しもぎ岡夜
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未熟。

ドーナツを知らない猫が白い蛍光灯に飛びかかってもう八時四十分
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死を知らぬ子は震えながらドクターヘリに「かっこいい」と呟きたり
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風を避け若葉マークに尾を振る小江戸の鯉のぼり
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診断書に脂肪肝と書かれて腹の肉をつまみ月に向かって「ごめんなさい」
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新しき芝に咲くたんぽぽ一輪を嗅ぐように枝は 地についておはよう
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右の手から離れていく傘は青空のすみのうすいうすい月とこんにちは。
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舌にのせ見せてくれた君のいちご味の唾液といちご味の精神安定剤
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かなしんぼですかという解答欄に「常にそう」と答えたい猫もいないおるすばん
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父も母もいない花見であまりにも近くに墓があったことに気づく
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トレモロの誤字だと気づいて「た」から打ち始めて半端で止まるミュージック
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脳内で浮かんだモルヒネなんて曲はなかったし探して確かめる気もなかった
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あなたへと夕飯をリクエストする手紙の返事より早く来る飛翔体の通知
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怨むだろうかもし優しい人を知らぬ赤ずきんは腹の中より冷えた世を
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殺してやるゼッタイにという落書きだけ錆びていないガード下公衆トイレ
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例えろと言われても散り際の桜ほどさびしくて 何にも似ない色はないのです
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ミサイルが飛ぶ可能性ゼロでない空を姿勢よくベンチたちが見る
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気がつけば口癖になった「なれない」枯れた木に呟いてどうするぼく
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袖破れしジャンバーを畳んだのち春巻きを噛むなり四月
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あの大統領が怒鳴るど株を買え頭を下げて手を握れ命に優劣をつけろ
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墓石に備える花抱えし淑女と春休み退屈そうな 子の鼻歌交わって
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そしてそしてそして名前のない色があったのでしょう 目の下に隠した夢は
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朝起きて裸眼で古い歌集読む我をカーテンの隙間から見ている あなただあれ?
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子を撫でも殴りもしないだろうカメラの前で命を贅沢品と呼ぶ若者らは
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もういない飼い猫が飛びついたように風が雀らを散らす墓のない我が家
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ごほうびのシールもらいし子は「はって」から「はる」を口にし三月
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偉そうに反対を叫ぶ署名に投げる金でアフリカの子供が救えるそうですよ
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銅像は野球少年の悪戯作戦を聴きつつ 乳房にぬるい風当たる春
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焼肉のたれを買いに行く話で思い出される台風に我は同情したり
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ひと夏の恋もたった一文の末尾にばってんふたつ書いてサヨナラ
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「しんぢまえ」と画面の俳優に言われやり方を知らないぼくが立つている
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