Utakata
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葉舟
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読売歌壇入選・読売俳壇入選。
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叩くキー目に沁むモニタ青光りあとどれくらい退勤時間
6
残暑にてもうしばらくは冷コなど飲むかと職人仲間と茶店
10
しんみりと祖父の思い出懐かしむ頑固職人ノミを握る手
7
鉛筆の短さ気づき持ち替えるあともう少し画廊の展示
6
蛇口から水滴ポトンと落ちる音静まる部屋でテストを受ける
10
気にしないでいてと言って去る君の背を眺めつつ胸に込み上げ
7
サンダルの化け物が出た泣く息子遊んだ夏を思い出したの
8
雷神と風神描く宗達を想像しつつ曇天を見る
9
カップ見て陶器か磁器か悩む母伊万里焼だと教えてあげる
12
ふと光るスマホのガラス太陽の日が跳ね片目ギュッとつぶりて
7
棒飴を子供がねだる秋祭り僕振り返り君は小走り
7
老親の手を引き二人散歩する昔は母が僕の手引いて
12
川面にも流れる想い浮かび行く果ては海まで届けと願い
5
合いの手を入れる漫才寄席の奥暖簾をめくりコンビながめる
7
美味なお茶抹茶茶碗を傾ける手の名物をじっくり眺め
5
知り合いと出会い挨拶マアマアと頭を下げてお互い汗が
8
流水で洗う取れ立て野菜見て暑さも消える台所横
6
勢いの良い玉投げるピッチャーの右の肘には細い傷跡
11
いつまでも嘆くことなど無いなどと友の言葉でまた歩み出す
9
深くなる
水面
(
ミナモ
)
の縁を覗き込む揺れる水草光に影に
10
モニターのマウスポインタ指し示す数字に飽きてコーヒーマシン
5
とりどりの色が差し込む教会の荘厳な影ステンドグラス
13
想い出が心の底に浮き沈みこんな時には沈んで欲しい
10
靴ひもを結んで伸びをする君を蹴りたい背中と書く本もあり
8
寄席に来て三枝と米朝名調子次の出囃子聴きつつ外へ
5
情けないことなど言うなと叱る父もう鬼籍へと旅立つ夜明け
7
苦しみに似た言葉など言い飽きてさて朝一番に水でも飲むか
9
皮膚の下紅く破れる屈辱か火のような血が湧き上がりたり
7
飛び去りしあの影どんな鳥影か気持ちは既にあの人離れ
4
水流れ小川の
飛沫
(
シブキ
)
陽の光二人の影が水面に跳ねる
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