しもぎ岡夜
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未熟。

叶ったかどうかも確かめずに逝ってしまった師よ教科書の未だ消せぬ夢一文
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遅番を終えて眠る母の寝顔をいつの日か 棺桶の外から見るのだろう
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「夫婦から奪った財布だよ」 浮浪者は今日もそれを財布だと信じてる
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ハードオフの窓のそばやけにきれいなドレスが まだ死を知らないみたい
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雨である 信号を無視する車である どろっとしたアスファルトである さらば失恋
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ビニールのフィルターを通してみるまだ起きてるあの家 私は世界を許していた
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葉の落ちた枝のようにいつの間にか画面が割れていた私の電子機器
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「鍵だらけのビルきいてほんとうはプラウスって名らしいようさこちゃん」
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お互いに叩かれて泣いていた僕らが画面隔て 互いに泣いている令和二年
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おい誰に踏まれてやせてしまったか泣くな家に持ち帰ったアルミ缶
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ああやっとたどり着けた青空を筆で掻き回したような水田の反射へと
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餌ねだる時と子猫を慰める時の声を使い分ける猫もひとつの母
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今さっき父を殴ってきたような目で母は虐待死のニュースを見つめており
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主語を大きくして言うよ 下を向いてばかりいる人間は蟻をふまない
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ほんとうの夜には色がない僕の目が見るのはとおいうちゅうばかり
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体操着ベランダ干されし家は新築 足元の巴波川ゆるる鯉二匹
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もし世界が明日滅んでなくてふたり愛し合っていたら皿洗いなんかしない
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シンデレラの靴を拾ってそっと元の場所に戻した少女よ 人生は意外と長い
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月はあんなにもおひさまの光に当たっているのに日焼けしないなぜ?
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子供を作る方法の前に異性に愛されて許される 生き方を教えて
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手に持った半額のコロッケの栄養と混じるようにおやすみを告げるラジオ
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ちりぢりに息は月をくすぐるような雲へ 消えまだ遠い夜明け
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モンテーニュその名前の言いにくさも微妙な長さも知らないおまえを愛したい
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鍵があいている、ドアがあいている、開店のふだがさがっている、 みなさびしんぼ
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教会寺ファミレス同時に五時 海の向こうの空爆 おもたい
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臘梅って言葉頭が重すぎて歩きにくそういつか介護してやらな私は
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空っぽの白い皿におばけとかしにがみとかやすめばいい 箸をおく
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白鷺が尻を向けるそのアルファロメオ農道でゆるりと錆びゆくなり
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その手から翼を失いし鳥の如く結果を知られたクジが飛ぶ
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お茶わんのクリームソーダにアイスは溺死す母不在の深夜一時
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