きな
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健康に病んでます。

二死満塁夢はグラブをすり抜けて三年生の夏は終わりぬ
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球児が年下になったときなぜか青春が終わった気がした
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横断歩道の白線踏み歩くあの頃より少しくすんだ白
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君は水平に逃げ我は垂直に堕つ交わることなく恋は三次元を展開する
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和歌集に蝶の標本のごと並べらる恋の歌読み我が羽揺らす
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あの月を中心に夜空ををぺらりと裏返したら明日はきっと明るい
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大暑の日街ゆく人の歩みつつスローモーションのごと白昼夢は流る
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ヒマワリが差し出がましく咲いている昨日の失敗にもの言いたげな
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熱中症警戒アラートすり抜けて極楽のあまり風感じたし
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なんとなく自分の中では女子らしくて恥ずかし日傘初めて買ひぬ
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右折するトラックを待ち佇めばいかつい運転手我を待ちたり
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焦げるほどのアスファルトの上ジジジジと転がる蝉にまだ世は七月
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スーパーのガラガラ流るカート音そっと心で脱輪させる
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洗濯の回れよ回れうとうとと過去へと戻るコインランドリー
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海ゆかば遊泳客の色暑く山ゆかば木々の香りの匂い立つ
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夏風に乾いたデニムの堅さゆえ自由になれぬ私がいる
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プレ週末木曜夜に連休のビッグウェーブを待つサーファー
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シャワー浴びてまたシャワー浴びたしエンドレスな熱帯夜
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この暑さの中で心に冷水をかけられたり午後三時のプレゼン
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棚奥のファーストシューズ思い出すハイヒール履く背中見送り
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君の声が一つ一つの粒となり我のシナプス大きくひらけり
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日常から足を浮かせてぶらぶらと心地よきかな土曜の夕方
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コメントを消す土曜日の朝早く小さな罪がこんなにたくさん
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全力で命は命を求めたり小鳥と花がそうあるように
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氷点を待ちて大人を見定める十代は 痛し傷さえあざとく
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自販機でボトル取るためかがんだら仕事の失敗がふっと胸つく
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ねえ先生いつから授業に出るのと聞かれ戸惑いつつも心弾みぬ
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真実よりつらきこと無しはろばろと明ける空見てしみじみ思う
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待ちわびた話の切れ間に差し出したおのが話題は彼方に蹴られ
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じりじりと心のふちが焦げるほど誰かを思ったのはいつのことか
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