しもぎ岡夜
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未熟。

右の手から離れていく傘は青空のすみのうすいうすい月とこんにちは。
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舌にのせ見せてくれた君のいちご味の唾液といちご味の精神安定剤
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かなしんぼですかという解答欄に「常にそう」と答えたい猫もいないおるすばん
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父も母もいない花見であまりにも近くに墓があったことに気づく
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トレモロの誤字だと気づいて「た」から打ち始めて半端で止まるミュージック
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脳内で浮かんだモルヒネなんて曲はなかったし探して確かめる気もなかった
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あなたへと夕飯をリクエストする手紙の返事より早く来る飛翔体の通知
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怨むだろうかもし優しい人を知らぬ赤ずきんは腹の中より冷えた世を
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殺してやるゼッタイにという落書きだけ錆びていないガード下公衆トイレ
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例えろと言われても散り際の桜ほどさびしくて 何にも似ない色はないのです
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ミサイルが飛ぶ可能性ゼロでない空を姿勢よくベンチたちが見る
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気がつけば口癖になった「なれない」枯れた木に呟いてどうするぼく
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袖破れしジャンバーを畳んだのち春巻きを噛むなり四月
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あの大統領が怒鳴るど株を買え頭を下げて手を握れ命に優劣をつけろ
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墓石に備える花抱えし淑女と春休み退屈そうな 子の鼻歌交わって
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そしてそしてそして名前のない色があったのでしょう 目の下に隠した夢は
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朝起きて裸眼で古い歌集読む我をカーテンの隙間から見ている あなただあれ?
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子を撫でも殴りもしないだろうカメラの前で命を贅沢品と呼ぶ若者らは
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もういない飼い猫が飛びついたように風が雀らを散らす墓のない我が家
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ごほうびのシールもらいし子は「はって」から「はる」を口にし三月
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偉そうに反対を叫ぶ署名に投げる金でアフリカの子供が救えるそうですよ
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銅像は野球少年の悪戯作戦を聴きつつ 乳房にぬるい風当たる春
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焼肉のたれを買いに行く話で思い出される台風に我は同情したり
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ひと夏の恋もたった一文の末尾にばってんふたつ書いてサヨナラ
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「しんぢまえ」と画面の俳優に言われやり方を知らないぼくが立つている
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桐箱のひやむぎを頂いて街に童謡が押し寄せる三月の夕暮れ
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図書室のあの子は翼だけ生やして飛び方よりスタバの新作を今は求む
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文にない紀貫之の恋を浮かべつつ雲のただよう空を吸う
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おへんじを待つように「これがいい」と落書きされたBOOK・OFFで買う俵万智
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本棚の文庫本に笑われるぐらい膨らんだ腹 五十まで生きられるかな
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