も据え膳なども構わないそんな器量は直りもしない
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宍道湖のしじみは名物だと言って帰宅する父ホクホクの顔
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散り際わの花さえ見えずうずくまる悲しみの果てたどり着く土地
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入れ知恵をされて嫌な気分がし上手くいったら親友と化す
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春めいて晴天の空輝いてスニーカー底なんだか弾む
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大阪へ吉本を観に出かけた日ダウンタウンが新人の頃
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ただ一度そういう恋がしたいなと母に言ったら私らそうよ
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しんみりとする別れ際旅立ちの君のスカート風になびいて
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手荷物を長距離バスの床に置き古里目指す家業を継ぎに
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しらす干しお浸しの上乗せながら部活帰りの息子を案ず
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犬を連れ朝の日課の散歩では話す知り合い二三人増え
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水跳ねるプールの泡もすぐ消えて爽やかさだけ光と残る
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そろそろか蛇口の水が美味しくて友を誘って明日も出かける。
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朝ドラの幸福感が何となく鼻につく今日母と口論
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革ジャンといえば不良の代名詞そんな頃にも単車転がし
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まあホント横向きストロー吸う君の少しの冷たさ心離れて
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苛立ちは物価高などではなくて今の自分の不甲斐なさにて
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ジャイアンツ松井秀喜のいた頃はデートの想い出若い二人の
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足立区の出身だと言う先生も北陸の雪目を丸くして
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酒蒸しのあさりも父の好物かひとまず一献呑むことにする
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サワサワと流れる木立ちの音がして襟のボタンを少し外して
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身に沁みて心に沁みてあの夏の想いを海に流して去る日
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ランドセル今は色とりどりになりカラフルな子ら道を過ぎ行く
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西行のように無常を味わいて妻の死に際ふと思い出す
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入学も少し緊張してはいるキャンパスライフを軽く夢見て
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